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  • 院長
    柴 亜伊子
  • 京都四条 あいこ皮フ科クリニック

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ホントにおススメしない化粧品第5弾ですが、「自然派」「無添加」風を装った化粧品をする予定でしたが、予定を変更させていただきます。

「出所のわからない化粧品は使わない!」強化月間です。

(って、1月も終わっちゃいますけど。。)

 

先日来られた患者さんのお肌がボロボロでした。

かなり赤くて、その原因は、ものすごい毛細血管拡張です。

紫外線の影響もありますが、かなりお肌に負担がかかっている様子。。。

ダーマスコピー(肌を50倍で診るレンズです)で診てみると、角質がめくれて、ひどい状態に。。。

違う種類のクレンジング2種類を使って、2回洗顔していたのもありますが、全く保湿が追い付いていない状態でした。

ほとんど顔中肝斑で、肝斑治療になったわけですが、慢性的な炎症(刺激)があると、肝斑は良くなるわけがありません。

これは、絶対、おかしな化粧品を使っているな、と思い、ひとつずつお聞きしていったんですが、(それで、クレンジング2種類で2回洗顔していることも判明)、保湿の分がホントに追いついていない状態でした。

保湿は何を使っているのか、お聞きすると、「化粧品じゃないんですけど、卸してもらって、それを使ってます。」と、よくわからない答え。

薬局を経営されて、卸されているわけではないそうで。。。医薬品じゃないなら、化粧品ということにしかなりません。(医薬部外品というのもありますが、薬剤師の資格もないのに、医薬部外品を卸しで買うことは、まあ、できません)

????

よくよく聞いてみると、ある施設(というか企業?)の会員になって、分けてもらうんだそうです。(卸価格ということ?)

で、患者さんは、「化粧品ではないんです。」とはっきりおっしゃいます。

(いえ、化粧品でしか、ないんですけどね。)

 

なんか怪しいな。。と思い、なんていうメーカーですか?というと、「そういうメーカーではなくて、IPSなんとかかんとか(すみません、聞き取れませんでした)研究所です。」

 

。。。。怪しすぎます。。。

 

私が開業する時点(2年半前)で、そういう「○○研究所」とか、「アンチエイジング○○」「ホワイトニング○○」「なんたらセンター」とか、消費者にとって、いかにも効果があると思わせるような、あるいは、公的機関と勘違いさせるような名称は使わないように、と厚生労働省が禁止していました。

その取決めの前に、もう名前をつけてしまった分には、改名まではさせないけど、看板類は認めない、となっていたはずです。

これは、クリニックだけでなく、エステ・接骨院・整体院など、全てにあてはまると理解していました。

どうして、こんなことを厚生労働省が決めたのかというと、そういうところで、トラブルが相次ぐからです。

もちろん、そういう名前でもちゃんとやっているところもあるでしょうし、公的機関(ホントの国とか、都道府県・市町村が使ったとか、準公立の施設)であれば、○○研究所や、○○センターという名前はあります。以前からもあるし、新規でもあります。

なんとかセンターとか、なんとか研究所とかすると、いかにも公的機関っぽくなるし、そこに行ったら、効きそうな気がしますよね。

イメージがいいというか。。。

そういう、根拠がないのに、名称にするな、というのが、厚生労働省の見解なわけです。怪しいから。

だから、そういう、「いかにも」的な、怪しい名前をつける企業(クリニックも)というのを私はあまり信用していません。

 

だから、「IPS」という単語を名前に使うのもおかしいし、最後に「研究所」とまでつけて、しかも「会員制」でないと、買えない、と揃えば、おかしすぎます。

 

「会員になるのに、それ、どうやって見つけたんですか?」

「友達にいいって、勧められて。」

「それ、マルチ商法じゃないんですか?」

「マルチとかじゃないんです。私がいいと思って、勝手に買っているんです。」

「大量に在庫とか持っていないんですか?」

「大量じゃないけど、。。3本くらい、まだあります。」(もっとあるのかもしれませんね。)

「1本おいくらですか?」

「1本、8000円ちょっとです。」(化粧水と乳液の間みたいな感じ、とおっしゃってました。)

 

話を聞いているだけで、マルチでしょ?と思いました。

まあ、マルチかどうかは置いておいて、ともかく、その化粧品がホントに信じているくらい、いいものであるなら、どうして、貴女のお肌は、そんなにボロボロなんでしょう?

おかしいでしょ?

合ってないんですよ。

また、そんなものは、中身も成分表示通りかどうかも確認なんてできないし(表示自体が信用できるのか、ということです)、ホントにそこまでいいものなら、もっと評判になるし、美容皮膚科の業界まで伝わってくるだろうし、会員制なんてしないで、表(社会)に出てきて、ちゃんと販売されますよ。

ということを説明しました。

でどころのわからないものは、使わない!

まだまだ、そんな怪しいところがあるんだな、と思いましたが、念のため、山中教授のIPS細胞となんの関係もないか調べてみました。

IPS細胞を使っていけば、病気の医療の分野だけでなく、将来的に美容など、他の分野も含めて、莫大な富を生むことをわかっておられて、世界中のいろんな企業が開発を狙っているわけです。

ヘタすると、一部の企業が技術を独占してしまって、利益追求に走り、独占販売にならないように、患者さんが良心的な価格で、そういう医療を、将来的に提供してもらえるように、ただいま奔走されていらっしゃいます。

いろんなベンチャー企業とも一緒に開発もされていらっしゃいますし、研究費はまだまだ莫大に必要ですから、寄付金も多額が必要でしょう。

もしかしたら、そういう寄付のための会員制のベンチャー企業でもあるのか、と思い、調べてみました。

将来的には、IPS細胞を利用した化粧品(医薬品)も出るでしょうが、まだそんな(一般の方が購入できる)レベルまで行っていないはずだろうけどな。。。と思い、ネットで、「IPS細胞 研究所」と検索をかけても、山中教授のホントのIPS細胞研究所しかヒットしません。

「IPS細胞 研究所 化粧品」としたら、もっと出てきません。

 

。。う~ん、はっきり名前聞くべきだったな。。。

(そういう意味でも、当たり前ですが、山中教授とは全く関係のある企業ではありません。)

 

そこで、「IPS 研究所 化粧品」と検索すると、ヒットしました!

 

でも、そこの企業のHPというより、被害者の会みたいな、被害にあった方や知人に勧められて困っているとか、勧められて買うべきかどうか悩んでる、みたいなサイトでした。

被害者の方が大勢書き込んでおられるようで、大半の悪口というか、まあ、想像通りのことが淡々と並んでいるというか、マルチっぽいところの企業反対派の意見としては、当たり前のことが並んでいるだけでした。

ただのふつうの化粧品を、さもものすごいように、広告をして、熱心に勧めて、強引に買わせるような。。

その中で出てくるのが、マルチ商法だから関わらないように、ということが山ほどでした。

いろいろ検索をその名前でかけていくと、とうとうその企業のサイトまでたどり着きました。

今は、名前を変えて、HPも、一見ただの、よくある、ようわからん化粧品のサイトです。

(新しい名前にも、「IPS」の名前は残してましたね。「研究所」は、取れましたけど。

かなり昔から、「IPS」という単語を使っておられましたが、山中教授のIPS細胞とは、なんの関係もなく、なんかわけわからん企業理念の英語の頭文字を並べただけでした。

マルチ商法がかなり問題になって、騒がれ出したころに名称を変えたのか、別の理由なのかは、わかりませんが。。

ただ、購入方法が、必ず販売員から直接買ってください、ネットではお売りできません、とかなり特殊な方法です。

知人に販売員がいないら、その企業が販売員を紹介してくれるそうな。。

あるいは、販売している各施設に行って買ってください、というものでした。

販売代理店というのが、エステっぽいところ(接骨院?整体院?みたいなものも混ざってました。)で、そこが卸していて、そこ行って買うようなシステムらしいです。

そういえば、被害者の会みたいなサイトで、エステでしつこく勧められて困っている、みたいな記述もありました。

 

どの書き込みを見ても、マルチのことばかり書いてあり、誰かに売れば売るほど、卸す側(紹介した側)は安く買えるような感じです。

(その辺の詳細は、おそらく関わらないと、教えてもらえないシステムになっているようです。だから、ネットを見ただけでは、本当のことはわかりません。。。

ただ、その企業が自分のところのサイトの化粧品紹介ページに載っていた値段と、患者さんが言っていた値段とで、かなり差があり、ネットだと、1本12000円くらいだったかな、と。

卸の値段ってやつでしょうか。。

商売をしているわけでもないのに、一般の方が、卸で買うということは、普通できません。

お店によっては、一般の方もOK!みたいに、不況のせいもあり、昔よりは増えたと思いますけど、それでも業者専用と一般小売OK、とまだまだ区別されているように思います。

仮の話ですが、マルチ商法っぽいような、法律すれすれでやっている企業があったとして、法律すれすれですから、違法行為ではありませんよね。

でも、「友達がとてもいいと勧めてくれた」化粧品は、実は、その辺にある、どうでもいい化粧品で、でも、値段は、高級化粧品並みに取られていて、でも、自分は、その使い心地に満足している(そりゃ、高かったですからね~)し、強引に勧誘されたわけでもないし、自分から進んで、ちょっと大目に(どうせ使うものですものね)買っただけだから。。。

と、自分に言い聞かせて、あるいは、本当にそれで満足されていれば、問題はないのかもしれません。。。

でも、その勧めて友達は、ホントにいいと思っていたのではなく、買ってくれたら(紹介して会員を増やして、なおかつ買ってくれれば)、自分にはマージンが入ってくる。

そのマージン欲しさに勧めたのだとしたら?

どこにでもある、ただの化粧品を。しかもバカ高いのに。

 

それって、人間不信になりませんか?ショックじゃないですか?友達と思っていた人に利用されただけなんて。

マルチ商法の一番ダメなところは、もちろん強引に買わされた、というお金の問題もありますが、商品が粗悪な場合、それが化粧品やサプリだったら、健康被害も出るかもしれない、そして、勧めたのがエステとかなら、関わらないようにしたらいいですが、友達だったら、心にも傷がつくでしょう。

お金と時間以外にも、お肌も体も心も傷つくわけです。

 

ホントにいいものだったら、もっと世の中に出てきますって。時間はかかりますけどね。

そりゃ、なんでも使ってみないと、ホントにいいものかどうかなんて、わからないし、怪しいものの中にも、実は、結構いいものって、あるのかもしれません。

でも、実際、この方のお肌はボロボロで、化粧品の質と値段は、少なくとも私には見合っているようには思えないし、今の状態では、わけわからんものは、全部止めてください、と必ず指導します。

どんな企業も表示がホントかどうかなんて、特殊な機関じゃないと調べるなんてできません。表示したもの勝ちでしょう。

でも、ちゃんとした表社会に出てきている企業、特に化粧品会社は、そんなウソをついてばれたら、もうつぶれますからね、会社。まず、そんなことはしない、という前提で、話をしています。それだけ、正々堂々としているわけです。いつでも勝手に調べられる可能性があるわけですから。

今の患者さんの肌の状態が、素晴らしかったら、私も、わざわざ止めません。

出所がわかっている商品だからこそ、簡単に確認できて、止めておきましょう、と言えるのに、(商品によったら、確認してから、再開してもらうこともあります。)出所がわからないものを、確認もできないわけで、信用して、顔に塗る、飲む、なんて、怖すぎます。。

 

高額・あるいは大量に買わされて、マルチかも、と悩んでおられる方、あるいは、怪しいかもというところで買ってしまって、聞いていた話と全然違う・健康被害が出ている方。

とりあえず、国民生活センターとお住まいの警察に相談してください。

お金が返ってくることもあるかもしれないし、成分を調べてくれることもあるかもしれません。違法行為なら、警察が捕まえてくれるでしょう。

どうぞひとりで悩まないで。

そういう怪しいものでかぶれたり、何かあった場合、皮膚科で必ず診断書をもらっておいてくださいね。いざとなったときの証拠になりますからね。