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    柴 亜伊子
  • 京都四条 あいこ皮フ科クリニック

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アトピーの方の化粧品使用

アトピーの方のスキンケア・ヘアケアをちょっとお伝えします。

ブログでも今まで何度か書いていますが、かなり前だとお忘れの方もいらっしゃいますしね。

 

まず、「アトピー」と一口に言っても、ピンキリです。

正確には、「アトピー性皮膚炎」なんですが、ちゃんとした皮膚科医から、「アトピー性皮膚炎」と診断を受けた方から、皮膚科医以外の医師から、ただの湿疹を「アトピー」と言われていて、ずっと自分はアトピーだと信じてしまっている方、ちょっと肌が弱いだけなのに(しかもスキンケア・ヘアケアが間違っていたりするだけなのに)、自称「アトピー」と言っている方まで、ホント様々です。

 

今は、ややこしいので、自称アトピーの方は、ちょっと置いておきます。

で、本当のアトピー性皮膚炎の方です。

アトピーでなくても、湿疹皮膚炎がずっとある方も同様と思っていただいてもいいですが、アトピー性皮膚炎は、ベースにアレルギー体質があるので、アトピー以外の湿疹皮膚炎の方とは、一見似ていても全然違ったりします。

 

ちょっとした肌荒れといいますか、乾燥している・保湿がおいつかないくらいであれば、スキンケアと使っている化粧品がおかしいだけですから、それを止めれば、ほとんど良くなります。

(それでもダメなら、かなりの栄養失調ですが、まあ、スキンケアのみ直しだけでかなり良くなります。)

ちょっと軽い赤みがある場合、素人からしたら、気付かないくらいの赤みですが、こちらもスキンケアとおかしな化粧品を止めるだけで、かなり良くなります。

この赤みがあるかないかで、あと、患者さんの自覚症状にもよりますが、それによって、お勧めする化粧品が変わってきます。

 

でも、皮膚科医(うちでも他院でも)からステロイド(ホルモン剤)の塗り薬を出されているような方は、いわゆる「化粧品」はダメですよ。

 

一時的なかぶれ(原因がはっきりしているモノ)で、数日~1週間もしないうちに治るなら、ステロイドを使いながら、一部の化粧品は許可、と言いますか、まあ、そこは避けるように私は言いますが、それを守っているかどうかは患者さんのみぞ知る。。まあ、いけることが多いです。

原因さえ止めれば、ステロイドを使わなくても、体が自然に治してくれるんですが、女性は、やはり早く化粧をしたいし、止めるように言ったところで止めずに、こじらせてしまうことも多いので、原因さえ止めさせて、さっさとステロイドで落ち着かせてしまうほうが、メリットデメリットからすると、メリットが勝つかな、と判断されることが多いです。

私もそうです。

 

ところが、アトピーの場合は、「完治」するわけではなく、コントロールすると言いますか、うまく付き合っていかないといけないものですから、ある意味、終わりがないです。

落ち着いたと思っていたら、すぐまた次の波が襲ってくるといいますから、自分の力でどうこうなるものではないこともあります。

落ち着いたら化粧しましょうね、と言っていたら、いつまでたっても、化粧ができない(この場合の化粧は、基礎化粧ではなくて、ファンデやメイクと思ってください)んですね。

それで開発されたのが、野本先生考案の「ビューティフルスキン」のミネラルファンデやチークや日焼け止めパウダーやグロスなどのメイク用品です。

アトピーの方が、すぐにメイクできるようにと、これ以上はないところまで添加物を抑え、必要最低限にされています。

私も、アトピーに関わらず、顔にひどい炎症があって、ステロイドを使わざるを得ない時に、患者さんがどうしても出かけるのにメイクをしたい、隠したい、と言われたら、ビューティフルスキンだったら、いけるかもしれません、と許可しています。

 

このミネラルファンデのシリーズは、全て粉ですから(グロスは、ワセリンにミネラルの粉が入っているだけです)、クリームや乳液・固形の固めてあるパウダーと違って、おかしな添加物がホントにありません。

 

でも、ほとんどの「化粧品」が、添加物が入っています。

病院でもらう塗り薬でさえ、ワセリン基剤ではなく、クリームや乳液状のモノには添加物が入っています。

でないと、水と油は混ざりません。

病院の薬は、市販のものよりは刺激の少ないモノが選ばれていますが、絶対誰でにでも合う薬なんてのは存在しませんから、合わない方・かぶれる方は、薬であっても、いらっしゃいます。

 

アトピーの方の場合、基本、皮膚のバリア機能の破壊があります。

皮膚のよろいが穴だらけみたいなもんです。

おかしな化粧品と間違ったスキンケアをず~っと繰り返してきた方も、自分でバリア機能を壊してしまって(壊し続けて)、アトピ似たような状態にしてしまっている方もいます。

アトピーない湿疹皮膚炎も、こじらせて、慢性化している間に、バリア機能が壊れてしまっていることもあります。

 

このバリア機能が壊れて、よろいに穴だらけになっていると、この穴から、いろんな異物が入ってきます。

なので、化粧品の添加物なんて、バンバン入っちゃいます。

薬の添加物ですら、さすがにバンバン入られると、合わない・痒くなる・痛い・ヒリヒリするなど何かイヤなことが起こります。

体が「止めて」と言ってくるわけです。

まして、化粧品なんて~っ!!

 

どんなに「低刺激」と証明されているものであっても、添加物は入っているわけですから、バリア機能がある程度保たれていれば大丈夫なのに、バリア機能が壊れているせいで、ダメ!ということが多々あります。

やはり「刺激」になってしまうわけです。

 

冷静に考えてみましょう。

顔が赤くなって、ヒリヒリとか、痒いとか、痛いとか、何か違和感もあって、医者からステロイドまで処方されているわけですよ。

化粧品使って、いいと思います?

 

ダメですよ、使ったら。

せっかく、ステロイドまで使って、皮膚を騙くらかせてでも治そうとしているのに、邪魔しているでしょ。

で、ほとんどの方が、皮膚科医から、「化粧品を使わないように」と言われているはずです。

それを無視して、ステロイド塗っていたらいいや、前よりマシだし、薬よりも化粧品のほうが使いやすいしね、日焼け止めもこの美容液も塗っとかないとね、お肌のお手入れだもんね~、としていること全部が、皮膚も体も怒らせることに。。。

一旦、怒らせたら、そうそう機嫌は直りませんよ~。

皮膚と体の復讐は、根深いですよ~。

 

みなさん、かなり勘違いしていらっしゃる方が多いんですが、「薬」ではない「化粧品」というものは、基本、皮膚が健康な方のためのものです。

ちゃんとしたメーカー・化粧品は、パッケージに、「肌に異常がある場合は、使わないでください」と表示されています。

ステロイドまで処方されている、その状態は、「異常」であって、「健康」ではないですよね。

 

もちろん、日焼け止めもそうです。

これは、薬ではありません。化粧品です。

クリニック用のものであってもそうです。

皮膚炎のきつい時、真っ最中に、日焼け止めは、私も許可しません。

どうしても塗りたい、という場合、「ビューティフルスキンだったらいけるかも」となるわけですが、もうできたら、顔を触る回数も減らしてほしいことも多いので、いろいろ工夫を提案します。

 

で、スキンケアと顔に塗る化粧品と、ヘアケア・ボディケアも同じです。

だって、同じ自分の体ですから。

髪の毛だからいい、手だからいい、というものではありません。

シャンプー・リンス・トリートメント・ハンドクリームなど自分の体につけるモノ全て、固形でないなら、全て、皮膚に反応が出ます。

量の問題もありますし、質の問題もありますが、とにかく早く治すコツは、いらんことをしないことです。

体の機嫌を直してあげないと。

 

特に、アトピーの方の場合、体にはずっと機嫌よくしておいてほしいので、考えられる限りの「低刺激」がお勧めですが、確かに落ち着いたら、「化粧品」を使いたくなりますよね。薬よりも塗り心地がいいから。

 

使える時もあると思います。

でも、使って、また痒くなったり、赤くなったり、ヒリヒリしたらステロイドを使いながら「化粧品」を塗るのではなく、その「化粧品」を一旦止める、ということがとても大切です。

 

 

みなさんステロイドの副作用を診たことがほとんどないでしょうし、実際使っている方も、他人事と言いますか、自分は大丈夫、と思っている節がありますが、これは誰にでも起こりえます。

適切な止め方で、すぐに戻れることもありますが、こじれてしまって、他にも栄養が足りないとか、まだスキンケア・ヘアケアが間違っているとか、おかしな化粧品を使っているなど、ご本人は、おかしいことに全く気付いていないんですが、ず=っと続いていて、どんどんこじれる、ということもとても多いです。

 

今、ステロイドを処方されている方、特にアトピーの方は、どうしてその化粧品を使わないといけないのか、その理由をきちんと考えてください。

ほとんどの方は、ただの思い込みです。

塗らなきゃいけない理由なんて、おそらくほとんどありません。

多少のメリットはあっても、デメリットのほうがかなり大きはずです。

カテゴリ:

スキンケア, ヘアケア, 化粧品, 医療