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  • 院長
    柴 亜伊子
  • 京都四条 あいこ皮フ科クリニック

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少し前にまたTVで、ニキビの原因は、ストレスとおっしゃる医師が出てました。

特に、アゴ周りに出ることが多いように言っておられたかと思います。

ストレスって多かれ少なかれ、誰にでもあります。どうとらえるかで、ご本人に及ぼす影響の大きさも違うでしょうが、うまくコントロールされている方もいらっしゃいますね。ちょっとした考え方の違いなんですが、そうそうコントロールもうまくできないこともありますよね。

それなのに、ストレスがあるからニキビ治らないんだ、と落ち込まないでください。

ストレスがコントロールできなくても、ニキビの治療法というのは、たくさんありますし、またお一人お一人治療法が違います。

何をしても治らない、と受診される方って、結構いらっしゃいますが、「何をしても」の中には、全然ちゃんとした医療が入ってなくて、化粧品やあやしいネット情報に振り回されている方がとても多いです。

いろんな皮膚科に行ったのに、治らない、という方もいらっしゃいますが、保険だけでは限界がありますし、いろんな皮膚科に行っても、もらっている薬は似たりよったりだったり、使い方が間違っていたり

とかです。決してあきらめずに、ニキビは必ず良くなります。

お笑いの日村さんでしたっけ?おでこのニキビは、不衛生だから、とかTVで言われてましたが、今時不衛生って・・・。一昔前の汚ギャルじゃないんだから、とちょっと笑っちゃいました。

他院から来られた患者さんからよく聞くのが、「不衛生だから、できる」と皮膚科で言われて、「何度もごしごし洗うけど、良くなるどころかどんどん悪くなる、どうしていいかわからない」ということです。

結構、保険の皮膚科で言われちゃうんですかね~。ちょっとビックリしますね。

普通は1日2回洗顔すると思います(余程の乾燥肌の方を除いて)。2日洗って、ニキビできたら、不衛生ですかね?じゃあ何回洗えばいいんでしょうね。特殊な環境で働いてでもしない限り、1日2回で十分だと思います。

そして、不衛生と言われた方のほとんどが、ゴシゴシときつく洗うようになっちゃうんです。ひどい人は洗顔ブラシやスポンジとか使ったり!(絶対ダメですよ!お肌はデリケートですから!フライパンやお鍋じゃないですよ~。

市販の石けんやクレンジングて、どんなにきつく洗っても限界があります。仮にきついので洗って、毛穴の汚れが落ちたとしても、お肌はキメも荒れてぼろぼろです。

それよりは、ピーリングの石けんで、無理やりではなく、溶かして洗い流す、というのが、一番負担なく汚れがとれるんですが、おうちで一人でする場合、方法や使う石けんがおかしいモノでも、誰も止めてくれません。まだまだ乾燥する季節が続きますから、ピーリング系は、美容皮膚科医に相談してからというのが一番安全です。

おうちでのピーリングのやりすぎで、ボロボロになっている方もとても多いです。

ボロボロのお肌を診ると、悲しくなりますね。。

そうそう、今日またしても「ホンマでっか?!TV」で、40歳過ぎたら、おでこにニキビは出ない、と言っておられましたが、もちろん出ます。私も生理前とかに出ることがあります。

ホントに、あの番組で言われる内容は、聞き流してくださいね。インパクトのあることを強調して言っておられるだけですから。真に受けて、悩まれませんように。

ちなみに、50代の方でも、ニキビができたら、ニキビと呼びます。(医学的に、それがニキビだった場合)年齢は関係ありません。50代には、確かに圧倒的に少ないと思いますが。

ちなみに、「吹き出物」という医学用語はありません。一般の方が、一体何を「吹き出物」と呼んで、何を「ニキビ」と言っているのか?

20代までに、顔にブツブツと何かが出ると、多くの患者さんは、「ニキビ」と言って受診されます。

が、その中には、化粧品かぶれの湿疹もありますし、毛嚢炎と言って、ニキビとは違う病気もあります。マラセチア毛包炎もありますし、いろいろです。

若い人が出るのを全てひっくるめて、「ニキビ」と呼んでも、全然違うので、ダメなんですね~。もちろん治療法の全部違いますから。それなのに、何でもニキビの薬やピーリングすればいいというものではありません。

50代以降になると、顔に出るブツブツは、ニキビは圧倒的に減って、化粧品かぶれや毛嚢炎などのほうが多くなりますから、「吹き出物」と単純に呼んでいるんだと思います。

日本の慣習と言いますか、男性社会の名残なのかわかりませんが、「女性は若いほうがいい」みたいな、30代40代50代をからう時に、「ニキビ違うよ、吹き出物やで~。ニキビの年、ちゃうんやん!」みたいに、大人の女性を傷つけると言いますか、ひどいな~、と思います。

まあ、最近は、そんなことを言う男性も減ってきたかと思いますが。会社によっては、セクハラと言われかねませんよね。

皮膚科医からしたら、年齢は診断をつける時の参考にはしますが、あくまで参考であって、そればかり考えていると、誤診してしまいます(どの科でも、医師は皆同じことを考えますが)。全ての考えらる可能性を上げて、消去法も大事なんですね。思い込みは、医療では絶対いけないので、日々私も気をつけています。

最近のTVって、そういうこと言わないんですよね~。言い切ったもん勝ちみたいで。言い切る人がいてもいいんですが、(その場で患者さんを診てるわけではないですから)、反対の意見で言い切る人も用意して、意見を戦わしてほしいです。

そしたら、見てる方も、「ああ、いろんな場合があるんだな」とわかってもらえると思うんですが、そんな番組、あまりないですね。心理学者の方同士は、論戦てされているのに、医師同士はないですか~。まあ、そういうのに関わる医師が少ないんでしょうね。普通のいろんな可能性を考えることを常にしている医師は、TVみたいな言い切りはしませんからね。

患者さんからしたら、煮え切らない、とお思いかもしれませんが、人間の体は機械ではないので、「この病気です」とか「ここが原因です」とはっきり言える場合ばかりでは決してありません。

医師が煮え切らない時は、それなりに理由があるので、「あの先生ダメ!」ではなくて、そういう場合は、セカンドオピニオンを探しましょう。特に、病気によっては、いろんな病気を知っている医師のほうが、あらゆる可能性を考えて煮え切らないこともありますから。