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    柴 亜伊子
  • 京都四条 あいこ皮フ科クリニック

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シミのレーザー治療

患者さんが、よく、「シミにレーザーをあてて、消してください」と言われますが、私たち美容皮膚科医にとっての、シミのレーザー治療というのは、主にQスイッチレーザーのことを指します。

Qスイッチレーザーにも、いろいろ種類がありまして、Qスイッチルビーレーザーが一番有名ですが、QスイッチヤグレーザーやQスイッチアレキサンドライトレーザーなどがあります。

いわゆるフォトフィエシャルや、当院のライムライトというのは、光治療という分類で、「レーザー」という治療とは全く違うモノになります。

それを知っていて、レーザー治療をしてほしいと希望される方と、知らずに、「シミを取るモノ」「顔に何かをあてるモノ」という総称を「レーザー」と呼ばれることがあるため、混同される方も結構いらっしゃって、カウンセリングにお時間のかかることもあります。

「肝斑には、レーザーあてたら、ダメなんですよね?」と当院の肝斑セットはフォトであるライムライトを使った治療なんですが、いいのかな?とビックリされる方もいらっしゃいます。

肝斑にフォトを使った治療をするクリニックが非常に少ないのと、「フォトはレーザーではないから、大丈夫なんですよ。でも、フォトだけを肝斑にあてるということはしませんよ」という話をしても、すっかり抜けてしまわれている場合などに、?になられるようです。

まあ、ご理解されてからしか処置はしませんから、普通は心配いりませんが。

患者さんから、他院での治療されたこられたお話とか聞いていると、あまり詳しい話(副作用やアフターケア・日焼け止めの必要性など)をされずに、Qスイッチレーザーをされていることが多くて、ビックリします。

Qスイッチレーザーの治療経過をちゃんと説明を受けて、処置される分には、患者さんがご自分で選択したことですから、いいと思います。

確かに、1回でもとてもよく効く方もいらっしゃいます。昔からある治療で、今も廃れずに、生き残ってる治療ですから。

これはこの治療でいいんですが、全員の方がうまくいくかというと違うんですね~。

 悪質な美容外科とかで、「すぐに消せます」とか騙されてくれぐれもされませんように。ホントにエラいことになりますから!そんなうまい話は、ありません。

Qスイッチレーザーの適応のあるシミであっても、一旦落ち着くまで、1週間前後はみておくほうがいいので、大事な用事のある直前にそんな危険な賭けは止めておかれるほうがいいです。しかもその間、テープを貼らせるクリニックが圧倒的に多いはずです。(テープの代わりに、薬に色のついた塗り薬?化粧品みたいなのを塗らせるクリニックもあります。クリニックによって、いろいろですが、私はできればテープを貼って湿潤させたほうが早く良くなるのでいいと思います。かさぶたがついた後は、そういうのを人前に出る時は、使って、家に帰ってきたら、薬を塗ってテープを貼って、湿らせてあげると、早くカサブタが取れます。

(当院でも、資生堂ナビジョンのスポッツカバーと言って、カサブタの上から塗って、隠して上から自分のファンデを塗る、という商品を置いています。さすがに、資生堂だけあって、カバー力はモノスゴイです。)

また、Qスイッチレーザーは、データによっても様々ですが、一旦キレイに取れたとしても、その後に炎症後色素沈着と言って、茶色くシミになってきます。こうなる方が約3割。

これが出たら、落ち着くのに、2~6か月以上、ひどい時で1年と、かなりの個人差があります。

Qスイッチレーザーは、あまり考えずに、気楽にやるものではない、と私は思っています。

ゆっくり、よく考えてからされるほうがいいです。簡単に取れるように言うクリニックが、まだあることに愕然とします。ちゃんとしたところは、副作用や経過を処置前に必ず言ってくれますから、そういうことを教えずに、処置させるクリニックは、おススメしません。

(何も教えずに、最初から、たくさんあてて、お金だけ巻き上げて、後は知らんぷり、みたいなクリニックもあります)

もちろん、肝斑の方・可能性のある方は絶対にやってはいけません。

何かあっても大丈夫な時に、わかりやすいところ(経過が見やすいところ)、もしくは、ホントに何かあっても(かえってシミになっても)気にならないところに、まず1個あててみて(たくさんしたい方であっても、初回は、せめて数個以内で我慢されては?)、経過がわかって、自分も安心したら、たくさんする、というのが私のおススメです。

もし、たくさんあてたところ全部、炎症後色素沈着になったら、とても困ると思うんですが・・・。

「安かったから」という理由でされる方も、結構いらっしゃいます。確かに、安いというのは、とても魅力的ですね。ただ、その場合は、大きな副作用のないことならいいと思うんですが、ダメ元で、仕方ないと思えますよね。大きな副作用(かえって、濃いシミになった、肝斑が悪化した、赤みが引かなくなった、凹んだまま戻らない、などなど)が出てしまうと、それを戻すまでの時間と早く落ち着かせるための治療の金額のことを思うと、途方にくれてしまうのではないでしょうか。。

他院で、処置されて、ひどくなって、「なんとかしてほしい」という方が、結構うちにいらっしゃいます。

その中には、説明されたけど患者さんが指示を守らなかった、という場合も少しありますが、ほとんどは、やったクリニックが説明をしてない、適当に看護師だけでやっている、ひどいのになると、肝斑かもと言いつつ、Qスイッチレーザーをしている、などなど。。そういう場面に出会うと、悲しくなりますね。

皮膚科医・形成外科医から診て、炎症後色素沈着を起こしやすい方というのもいらっしゃって、そういう方には私はQスイッチレーザーはススめません。それ以外の方なら大丈夫か?というと、これが必ずしもそうでないんですね~。肌質から大丈夫だろうと診断した方でも、その後のお手入れのせいなのか、何かわかりませんが、色沈を起こすことがあります。

確率の問題ですから、ある意味、患者さんからしたら、「賭け」ですよね。3割という確率は医療の副作用においては、かなりの高確率です。

また、説明を受けた患者さん側も、色沈の話をすっかり忘れて、なってからビックリされる方もいらっしゃいます。きっと自分は大丈夫と思っておられたのか、副作用も人ごとのように思い込んでいらっしゃったのかは、わかりませんが。

そのため、当院には、今のところ、Qスイッチレーザーを置く予定はありません。

私は、あまり副作用の出ない治療が好きです。

何にでも、二面性というのがあって、長所でもあり、欠点にもなりえます。

副作用が出る、ということはそれだけ強い、よく効く治療とも言えます(そうでないこともありますが)。

そういう治療の場合、ダウンタイムと言って、患者さんが我慢を一定の期間しなければいけないことも多いです。

逆に、ダウンタイムもなくて、すぐにお化粧が出来て、人からもばれなくて、キレイにしていく・・という治療、例えばフォトとかですが、そういう治療は、マイルドなため、キレイになるのに回数と時間がいります(ホントに1~数回で、良くなる方もいらっしゃいますが、全員ではありません)。

強い治療をピンポイントにする分には、それほど困りませんが、顔全体にしたら、その後は落ち着くまで、かなり大変だと思います。

フォトなどは、マイルドな治療なので、一度に顔全体できます(というか、普通顔全体します)。

目的が、似ているようで、全然方向性が違うんですね~。

ですから、ご自分で、どうしたいのか、ピンポイントなのか、全体なのか、ダウンタイムはあってもいいのか、あったら困るのか、副作用は?価格は?通えるのか?肝斑はないのか、肌質は?シミの種類は?などなど、個人個人、合っている治療というのは、違います。

だから、診察とカウンセリングが必要なわけで、当院では受診していただかないと、ご提案はできません。

私が、今でもQスイッチレーザーを勧める場合というのは、患者さんが経過・副作用など納得された方で、ものすごく濃いシミです(10円玉みたいな)。これなら、色沈が出ても、もとよりはまだ薄いでしょう。(これは、場合によったら、Qスイッチでは無理で、炭酸ガスレーザーで削ることがあります)。

他には、アザ(遅発性太田母斑様色素斑など)のみがあって、肝斑のない場合です。

そういう方で、Qスイッチレーザーをご希望された場合は、他院での治療をお勧めしております。

あと、一番大事なことですが、必ず治療を受ける上での注意事項は、ちゃんと聞きましょう。聞いただけでなく、守っていくことが、副作用を少なくさせて、うまく早く良くなるコツです。

 

カテゴリ:

医療