昨日の最終の高速バスで、京都に帰って来ました。徳島17:15分発なんですが、学会関係者がある程度いるとは思ってましたが、地元の方、結構最終で京都に行かれるんですね~(京都に戻るのかもしれませんが)。思ったよりも多い人数だったので、ビックリしました。
さて、学会ですが、美容とレーザーに関係した分だけ回ったんですが、それでも時間があまり余らなくて、(会場が二つあって、離れていたせいかもしれません。)、思ってたより、忙しかったかな?
本屋さんもい~っぱい出るので、知らなかった本や新しい本を、いつも片っ端から買いたくなるのを抑えるのが大変です(京都府保健事業協同組合を通すと、安くなる本が結構あるんですね~。でも、学会行くと、つい買っちゃうんです。今回は、反省して、保事協で買えなさそうなモノだけ、とりあえず買いました)
いろんな発表を聴いたり、見たりして、「はあ~?」というものもあり、「う~ん・・・」というものもあり、「おおーっ!」というものあり、中々充実しました。
その中でも、今回一番印象に残ったのが、手術です。
形成外科学会なので、手術メインの学会なんですが、形成外科出身の素晴らしい先生の美容外科の手術、ハイレベルです~!すばらしい!!
久々に、いい手術の結果を見たと思いました。
美容外科で、小顔手術というのがあるんですが、内容は、頬骨を削ったり、アゴの骨(エラのところの角の部分)を削ったり、というのが一般的です。小顔にすると言っても、頭蓋骨を触れる(小さくできる)わけないので、触っても支障(機能上)がない場所となると、限られてくるんですね~。
当院は、美容外科ではなく、美容皮膚科なので、手術希望の患者さんは来られませんが、以前勤めていたところでは、手術希望の方々を診察したことがあります(診察と言っても、話の流れで、わかる範囲でお答えするくらいですが)。
もっと以前は、形成外科に所属してましたから、出張先も形成外科をやっているところです。
そういうところで、他院でエラ削りをされて、おかしな顔になって、なんとかしてほしい、と来られる患者さんが何人もいらっしゃいました。
昔は、今ほどいい人工骨もなく、最初に相談を受けた時代は、まだシリコンプレートくらいしか方法がなかったかな?大学病院では、美容目的の手術はできません(今の時代は、ちゃんと大学の倫理委員会を通して、やっている大学もあります。もちろん、ちゃんとしたところです)。
むか~しは、美容外科というと、ものすごく数も少なくて、ホントに怪しいところもあって(捕まってた美容外科医もニュースになりましたね。患者さんに麻酔かけてわいせつビデオとって、金を隠してて、自家ボートで逃げた、というのが。。)
ちゃんとした有名なところでしてもらうなら、100万単位で、お金がいるような時代。。ありましたね~。その少し後に、美容外科バブルが来て(日本のバブルよりも少し後だったと思いますが)、数もむちゃくちゃ出来て(わけわかんないのまで含めて)、バブルがはじけて、価格競争が始まって、今に至ります。
さて、小顔手術ですが、エラのところの、耳下にある角っこの骨の部分、わかりますか?「下顎角」と呼ばれる部分なんですが、ここを斜めに落としてしまうと、本当におかしな顔になります。間延びして、首との境目のとこなんか、はっきりしなくて、すっごい変!なんです。
患者さんで、エラ張りをとてもコンプレックスに思っておられる方には、まずエラのボトックス注射を勧めています(それほど害がないからです。仮に、何か困っても、必ず戻りますから)。
これで、ほとんどの方が満足されてます(私の関わった方々は)。それでも、まだもっと小顔にしたい、という方で、脂肪が多めについていた場合など適応があれば、脂肪吸引を勧めてます。
エラの筋肉(咬筋)を切りとってしまうのは、あまり勧めてません。戻せないからです。そうそう顔の中で、全く要らない筋肉って、ないんじゃないかな~と思います。
全部やったけど、どうしても骨が気になる!という方には、骨の手術をするしかありませんが、結果がよくないのをたくさん見てたので、角取ると、おかしいと思いますよ、というのはお伝えしてました。
ところが!今回、角だけ取っても、おかしいから、こう取ると良い結果が出る、という発表がありました。クリニカ市ヶ谷の倉片先生の発表です。
他にも、頬骨の削り方にも、工夫をされ、筋肉は切り取らず、残したままで、小顔にしていくというスゴイ技術と理論です。どうしたら、バランスよく、しかも患者さんの満足度を上げるのか、ということに留意されていて、ホントに良い結果でした。
骨を触る以上、腫れ・出血などはもちろん覚悟しないといけませんし、もちろん全身麻酔です。
骨を触ることを推奨はしませんが、同じ手術してもらうなら、こういう先生でないと、ダメですね。
ご高名な先生なので、手術のお値段はわかりません。1日にたくさんできる手術ではないので、かなりの高額だったとしたら、それは仕方ないと思います。日本でも有数の医師本人に、手術をしてもらうということは、美容の場合、金額は相応になるでしょう。
形成外科の手術発表を聴いたのが、本当に久しぶりだったので(去年の形成外科学会、それほど「おおーっ!」って思った記憶がないので)、学会に出て良かったです。形成外科の素晴らしさを再認識しました。
美容外科の手術は、やはりこう見ると、形成外科医として、トレーニングを積んだ医師のほうが絶対安心ですね。この倉片先生になら、私は安心して、患者さんをご紹介させていただきます。
患者さんと、その先生の相性と考え方が一致しないと、どんなにいい手術でもうまくいかないので、診察を受けてから、どうなるか、というのは別の話ですが。
ただ、いつも困るのは、患者さんがレーザーでいけるかな?と受診されて、手術しかない、となった時に、どなたに紹介しようか、ということなんですね。その点、東京は、たくさんの安心できる先生がいらっしゃいます。
していただきたい手術によっても、また違うので、悩むところです。例えば、二重まぶたにする手術とか、手技としては、そんなに難しくはないんですが(トレーニングと理論と解剖を理解していれば)、やはりやり方一つで、腫れ・内出血は全然違います。もちろん、仕上がりも。二重にさえなれば、何でもいいというわけではないので、患者さんお一人お一人、似てるようで、要望は全然違うんですね。
ちょっとした幅で、印象が全く違うので、最初にどれだけ、カウンセに時間をかけるのか、できることとできないことを、最初にちゃんといってくれるのか、ということも、とても大切なんですね。
二重にするのに、糸をかけてるだけだから、糸取れば戻るやん?という方もいらっしゃいますが、人間の体は、そんなにうまくいきません。どれくらいで、糸を取るかで、変なクセがついて、戻りにくくなることもありますし、まぶたの軟骨(瞼板といいます)に、糸が掛けられて、何度も何度もそんなことを繰り返していると、瞼板裂けちゃうんですね。まぶた、ぐちゃぐちゃです。
小さな手術であっても、体にキズは必ずつくので、何どもやり直しを前提に(流行りで、顔をまた変えるようなことも)することでは、絶対ないと思います。
形成外科医なら、誰でもいいのかというと、そんなことがないのが難しいところで。。これは、なんの職業でも同じだと思いますが、そこの集団に属していたら、いくらでも名乗れますし、属したこともないのに、自称の医師も多いです。形成外科認定医なら、いいのか、というと、またこれがそうでもなくて、その先生の肩書きや経歴だけでは、これまた判断できません。
頭のとてもいい、カウンセが素晴らしい先生でも、 手術がうまい、とは限らないんですね~。
患者さんが下調べでわかることはかなり難しいです。私みたいに医師でもわかりません。
また、その先生のキャラって、別問題で、これは診察してもらわないと、ますますわかりませんよね。
ホクロを取るくらいなら、保険診療で、一般の形成外科を受診されたらいいと思いますが、美容の手術って、美容的なセンスも必要であったり、患者さんの意図をきちんとくみ取る、という姿勢がいると思うんです。これには、必ず時間がいりますから、安売り美容外科の流れ作業で、できるはずがありません。
また、そういうところは、形成外科出身の医師というのは、ものすごく少なく、ひどい場合、内科医だったりします。内科医であっても、ご本人の努力(知識の勉強と手技のトレーニングで)で、いい美容外科医に成長された先生も、日本中を探せばいるとは思いますが、まだ私は遭遇したことはないですが。。
知識と手技だけでもなくて、「経験」というのが何でも大切だと思うんですが、患者さんの経過を見ていくのにも、数年は必要でしょう、手術の場合。経験も、スルーするだけでは何の意味もなくて、教訓を得て、次の手術に活かせるのにも、ある程度の時間がいると思います。下っ端時代から、そんなに手術をバンバンさせてもらえるわけではないので、手技を体得するのにも、さらに時間がいります。
医師が全然足りていないところで研修すると、バンバン何でもせざるを得なくなりますが、手術の手技で、指導医の先生が揃ってないので、我流の混じった変なクセもどんどんつきます。これ、治すの大変なんですよね。手術も、教科書に載っていることくらいしか、知識がないので、実践にはあまり役立たず(というか、ホントに手術で大事なことは、教科書には載っていません。直接、上の先生から教えていただくことです。ものスゴク貴重な知識なんです)、経験から得た絶対してはいけないこと・しないほうがいいことを知らないため、無駄な出血・腫れに繋がります。どこで、研修するのか、というのも結構大事なんですよね。本人のやる気も大切ですが、やる気の時に、教えていただける環境や交流場所がない、というのは、医師として、とても悲しいことです。
安売り美容外科には、そういう環境はありません。局所麻酔の手術が大半ですから、そばに指導医がついて、声に出したり、手取り足とり教えるって、自費でお金をいただいた患者さんの前で、できませんよね。患者さんからしたら、そんな医師にしてもらうのに、高いお金を払って、失礼な話、ということになります。慣れていない医師が、一人で手術することが圧倒的に多いはずです。手術は、慣れていないと、どんどん血が出ます。ますます手術がやりにくくなります。見にくいまま、いじっていくので、ますます腫れて、さらにわかりにくくなるという負の連鎖にはまります。
こういうことは、形成外科なら、研修時代、全身麻酔の患者さんの手術などで教えていただけることです。大学病院などで治療をされる場合は、患者さんも御納得いただかないといけないんですが、大学だと、とりあえず皮膚を縫わなければ、ということがたくさんあり、そういう時に練習させてもらうしかないんです。そこで慣れたら、外来手術(患者さんの意識があるままでする手術)デビューとなります。
そういう時も、患者さんには声が聞こえますから、アカンことをした場合は、ピンセットやハサミの柄で、手の甲をたたかれたり、足を蹴られたり、冷や汗をかきながら、手術させていただくんです。あまりひどいと、手術を取り上げられて、上の先生が手術してしまいます。当たり前の話ですよね。患者さんで練習させていただくだけでなく、時間も余分に頂戴するわけですから。
美容外科では、こんなことはできないでしょう。
さて、美容外科の場合、先輩医師になればなるほど、形成外科出身者はもっと少ないので(昔は、形成外科という学部自体が少なかったので、いける大学が決まってました。欧米で研修してこられた美容外科医師が開業されてるほうがまだ多かったかも)、その先生が自分で体得されたその施設なりの美容外科手術を手本にするしかありません。
おかしくないこともありますが、おかしいことも山ほどあります。内科医がいきなり二重の手術を、お金をいただいた患者さんでするわけです。恐ろしいと思いませんか?私(皮膚科医)が、脳外科の手術をするようなものでは?極端な例えですが、受け入れることができますか?
まだ内科医も場合でも、医師としての実践を積み重ねていて、緊急時の対応などができる医師はまだいいんですが、ひどいのになると、研修があけて(今は、スーパーローテイトと言いますか?昔の研修よりも、話を聞く分、だいぶ内容が甘いと思うんですが。。)、その後、すぐ美容外科にいきなり入る医師が増えてるそうです。恐ろしい時代です。。。
(以前は研修医の途中で、研修を捨てて、美容外科にはいってきたそうです。今は、できない仕組みになってますが)。
今回、いろんな手術の発表をみて、やはり形成外科医として、ずっとやってきた先生が開業されたところや任されているクリニックでするほうが、同じお金を出すなら、安心じゃないでしょうか。
手術の腕がわからないことも多いと思いますが、とりあえずカウンセ・診察に行くのに、最初に選ぶのには、いいと思います。あと、できれば、お一人、せめて少人数でやっておられる個人クリニックのほうが、責任を持って、されてる印象を受けます。手術の結果=その先生の評判になるので。
安売りのところは、莫大な広告費で、新規の患者さんがドンドン来ますから、責任感は軽くなるのでは?主治医制にしてるところは、そうないでしょう(そんなことしたら、効率が悪いので、利益優先のところは、絶対しません。全員の医師で、情報をちゃんと共有していて、主治医制をあえて設けていない個人クリニックもあるとは思います。規模が違うので可能なのと、そういうところは、院長が責任を持って、徹底して教育しておられると思います。まあ、ものすごく少数のクリニックですが。)
美容外科手術は、ホントに値段で選んじゃ絶対ダメですよ。高ければいいというわけでもないですが、一度手術してしまうと、そう簡単に戻せるものではないので(手術によったら、絶対戻せません)、あせらず、じっくりクリニックと医師を見定めましょう。