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  • 院長
    柴 亜伊子
  • 京都四条 あいこ皮フ科クリニック

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脂肪溶解注射って、ご存知ですか?

ネーミングからして、魔法みたいに注射したら、脂肪が減って、どんどん痩せて細くなって、みたいなイメージかと思います。

そのイメージ、全くウソではありませんが、そんな都合よくにはいかないです。

脂肪を無理やり減らすには、脂肪吸引という手術が有名ですね。某格安チェーン展開クリニックで、脂肪吸引の手術後に無くなった方が3名(いや、もっとかな?)いらっしゃいます。医師が逮捕されましたね。手術が脂肪原因なのか、まだ捜査中のもあるでしょうし、原因がわからなかったのもあるでしょう。でも、マスコミが、脂肪吸引で死亡!みたいに報道するから、すっかり脂肪吸引は怖い!というイメージがついてしまいました。

もちろん、安易にやるものではありません。

ちゃんとした美容外科で、手術される分には、死ぬことはまずないと思いますが、体から無理やり脂肪を剥がしてくるわけですから、ダメージの大きなものに変わりはないです。する範囲・部位や取る量・元の体重や健康状態によっても、大きく作用されます。

でも、ちょっとここだけ部分痩せしい、とか、痛いのも恐いのも手術もイヤだ、とか会社を休まずなんとかしたい(脂肪吸引は、どこをするのかによっても違いますが、普通、1週間くらい会社は休むことが多いと思います)という場合に、美容医療で行われているのが、脂肪溶解注射です。

正確には、リポ(脂肪)メソ(薬)せラピー(治療)というのが正式名称ですが、日本では、脂肪溶解注射の名前が先行して有名になっちゃって、料金表のところに、「リポメソセラピー」と表記しても、患者さんがわかりにくいだろうな、とうちでも「脂肪溶解注射」としました。

メジャーな方法としては、薬剤(クリニックによって色々です)を、気になるところに入れて、脂肪細胞の膜を破壊して、脂肪が流れて、体が吸収して、減っていく、みたいな感じです。

薬を入れるだけですから、破壊できる脂肪量には限界があり、例えば80キロの人に注射しても、あまり意味ないかも。。60キロくらいまでの人の部分痩せや、もう少しだけ、というのはアリですが、もちろん回数も要るし、サイズ変更まで行うことはできません。回数をかけて、いつものスカートがキレイにラインが出るようになった、とかパンツに余裕が出た、みたいな感じです。

痩せにく腰(ローライズを履いた時に、乗っかる脂肪とか)や内股・二の腕・おなか・おしり・太ももの裏側などがよくする部分です。セルライトも改善することができるので(普通の脂肪吸引だと難しいです)、太ももやおしりは人気です。

会社帰りや昼休みなどに処置されることも多く、日常生活には、普通はそんなに支障はありません。

もちろん、腫れ・内出血・かゆみ・熱感・赤み・刺激感など副作用はありますが、痛み止めの飲み薬を出したことはないです。

脂肪溶解注射は、私も大好きで、自分にも昔やったことあります。おなかに結構打ちました。

タイトスカートをブラウジングせずに履きたかったんですね~。3~4回やって(かなりついていたので)、おおっ!となりましたが、その後3キロ太ったら、戻ってしまいました。

脂肪吸引ではありませんから、3キロくらいなら、すぐに戻りますね~。

それからは、もったいないので、元の3キロ前の体重になるまでは、やらないでおこうと決心してます。

(時々、誘惑に負けて、やりたいな~、ちょっと減らしたいな~、と思うことはありますが、キリないので、3キロ痩せるまで、我慢我慢と言い聞かせてます。)

そんな脂肪溶解注射好きの私でも、やらない部分があります。

それは、顔です。

顔は結構腫れます。というより、体ほど脂肪はないし、すぐに見えるところなので、腫れたり赤くなると、わかりやすいのは当たり前ですね。

脂肪溶解注射は、ごくまれに、わけわからん状態が出ることがあり(腫れは赤みが後からぶり返して、落ち着くのにすごく時間がかかるとか)、そういう意味では、顔はあまりやりたくありません。

大事な神経や血管が細かく密集していますから、思ってもいない副作用が出るかもしれません。

濃度を薄くすれば、副作用も軽くなりますが、この注射、やっぱり腫れたり赤みが出たりと、副作用というか反応が強く出ないと、効きが悪いと思います。

脂肪が流れ出たり、脂肪細胞の膜が破壊されるための炎症が起こってこその、「脂肪溶解」なので、反応が少ないと、効き悪いのかな?と予想することがあります。

クリニックによったら、顔の場合は、薬の内容を変えたり、ステロイドのホルモン剤を混ぜて、腫れを抑えるようにしているクリニックもあります。

ステロイド注射してまで、顔には打ちたくないですね、私は。

顔、特にホホは、注射だと回数が必要で、その度に腫れますから、私は、脂肪吸引の手術を勧めてます。手術だと1回で済みますからね。

昔勤務していたクリニックは、顔の脂肪溶解注射もメニューにあり、やらざるを得ない時がありました。

脂肪はどこにでもあります。無いと、骨の形が露出して、ものすっごくおかしくなるので、脂肪は絶対必要です。

脂肪の少ない方は、適応なし、ということで、そこでも断れましたが、脂肪がつき過ぎてる場合は、断れませんので、何回かやったことありますが、顔の脂肪溶解注射は、ものすごく神経を使うのでやりたくないです。

(この神経の使い方は、ヒアルロン酸・レディエッセ・ボトックス以上です。脂肪溶解注射は、腫れた時の状態をある程度予想して、バランスも診て、注射しますから、ボトックスの解剖がわかっているか、とか、ヒアルロン酸のボリュームアップとは、ちょっと違います。もちろん、、ボリュームアップもボトックスもただ入れればいいというものではありませんが。)

顔の場合は、やはり腫れが一番怖いので、神経や大事な血管を必要以上に圧迫し続けたら、皮膚壊死などエライことになりますからね。

だから、顔に打つ場合は、薬の濃度を調節したり、打ち方を変えたり、経過を診たり、というのが、他の場所以上に必要です。甘くみていると、医療っていうのは、思ってもいないことが稀に起こりますからね。

打ち方を変えたり、濃度が薄くなる分、体みたいには減りませんから(顔の場合は、そこまで減らさなくてもいいんですが)、患者さんによったら、満足度というか、コストパフォーマンスは悪いな、と思うかもしれません。処置前に、ちゃんと説明を聞いていたとしても。

そういうこともあって、開業したら、顔は止めておこうと、決めてました。メリットって、勝ってるのかな~?と悩むような治療は、他のことでもそうですが、治療メニューから除外してます。

ご予約の時にも、お勧めしません、と言っても、どうしても診察・カウンセだけでも、という患者さんがいらっしゃるので、カウンセはお受けしてました(もちろん、初診料かかりますよ)。

うちのクリニックで、今までは全員の方が、説明に納得され、腫れは困るな~とか、回数がかかるのはな~、とかで、注射をあきらめたり、考え直します、となったり、むくみを取るタイタンを変わりにして、気に入ってしまう方とかいらっしゃいました。

ところが、そうやってお受けした方で、お勧めしません、と予約の時に言ったにも関わらず、やってもらえる、と思い込んで(希望的観測ですか?)来られた方がいらっしゃって、また気にされてるというホホには、全然脂肪はついてなくて、どちらにしろ、元々適応のない方です。

(これでやるのは、悪徳だと私は思います)

説明しても、どうしてもやってほしい、と一点張りで、帰ろうとされません。

お金さえ払えば、絶対やってくれると思っておられたようで。。。

申し訳ありませんが、うちはお金をいただいても、おかしなことは絶対しません。

「どうしてもやりたいんです」→「じゃあ、他でやってください。うちでは絶対しません。」

リポスタビル®で注射しているクリニックを探しておられたようで、うちしかない、みたいなことをず~っと言われます。

リポスタビルは、一番メジャーな薬なので(脂肪溶解注射では)うち以外でも扱っているところなんて、山ほどあると思うんですけどね~。それも言いましたが、あきらめはりません。

「100万もらっても、しません」とまで、言いました。(ここまで言わせるというのも、結構スゴイですよ)

(そんなクリニックと思われていたことも、ちょっとショックですが。。そういう患者さんが来ないように、HPやブログを書いてきたつもりでしたが。。まだ足りませんかね。。)

最後には、「絶対何か副作用があっても、文句も何も言わないから、やってほしい」と言われました。

(美容外科とかに、たまにこういう患者さんがいらっしゃいます。ほとんどの方は、醜形恐怖症と言って、おかしくないのに、それさえやれば人生良くなる、みたいに思い込んでいる方のことで、1種の病気です。

こういう方は、精神科での治療が必要です。カウンセだけでいけるのか、投薬も必要なのかは、わかりませんが、ひどい患者さんになると、不必要な手術や処置を繰り返して、どんどんおかしくなる、みたいな。TVでやっていた韓国の風船オバサンが、わかりやすい例ですね。

もう、思い込んでいるから、常識的な話は一切通じません。

やることだけが目的みたいに変わってますから、やるまで気が済まないし、副作用の話をどんなにしたところで、「構わないです」とおかしな目つきできっぱり言われます。

昔、形成外科の出張先で、腕の血管(うでの内側に浮いている)を抜いてくれ、と外来でごねられました。

最初に、血管の必要性を説明して、やったら体に悪い、とか遠回しに断りましたが、「やってください」としか言わないんですね~。

こりゃ、ダメだわ、と「うちではやりません。」「やってください」「やりません」の押し問答で、「うちではしません」と言ったら、「じゃあ、紹介してください。やってくれるところを教えろ」「知りません。自分で探してください」とず~と繰り返して、帰ってもらえました。

(この時も、同じフロアのとなりに何でもやる美容外科があったんですが、なんで隣に行かないかな~。そしたら、絶対やってくれるのに。。と思いました。患者さんには教えませんけどね。一応、医学的に悪い方向への道なので。紹介する、ということは、信頼して患者さんをまかせる、ということですから。適応がないものを紹介すること自体、おかしいですよね。)

こういう方は、自分には、副作用は出ないし、出ても全然大したことない、と信じてるのか全く考えていないんでしょうね。人の話すら聞いていないのかもしれません。

そんな人の話を信用する医者なんて、普通いません。

悪徳美容外科なら、何でも喜んでしてくれるでしょう。そんなおいしいカモはいませんからね。

仮に、患者さんが、誓約書みたいに、「文句は言いません」と書いたところで、医療に関しては、全くの無効です。もし、裁判になったら、素人の患者さんには、最悪の事態を想像するのは無理なので(能力的に)、どんなに懇願しても、それを止めずに、引き受けた医者が100%悪い、と判断されます。全部、やった医者の責任です。当たり前です。

普通の話が通じない方から、「何があっても文句いいません」と言われて、誰が信じますかね?

信じちゃダメでしょう~。信じるほうが悪いですよ~。

何があっても構わないって、じゃあ、顔がぐちゃぐちゃになって、一生、人前に出られなくなったら?そんなことなんて、考えていないわけで(そういう可能性もあるということです)、それでもいい、と言ったら、それはそれでおかしな話で、お金払って、ぐちゃぐちゃにするなら、ただの自傷行為、いや、自傷とは言いませんね、他人がするから。まあ、そんな自傷行為の片棒を担がされるのは、ご免です。自傷幇助?っていうんでしょうか。

最悪の事態まで考えるのが、医者の役目なんですが、全ての治療に、そこまで考えていたら、ビタミン剤すら出せなくなるので、一般的な副作用の確率とメリットとを比べて、ほとんどの医者は治療しているわけです。

ただ、自費治療となると、その敷居を医者側が上げないといけません。

何でもやればいいってわけではないので、やっていいこととダメなことがあります。

それでも、やれというなら、そういうあやしいクリニックに行ってください。

うちで、やれやれ、と無理難題を言わないでほしいです。そういうクリニックではないので。

最初から、やらない、と言っているのに、何でそうなるわけ??不思議すぎます。。

それで、もう顔の脂肪溶解注射のカウンセは取らないことにしました。

カウンセだけでいいなら、と患者さんに言うこと自体、そういう方には、期待を持たせるのかもしれません。

(脂肪溶解注射よりも、こっちの治療のほうがいいですよ、とお勧めできる場合もあるのはあるんですけどね

行って、その場で、ごねれば、なんとかなる、と狙われるのかもしれません。

それだけ悩んでいらっしゃるととらえることもできますが、もし醜形恐怖症だとすると、病気なので、外来で、説得したからとすぐに納得されるものではありません。話が通じないので、時間をかけても平行線です。

適応のない場合なのにやるなんて、医者の倫理に反することは絶対しませんし、申し訳ありませんが、そういう方には、毅然とお断りします。

カウンセしてほしい方には、診察してから断るほうがいいのかな、と思ってきましたが、私の勝手な思い込みだったようです。

断られにくるために、わざわざ時間を割かれるわけで、それはそれで患者さんにとっても、時間もお金も無駄かと。。

アゴ下の脂肪溶解注射は、顔ほどのリスクはないので(あるのはありますよ)、カウンセのみでよろしければ、お取りします。

でも、やっぱり腫れて、その間、首が無くなっちゃうこともあるので、勧めてはいません。

それでもいいから、話だけ、という方だけご予約をお取りください。