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    柴 亜伊子
  • 京都四条 あいこ皮フ科クリニック

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コラーゲンドリンクの本当の効果

ここ数年、コラーゲンドリンクやアミノ酸のサプリや溶かして飲む粉のアミノ酸など、とても流行ってますね。

以前は、そんなもの、飲んだって、なんの意味もない、と言われていました。

「コラーゲンは、たんぱく質なので、サプリやドリンクで摂ることで、効率良く、栄養を摂ってる、くらいで、シワやタルミがなくなるわけではありません、ブタを食べても、ブタにならないでしょ?コラーゲンを食べても、もっと細かく分解されて吸収されて、皮膚だけではなく、全身の栄養源として使われ、吸収されなかった分は、ウンチになって出ていくだけですよ。」

私も患者さんに、ずっとそう言ってきました。

コラーゲンドリンクも、ちゃんとしたメーカーのを、続けて毎日摂ると、1か月で、軽く1万円は超えてきます。

でも、データーが取れているわけではなく、そんなのに1万円もかけるなら、ジェネシス1回でもするほうが、よほど確実ですよ、と言って来ました。

ところが、去年の抗加齢学会で、「コラーゲン摂取は、全く意味がないわけではない」という発表があり、簡単に言うと、コラーゲンを摂取することによって、コラーゲンを作るスイッチが入ることがわかったそうです。

ただ、どの先生もおっしゃるのは、出所のわかっている、ちゃんとしたモノを摂りなさい、ということでした。

ほとんどのサプリが、「海洋性」とか「マリンコラーゲン」と表記があると思いますが、これは魚のうろこが原材料だそうです。

そんなウロコ食べるんだったら、地鶏とか牛スジとかブタの角煮とか食べるほうが、おいしいし、どこで育てて、どう流通しているかわかるから、安全でいいでしょう?食事でバランスよく、摂るほうが、皮膚だけでなく、健康のためにもいいですよ、とそれ以来申し上げて来ました。

(スッポンやふかひれでもいいんですが、高価なので、日常生活、そうそう頻繁には食べられませんよね。

よく、スッポンを食べたら、翌日お肌がプルプルになる、とTVや雑誌で、言われていますが、あれは、コラーゲンが増えているわけではありません。

そんな1日でコラーゲンが増えるわけないし、体験した方もおわかりでしょうが、そのプルプルは、もっても、数日でしょう?あれは、コラーゲンじゃなくて、他の成分(ムコ多糖類とかだと思うんです。私の勝手な想像ですが。ヒアルロン酸もムコ多糖類の一種です。ねばねば・プルプルのモノは、たいてい、ムコ多糖類が豊富に入っています)のおかげで、たくさん摂取したから、皮膚や関節などに移行しているのか、増やす働きに貢献したのか、あくまで、一時的なものだと思います。

吸収されてしまえば、無くなってしまうわけです。

(以前に、どちらかの大学が、ヒアルロン酸の摂取により、皮膚内(だったと思いますが)のヒアルロン酸が増えた、という発表をされたのを見たことがあります。

もちろん、維持はしなかったはずです。ただ、摂取すること自体は、無駄ではない、ということでした。結構な量だったような気もしますが、はっきり覚えていません。)

私も、スッポンの効果を検証しようと(というとカッコイイですが、ただスッポンが食べたかっただけです)、京都の大市さんhttp://www.suppon-daiichi.com/にお邪魔しました。

スッポンと言えば、大市でしょう~。お伺いしたのは、もう3年以上前ですけど。

(私の周りに、スッポン好きがいないので、それ以来、食べてないな~。私は、好きなんですけどね。機会があれば、大市さんにまた行きたいです。風情があるんですよね~。マンガの「美味しんぼ」の載っていたのとそっくりそのままです。当たり前ですが。)

いただいた結果、おいしかったですけど、私は全然プルプルにはなりませんでした。

スッポンは、ゼラチン質が大変多く、また滋養強壮に昔から有名ですから、いろんな栄養素も入っています。アミノ酸もとても豊富です。(もちろん、コラーゲンもです)。

そういうモノを摂取することで、皮膚の角質の水分がアップするということはわかっているので、もともと、お肌に水分や栄養が足りない方がスッポンとかを食べたら、一気に栄養が入ってくるわけですから、なにか変化には気づかれるかもしれませんね。

でも、もともと肌の状態がいいと、スッポンを食べたから、20歳に戻れるわけではないので、あまり変化はわからないと思います。まして、その栄養分は吸収されたら無くなってしまいますから。

今年の「見た目のアンチエイジング研究会」で、京都府立大学大学院生命環境科学研究科応用生命科学専攻 教授の佐藤健司先生のご発表で、「コラーゲンペプチドの摂取により、皮膚の水分量の試験で、年齢の高い方の場合、効果があると言っていい、かなりの個人差・プラセボ効果(ご本人が効果があると思いこむことによって、いい影響が出ることです)がある」というのが、今までのデーターから、まとめられて、評価されました。ご自身でも実験をされ、コラーゲンペプチドを摂取することで、皮膚のいろんな細胞に作用して、痛んだ皮膚などの修復を促進させ、保湿効果も高め、その結果、骨粗鬆症の抑制、肌の状態の改善により、見た目のアンチエイジングにつながるかもしれない」という結果を出されました。(かなり簡単に、はっしょって書きましたが。)

ようは、コラーゲンを摂ることは、意味ないことないよ、という発表です。(これは、ネズミでされたデーターなので、人間での効果については、今後検討されていくそうです)

さて、そこで今回の学会なんですが、常盤薬品が阪大・名大に協力してもらい、出された発表なんです。

コラーゲンペプチドを含むドリンクを2カ月間飲んでもらって、判定されたところ、血液中のアミノ酸が増えていて、皮膚の粘弾性が増え、シワの本数が減っていた、という結果です。

写真を拝見したところ、確かにちょっとシワは減っていました。(むちゃくちゃ減っているわけではないですよ)

「コラーゲンを摂ることに、意味はある」という、結果発表でした。(20名の方で、データーを取られてます。平均年齢45.7歳です)

あとは、やはり値段だと思います。

シワがむちゃくちゃ減るわけではないので、金額によったら、光やレーザー治療をするほうが、コラーゲンを増やすのは確実です。

ただ、クリニックになかなか行けない方・光などが事情があって、照射できない方・恐い方などなど、アンチエイジングケアの一つの選択肢としては、これがホントなら、アリだと思います。

(大きな期待は、禁物ですよ。)

今まで、いろんな食品メーカー・化粧品メーカー・製薬会社なども、いい結果の出るデーターを出そうと、すごく実験をされてきたと思うんですが、なかなかちゃんとしたデーターが出なかったのが現実です。(だから、ほとんどの医者は、コラーゲンなんて、意味ない、と思っていたわけです)

ホントにいろんなメーカーから、コラーゲン関係のサプリやドリンクが出ていますが、きっと細かく分析すると、中身の成分って、全然それぞれ違うと思うんです。

食べて、それほど害のあるものはないとは信じていますが、吸収率まで考えて作られているのかは、ほとんどのあやしいメーカーではされていないでしょう。

吸収率まで測定するには、かなりのちゃんとした研究施設がいるので、普通に食べ物を加工しているだけの感覚もメーカーでは無理だと思います。

(資生堂のコラーゲンドリンクも、吸収率をよくする工夫がされていたと思います。シワが減った、みたいなデーターは今のところは、出てなかったと思いますが。)

「食品」と思って、摂取されるなら、どこのメーカーのでもいいのかもしれませんが、(ゼリー食べてるのと同じですからね。ゼラチンもコラーゲンです)、ホントに「アンチエイジング」と思って、摂取されるなら、ちゃんとした企業から出されているのを摂ってくださいね。そんなのは、それなりのお値段はするはずですから、あやしいところのは勧めません。

品質の確かなモノが、どこのメーカーなのかわからない時は、やっぱり普通に食べモノで、ご自分で調理されるのが一番安心だと思います。

ただ、コラーゲンはたんぱく質なので、たんぱく質摂取の制限を医師から言われている方は、必ず医師にご相談されてくださいね。食べ物だといいんですが、サプリはいくらもで、たくさん摂ろうと思えば摂れますから、摂りすぎによる健康被害の報告があります。

お気をつけください。

サプリはあくまで、健康補助食品であり、効果をはっきりと謳うものではありません。

ただ、データーが出たものに関しては、意味はある(全くの無駄ではない)と思いますから、お値段・手間暇など、ご自分で納得されたのなら、個人差は大きいでしょうが、やりすぎずにお試しください。

でも、コラーゲンをわざわざ飲むくらいなら、私は、もっと他のサプリを飲みますけどね。

サプリは、飲みだすと、ホントにキリがないので、何を目指されているのか、どうしていきたいのか、を考えて、選んでいかれるといいと思います。

 

カテゴリ:

サプリメント, 医療, 学会で得た知識