私は、手術は今は一切やっておりませんが、ボトックスや注入系は、美容医療において、ある程度必要だと思っているので、当院でも取り扱っております。
美容外科を全否定するつもりはありませんし、美容整形をされたい患者さんはされたらいいと思います。
自分が形成外科医の時にも感じたことですが、医師として手術のできが100%以上だとしても、患者さんの満足度が100%にいっていないことがあるということです。
これは、外科系に限らず、医療であれば、何科であろうと、医師と患者さんの間には、埋めても埋まらない深い溝があり、お互いの感じる満足度が違う、ということはよくあることです。
ただ、美容外科に関しては、それがとても顕著に表れると思います。
病気の場合は、病気が治れば、あるいは落ち着いたり、改善すれば、一旦はOKだと思うんですが、美容外科の場合、健康な肌にメスを入れて、いらないキズをつけていくわけなので、生きていく上で、必要かそうでないかと言われたら、必要ないほうに入ってしまうと思います。
美容外科で変えることができるのは、その方にとってのQOLというか、精神的安定であったり、コンプレックス解消というか、病気ではないので、ご本人にしかわからない満足感というのがあります。
手術後のアフターがこうなります、みたいに、示せるわけではないので、手術後、全体のバランスを見ると、とってもおかしい、みたいなこともあります(それでも、ご本人は満足されていることもありますが)。
(ビフォーアフターを、術前にパソコンで見えてくれるクリニックがあるみたいですが、こんな機械でやったみたいに、なるわけがなく、術後、アフターと違う!ともめるほうが多かったそうで、今ではほとんどのクリニックがやっていないと思います。)
私は、手術よりも、光やレーザーで、毛穴やシミ・シワが少しずつ良くなっていくのを観るのが大好きで、自分で患者さんに照射しながら、「ああ~、良くなってる♪」と感じるのが幸せなんですね~。
(ちょっと変わってますか?)
特に、ジェネシスで毛穴縮小みたい時は、開いた毛穴に、集中して、「このっ!このっ!この毛穴め~!」と退治する気持ちで(毛穴は、悪者ではないので、退治してるわけではないんですが)、ついついやってしまうため、患者さんから、「ちょっと熱いです。。」と言われてしまうことがあります。
光・レーザーの場合は、正しく照射していれば(患者さんの正しいスキンケアも含めて)、やればやるほど、良くなるわけです。
でも、手術や注入系の場合、必ずしもやればやるほど良くなるわけではありません。
美容の手術の場合は、同じところばかり何度も手術をしたら、皮膚も持ちませんし、どんどんおかしくなっていくことのほうがほとんどです。
注入系(ボトックス・ヒアルロン酸・レディエッセ)は、適切な間隔が空いてるとか、適切な量や部位が適切であれば、それほど問題になることはありませんが、時々患者さんの中には、入れれば入れるほど良くなる、と勘違いされている方がおられます。
ホホ(ゴルゴラインとか)を膨らます場合は、あまりのもむちゃくちゃな量を一度に入れなければ、まあ、大丈夫だと思いますが、それでも、もっともっと入れてほしい!という患者さんには、これ以上は、少しずつ足して、様子を見ますよ、と必ずお伝えしています。
他院でしたことがあって、うちに何度目かで来られる方の中に多いんですが、法令線に、もっと入れてほしい、という方の場合、困ることがあります。
前に入れたのが、もう全然無くなってるなら構わないんですが、まだ残っていて(患者さんが触って分かることもありますし、わからないこともあります。わからないことのほうが多いかもしれません。)、これ以上足すにしても、あまり入れれませんよ、それでもいいですか?となってしまいます。
特に、法令線の小鼻の横の付け根の段差のところ、この三角形の部分の下には、大事な血管がありますから、ここに大量に入れる、というのは、私もしませんし、学会もで危ない、と言われています。
もし、この血管が圧迫されて、血行が悪くなると、最悪、鼻の皮膚が壊死(黒くなる・赤黒くなる・腐る・小鼻が無くなる、などなど)してしまいます。
他院でどれだけどれくらい入っているのか・残っているのかがわかりませんから、初めてする方よりも少なく入れるのは当たり前です。(だって、まだ残ってますからね)
ヒアルロン酸もメーカーや種類・入れた場所などによって、吸収のスピードは違いますが、明らかにまだ、残ってるでしょう~、というのでも足しに来られます。
もちろん、、どこまで膨らませるのかは、個人の好みですから、皮膚さえ安全であれば、鼻でもアゴでも、私は、高くしすぎ、とか思っていても、患者さんがそうしたいなら、いいと思いますし、実際入れます。
でも、法令線は、例え皮膚が大丈夫でも、ここは入れすぎると、ホントにおかしな顔になるんです。
法令線というのは、子供でも必ず段差があります。筋肉の向きが変わりますから、当たり前なんですね。
骨格にもよりますが、法令線の全然目立たない平面的な顔の方もいらっしゃいますし、逆に少しサル顔というのでしょうか、年齢に関係なく法令線が目立っている方もいらっしゃいます。
みなさん、顔立ちって、お一人お一人違うわけです。
その方に合わせて、不自然じゃないように、入れていくんですが、頬に脂肪がわりとついていたりすると、法令線に入れ過ぎると、全体にパンパンの印象をさらに強調することになり、私はおかしい、と思うんですよね。
左右差を改善する、(人間誰でも普通、左右差があります。程度に差はありますが)というくらいであれば、いいと思いますが、やはり何でも限度って、あるんです。
バランスを崩して、さらに入れるとなると、もう自分の感覚では理解できない世界なので、皮膚が大丈夫であっても、どこが終着点なのかわかりません。
明らかにおかしなバランスは、法令線に関して言えば、いくら患者さんがしてほしいと言っても、お断りしています。
すっごくバランスは悪いし、他にこっちをなんとかしたほうが、というところがあっても、そういう患者さんは、法令線のことしか頭にないので、全体を客観視することができません。
鏡を見るにしても、すごく近くでしか見ないわけです。
近くを見ることは悪いことではないんですが、鏡を少し離して、全体のバランスを見てほしいモノです。
他人は、そこまで近くからは見ませんから。
ほっぺたに脂肪が割とついている方・つき過ぎている方に、法令線のヒアルロン酸とかを入れ過ぎて膨らんでしまったら、フグみたいになって、目も当てられません。余計、顔の脂肪太りを目立たせることになると思うんです。
私は経験ありませんが、法令線・口元・ゴルゴラインに、入れ過ぎた場合、重さで、下がってくるこtもありますから、多くいれるほど、いいというわけでは決してありません。
また、そういう全体のバランスを見れない方に限って、「笑った時の法令線が気になるから、ちょっとでいいからいれてください」と言われます。
まさに、「?」なんですが、これは、前のクリニックで、ちゃんと説明されていないせいだと思います。
ヒアルロン酸・レディエッセは、静止時のシワ用といって、顔の表情を全く動かさずにいる時に、できているシワや凹み(法令線やホホなど)・あるいはボリュームアップのための鼻・アゴに入れるものです。
動作時のシワ、表情ジワと言いますが、顔が動いて(笑ったり、顔の筋肉を使ったりして)できるシワや凹みには、ヒアルロン酸は入れてはいけません。
動いた時用に、入れちゃうと、顔を戻した時に、変なところが膨れたりしますから、それこそ滑稽なくらい、おかしくなります。
じっとしている時に入れて、良くなった結果、表情を動かしても、ちょっとマシになった、ということはあります。
それは、おまけみたいな効果であって、もともと、動いているところにいれるモノではないわけです。
だから、いろんなクリニックのHPや広告で、法令線のビフォーアフターが載っていても、普通は、口元を動かしていない写真しか載っていないはずです。
ごく一部で、口角を上げた時の写真が載っていることもありますが、必ず上げていない時の写真も隣に載せているはずです。
患者さんから、お金さえもらえるのであれば、何でもする、というクリニックがあります。
他院で断られて(常識で考えると、適応ではないため)、引きうけてくれるところを探して、そういうクリニックに行かれる患者さんもいらっしゃいます。
それは、その方の人生なので、ご自由になさってください。
でも、うちでは、絶対受けませんし、また、他院で間違った知識を入れられてて(というか、何も訂正してくれなかった場合もあるでしょうね。説明するのって、時間かかりますからね。説明してもお金が別にもらえるわけではないので、説明をほとんどしないクリニックもあります。)、その知識のまま、うちに来られても、できないものはできません、とはっきりお断りしてます。
どんな遠方から来られても、です。(距離と医学的な適応って、全く関係ありませんからね。)
お金さえ払えば、何でもしてくれる、という患者さんが、ごくたま~に、いらっしゃいます。
お話して理解された場合、処置しますが、理解されていない場合(こういう場合は、理解していないので、要求はむちゃくちゃです。)は、絶対にやりません。
ちょっとヒアルロン酸の価格を低めにしているから、こういう方も混ざってくるみたいです。
もともと、うちは、光・レーザー治療専門のクリニックなので、そういう患者さんが、注入を追加したいとなった時に、足しやすいように、低めの価格設定にしました。(サービスの一環と思っていただいたら)
だから、注入だけで来られると、ほとんと儲けはありません。
でも、レーザーされてる方と、違う価格設定を設けるのもややこしいので、今のままにしています。
あんまりそういう方が増えると、価格を見直さないといけなくなるのかな。。。?
まあ、何事にもほどほどに。
医師から、ダメ!と言われたら、素直に引き下がりましょう。
断られても、どうしてもしたかったら、何軒か回っていろんな医師の意見を聞きましょう。
ほとんどのクリニックで断られてたら、その治療自体、貴女にまずい、ということです。
それを受けてくれるクリニックって、相当あやしいことがありますから、ご注意を!