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  • 院長
    柴 亜伊子
  • 京都四条 あいこ皮フ科クリニック

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ホーム > 2012年02月17日



たまに、患者さんから問い合わせがあるんですが、「そちらのボトックスは、どこのですか?」と聞かれます。

うちは、アラガン社のボトックス®で、厚生労働省が認可しているボトックスビスタ®を使っています。

そもそも、「ボトックス」という名前自体が、アラガン社の商品名であり、商標登録であるので、イギリス製や韓国製、まして中国製のボツリヌストキシン製剤を、「ボトックス」とうたっている美容外科や美容皮膚科がおかしいわけです。

まあ、詐欺ですよね。

全然モノ自体が違うわけですから。

 

「ボツリヌストキシン」と成分名を患者さんにお伝えしても、「ボトックス」という名前がものすごく有名なので、ボツリヌストキシンの注射をしたい時に、患者さんが「安いボトックスありますか?」とか「韓国製のボトックスありますか?」と聞いて来られるのは仕方ないことです。

患者さんは、商標登録とかご存知ないわけなので。成分名も商品名も、そんな専門的なことは普通知らないと思います。

でも、提供するクリニック側が、アラガン社以外のものを、HPの料金表に、「ボトックス」と表示しているのは、あきらかにおかしいと思います。

それだけ、アラガン社というのは、トップブランドであり、信頼性がある商品なわけです。

そのブランド力を借りて、全く違う商品を使用するわけですから、患者さんを騙していることになります。

違う名前で書いてあれば、「ボトックスと、どう違うんですか?」という話になりますから、必ず説明がされると思いますが、説明なく、患者さんはボトックスと信じきっていて、韓国製のをされる、というのは、やっぱり違うでしょう。

そういう悪徳クリニックが多いため、よくネットにも、「どこのボトックスか聞きましょう」と書いてあるんですよね。それしか、患者さんが騙されずに、お金を払う方法はありませんから。

でも、そういうことも知らない方だと、そのまま、ボトックスだと信じて、何を注射されているのかわからない、ということが平気で起こるわけです。

ひどいところだと、口ではアラガン社と言っておいて、中身は中国製とかあるかもしれませんね。あやしいクリニックには、近寄らない、というのが一番ですが、私たちから見たあやしさと、患者さんから見たあやしさが、ずれてるため、受診してしまって、ひどい目に遭った、ということは、もちろんありますが。。。こういうのは、防ぎきれないですよね。

患者さん側が、ちゃんと情報を知らされていて、(韓国製だとか、イギリス製だとか)その上で、アラガン社以外をされるというのは、全然いいと思うんですが、知らされないまま、ボトックス®と思ってされてしまうのは、納得がいきません。

HPに、そういうことがちゃんと書いていないクリニックは、止めておきましょう、となりますが、うちもそうですが、ちゃんとしたクリニックは、ボトックス®と書いている時点で、アラガン社を指していますから、いちいち、うちのは、アラガン社ですよ、なんて当たり前のことをわざわざ表示していないと思います。

ボトックスと表示していおいて、違う製品だったらおかしくなるので、あやしいところは、これもまたわざわざHPに表示はしないでしょうし、HP上、どちらも同じになってるような気がします。。

やっぱり、患者さんが、いちいちそのクリニックに、問い合わせをされるしか方法はないですかね。

 

ちなみに、イギリス製や韓国製は、モノ自体はそんなに悪いモノではありません。

私も、韓国製は、自分にも家族にもやったことがあります。

 

例えば、家電を買う時に、日本製のソニーやパナソニックがいいけど、韓国製の商品もそんな悪くないですよね。

品質自体に、ものすごい格差は家電に関しては、とりあえず普通に使う分には遜色ないかと思います。なにより、安いし!

ただ、アフターケアや何かあった時に、メーカーの対応が、日本製は、アフターサービスもちゃんとしているのに比べて、外国製のは、アフターがもひとつ、みたいなことって、多くないですか?

開業の時も、パソコンを買うのに、どこのを買うか迷ったんですが、安いのって、いくらでもありますよね。

知り合いのドクターが言ってましたが、「○○は安くてもいいけど、△△は、何かあってカスタマーセンターに電話すると、カタコトの日本語をしゃべる外国人が出るから、パソコンに詳しくないなら、△△は買っちゃいけないよ」と言われました。

どんな商品でもそうですが、安い、ということは、どこかで何か差があるはずで、特にサービスとか修理とかは人件費がかかってきますから、そういうところで手を抜かれる、ということがあり得ます。

ボツリヌストキシン製剤の場合、アフターケアは、やったクリニックが行うわけで、メーカー側は直接関係ないと思いますが。

(でも、ウソついて、他社の薬剤をボトックス®なんていうクリニックのアフターケアって、ホントにケアしてくれるの?と疑いますが。。。)

 

アラガン社のボトックス®(ボトックスビスタ®も)は、トップブランドだけあって、一番値段は高いです。

どうしてそうなるか、というと、品質もこだわっておられるとは思いますが、例えば副作用報告の追跡調査がちゃんとされていたり、どこのクリニックに、どれだけ売って、何人の患者さんに、どれくらいの量を注射したのか、ということまで、大体把握されているわけです。(個人輸入分は、違うかもしれませんが)

また、どれだけ打ったら、どれくらいの効果が出て、持続期間がどれくらいか、ということも、ちゃんとデーターを集計して検討されています。

そこまで、徹底されているのは、やはりアラガンだけで、他社がしないのは、人件費も含めてお金がかかるからです。

その分、値段を上げないといけなくなりますからね。

ちなみに、イギリス製のディスポート®という製品は、どれくらいでどう効くのか、とかのデーターは取っておられたはずです。

アラガン社の次に、お値段が高かったようね。。仕入れたことがないので、はっきり言えませんが。。。

韓国製になると、アラガンに比べて、かなり安くなります。もちろん、そういった詳細なデーターは、会社自体は出していなかったと思います。

 

ただ、そんなに悪いモノではもちろんないでの、うちでも開業当初、アラガンのボトックス®(海外からの個人輸入です)と韓国製のニューロノックス®と両方置いていました。

もちろん、韓国製のほうが施術料金は安くなります。

患者さんの中にも、繰り返しやるから安いほうがいいし、韓国製で構わない、という方もいらっしゃるので、韓国製も準備していたんですね。

ところが、来られる方のほとんどがアラガン社をご希望になり、そうしているうちに、ボトックスビスタ®が認可されて、アラガン・ジャパンが出来て、発注・納品がとても簡単便利になったため、韓国製が無くなったのをきっかけに、全部アラガン・ジャパンから仕入れるボトックスビスタ®に、うちは変えてしまいました。

自分にも韓国製はやったことがありますが、そんな悪くないと思います。

ただ、気のせいというか、なんとなく自分も患者さんも、アラガン社のほうが、なんか持ちがいいような、効果が高いような気がします。

もちろん、そんなデーターは一切ありません。

トップブランドを使用している、という気分的なモノもあるとは思いますが、韓国製の効果の経過を知らない患者さんがアラガンをされて、経過を診ていると、なんかやっぱりいいのかな~、という気にさせられます。

中国製は、絶対ダメですけどね。

今時、中国製を使っているクリニックで、まともなクリニックはないでしょう。個人輸入の代理店もちゃんとしたところは、もう中国製は取り扱っていなかったように記憶してます。

 

値段に反映してくるのが、薬剤を作る時の衛生面や不純物をどこまで取り除けているか、という問題も出て来ます。

アラガン社は、衛生面において、信じていいと思いますが(イギリスのもかな)、他のは、どこまで不純物が入っているのか、となると、誰も保障はしません。

 

衛生面とはまた違うんですが、特に、中にタンパク質がどれだけ残っているか、というのがとても大切で、ものすごい微量なんですが、これがどうしても多少残ってしまいます。(アラガンであっても)

そのわずかなタンパク質で、抗体ができてしまって、耐性ができ、この抗体ができると、一生ボツリヌストキシンA製剤は効きません、と言われています。

アラガンは、他社に比べて、このタンパク質が少ないため、抗体ができにくい、と聞いています。(この辺が、純正品と後発商品(いわゆるジェネリック)との違いになるんでしょうね)

できにくいとはいっても、全くできないわけではありません。

そこで、新しくでてきたのが、ドイツ製の「ゼオミン®」という、ボツリヌストキシン製剤です。

これは、アラガン社よりも、タンパク質がさらに少ないらしいので、抗体ができにくいのがウリだそうで。発売して、まだ1年経っていなかったかな・・・?

今、検討中です。もう少し、様子をみてから決めようかな、と。。

もし、仕入れた場合は、ボトックスビスタ®とゼオミン®と両方おいて、患者さんに選んでもらう、という形になるのかな。。。わかりません。アラガンは、絶対おいておきますが。

 

アラガンのボトックス®もそうですが、打ちすぎなければ、抗体はできにくいと言われており、今のところ、私だけで処置をした患者さんで、抗体ができてしまった方は、いません。

患者さん自身がいろんなところでボトックスを打ち過ぎて、またそれを問診の段階で黙っているとなると、管理できるわけありませんから(だから、ドクターショッピングみたいに、いろいろなところで治療するのって、よくないんです)、その場合は、抗体ができても仕方ないでしょう。

患者さんの欲望の赴くままに、ボトックスを注射したら、アカンわけです。どれくらいの期間を空けているのか、どれくらいの量を打っているのか、医者が管理する必要があるわけです。誰かが、止めないと。

 

それでも、抗体が出来てしまうことって、あるとは思いますけどね。人間の体ですから、機械のようには行きません。

 

法律の問題ですが、今、日本で厚生労働省が使用を認めているのは、ボトックスビスタ®のみです。厳密に言うと、眉間だけになりますが。

それ以外のところに注射する、ボトックスビスタ®以外を使うのは、違法ではもちろんありませんが、何かあった時、そのクリニックの、やった医師の責任である、ということです。

 

何かって、何?と私もわかりませんが、想定外のことが起こることって、可能性はゼロではありません。

そうなった時に、責任はあくまでやった医者でしょうが、ボトックスビスタ®を使ってる分には、メーカーも一緒に調査をしてくれると思います。アメリカ本国にも調査を出されたりと、世界中のデーターから検証できるわけです。

それ以外は、あくまでも海外からの個人輸入なので、一クリニック、一人の医者でできることって、限られてきますからね、原因を調べることは難しいでしょうし、原因がわからないと、また同じことを繰り返す可能性もあるわけです。

その辺が、ボトックスビスタ®と、違うと言えば違うのかもしれません。

ゼオミン®の場合は、輸入代理店が、素晴らしいアフターケアで有名なキュテラ社ですから(タイタンやライムライトの会社です。ヨイショし過ぎ?)、個人輸入であっても、ちゃんと調査とか協力してくださると思いますけどね。

まあ、ゼオミン®は、学会発表もちらほら出て来ますが、もう少し様子を見ます。

 

美容医療って、思わぬところに落とし穴があったりしますから、患者さん側も情報をたくさん知るのって、とても大事です。

(ネットのおかしな情報にまどわされてもいけませんが。。。)

情報がない場合は、クリニック選びを間違えずにできるかどうかにかかってくると思いますが、心配な時は、治療前に、いくつかクリニックのカウンセを受けて、一番ちゃんと説明してくれるところを選ばれると、問題ないかと思います。