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  • 院長
    柴 亜伊子
  • 京都四条 あいこ皮フ科クリニック

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今回は、ホントは、日焼け止めの重要性の続きを書くつもりでしたが、今日の「ためしてガッテン!」が久しぶりに、お肌のことだったので、嬉しくて、書いちゃいます。

 

全部の回を毎回チェックしているわけではありませんが、観るたびに、ちゃんとした皮膚科医は、みんな考えてること、同じやんな~、ということです。

基本、ちまたのTVや雑誌で流行っている要らんことはせず、お肌を優しく扱う、こすらない!ということです。

今回もおっしゃってましたね。

 

さて、番組の中で、出てきた大手化粧品会社というのは、資生堂のことです。

毛穴がすり鉢状になっているのは、皮脂の中のオレイン酸であることを発見されたのが資生堂の研究所だったので、途中からすぐに、わかりました。

(NHKですからね、直接メーカーの名前は出されません。宣伝行為になってしまいますから。特定の企業だけを取りあげる場合は、そこの企業自体の取材の時くらいでしょうか。)

番組の中で、「漏斗状になった毛穴は、治せません」と言われてましたが、これは本当です。

「完治」させることはできません。

 

番組のなかで言われていたのは、漏斗状になった周りの環境を整えて、目立ちにくくさせましょう、という普段のスキンケアの話です。

肝斑やキメ・シワ・タルミ以外にも、毛穴の開きにも、優しく洗う、要らんことはしない、というのが、やはり一番大切なわけです。

(私の言う要らんことというのは、ゴシゴシ洗う、ブラシを使って洗う、何度も洗う、きつい(特に市販の)洗顔料で自己流で洗う、ということです。

そんなことをしても、皮脂は減りませんし、お肌を傷めるだけですからね。また、本当に必要な皮脂を、「過剰」と思いこまれて、きつい洗顔料(ピーリング系とか)を使って、余計ひどくされてる方が大勢いらっしゃいます。)

 

さて、じゃあ、ホントに広がってしまった毛穴は、スキンケアをするしかないのか?ということです。

ここからは、番組では言えない話になってきます。

 

うちでは、毛穴を気にされている方の場合、番組でも見ておられたように、ダーマスコピーという50倍でお肌を診るレンズがあるんですが、それを使って毛穴の状態を見ます。

毛穴が目立っている原因が、あの漏斗状に広がっているのか、汚れがつまっているのか、うぶ毛が濃いのか、毛穴に色(シミ)がついちゃっているのか、タルミ毛穴なのか、などなど、ということを見つけます。

複数の原因がある方もいらっしゃるし、他は全然目立ってないのに、どれかの状態が飛びぬけて目立っていることもあります。ホントに人それぞれです。

だから、美容クリニックに行っても、毛穴はピーリングですよ、このレーザーがいいですよ、と詳しい原因を探ってもいないのに、(肉眼の診察で、そこのドクターが原因を見抜いていれば、もちろんいいわけですが。。肉眼だけで状態を見抜くのは、視力が良くても無理でしょう。実際、パッと見た目の感じと50倍にして見た時に、アラ?こっちが目立ってるな、ということが多々ありますから。よほど、すり鉢状がクレーターみたいに大きければ肉眼でも見えますが、それは毛穴ではなくて、ニキビ跡とかの凹みだと思います。)お金を払って、適当に治療されても、まあ、効くわけないんですよ~。

運が良ければ、自分の毛穴の状況と治療がマッチすることもあるでしょうが、そんな運だめし、やりたくないですよね。数万円も払って。。

毛穴を治療される場合は、ちゃんと診てもらえるところで相談するのが、大事です。

 

さて、鼻~ホホの内側にかけて、毛穴が漏斗状になっている場合、(ガッテンでは、皮脂の量は関係ない、とはおっしゃってましたが、皮脂の多い部分で、毛穴の漏斗状が目立つのも、これ事実です。皮脂の少ない目の周りやホホの外側まで、毛穴が漏斗状に広がっている方って、あんまり見かけません。番組でおっしゃっていた刺激の頻度の問題も、もちろんあると思いますが、皮脂の多いところは、当然毛穴をすり鉢状にしてしまうオレイン酸も多いわけなので、いわゆる乾燥肌の方のほうが、オレイン酸の絶対量も少ないですから、毛穴の開きは目立ちません。

自己流のダメなお手入れ(ご本人はいいと思ってやれているお手入れ)をずっと一生懸命されてきて、そのせいで混合肌になって、毛穴はどんどん広がるし、肝斑にはなるわ、キメは荒れるわ、シワになるわ、と散々な目に自分から招いていく方もいらっしゃいますから、確かに、お肌をやさしく扱っていない方のほうが、混合肌になっていってしまう確率も多いかと思います。

うちに来られる混合肌の患者さんのほとんどが、なんか要らんことをされていて、お肌に負担になっていることが多いです。その場合は、まず要らんことを全部止めてもらって、優しく扱い、お肌に合わせた治療をしていく、化粧品を使う、ということをご提案しています。

 

そこで、資生堂の登場なわけです。

オレイン酸が原因と見つけられたわけですから、対策もされます。

それが、「グリシルグリシン」です。資生堂の研究所が見つけて名づけられたのか、詳しくは知りませんが、毛穴特許を取られていたと思いますが。

具体的には、クリニック用の化粧品シリーズ「ナビジョン」のGGシリーズが、このグリシルグリシンです。

毛穴のレプリカ(番組で毛穴がどれくらい漏斗状になっているか、模型みたいなのを見せておられたヤツです。)を使って、GGシリーズで良くなっていった資料も、見せていただきました。

専門的に、この漏斗状のところを、「角化異常」と言います。(もっと詳しくいうと、「不全角化」と言います。原因は、なにか炎症(=ダメージ)が起こってるのかな、と推測できます)

このGGが、角化異常を落ち着かせていってくれるわけです。

 

市販の毛穴用の化粧品にも、このグリシルグリシンは入っていると思いますが(せっかくの発見ですから、研究は有効に使われますので)、やっぱりクリニック専用化粧品であるナビジョンのほうが、そりゃいいでしょう~。だって、クリニックに来て、ドクターの診察を受けないと買えないわけですから。市販の誰でも買える、というのと訳が違います。

ドクターの診察なしで、初診でも買えるクリニックも、ひょっとしたらあるかもしれませんが、診察なしで買っても、グリシルグリシンの適応がある毛穴かどうか、診断してもらわないと、お金もったいないですよ。

 

ただ、私も患者さんに説明の時にも申し上げてますが、このGGシリーズを使ったからと言って、「完治」はしません。あくまで、開いた毛穴を閉じていくように、目立ちにくくさせてくれるもので、しかも皮脂は毎日出ますから、目立ちにくくなったから、とGGを使うのを止めてしまうと、戻ってしまいます。

日々の保湿のお手入れと同じで、GGで毛穴もお手入れをする、というあくまでメンテナンスです。毛穴が気になるなら、続ける、というわけです。皮脂が出続ける限り。

 

毎日は、GGエッセンスで、朝晩毛穴の気になるところに塗って、時々イオン導入で濃いのを入れたり、GGのマスクを週末とかに足したり、と、合わせ技です。

GGエッセンスに、どこまで追加していくのかは、やればやるほどいい状態が保てますが、その分お金がかかりますから、これはもう、その方の価値観です。

もちろんGGだけで良くなって、気に行っている方もいらっしゃれば、必ずマスクは時々するし、イオン導入もたまにする、という方もいらっしゃいます。効果の出具合も、持続時間も、人それぞれです。だって、その人によって、オレイン酸の量も違うでしょうからね。

 

NHKが、グリシルグリシンの化粧品を勧めるわけにはいきませんから、そういうお話はガッテンでもされません。

(ガッテンの趣旨は、やはりおうちで誰でもやればできること、あるいは、特殊な病院でないと受けられないような治療法の紹介ではなくて、自分で勝手に病気じゃないと思っていたけど、専門の病院を受診したら良くなる可能性が高い病気の紹介、だと思ってるんですが、どうでしょう。

特殊な、全国に数えるほどしかない施設でやっている治療や、自費治療をバンバン煽ったら、やっぱり良くないでしょう。TVの影響って、大きいですからね。ましてNHKですから。専門の病院なら、町内にはなくても、探せば、市内や県内の、それほど遠くないところに大体あると思うんですけどね。

ガッテンの病気の治療法の時でも、専門の病院に行ったほうがいい、といお話はされます。もちろん、保険診療です。具体的な薬の名前などを言われないのは、病院によって、使う薬が違ったり、症状に合わせて薬も色々変わるからです。薬の種類って、山ほどありますから。こんな薬、と漠然と言われるだけで、あとは、診察した専門医の判断に任せられて、TVが診察の邪魔をしないように、かなり配慮されてると思います。

民放みたいに、具体的なことを放送されないので、じれったいと思われる方もいらっしゃるでしょうが、ガッテンのほうが正しいと私は思います。

民放は特定のモノを煽りすぎです。スター登場!みたいに、特定の医療を魔法のように表現したりとやりすぎです。お金で動いている時もあるでしょうし。。鵜呑みにされてはいけません。)

 

話を戻します。

グりシルグリシンですが、私もエッセンスを毎日使ってます。私は、結構な脂性で、放っておくとかなり毛穴の開きが目立ってきます。でも、忙しい日が続くと、マスクまでしてられませんね。早く寝てしまいたい。。だから、そんな時は、エッセンスを塗るだけで、他はあまりしません。

(優しいスキンケアはしてますよ)。だって、睡眠のほうが私には大事だから。

要は、どこまで自分が気になるのか、です。そのために、他のなにかをどこまで犠牲にするのか、です。

犠牲になるのは、時間だったり、手間暇だったり、お金だったり、と色々です。毛穴の開きは、病気ではないですから、自分が気になるなら、やるしかありません。

 

グリシルグリシンを試してみたい方は、今ちょうどキャンペーンでジェネシスのレーザーとセットになったのもありますし、グリシルグリシンのマスクが1枚からお試ししていただけるようになりましたから、気軽に試すことができると思います。

ただ、やっぱり普段のお手入れに、GGエッセンスを使って、その上でマスクやイオン導入を足す、という形でないと、マスク1枚だけ、イオン導入1回だけ、というのでは、ちょっと効果はわからないと思います。

 

光やレーザー治療は、ご自分の毛穴に合わせた治療をちゃんと選ばれたら、効果はある程度ありますが、毛穴をなくすことはできませんし、お肌の変化や老化は止められませんから、いい状態になったとしても、また放っておくと、気になってくるわけです。

光・レーザー治療も、万能ではありませんから、こちらも化粧品と同じで、メンテナンスが必要で、どこまで目指すのか、どこで維持していきたいのか、で、かける費用も時間も変わってきます。これも人それぞれです。

 

何をするにしても、その辺のところを理解されていないと、お金かけたのに、時間かけたのに、元に戻っちゃった、意味なかった、となってしまうわけです。

うちでは、説明しても理解されていない方は、治療も(化粧品の販売もお断りすることがあります)お断りしますが、他院は、お金をくれるなら、どうぞどうぞ、良くなりますよ~、と適当にカウンセして治療をさせるところもありますから、自分でも、考えることをしないと、ホントにお金も時間ももったいないですよ。ウマすぎる話なんて、おかしいと思わないと。何にでもメリット・デメリットがありますから。

 

ガッテンでその後されていたアダパレンというニキビの薬の話は、次回に続きます。ガッテンは、ホントによく調べていらっしゃいますね。感心します。

かなり優秀なドクター軍団が、いろんなご提案をされているんでしょう。もちろん、プロデューサーや制作に関わっておられる方々が、いろんなところに、アンテナを貼っておられるからでしょうけど。ホントにいい番組です。