プロフィール

  • 院長
    柴 亜伊子
  • 京都四条 あいこ皮フ科クリニック

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数年前より、「肝斑にレーザー治療ができる唯一のレーザー!」と話題になった、レーザートーニングですが、私は、ライムライトを使って、もう肝斑治療をしていたので、あまり興味がなく、レーザートーニングなりの副作用というか、経過があまり好きでなく、うちでは取り入れておりません。

 

このレーザートーニングをちゃんとやって、推奨されているドクターというのは、もちろんいらっしゃるわけですが、プレトリートメントをしてからやるとか、そのドクターなりにきちんと考えてやっていらっしゃる方が少なく、どこのクリニックでやっても、同じ効果が得られるわけではないんです。

料理のレシピと同じ、と私はよく言いますが、普通のレストランで、値段の割にまずいことはあっても、食べたからって、おなかを壊したりはしません。(衛生上、問題があるのは除外します)

でも、レーザー治療の場合、調理されるのは、患者さん自身の顔や体のわけで、調理の仕方がまずいということは、副作用が出まくる、ということです。

副作用にしても、あらかじめ聞いていて、起こりますよ。起こりえますよ、と言われていたものや、治療を受けるなら、経過として仕方ないものは、患者さんも、副作用が落ち着くまで、じっと我慢しないといけませんが、やるドクター側の経験・知識不足、あるいは、患者さんに説明の必要性すら感じていない医者もいます。

 

患者さんの中には、わざわざ大阪まで行って(京都から)、適応がないのに、トーニングされて、1クールしてから(かなりお金を使ってから)、効かないから、違う治療をしましょう、とライムライトを勧められ(ライムライトのほうが、もっと高いから)、もうお金がないから、違うクリニックを探して、こちらに来ました、という方がいらっしゃいました。

この方は、そばかすで、肝斑では全くなく(年齢も20代前半です。)、トーニングがしたかったなら、話は別ですが、ご本人はそばかすのために、治療を受けにいったそうです。

そこのクリニックに、ライムライトがあるなら、第一選択として、そばかすの治療は、トーニングではなく、ライムライトだと思うんですが。。。

よそのクリニックから、来られた方で、圧倒的に言われるのが、最初勧められた治療を、1クールして、それで効かないから、と医者に言うと、次に、もっと高いのを勧められた、という経緯があります。

その時のお肌の状態を診ていませんから、絶対にそれおかしい!と言い切ることはできませんが、たいがい、最初に勧められた治療は、「?」というものであったり、前世紀の遺物を言おうか、まだそんな(効かない)ことをやっていますか?という代物で、1クール終わってから勧められる治療が、普通第一選択で使う治療だったりします。

医療としては、あまり効かない治療を、エステ感覚で、値段を安くして、双方の長所と欠点(値段も)を説明した上で、患者さんが、安いからやってみたい、と効かない治療を選ぶ、というのは、アリでしょうが、何の説明もなかった、とみなさん、言われます。。。

それらのクリニックの真意はわかりませんが、話だけ聞いていると、悪徳商法そのもので、そんなあくどいことをやっていますか~?とこちらがびっくりします。

(そういう方全員、ネットの口コミサイトを見て、わざわざ行かれたそうです。口コミサイトも信用できるものもあれば、クリニック側がお金を払って、いいように載せてもらっているサイトもありますし、もちろんサクラもいます。食べログと同じで、慣れてくれば、やらせか、本当かある程度は判断できるようになりますが、わかりづらいこともあります。

受診するきっかけに、サイトを参考にされるのはいいと思いますが、実際にどうか、というのは、医師との相性も、クリニックの雰囲気もありますから、自分で受診して、診察・カウンセを受けてみないとわかりませんね。

(治療も実際は、受けてみないとわかりませんが、わからない状況で、最初から、コースを買うのはやめたほうがいいです。例え、結果的に、少々高くなってしまったとしても、お肌と治療の相性もわからないのに、最初からコースを勧めるクリニックは、私は、どうかな、と思います。

確かに、お金が違いますから、コースのご紹介はされることもありますが、熱心に、受付やドクターがお得感をアピールして、コースを買わせようとするところは、やっぱりおかしいでしょう。))

 

さて、レーザートーニングですが、肝斑やくすみ・炎症後の色素沈着に用いられることが、ほとんどです。それ以外でも使うことはあると思いますが、その場合は、ドクターから何かしら、説明があると思います。

ちゃんとしたクリニックで、そのドクターが信念を持ってされている場合、私は、一つの治療方法だと思いますし、患者さん側も選択肢は多いほうがいいので、いいと思います。

ところが、悪徳クリニックだと、まずロクな説明はないですし、薬を飲ませたり、塗ったり、日焼け止め、というプレトリートメントもいい加減で、(プレトリートメントはいらない、という信念でされているなら、いいんですが。。)、設定も適当で、照射もナースまかせ、コースを買っても、カウンセ以来、一度もドクターを見ていない(一度も診察をしてもらっていない)、という有様で。。

そんなところで、必ず起こるのが、まず悪化です。かえって色が濃くなる、ということです。

色が濃くなったから、もっとパワーを上げましょう、と(勉強不足である証拠です。こんなときは、ものにもよりますが、パワーを上げてはいけません。)勝手に強くされ、その結果、今度は、濃くなったシミの中に、水玉みたいに、白い斑点ができてしまうんです。

(わかっていないのに、強くしたせいで、色が抜けてしまったんですね。。)

ものすっごい、トラブルが多いです。(わかっていないクリニックで受けると)

ホントにひどいところは、トーニング用の機械ではないのに、「トーニング」というと、儲かるから、嘘をついて、使っているところがあって、これは、学会でも、できません、とたびたび発表されています。

私も、理論上、できないと思います。

 

何の美容医療でもそうですが、わかっていない、悪質な医者が適当に、たくさん患者さんに治療することによって、大量の副作用を発生させ、その結果、その治療自体が効かない、みたいに言われてしまうことがあり、根本的に間違っているウワサというのがとても多いです。

効かなかったと思っている貴女が受けた医療が、根本的に、おかしいことが圧倒的に多くて、機器そのもの、その治療そのものが悪いわけではありません。

 

さて、今回の学会でも、今までのレーザー治療を振り返ってみて、みたいなシンポジウムがありました。

名だたる先生方が、大変ためになるお話をしてくださいました。

レーザーの歴史というか、今までの治療の経緯ですね。それぞれの長所と欠点と。また、治療としての限界も。

その中で、ダントツに濃かったのは、大阪の葛西先生です。

(レーザーをやっているもので、葛西先生のことを知らなかったら、もぐりです。そんなやつは医者と名乗るな!というくらい、有名な先生です。

この葛西先生は、肝斑の原因は、摩擦だから、すべての刺激を止めなさい、止めるだけで肝斑は良くなる!とおっしゃった第一人者の先生だと私は思っています。

私もその意見に大賛成です。ただ、摩擦だけが原因ではない方も、1割くらいいらっしゃると私は思っています。でも、直接の原因ではないだけ、摩擦・刺激は絶対良くないので、私も患者さんには、いらんことはしないよう、必ず言います。

葛西先生のされている肝斑治療は、保存療法というやつで、何もいじっていないか、の確認と日焼け止めを塗っているかの確認くらいだそうで(薬を処方されたかどうかは、忘れました。)。。。

ただ、それだけでは、じ~っと待っている患者さんもつらいので、私は、薬もライムライトもイオン導入も使いますけどね。早く良くさせるためと、他のシミと美肌治療のために。)

 

葛西先生は、「肝斑にレーザートーニングは、反対です」「肝斑にレーザートーニングはやるべきではない!」と何度もおっしゃってました。

その理由は、やはりものすごい数の副作用やトラブルをご覧になったからだそうです。

ちゃんとわかってされているドクターはやってかまわないし、それを否定するつもりは全くなく、わかっていないのに、適当にやって、ひどい状態にさせてしまうドクターがあまりにも多すぎて、こういう学会だと、推奨ばかりの話が出るから、あえて反対意見を声を大きくして、今後も言っていきます、とおっしゃってました。

 

トーニングに限らず、これは、美容医療何でもそうですが、わかっていない医者が適当にやったら、たまたまうまくいく場合もあるでしょうが、大変危ない綱渡りをしているようなもので、患者さんからしたら、高いお金を出して、キレイになると思ってやっているのに、たまったものではありません。

葛西先生は、トーニングに限らず、他の美容医療のアンチエイジング系以外のものを、やるべきではない、と訴えておられました。

あまりにも、たくさんの副作用に悩まされている患者さんをご覧になって、悲しいと同時に、腹が立たれたんでしょうね。真面目に医療をやっていれば、美容に限らずなんでもそうです。

保険診療の場合は、まず命優先ですから、多少の副作用は、患者さんに我慢していただかないといけないところもありますが、美容は、やらないといけないことではないので、患者さんに、いいことだけ言って、幻想を抱かせて、処置をするな、ということです。

こんなことを、学会で大声で言えるのは、学会でも大御所と言われるような先生方だけなので、さすが、葛西先生です。

面識はありませんが、患者さんのことをホントに考えておられるドクターです。

 

トーニングでもなんでもそうですが、どんな医療でも必ず副作用があります。多かれ少なかれ。

それを何も言わずに、お金を払わそうとするようなクリニックは、例え老舗であっても、有名であっても(何で有名なのかは別として)、治療を受けてはいけません。お金もお肌ももったいないですから。

ちゃんと悪いことや、自分にとっては耳の痛い話(美容医療は、魔法ではないので)を、自分から聞かなくても、言ってくれるドクターに、せめて治療はやってもらいましょうね。