プロフィール

  • 院長
    柴 亜伊子
  • 京都四条 あいこ皮フ科クリニック

カレンダー

2012年4月
« 3月   5月 »
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  

最近投稿した写真

ホーム > 2012年04月30日



イオン導入の効果・効能についてですが、やはりこれも過度な期待は禁物です。

何の目的で、イオン導入するのか、にもよりますが、例えば、普通のシミ・そばかすの場合、イオン導入は、治療の第一選択ではありません。

シミ・そばかすの相談を、クリニックに受診して、イオン導入を勧められれば、全くのウソではないですが、それ、どれくらいの間隔で通って、何回通えってことですか?と聞きたい。

おそらく、そのクリニックには、フォトなどの光治療機やレーザー機器を置いていないんでしょう。

 

レーザー機器というのは、高いですからね。どこのクリニックでも気軽に揃えるということはできませんし、また買ったとしてもすぐに使いこなすこともできません。

業者の言うままに、マニュアル通りに使っても、あんまり効かないわけです。その機器で、何をどう治療していきたいのか、それによっても、設定の仕方は、全く変わってきます。知識と経験がムチャクチャ大切なんですよね~。

 

でも、レーザー機器がない場合、イオン導入器(これは、それほど高くないので)と飲み薬や塗り薬とで様子を見ましょう、と言うしかありません。効く効かないに関わらず、だって、そこには、その治療しかないわけですから。

良心的なクリニックだと、できる限界や、どれくらいの時間をかけても、これくらいしか無理ですよ、難しいですよ、と言ってくれるでしょうが、言ってくれないクリニックのほうが多いと思います。そして、悪徳クリニックだと、イオン導入で、わりと効くようなことを言うので、またタチが悪い。

(イオン導入だと、ナースでなくても、エステティシャンがやってもいいですし、やるのに、国家資格はいりません。ドクターの手を煩わせることなく、お金をもらえるわけです。患者さんがやる気になったら、って、やる気になるように、カウンセしてるんでしょうが、止めることはないでしょう。だって、クリニックは儲かるわけですから。)

それを信じる患者さんが、イオン導入だけを、期待を持ってやり続けるからです。

 

普通のシミ・そばかすの場合、私の第一選択は、ライムライト®という光治療機です。いわゆるフォトというやつです。(フォトブライト治療と、このメーカーでは言います。)

うちには、Qスイッチレーザーを置いていないので、フォトを使います。(私は、ダウンタイムの出る治療があまり好きではないので)

患者さんが、ライムライト®をした上で、イオン導入を追加するのは、とてもいいと思いますが、例えば、月々に使える予算が限られてる方に、イオン導入は勧めません。

だって何回かしたら(うちであれば、トラネキサム酸のイオン導入を5回したら、ライムライト®1回分になります)、フォトを同じ値段になりますし、仮に5回したとしても、シミを取る・薄くするという目的であれば、ライムライト®1回分の効果にも、イオン導入は値しません。

それだったら、その分のお金をライムライト®に回したほうが絶対私はいいと思います。

 

以前勤めていたクリニックで、イオン導入(この方はビタミンCでした。ここのクリニックでは、ビタミンCのイオン導入が一番安かったから)を週1回~2週間に1回くらいのペースで、私がクリニックに入った時点でも、もうずっと何年も通っておられました。

スタッフ内では、それだけの回数をするなら(何百回という数をやってこられてたので)、その分を、フォトやレーザーに回せばいいのに、と少しおバカ扱いされていました。

それだけの数をやっていたら、十分、光・レーザー治療に回すお金は十分にあるわけです。金額としたら、月1回は無理でも、3~5回ほどやって、数か月~半年休む、くらいのことはできたましたから。

お金を一度に使うのは抵抗があり、結局無駄使いして、効果が悪いものに使ってる、という感じで、バカにされてるような感じでした。

でも、ある日、何年もいるスタッフが気づいたんですが、光レーザー治療をしていない割に、その患者さんのお肌は、きれいじゃない?。。。そう言えば。。。みたいになって、イオン導入もそれだけの数をやれば効くんだね~、という話になりました。

学会誌の論文でも、昔読んだことがありますが、イオン導入の効果・効能を検討したものです。

へ~、結構いいんだ(あまり効かない、と思っていた割には)と思いましたが、そこまでするには、かなりの短いスパンで通って、3か月とか半年とか1年とかやっていくわけです。

「チリも積もれば、山となる」

まさに、それです。

普通のシミ・そばかすに関しては、私はイオン導入は、「チリ」だと思います。シミを消すためにするのではなく、美肌治療を助けてくれる、補助的な役割であったり、お肌にいい成分(トラネキサム酸であったり、プラセンタであり)を、ほんとの奥まで届けて、まあ、クリニックで、濃い美容液を浸透させてもらうと考えて下さい。そんな感じだと思います。

そりゃ、お金があったら、足したら、いいと思いますが、お金がないときに、第一選択にするのは、「ずれてる」と私は思います。

「チリ」を「山」にしようと思ったら、それこそ、週1回~2週間に1回のペースで、何か月も続けないと、いつまでたっても、「山」になりません。

だって、毎日、お肌は老化に向かって、止まることなく、進んでるわけですから。のんびりしてたら、追いつくことも、追い抜くこともできません。どんどん抜かされるだけです。

仮に、貴方の最終目標が100だとしましょう。

イオン導入が、1だとしましょう。(わかりやすく数でいってるだけで、100分の1と言ってるわけではありません。)

週1回やったら、月に4~5回です。それでも20か月くらいかかるわけです。2年近くです。

1でしかない処置を、1~数か月に1回していたら、1年で、4、5~12回です。何年かかって、目指しますか?ということです。その間も、老化は進んで、シミはせっせと増えてるというのに。。

でも、貴方のしているイオン導入は、0.1かも0.5かもしれない。そうなると、普通に考えて、やる価値ありますか?ということです。

目的が他のことなら、かまいませんが、シミ・そばかすを減らす・薄くするのであれば、1回で、5や10や20にあたるような治療でないと、ラチがあかない、と思いませんか?

20だとしてしても、100にするには、5回かかるわけです。

実際、人間の肌のことは、数値では表せませんし、シミは毎日増えていますから、計算みたいにはなりません。

でも、有効性を考えないと、お金と時間はいくらあっても足りません。

目的に合わない治療をいくらやっても、「チリ」は「チリ」なんです。「山」にしたかったら、それなりのお金も時間もかかります。

(そのお金で、フォトやレーザーできると思いますけどね。)

イオン導入の程度を分かった上で、「今月はちょっとピンチだから、ライムライト®はお休みして、でもイオン導入くらいはしておこうかな」とか、しばらくイオン導入だけで、どれくらいの差が実感できるのか、自分で試してみたい、とか、それでされる分には、賛成ですが、最近、サプリやイオン導入に、過大な期待を寄せて、カウンセ・処置希望や処方希望という方が時々いらっしゃいます。

どっかで、誰かが、サプリやイオン導入を絶賛でもされたんでしょうか。。。

他院の話ですが、光・レーザー機器を持っていないクリニックの場合、患者さんにお薦めできるのは、イオン導入やサプリメントくらいしかなかった場合。。。もう、これを勧めるしか方法はないわけです。そういうクリニックが宣伝で、イオン導入を誇大広告していたり、値段が比較的安いから、おびき寄せる「エサ」として、宣伝を打っておいて、来院したら、もっと高い治療を営業する。。。まあ、よくある手です。

私がイオン導入を、治療の選択肢として、順番を前のほうに持ってくる時というは、まず①肝斑がある場合、②他院できつい治療をされてお肌が傷んでいる時、③火傷や怪我をしてまだ、3か月たっていない時、④アトピーや肌荒れがあって、ライムライト®ができないけど、何か治療をしたい時、⑤今、気になってるものはないけど、何か定期的にお手軽にしておきたいな、という時などなどです。

ニキビ跡は、その見た目によって、イオン導入が選択肢の最初のほうに、絶対来ない、というわけではないですが、あまり最初には持ってきません。

肝斑でもそうですが、イオン導入って、薬剤を肌に届けてくれますが、積極的に何かを変えていく治療ではなく、お肌がその成分によって、何かしら働いてくれる結果を期待する、みたいな、まどろっこしいものです。光・レーザー治療とは違うわけです。手助けは手助けなんですね。

ニキビ跡の治療はうちではライムライト®やジェネシスが第一選択です。あとは、設定の問題です。(Qスイッチレーザーはやりませんけどね。)

 

何を、どう治療していきたいのか、それによっても、治療の選択肢というのは違うわけです。

全員の患者さんに、とりあえずこれ勧めとけ!みたいな、治療はないんです。まともに美容医療やっていたら、当然そうなります。

美容だけでなく、何の治療でもそうですけどね。その方の症状に合わせて、検査もお薬も手術もやり方が違うわけです。患者さんが見当違いの治療を希望されたら、止めるのも医師の役目だと私は思います。害があまりないからって、期待だけ持たせて、お金と時間を巻きあげたら、いかんでしょう~。

ガンで、手術をしたら助かるような方に、患者さんが手術じゃなくて、サプリがいいと言ったから、って、それを説得もせず、サプリ出す医者、いないでしょう?同じことです。

 

治療の選択も大事ですが、イオン導入をするにしても、何を導入するのか、これもとても大切です。

「ビタミンCのイオン導入」って、有名ですよね。ず~っと昔からありますね。っていうか、昔は、そんなのしか、導入液がなかったんです。

(ちなみに、エステで使ってるのと、クリニックで使ってるのは、全くの別ものですが、クリニックによっては、エステで使うのと同じようなものを使用しているところもあります。

エステで使ってる導入液は、科学的におかしなものも入っていて(大きすぎて入っていくわけがないものまで、平気で導入します、と言うので)、そんなものを、わざわざお金払ってやらなくても、化粧品塗ってたらいいんじゃない?ということが、ものすっごく多い!です。)

うちもビタミンCを扱ってますが、私が勧める場合は、やはり脂性のニキビ肌の方です。ビタミンCには、皮脂を抑える働きがありますから。

脂性のニキビの方は、たいてい若い方が多いので、お安めのビタミンC導入は、続けるなら、続けやすいし、いいと思います。ただ、ニキビ治療の第一選択にはしませんので、お金があるなら、イオン導入足したら?というくらいのものです。

大人で、「ビタミンCのイオン導入がしたい」と言ってこられた場合、理由を聞くと、たいていの方が、「シミを取りたい、薄くしたい」「しわをなんとかしたい」「ハリを出したい」と検討違いのことをおっしゃいます。

ビタミンCのイオン導入で、それは無理だと私は思います。「チリ」を積んでいっても、やっぱり無理でしょう。「ビタミンCのイオン導入」で、そんなに効果出たら、美容クリニックは、必要ないでしょう~。「ビタミンCのイオン導入」」なんて、家庭でもできるんですから。

そういう結果を望まれるなら、うちでは、光・レーザー治療を一番にお勧めしています。

 

同じ目的で、イオン導入をどれか選ぶなら、何がいいですか?となれば、トラネキサム酸やプラセンタを選ばれたらどうですか、とは言いますが、あくまでもお金のある方が、もっとお肌にいいことをしたい、と追加される場合で、ちゃんとした医療をせずに、イオン導入だけをやっていこう、というのは、自己満足で終わると思います。

自分で思い込めば、少し効果が上がります。(一定の期間だけであって、一生上がり続けるわけではありません。)それでいいなら、されればいいと思いますが、期待させる側の共犯には、私はなりたくないので、正直に、そこまでの効果は思わないでください、とはっきり申し上げます。

「予算がない」「お金がない」と、バンバン言ってくる方に限って、イオン導入を追加しようとされることもあり、「何回やったらいいですか?」「毎日通えばいいですか?」「週1回でいいですか?」と固執されます。

カウンセで、あれだけ、コストパフォーマンスのいいものを!と切望されたにも関わらず、(たいてい、帰り際とかに言われるんですが。。)だから、私も治療の選択肢には、最後のほうで、少し触れただけで、頻繁に通えとか、全く言っていないのに、「なんじゃ、そりゃ!」と思います。

週1も、イオン導入したら、その治療、1回分に、すぐ相当しますよ。はっきり言って、イオン導入5回やっても、その治療1回の効果にも及びませんよ、とまた説明するわけです。

(サプリと同じで、イオン導入崇拝者には、何度説明しても無駄なようです。やりたいなら、止めはしませんが、二度とコストパフォーマンスにこだわるのは止めてください、っていう話です。)

 

もちろん、イオン導入をするしないに関わらず、日焼け止めを塗らない方・塗りなおさない方は、何を導入しようが、意味ないです。

1回導入したって、1日紫外線にあたったら、あっ!という間に、プラスマイナス、マイナスでしょう~。お金かけるだけ、無駄だと思います。

まず、日焼け止めの塗り直しのクセをつける、というのが最優先課題です。特に、シミ・茶色系を薄く・減らしたい場合。

 

これだけ、情報社会で、すぐに調べたら、真偽のほどはわからなくてもあっという間に情報って、手に入ると思います。

その、貴方が気にしている状態の治療で、世間一般にされている治療の、いくつかは、すぐにヒットすると思うんですけどね。そんなに、イオン導入やサプリって、上位にランキングされますかね。。。。エステの無茶な誇大広告が、幅を利かせてるんでしょうか。。もしそうだったら、エステや、レーザー機器を置いていないクリニックの広告を見て、レーザー機器のあるクリニックに受診しても、考え方が全く違いますから、ダメですよ。

イオン導入やサプリで効くなら、わざわざ何千万・何百万も出して、レーザー機器は買いませんからね。