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  • 院長
    柴 亜伊子
  • 京都四条 あいこ皮フ科クリニック

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今回の話も、ベタベタでしたね~。美容外科では、よくある話です。わざわざ、ドラマにしなくても。。。

佐藤さん役のドクターは、今頃何を言ってるのか。。。。おまえは、研修医か?と突っ込みどころ満載です。専門医の言うことではありません。

患者さんのため、と思ってやったこと、時間を取ったこと(自分のプライベートの時間を削って)、いろいろ手配して、患者さんの希望に沿えるようにやったこと、それらのことが裏目に出て、全然患者さんは満足どころか、反対に不満だった、なんて、そんなことは、病気を診る保険診療でも、美容の慈悲治療でも、よくある話で、あえて、エピソードにしますか、という話です。

でも、こういうことって、人間同士、医療以外でも、人と関わる場合、よくある話ですよね。

 

手術シーンとかはいいんですが、話のおもしろさとして、視聴率大丈夫なんでしょうか。。。視聴率悪いと、早めに打ち切られたりするので、少し心配です。

美容外科クリニックの初ドラマとして期待しているので、頑張ってほしいですね~。

 

もう少し、話に深みがほしいところですが、内容をあまりホントのリアルにしてしまうと、きっと放送できないだろうし、一般の方にどこまで受け入れられるのか、難しいのかもしれません。

医療の現場をご存知ない方が、医療ドラマの脚本を書く、というのは、ホントに大変だと思います。

あんまりやりすぎると、医療の現場と大違いで、マンガちっくになってしまうし、医療関係者でないと、難しいですよね。

 

ちなみに、「37歳で医者になった僕」でしたっけ?

患者さんから教えていただきましたが、原作と話の内容は全然違うそうですね。

37歳で、会社勤めだった方が、医学部に入学しなおして、医者になった、という設定だけを使ってるそうです。他は、全然違う、とおっしゃってました。

全部は観てないんですが、まあ、あんな研修医いません。。。入院患者さん全員と話をしたいなら、カウンセラーになれば?と思います。看護で心のケア中心というなら、メインは看護師さんなんですけどね。病院の場合、医療は、チーム医療ですから、それぞれの役割を一生懸命やる、というのが、まず大堰堤です。

草薙くんみたいに、患者さんと話ばっかりしていたら、一体誰が医療をしてるのか?と、あの草薙くん役のドクターに突っ込み入れたくなるドクターですね。

担当患者さんの話を聞くことも、もちろん大事ですし、それが治療にも大変役に立つわけですが、1日中ずっとおしゃべりだけしてるわけにいきません。

入院患者さんの場合、家庭環境や生活環境ももちろん確認しないといけませんが、自分で確認する時間がない時は、(看護師さんは絶対確認しているので)看護師さんから聞かせてもらったりします。

病院によったら、病棟に、一人、そういう心配事相談、みたいな担当の方を置いているところもあるかもしれません。

(たいていは、師長さんだったりしますけどね。)

特に、研修医なんて、空いた時間があったら、山ほど勉強しなくちゃいけないのに、担当以外の患者さんの悩み相談に乗ってる暇があれば、勉強しろ!と怒られるでしょう。

経験は、時間が過ぎるのを待つしかありませんが、ただぼ=っとしていて、経験ができるわけでもなく、知識は、もちろん自分でどんどん溜め込まなきゃいけないし、実際の先輩医師のされてる治療や診察・説明の仕方など、いくらでも勉強しなきゃいけないことんなんて、あるわけです。

また、あちらのドラマは、いかに大きな病院が、患者さんのことを考えずに、利益のことしか考えていないか、とこれでもか、これでもか、と誇張されていて、病院によったら、多少はそういうこともありますし、そういうことを、医療とは切り離して考える担当に人がいないと、あっ!という間に病院は潰れてしまうのが、今の現状です。

患者さんが便利なように、楽なように、検査に無駄がないよう、つらい思いをしなくて済むように1回で検査を終わらせる、気が済むまで入院させてあげる、などなど、そういう患者さんからしたら、当たり前のようなことをすると、今の保険制度は、病院が赤字になるようにできています。

どこの病院でも、一部泣く泣く赤字にならないように、検査のやり方・外来やベッドの運営方法など、従来と変えざるを得ないわけです。

あそこまで、誇張して、草薙くんだけが正しい、みたいに仕立てるのは、ちょっとやりすぎですね。

ドラマの中では、草薙くんは、一人しか担当がいないように描かれていますが、実際は、一人で、何人(科や病院によったら、10人以上)も持つわけです。

一人の患者さんだけ、特別扱いもできないし、別の病院に転院したからといって、お見舞いにもいけません。退院されても、どんどん新しい患者さんは入院してこられるし、外来はあるし、自分自身も勉強しないとついていけないし、ついていけないと、結局、患者さんの治療に無能ゆえの迷惑がかかるわけです。

はっきり言って、お見舞いに行く時間がないです。個人的なおつきあいをしてるなら、話は別ですが、全員の患者さんと個人的なおつきあいをするのか、ということになります。

1日の限られた時間の中、担当患者さん全員とは話はしますが、おひとりに、30分も1時間も話をしていたら、仕事は終わりません。患者さんによって、直接会っている時間(診察・話をしている時間)に差が出るとしたら、患者さんの重症度によると思います。状態が安定していないなら、何度も様態を診にいくこともあるでしょう。

草薙くんはホント暇な医者だな~、いつ勉強してるわけ?と思うし、そういうウソの医者のドラマを、一般の方が観て、そのまま信じられたら、困るな~、というドラマですね。

 

話を「クレオパトラな女たち」に戻します。

こういう手術があるよ、美容医療は、素晴らしいよ、と紹介するのはダメとは言いませんが、もっと副作用を説明しろ!と思います。

ドラマの構成上、副作用の話まで入れてる時間はないのかもしれませんが、いいことだけいって、二重の目になったシーンに飛んでしまうと、(その間は、ガーゼ貼って、寝てるだけだし。。)魔法みたいな印象を与えてるのでは?時間はかかりますよ、とは言ってるけど、それ以外の、もっと大変な副作用のことをいろいろ紹介しないと、美容医療推奨番組で終わってしまいます。。。

副作用で、大トラブル、みたいな、話も今後期待します。患者さんが手術を甘く考えすぎないように。。佐藤隆太さんが、懸命に手術するな、するなと連呼されてますが、ホントの手術の怖さは、あれだけでは伝わりません。「戻せない」ということだけが副作用ではないわけです。

 

昔、勤務していた時、鼻にシリコンを入れる予定、とい患者さんがいました。

「シリコンを入れる」ということは、わりと高い鼻にして、鼻筋も通して、鼻の形もツンとかっこよくする(尖らすといいますか。。)ことを意味します。

まあ、どこまで触って、どんな鼻を患者さんが希望するのかにもよりますが。。(中には、希望も聞かない医者もいますから、そんなクリニックで、手術するのは止めましょう。)

その患者さんは、術後1週間、職場を休んだら、(手術の腫れと内出血がある程度消えるので)、絶対職場の人にバレないと思っていたそうです。

。。。バレるでしょう、普通に考えて。。。1週間休んで、いきなりカーンっ!と高い鼻になって、職場復帰したら、バレバレだと思いませんか?

腫れてるところさえ、見られなければ、整形をバレない、と思う能天気さ、能天気と言おうか、想像力が欠落してるというか、いきなり変わったら、わかるでしょう~。

まあ、シリコンを入れるにしても、バレない程度に、高くしたいなら、そうちゃんとオーダーして、シリコンを薄~くして入れてもらうか、ですが、そのオーダーを聞く医者もいるでしょうし、聞かない医者もいるでしょう。

そもそも、それくらいの変化でいいなら、わざわざ手術でシリコン入れなくても、注入剤(今なら、レディエッセがいいです)で十分でしょう。

ヒアルロン酸にしろ、レディエッセにしろ、吸収してなくなるわけですが、それでも高くしていくのに、ある程度の限界があります。特に、ヒアルロン酸だと、高くはできません。横に広がるだけです。

そういうので、満足できない方が手術をする、というのが一般的かと。。

何度も注入すると、お金がかかるので、金銭目的で、手術をする、という方も稀にいらっしゃいます。(こういうのは、ホントは止めたほうでがいいです。手術後、トラぶった時、もっとえげつないお金がかかってきますから。。)

注入剤では鼻先を尖らしたり、高くしたり、というのが難しいので(うちでは、危ないのでやりません)、鼻先を触りたい、というなら、確かに手術しかないんですけどね。

 

まあ、何が言いたいのかというと、ヒトにバレて困るなら、整形するな、ということです。

高校・大学・就職・転職、人生の節目に、整形して、デビューする人がいらっしゃいます。結構多いです。

節目ですると、確かに、今までの顔を知ってる人が、環境によったら、ほとんどいないわけですから、バレる確率がかなり低いですよね。

でも、人生何があるかわかりませんから、ひょんなことから、顔を変えた、ということが浮上してくることもあるわけです。それは、いつ、どういった形で、バレるのかはわかりません。それに、一生、ビクビクしながら生きていくのか?ということです。

芸能人なんて、平気で昔の顔が出ますから、整形したら、すぐにわかりますよね。昔の顔を忘れていても、「懐かしの映像」とかで、視聴者に気づかれてしまうわけです。

でも、芸能人の方は、そんなことはあまり気にされていないと思いますよ。

整形するなら、そんなことが万が一ばれても、笑い飛ばせるくらい、前向きで明るく、「自分の人生だもの」と開き直れるくらい、強くないと、整形の神様(いるのかな?)を味方にすることはできません。

ビクビクしながら生きていたら、せっかく高額な治療費を払ったのでに、それこそ全然楽しくないし、ご本人も満足しないので、どんどん整形をさらに重ねて、方向がずれていくわけです。

ようは、考え方ひとつなんですけどね。

手術をしたら、絶対に戻せませんから、覚悟はかなり必要で、ファッションや流行だから、とやることではない、と私は思います。

グループのみんながしてるから、と平気で整形手術を希望したり(本人は別にやりたいわけではなく)、整形したら、人生変わるかも、と他力本願でやるのは、絶対ダメですよ。

整形したら、人生変わるかもしれませんが、前よりよくなる保障はないんです。

気持ちの問題であれば、整形する必要はありません。違う見方をするだけなら、手術しなくても、自己啓発の本とか読み倒したら、ちょっと違う考え方もあるな、と思えるようにはなると思います。

手術は、最後の手段なので、安易に手を出すものではありません。