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  • 院長
    柴 亜伊子
  • 京都四条 あいこ皮フ科クリニック

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先日来られた患者さんのカウンセ内容が、他院でレーザーをして、肌荒れをしたから診てほしい、治してほしい、という予約内容でした。

カウンセ希望でした。

いろんなクリニックの話を聞いてから決められる方もいらっしゃいますし、処置も希望、と言ってしまったら、お金を巻き上げられるんじゃないか、とかまえる方もいらっしゃるし、その日は時間がないから、とか、家に帰ってよく考えたいから、と、人それぞれいろんな理由があります。

カウンセ希望のみ、という方は、カウンセ枠しか、うちもお取りしません。

 

まあ、こういうご相談は多いので、特別この方だけ気にしてはいなかったんですが、実際、受診されて、経過をお聞きすると、

「グルーポンで、フラクショナルレーザーをやって、」と言われて、

 

は? グルーポン? あのおせちで問題の起こった? レーザー? グルーポンで?エステじゃなくて?クリニック?本物?

 

と、グルグル頭が回りましたが、頭の中で思ったことをそのまま、患者さんに声に出して、言いました。

 

。。。やはり、グルーポンで、エステではなく、(フラクショナルレーザーですからね。)クリニックだそうです。。。。

 

グルーポンで、10人以上かなんか忘れましたが、1回¥9,800だったそうで。。。

 

。。。普通に考えて、グルーポンを使おうが使うまいが、1回¥9,800のフラクショナルレーザーって、あやしすぎるでしょ。他院と比べて、安すぎるどころか、ケタまで違うんですから。。。

通常、1回7万~9万円くらいでしょうか。5万のところもありますが、良心的な場合と、いい加減で適当にやってるから安い場合と、さまざまです。

それ以下は、まともなクリニックでは、まあ、ないんじゃないでしょうか。。

それが、9,800円って。。。

 

グルーポンの安くなる理由は、わかります。

大勢で買えば、単価が安くなるのは当たり前で、たくさん買ってくれるから、売るほうも、おまけして、安くしてくれるわけです。資本主義の基本ですね。

ホテルとか、ちょっとしたランチや食べ物とか、冒険がてら、「あ~、失敗した!」と笑い話で済ませられたりするでしょうが、医療って、自分の体と顔を実験台にしますか。。

 

その患者さんとも言ってましたが、「高い社会勉強代についたな、で済んだらいいですが、そのせいで、自分の顔はムチャクチャになって、元に戻るまでずっと毎日、その顔で我慢して暮らさないといけないわけで、社会勉強だけでは済まないんですよね。」と。

自分の顔がエライ目にあって、初めて、その方は、やってしまったことを後悔されてました。

 

もともと、その方は、毛穴とか、何もあまり気にはしておられなかったそうで、ご主人が行くのに一緒についていって(と言っても、行く前から、グルーポンを自分の分を購入してるということですよね。でないと、グルーポンでできないですよね。。仕組みはよくわかりませんが。。)、そしたら、そこの医者が、「やったら、もっとキレイになる」と言ったそうです。副作用もあまり言われなかったらしく。。。

しかも、そこは、やる前に、ナースが、「どの強さにしますか?」と聞くそうで、結局上から2番目の強さにしたそうです。。

 

もう、経過を聞いているだけで、そこのクリニック、ダメダメやん、と思います。

そんなウソだらけのカウンセを信じて、安易に、安いから(それにキレイになれるし!)とやる患者さんも、悪いのは悪いんでしょうが、一番悪いのは、そこのいい加減なクリニックなわけですが。。。

ブログでも何度も言ってますが、世の中、悪い人はいっぱいいるので、そんな都合のいい話、その辺の悪徳商法や詐欺と同じでしょう。。自分で注意しないと。。

 

ものすごくコンプレックスを持っていて、人の弱みに付け込む悪徳医師や悪徳エステ、というのは山ほどあります。

コンプレックスに、付け込まれるわけです。

でも、そんなに困ってなかったのに、付け込まれるというのは、「楽してキレイになりたい、安くでキレイになりたい」という気持ちに付け込まれてしまったわけです。

そんな都合のいい話、あるわけないじゃないですか。。

 

先日も、バス事故が起こったところですよね。詳細は知りませんが、かなり安かったんですよね。事故で亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。

前も、格安焼肉店で、生レバーで、亡くなられた事件がありましたね。

「安い」からには、理由が必ずあります。

どっかで、手を抜かないと、「格安」は無理なんですよ。

「よそより、ちょっと安い」というのであれば、ある程度の企業努力で可能でしょうが、格安・激安って、おかしいですよね。

 

わざと、格安にして、薄利多売を狙う場合があります。

洋服とか、食べ物(モノによりますが)だと、試してみないとわかりませんから、試したい場合はやってみないとわかりません。

(食べ物で、本当の薄利多売だったら、いいんですが、生レバーみたいに、しなければいけない処理をちゃんとしていなかったり、昔、病気で死んだ牛の肉を格安で売ってる肉屋とか問題になりましたよね。野菜にしても、国産と、中国産とか国外のものだから安いけど、産地を黙ってるとか、体に影響する場合もありますから、食べ物も、かなり注意が必要ですけれど。)

洋服の場合だと、カッティングが悪いとか素材が悪いとか、縫製が悪いで済みますから、いいんでしょうが、雑貨とか、中国製で、鉛の入ったものが見つかったりして、子供が舐めたら、大変なことです。

エステの格安にしても、おびきよせる罠ですから、行ったら、えげつない営業をかけられて、拉致同様に、拘束されて、帰してもらえません。

そんな悪徳エステに打ち勝つくらい、気が強くて、「警察に言うぞ~」「今すぐ帰せ!」くらい、騒ぎ立てることができるなら、チャレンジされればいいと思いますが、世の中、そんなうまい話、ないでしょ。

 

そういううまい話を信じる限り、貴女の被害は、繰り返されるだけなんです。

 

話をフラクショナルレーザーに戻しますね。

その患者さんは、ものすっごい痛かったらしく、また、処置後、赤くなって、ガサガサになって、かさぶたができて、おっしゃるには、(1か月経ったんだったかな?)今も肌の調子が反って悪くなった、ということです。

はっきり言って、これは当たり前で、フラクショナルレーザーは、痛いのが当たり前です。

大抵のクリニックが、麻酔のクリームを塗ると思いますが、塗っても、設定によったら、痛いでしょう。やり方によります。

レーザーの特性として、赤み・乾燥・かさぶたができるのは、これも当たり前で、その程度や持続期間(ダウンタイムの期間)は、そこのクリニックの設定にもよるでしょう)は、さまざまです。

あまり気にもしていないのに、やったんだったら、そりゃ、副作用のほうが気になるのは当たり前なんです。

これも当たり前のことですが、ちゃんとしたクリニックは、副作用をきっちり説明されますし、言い方にもよりますが、程度の差こそあれ、実際副作用が起こったからと言って、患者さんが、慌てて他院に駆け込むことはあまりありません。

(患者さんが、理解していなかったり、聞着流していたら、それは知りません。ちゃんと聞かないほうも悪いです。だから、理解していないのにやったら、ダメなんです。)

まして、このクリニックは、ドクターが設定を決めるのではなく、ナースが患者さんに、「どの強さにしますか?」と設定の強さを決めさせる、という最低です。。。

ちゃんとしたクリニックでも、何種類か、選択に迷う場合、(どの選択肢でも構わない場合。患者さんがどうしたいかが、選択の決めてになる場合)患者さんに、どれがいいですか?と聞くことはありますが、初診の患者さんで、どんな肌質かも、まだわからないのに、しかも設定の中でも、「強さ」を選ばせるなんて、同じ医師として、どうかと思います。まして、フラクショナルレーザーを、です。

「強ければ、いい、早く良くなる」っていうイメージ、ありますよね。これは、素人的考え方で、実際、光・レーザー治療は、強ければいい、というものではありません。

その方の肌質、どうしたいのか、ダウンタイムはどこまで大丈夫なのか、などなど、それによって、医師が設定するものです。

鉄板焼きで、肉の焼き加減を聞いてるのとは、わけが違うわけです。

 

結局、その患者さんは、最初からカウンセのみのご希望でしたから、処置はされていません。

私がその患者さんにやったことは、フラクショナルレーザーの説明と、今後、おうちでするスキンケア(やるべきことと、やってはいけないこと)と、もしそれでも待てなくて、早く良くしたいなら、ジェネシスやイオン導入、クリニック用の化粧品などで、炎症と乾燥を落ち着かせていく、という方法を説明しました。

(結局、何もされていないので、初診料2,100円だけです。これで、診察・カウンセは、約1時間です。)

 

どうして、うちが、そんな悪徳クリニックのフォローをするのに、1時間2,100円で後始末をしないといけないのか、よくわかりませんが、自費・保険に関わらず、まあ、よくある話です。そういう方は、時々来られます。

ボランティアみたいなものでしょうか。

こういう被害に遭われる患者さんが無くなるのと、質の悪い美容クリニックが無くなるのを願うばかりですが、古今東西、「悪いモノ」というのは、なくならないんですよ~。

患者さん側が賢くなるしか、方法はないわけです。自衛ですね。

 

でも、今後、こういう患者さんが増えてくるようであれば、もうこれは、セカンド・オピニオンと同じなので、こういう方の初診カウンセ料金を、他の方と区別する必要があるかもしれません。

私の治療を受けたくて、予約を待ってる方がいらっしゃるのを、その枠をお断りして、その方の診察をしてるわけで、はっきり言って、うちで治療したいわけでなく、(まあ、お金をかけずに、戻してほしいわけです)心配だから診てほしい、というものです。

もともと、初診料は、すべての患者さんは、光・レーザー治療などの処置をされればお返ししてますから、処置される方は関係ありませんが、処置もしないとなると、ちょっと考えないといけないかもしれません。

まあ、今後の経過を見ます。

 

毎日毎日、TVでも雑誌でも、おかしな情報ばかり流していて、そういうところに、予約が殺到だというので、騙されるな、というほうが無理かもしれませんが、うちに来られてる、9割以上の患者さんは、みなさん、TVや雑誌のウソや「おかしさ」「あやしさ」に気づいて、うちに来られてます。

大勢の方が気づいておられるので、医学的知識がなくても、難しいことではないと私は思います。

他力本願や、甘い話ばかり求める方は、医療だけでなく、なんでも、そういう悪徳話にのっかりやすいのではないでしょうか。

相手は、騙すプロですからね、心の隙は、ちゃっかり見抜かれてしまうわけです。

甘い話には、裏がある。必ず、その場で、やります、と言わず、家族や友人に相談するなり、少し冷却期間をおきましょう。