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  • 院長
    柴 亜伊子
  • 京都四条 あいこ皮フ科クリニック

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「クレオパトラな女たち」

今週の「クレオパトラな女たち」、ご覧になられましたか?

 

毎回、最初の出だしは、ちょっと変わった患者さん、あるいは困る患者さんから、始まるんですかね。

今週は、タトゥーでしたね。今、大阪で話題の。

ドラマでは、タトゥーを今すぐに消せ!という、あまり理解のよくない患者さんという設定でした。

レーザーでは時間がかかりすぎるから、すぐに消せ!、ということで、峰先生が、「じゃあ、皮膚移植をしましょう。血液検査をします。」と、皮膚移植の、なんの説明もなく、なんで、いきなり血液検査やねんっ!と突っ込まなくては!!

血液検査なんか待っていられないとごねる患者さんに、看護師さんが値段を言って、びびらせて追い返す、というシーンでした。

まあ、美容外科ではよくある話でしょうか。。

 

値段でビビらせる前に、副作用とかのリスクを話して、そんな簡単なことではないんですよ、と追い返すのが、正統派です。というか、当たり前なんですが。。。

毎回、このドラマは、副作用をあまり言われないので、そこはちょっと困りますね。

 

手首を切って、自殺を図ったアオちゃん(ナースです)に、「この傷、治して」と言われて、「抜糸が済んだら、皮膚移植しようか?」と、いとも簡単に、峰先生は言いますが、皮膚移植しても、また違う傷跡になるだけで、何事もなかったようには、全くなりません。

刺青やリストカットのところを切り取って、自分の体の、違うところの皮膚を切り取ってきたのを、そこに貼るわけですが、仮に、四角く切り取ったら、四角い傷跡のなります。

 

また、どんな薄さの皮膚を移植するかで、見た目も変わってくるんですが、提供してもらう皮膚を切り取ったところも、傷跡になるわけなので、その辺の兼ね合いが難しいところです。

提供する場所は、人目に付くところではダメなので、背中やおしりを使うことが多いです。

(大きな火傷で、皮膚移植をする、となると、背中・おしり以外に、頭やおなかも使われますが、全身の火傷だと、使える場所がないこともあるんです。)

この移植される皮膚は、薄ければ薄いほど、移植後の見た目は、かなり汚いです。

まず、縮みます。そして、茶色く色素沈着します。

いかにも、「貼りました!」と移植したことが、だれから見てもわかります。

 

じゃあ、分厚くしましょう。分厚い場合、縫い合わせるつなぎ目くらいしか、うまくいけば、傷跡はめだたないことがあります。

ところが、分厚く切り取られた側からしたら、汚い傷跡になるわけです。

人によったら、ケロイドみたいに、赤く盛り上がったようになって、かゆくなったり、「そこから取りました!」とわかるわけです。

これは、薄く取っても、ある程度、わかります。

かなり目立たない人もいらっしゃいますが、そうなかなかうまくはいかないんです。

 

火傷や事故は、傷跡とか美容とか言っていられません。

まずは、命が助からないと。

火傷して、皮膚がなくなってしまうと、そこからばい菌がどんどん入ってきたり、体の栄養が逃げて行ったり、とえらいことになるわけです。

だから、重症の火傷は、皮膚しか焼けなくても、死んでしまうことがあるわけなんです。

 

美容で、「皮膚移植」をする場合

刺青やリストカットなどの、過去を、知られたくないから、別の傷跡にして、ごまかすわけです。

火傷で手術された後、あるいは、事故やけがで、手術された後なの、とウソをついていくわけです。(正直に、刺青を取った後です、と、言う人もいるかもしれませんが)

その人がウソをつくことで、人生、変えていけるなら、それもそれでありです。

でも、傷跡は、一生残って消えません。

 

だから、軽々しく、「皮膚移植」なんて、いうことじゃないんですよ。

そういうの、全部説明したうえで、患者さんに選んでもらわないと。そうまでしても、手術したいのかどうか、です。

全くの、元の状態には、戻せませんからね。刺青もリストカットも。

 

ちなみに、手首を切っても、自殺はできません。

ただの自傷行為で終わります。

そういう人は、手首のところ、傷跡だらけで、そんな人が救急病院に行っても、傷跡をキレイに縫ってあげよう、なんて、どの医者も思いませんから、新人の、いい練習台(縫うことの)にされて終わりですよ。

手首を切るのは、止めましょう。

他の人も、リストカットのたくさんの傷跡を見たら、ドン引きでしょう。

手首は見えますからね。止めておきましょう。

(どうやったら、死ねるかなんて、教えませんけどね。)

カテゴリ:

医療