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  • 院長
    柴 亜伊子
  • 京都四条 あいこ皮フ科クリニック

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日焼け止めの話の続きをするところですが、先週、「ホンマでっか?!TV」を観ていて、気になったので、一言申し上げておきます。

ちょうど紫外線の話だったので。

 

紫外線がらみで、ビタミンDの話になって、ビタミンDは、皮膚で作られるから、紫外線にあたって、ビタミンDを作りましょう、適度に紫外線にあたったほうがいい、というような内容だったかと思います。

紫外線の話をするなら、皮膚科医と紫外線の第一人者の先生を、あの場に呼べ!と思いますが、あの番組自体がそういう番組ではなく、みんなして好き勝手なことを言う番組なので、専門家を呼んでくるわけありません。

番組の最後に、いつもテロップが出ますよね。あくまでも、あれはバラエティですからね~。

でも、TVを観ているほうは、あんなにはっきり毎回毎回言い切られると、何でも本当と思っちゃいますよね。

 

ビタミンDの研究をしていらっしゃる先生方は、紫外線にあたれ、あたれ、とおっしゃいますが、皮膚科医はそんなこと言いません。

あの時、TVでも言われてましたが、「皮膚科の先生は、紫外線にあたらないように、って言いますね」って、その通りです。

 

確かに、紫外線にあたったら、皮膚でビタミンDが作られますが、紫外線にあたらなくても、バランスよく食事を摂っていたら、それで十分です。

食事だけで、完全にビタミンDをホントに摂れているのか、となると、食生活によっても差があるかもしれませんが、全身紫外線カットして、生活している人って、そうそういないでしょう?

 

顔に、しょっちゅう日焼け止めを塗り直ししていたとしても、顔以外のところって、そこまで日焼け止め塗っていないでしょうし、服で隠すとはいっても、薄い色の服だと、紫外線は皮膚に、届いています。頭だって、分け目のところとか、耳とか、紫外線は普通に当たっています。

年中、帽子をずっとかぶっている方も少ないし、建物の中にいる時は、帽子も脱ぐことも多いでしょう?

建物の中にいても、窓から、カーテンやブラインドをしていても、紫外線って、入ってきてます。

なんやかんやで、紫外線って、ちょっとずつですが、浴びているわけです。全く浴びていない人なんて、いないんです、普通だったら。

 

その浴びた分と、食生活で、充分だと思います。わざわざ浴びなくても。

北欧とかの紫外線の少ない地域に暮らしているなら、いざしらず、日本で、日光浴はいらないと思いますよ。

 

そんなに、ビタミンDが気になるなら、ビタミンDのサプリを飲めば、済むことです。日光浴しなくても。

 

どうして、皮膚科医が、そんなに紫外線を嫌うかと言うと、皮膚ガンになるからです。

皮膚ガンを通常見るのは、皮膚科医と、形成外科医くらいのもので、ビタミンDを研究している先生は、見ないでしょう。

皮膚ガン見たら、紫外線に、バンバン浴びろ、なんて、言いませんよ~。

 

ご存知の方も多いと思いますが、今の母子手帳には、赤ちゃんの日光浴の項目は、無くなっています。

昔は、ビタミンDのために、赤ちゃんや子供に、日光浴をしましょう、と勧められていました。

オゾン層が破壊され、昔よりも、紫外線が、きつくなり、皮膚ガンが増えています。

また、紫外線の研究が進んで、紫外線の有害さ、というのが、どんどんわかってきているんです。

 

紫外線が、いかに有害か、ということを知らない人は、そりゃ、紫外線にあたれ、というでしょう。

必要なビタミンDを作るのに、紫外線に当たる時間は、日陰で15分くらいと言われています(データーによって、多少の差はあります。環境の条件とかで変わります。)。

でも、それくらいの時間だったら、普通、充分、浴びていますよ、トータルで。

 

黒い新興宗教みたいに、全身黒づくめで、家にいる時も、遮光カーテンや雨戸をして暮らしていて、あらゆる露出しているところは、日焼け止めを塗りまくって、塗り直ししていたら、これは、ちょっと問題です。

紫外線は、皮膚ガンのことを考えたら、有害ですが、そこまでカットするものではなく、そんなことしてたら、いつが朝で、昼で、夜か、脳がわからなくなって、体内時計がおかしくなります。うつ病にもかかりやすくなるんですよ。

紫外線は敵ではなく、どうしても付き合っていかないといけない、友達(いや、知り合い程度かな?)と思って、うまく付き合っていってください。

 

私も、朝起きたら、まずカーテンを開けて、朝日を全身に浴びます。

寝室も洗面所もお風呂場も、うちは全部南向きなので、紫外線入りまくりです。

シャワーを浴びて、洗顔した後は、保湿の後に、必ず日焼け止めを、顔と、手と、他露出するところ(その日の服によって、首~デコルテ、うで全部にも塗ります。脚は、ストッキングを履くので、脚には、塗りません。海とかリゾートに行く、とかなったら、脚にも塗りますけどね。)に、日焼け止めを塗ります。

朝、シャワーを浴びるまで(日焼け止めを塗るまで)、家の中を、うろうろすることがありますが(窓から紫外線は入っています)、10分もしていないし、シャワー中も、紫外線は浴びていますが、それくらいはヨシとしています。

 

みなさんの日常生活では、もっと紫外線を浴びていると思いますが、どうですか?

顔には日焼け止めを塗っていても、首や手・腕には塗っていなかったりするでしょう?

それで、充分です、ビタミンDのことから考えたら。

むしろ、首や手や腕の、老化(シミやシワやイボとか)のほうが、私は心配ですけれど。

 

閉経された女性は、骨粗鬆症になりやすくなりますから、閉経後は、日光浴よりも、ビタミンDのサプリをおススメします。

骨粗鬆症と診断されたら、ちゃんと保険で、薬(ビタミンDも)がもらえますから、更年期前後は、定期的に、人間ドッグとかで、骨密度を調べておくことをおススメします。

 

例えば、関西の都会で暮らしていて、あまり直射日光にあたる生活をしていない方だと、皮膚ガンにかかるリスクがそれほど高いとは思いませんが、紫外線にあたると、細胞に傷ができます。

それで、受けたキズは、修復されて、治るんですが、繰り返していくと、キズが治らなくて、そのままになると、ガンになっていくわけです。

いきなりガンになるわけではないかもしれませんが、紫外線に当たれば当たるほど、どんどんキズをつけていくので、ガンになる確率を上げていくわけです。

だから、年をとればとるほど、たくさん紫外線を浴びていますから、皮膚ガンが増えていくわけです。

若い方にも、ごくまれに、皮膚ガンができますから、全部が全部紫外線が原因というわけではありませんが、レアケースというのは、予防というのがなかなかできませんから、レアケースのことまで、なったらどうしよう?と心配するのは止めましょう。

とりあえず、紫外線をカットして(しすぎるのではなく)、皮膚ガンの確率を下げよう、と皮膚科医は思うわけです。

 

皮膚ガンにならなかったとしても、紫外線は老化を早めるんです。

これは、困りませんか?女性として。男性も。

 

抗加齢医学会という、学会があって、皮膚だけでなく、内臓や眼・耳・生殖器・歯など全身のアンチエイジングを考える学会です。

アンチエイジングというと、イコール美容みたいに思われるかもしれませんが、老化を抗うというより、遅らせて、いつまでも健康に若々しく、というのを目指す学会です。

長寿といっても、ぼけずに、健康に元気でないと意味ないですよね?

ぽっくり死にたい、長生きはしなくてもいい、と思っているかもしれませんが、いわゆるぽっくり死のうと思ったら、健康でないと、これ、ダメなんですよね~。

いわゆる、寿命がつきる、というヤツですか。

 

この学会で言われている、老化を遅らせる方法は、①紫外線カット ②抗酸化  ③抗糖化 です。大きく分ければ、この3つです。

もちろん、バランスのいい食事と、適度な運動、というのは、とても大事なことは、言うまでもありません。

 

紫外線が、体に及ぼす、老化に対する影響、という項目は、毎年発表されていて、紫外線カットは、ものすごく言われています。

去年の学会では、紫外線の研究の第一人者である市橋先生が、10歳未満の子供に、大量の紫外線を浴びさせるのは良くない、ということで、夏のプールの時間の前に、学校がちゃんと日焼け止めを塗って塗らせないといけないくらいなのに、保健婦さんとかが、「日焼け止めは、肌に悪いから」と言って、塗らせない学校がある、といって、怒っていらっしゃいました。

日焼け止めの害と紫外線の害と、どっちが、ひどいねんっ?って話ですよね。

10歳までの子供は、まだまだ細胞が目まぐるしく生まれてきているので、細胞に紫外線でキズを付けられても、修復している暇がないそうです。

キズが治らないまま、どんどん行っちゃうので、ガンになりやすくなるわけです。

 

日焼け止めでかぶれることはあっても、皮膚ガンにはなりませんからね。

それに、ちゃんと質のいい、肌に合った日焼け止めを塗れば済む話で、質の悪い安物を使うから、ダメなんですよ。

 

市橋先生が発表された内容を、以前にもブログに書きましたが、シミを作らないでおこうと思っているなら、SPF50を塗っても、直射日光にあたって、効果が持っているのは、2時間です。

日焼け止めを塗らずに、直射日光にあったっていい時間は、1日3分です。

それ以上あたったら、シミができてくるのは、当たり前なわけです。

だから、シミが嫌なら、紫外線カット(日焼け止めの塗り直し)が必要なわけです。

 

紫外線は、普通の老化に加えて、「光老化」という余分な老化を足していきますから、シミだけでなく、シワ・たるみ・毛細血管などの赤みを増やし、キメを荒らして、ツヤがなくなり、お肌が乾燥して、皮膚も硬くなり、と、美肌と逆のことを、どんどんしていくわけです。

 

美容医療を、ちゃんと考えてやっているドクターは、絶対紫外線カットを、うるさく言います。

当たり前ですね。

どこまで紫外線カットをしていくか、というのは、多少ドクターによっても差がありますが、日焼け止めの具体的な塗り直しの話まで、してくれないクリニックは、真剣に、美容医療をやっているとは、まあ、言えないんじゃないでしょうか。

ごく一部のドクターで、そこまで塗り直ししなくてもいい、と信念を持って、治療をしているドクターもいらっしゃるかもしれませんが、まあ、めったにはいらっしゃいませんし、アンチエイジングを取り扱っているドクターの中では、ものすごい少数派、と思っておいてください。

 

皮膚ガンにならないとしても、気になっているシミやシワを誰に治療してもらうのか、治療しないにしても、マシにする方法、予防法はないのか?

皮膚科医に相談したら、紫外線カットと言うのは当たりまえです。

そんなに日光浴して、ビタミンDも作りたい!と言うなら、ビタミンDを研究しているドクターに、一緒にシミの治療をしてもらってください。

(できませんけどね、シミ治療。。。)

日焼け止めをあまり塗らなくても、こう工夫しませんか?と具体的に指導してくれる先生は、日本中探せば、いると思います。

(どうやって、シミの治療をされているのか、私には想像ができませんが。。。)

でも、日光浴を勧める美容皮膚科医・美容外科医は、普通いません。

 

私が朝、朝日を浴びるくらいの時間、紫外線にあたるくらいなら、問題ないですが、TVでああいう風に言われると、それを言い訳に、紫外線カットをしない人が増えるので、それが困りますね。

日焼け止めを塗らない方というのは、なんやかや言い訳を作って、塗りませんからね。自分が楽なほうに、逃げますからね~。逃げたって、困るのは、自分なんですけどね。

どうして、わからないですかね。

美容医療に、お金と時間を費やしても、ドブにお金を捨てるようなもので、クリニックが儲かるだけです。

まあ、そんな方がうちに来られても、心を入れ替えてくれない限り、うちで治療はやりませんけどね。