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  • 院長
    柴 亜伊子
  • 京都四条 あいこ皮フ科クリニック

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円形脱毛症・広範囲脱毛症など特殊な病気を除いて、老化に伴う薄毛・育毛治療は、女性だけでなく、男性も健康保険は一切通っていません。

全て、自費です。

また、病気による脱毛で、原因がわかってる場合は、まずその病気を治すことが先決ですが、原因不明の薄毛・脱毛の場合、保険でいろいろやったけど、全然効果がなくて、自費治療を開始される患者さんもいらっしゃいます。

健康保険でできる治療というのは限られていますから、それで効けばいいんですが、なかなか難しいこともあります。

だから、自費治療に踏み切る方も多いわけですが、本当に病気から脱毛・薄毛が来ていたら、自費でかけるお金自体、もったいないわけです。(自費で一時仮に増毛しても、病気が原因だと、すぐにまた戻ってしまいます。)

先日、他院で、薄毛治療をされていた患者さんが、そちらに不信感をもたれて、当院に受診されました。

投薬内容を診せていただいたら、保険の薬と自費の薬が同時に処方されていて、自費の薬を出す分にも、健康保険で、再診料を取られています。

患者さんからしたら、ちょっとでも健康保険を使ってくれたほうが、安く済む場合が多いので、嬉しいでしょうが、これは、厚生労働省から、「混合診療」と言って、禁止されていることです。

自費で薬を出す以上、再診料も自費、保険で本来出せる薬も自費となります。

「そんなの、私には関係ないし、安く済むんだから、いいんじゃない?」と思うでしょ?

ところがですね、こういう混合診療をしているクリニックで、ロクなところがない、というのが私の意見です。

自費治療を真剣に取り組んでいるクリニックは、自費で出す薬や治療に対して、ちゃんと説明というものが普通はされます。

(自費なのに、説明も全然してくれない、というクリニックも、ロクでもないので、そんなところはすぐに止めましょう。関わらないように。)

保険の病院で、説明に時間をかけてくれる病院って、とっても少ないでしょ?

説明を一人一人していると、外来が終わりませんからね、個別に対応してくれる開業医さんだと、最近は、そういうクリニックも増えましたが、一般病院では、なかなかないんじゃないですか?

あったら、そこはむちゃくちゃ流行っているので、待つのは覚悟の上で、受診しないとね、患者さんが大勢いる上に、一人に時間を取っておられるわけですから。

まだ、あまり知られていないとか、地域の人口自体が少ないとかで、のんびりされている病院や外来もありますけどね。

たいてい、皮膚科の看板を上げているところで、保険診療をされているところは、混んでいるでしょう。

また、皮膚科って、保険診療は、全然儲かりませんから、たくさんの患者さんを診ないと、利益、出ないんですよ。

そうなると、一人に時間をかけてはいられません。

特に、患者さんの多いところは、説明をあまりしてくれないところが多いと思います。

保険でも説明してくれるクリニックも探せばあるとは思いますが、自費治療でされる説明の長さ(というのかな。。。)は違うと思います。

所詮、保険の場合は、「病気」に対して薬を処方しているわけです。病気ありき、なんですね。

仮に、副作用が何か起こったところで、病気を治すためには仕方ない(ある程度は)、と患者さんも医療者側もどこかで思っているところがあるわけです。

副作用が起こっても、病気が良くなったなら、我慢しましょう、とか一時の我慢だから、ということも多いでしょう。

大変な副作用が起こる、という薬に関しては説明されるでしょうが、めったに起こらない副作用をいちいち外来の中で説明するドクターはいないでしょう。

どこまで説明するのか、とキリがありませんからね。

また、最近は、院外処方のところが多いので、薬局で、薬の説明を受けることができたり、薬の説明を書いた紙ももらいますね。

ところが、自費治療は違います。

基本、自費治療は、健康な方が対象で、(病気の場合は、まず病気の治療からですから)、自費治療を始めて、元よりもひどくなったら、困るわけです。大クレームですよね。当たり前です。

また、自費治療は、たいていが厚生労働省が認可していない治療だったり、薬だったりするわけです。

(健康保険の薬・治療は、全て、厚生労働省が調べて許可したものになります。すっごく簡単に言うと、なにかあったら、国も一緒に、責任をとってくれるわけです。)

認可していない薬や治療を、医師の独断に勝手に使うわけですから、もちろん責任は全部自分ひとりで取らないといけません。

だから、副作用の説明もなく、保険のように、「これ飲んで様子を見てください」では、済まないんです。

何も起こらなければ、それでいいですよ。

でも、全員に何も起こらないなんて、たまたま運がよかっただけで、たくさんの患者さんに治療・投薬していたら、誰かに何かが起こってきます。大きいことも小さいことも。

だから、自費治療をしている医師は、どこまでちゃんと説明をするのか、というのは、患者さんにとってわかりやすいだけでなく、自分の身を守るためにも必要なわけです。

はっきり言って、混合診療している医者は、自費治療をする上での、説明義務などの考え方が甘いように私は思います。

(直接、そういう医者に会ったわけではありませんが、他院から回って来られた患者さんから話を聞いてると、そういう感じですね。混合診療をされていた方、ほぼ全員です。)

恐らく、医者側からしたら、

保険でやってあげているんだから、それぐらい勘弁してよ、安くで済んでるでしょ?次の患者さんもまだまだ大勢待っているんだし、文句あるなら、もう来なくていいよ、と思っているところがあるのではないでしょうか。

そういうところは、大勢患者さんが来てますからね。文句いう人は、時間がかかるだけだから、さっさとよそにいってほしいわけです。

先日来られた方は、保険と自費の薬が混ざって処方されていたんですが、「ミノキシジル」という成分の薬が処方されていたんです。

もちろん、自費の薬で、厚生労働省は認可していません。

「ミノキシジル」の塗り薬というのは、日本では、リアップというのが、大正製薬から男性用も女性用も発売されています。

女性と男性で、薬の濃度が違いますけどね。

さて、この成分の飲み薬、海外では、男性用として発売されていて、女性用は売られていません。

だから、自費治療をやる上でも、女性用がない以上、女性には処方しません。

発売されていない理由は、女性には効かなかったから、というのが大抵の理由ですが、製薬会社によっても持っているデーターも違うでしょうし、新しくデーターが出てくる、ということももちろん今後はあるでしょう。

ただ、現時点では、発売自体がされていません。あくまでも、「男性用」なんです。

自費治療をされているドクターでも、論文で、「有効率は低いが、女性でも効いた人がいる」というデーターが出ていたら、ちゃんと説明の上、「飲んでみますか?」というふうに聞いて、処方される、ということはあります。

必ず、そういう説明をちゃんとしてくれるわけです。もちろん、副作用も含めて。

(だって、一般的に、日本だけでなく、世界中でも、あまりされていない治療なわけですから。)

で、この患者さんは、全く何も説明は効かれていないし、うちに来るまで、「男性用」の薬ということもご存知ありませんでした。

で、その薬を飲んだら、しばらくして、一時的に脱毛が進んだそうで、(ミノキシジルで、一時脱毛を起こすことがあるそうです。)、それを言いにいったら、また保険の薬を増やされたそうです。

その後、脱毛は良くなったそうですが、今度は、多毛になったそうで、肩~背中・うなじ周りの産毛が濃くなったそうです。

それをまた言いにいったら、「黙ってのんでおけ。」みたいに、怒られたそうで、それで、不信に思われて、うちに来られました。

今、自費治療で使用される薬は、もちろん、日本では未承認で、塗り薬・飲み薬・医療用サプリメント全て、海外でしか発売されていません。

うちでする育毛メソセラピーの薬もそうです。

全て、医師個人が、海外から個人輸入をして、自分の責任において、患者さんに使用することになります。

簡単な英語の説明書はついていますが、日本の薬みたいな添付文書(国が義務づけているデーターの一覧です。効果・効能・対象年齢・投与量・対象疾患・副作用・注意事項などです。日本は、とても厳しいのです。)

みたいなものはありません。

また、あくまでもデーターは、欧米人など、その薬が発売された(製造した)国中心であって、日本人のデーターではないんです。

同じ人間だから、同じでしょ?とはならないんですね~。

体格も日常生活などの生活習慣・環境・人種などによって、薬の効果というのは、全然違う場合があります。全てが全く違う、というわけではないと思いますが。

副作用にしても、日本人(だけが)は、とても気にするけど、他国ではあまり気にされないので、わざわざ載せていない、ということもしばしば。。考え方が全然違うんですね。。。

そういう意味でいえば、何が起こるのか、なんて、使ってみないとわかりません。

美容医療・自費治療で使われるものですから、大きな副作用はないと思いますが、そういう未承認の薬を使う以上、(健康保険ではないですし)、一般常識から言えば、いらんことをするわけです。絶対全員がやらないといけないことをするわけではなく、ご本人が気にするから、お金を出せば、そういう選択肢もある、という贅沢なことをするわけです。

健康保険であろうと、自費であろうと、化粧品でも食べ物でも、誰にでも合うもの、副作用(アレルギーも含めて)は100%ないもの、絶対安全なもの、なんて、この世の中には、存在しません。

まして、化粧品でも食べ物でもなく、医薬品ですから、多かれ少なかれ、副作用なりデメリットは何かしらあるわけです。

(大した副作用がないものは、その代わり、時間がかかりすぎる、ということがあり、それも、デメリットの一部です。)

薬を飲む場合、塗るよりも、効くことが多いですが、成分は全身を回りますから、頭以外の毛が増えたり、毛深くなったとしても、有り得ますよね。

それだけ、反応がいいんでしょうけど。

自費で、そういう薬を処方するなら、そこのクリニックは、やっぱりそういうことも説明する義務もあるでしょうし、薬の説明書に書いていなかった(あるいは知らなくて)んだったら、患者さんが言ってきた時に、効果とリスクの話をちゃんとしてあげるべきでしょうし、基本、リスクを心配し過ぎる方には、中止を勧めないいといけません。

と、私は思います。

だって、未承認の治療ですからね。患者さんが嫌がっているのに、無理やり飲ませて、何かあったら、責任とれないんでしょ~。

医療である以上、なにかしら、副作用なり、患者さんが困ることが、小さなことでも、いつか出てきます。

あまり一般的ではない副作用や確率の少ないこと、あるいは、今の医学ではまだ検証されていない、報告がないことを心配しだしたら、キリがないんです。

そういうことが心配な方は、私は、やっぱり、どんな自費治療もやったらいけないと思います。

無理して、ホントはとっても気になるのに我慢してやり続けるというのは、精神衛生上、とても体に悪いでしょう。そんな状態では、効くものも効きませんし、ストレスで、全然関係ない体調不良など起こすこともあります。そうなったとき、因果関係なんて、誰も証明できないでしょうし、患者さんは絶対治療のせいだと思います。

そうなると、やるんじゃなかった!とお金も時間も体の不調も、全て後悔してしまって、ちょっと良くなったことなんて、どっか行ってしまいますからね、こういう方はやったら、いけません。

なにか起こった時に、少々のリスクはあっても、治療を続けて、ある程度の効果を取るのか、リスクも負わないけど、何もしないほうを選ぶのか、患者さん次第なんですね。

お金も時間も体も差し出すのは、患者さんなわけで。。

誰でも副作用は心配です。何も心配しない方は、それはそれで、また問題でしょうが、大勢の患者さんと話wしていると、普通の心配と、行き過ぎた心配性の方との区別は、すぐにつきます。

なんど説明しても、なんとかして、私の口から、「絶対大丈夫」という言葉を引き出そうと、同じことばかり聞いて来られます。

同じ説明をするだけですけどね。

リスクは心配だし、でもやりたいから、なんとか自分を納得させるデーターを集めようと次にされます。こういう方のパターンは決まっています。

「他の患者さんは、どうされているんですか?先生はどうしているんですか?」

他の人が気になって仕方ないんです。

誰でも、他の人がどうしているのか、気になりますよね。当たり前です。

世間話として、他の人が気になって、聞いて来られるのとは、全然違うわけです。雰囲気もシチュエーションも。(患者さん自体に余裕がありませんから。必死で、自分を安心させる、大丈夫なデーターを探しているわけなので。)

でも、こういう行き過ぎた心配性の方の場合は、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」というタイプなので、うまくいっている時はいいんですが、うまくいかなくなった時、「他の人がやっているろ先生が言ったから。先生がやっていると言ったから。」ひどい場合には、「先生がやれって、言ったから。」と人のせいに必ずしますからね。

他の患者さんや私が大丈夫でも、貴女が大丈夫なんて、保障はないですよ、と必ず言います。

だって、ひとりひとり肌も体も違うわけで、まして、薬の反応具合も違って、当たり前です。

副作用の確率がいかに低くても、副作用が出た方からしたら、確率100%なわけです。他人と比べったって、仕方ないですよ、と私は突き放しますね。それで相手の反応を診てるわけですが。。

基本、リスクも踏まえた上で、そういうハードルを、自分でひょいと越えて来られる方でないと、私は自費治療はやったらいけないと思っていますし、うちでは、一切、治療も投薬もしません。

そこまで心配していて、不安のほうが強いのに、やるべきではないと思っているからです。

なんでそこまでしてやりたいかな~、と正直思います。やりたいなら、リスクも負わないと。

そんな自分にだけ都合のいいことなんて、ないんですから。

そういう都合のいいことだけやりたい、という方には、私は付き合いませんので、無理やり、いいことだけ言って、薬も売りません。大した副作用でなかったとしても。

(甘く考えすぎの方にも、売りませんけどね。)

で、この患者さんには、処方はお断りしました。性格なんて、そうそう変わりませんからね。特に、「副作用が怖い」というたぐいのものは、消えるものではありません。うちで、何かを処方することはないでしょう。

他院から回って来られた薄毛治療の患者さんもそうですが、自費治療しかやっていないクリニックで、薬や治療の説明はしてくれたようでが、日常のヘアケアについて、なにも聞いておられなくて、特殊なヘアケアをすう必要はありませんが、薄毛を気にしているなら、最低限、髪の毛にそんなことするの、やめたげなよ、ということくらいは、クリニックで説明しろよ!と思います。

(顔のレーザー治療で、スキンケアの話をしないのと同じですね。)

日常のヘアケアの話すらしてくれないクリニックで、高い自費治療をするのは止めておきましょう。

薬だけもらえたらいい、というなら、止めはしませんが、そういうクリニックでは、患者さんにとって、一番いい治療法を教えてくれるわけではありませんから、お金と時間の無駄ですよ。

その時、仕入れた薬を、とりあえず売りたいだけですよ。