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    柴 亜伊子
  • 京都四条 あいこ皮フ科クリニック

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「肝斑に対する治療戦略」

この水・木曜日と、形成外科学会に行ってきました。

一番楽しみにしていたのは、ミニシンポジウムの、「肝斑に対する治療戦略」です。

名だたる先生方が、肝斑に対しての、ご自分のされている治療や注意点、データーなどを示してくださいました。

とても勉強になりました。

 

さて、内容ですが、今の主流は、学会の著名な先生方の間では、レーザートーニングです。

 

「肝斑はレーザートーニングさえしたら、キレイになるんだ!」と、飛びつかないでください。

前から何度も言っていますが、肝斑のレーザートーニングは、ホントにちゃんとした施設でやらないと、クリニックが儲かるだけで、患者さんはお金がムダになるだけでなく、ホントに、悪化(反って濃くなる)だけでなく、最悪、脱色素斑(水玉のように、色が白く抜けます)が多発します。

ホントに、えげつないんです。これは、目立たなくさせるのに、恐ろしい時間とお金がかかりますよ。。

 

まず、トーニングですが、トーニング推奨派のドクターであっても、あくまでもセカンドステージ(保存療法などやっても難渋していて、次の手段として使う)としてしか、やってはいけない、とみなさんおっしゃってました。

いきなり、トーニングをするなんて、もってのほか!

 

うちにも、他院で、「なんちゃってトーニング」「ホントにトーニング?」みたいな治療(これはもう治療ではないですね)をされて、色素増強(濃くなる)、脱色素斑多発などの患者さんが大勢いらっしゃいます。

そういう方の全員が、おかしなことをされていて、いきなりトーニングなんて、まだかわいいほうで、トーニングの場合、トラネキサム酸などの飲み薬は必須ですが、患者さんが「飲みたくない」と言ったら、なんの説明もなく、そのままされている、という有様。。。

じゃあ、最初からその薬、なんでいるの?!ってことですよね。

ドクターが直接やっているところは、ほとんどなく、ナース(エステティシャン(!)のところもあり)が、しかも、「一番強い設定でやりますね」とやって、見るも無残。。。なんて、ざサラです。

「一番強い設定」なんて、一番肝斑にやったらダメなことで、もうこんなクリニック、潰れればいいと思います。

 

こういうバカなクリニックの話ではなく、ちゃんとしたクリニックであったとしても、何をもって、「強い設定」というのか。

今回の学会でも、「トーニングの定義」というのが、話題になりました。

(正確には、まだ「トーニングの定義」はありません。なんとなく、この辺くらい、みたいな感じで、普通の施設はやっておられると思います。)

各ドクターが、自分なりの考えで、強さを含めた設定と決めておられるので、信念を持って、やっておられる分には、構わないと思いますが、(ようは、患者さんがキレイになって満足されれば、それでいいと思いますから)、いい加減に、とりあえず、お金巻き上げてやってみたわ!っていうのは、もうこれは、犯罪でしょ。

 

葛西先生が、今回も、「肝斑にトーニングはやるな!」と反対意見をおっしゃってました。

もちろん、これは、ちゃんとした先生方の治療を否定しておられるのではなく、いい加減にやっているクリニックがあまりに多くて、注意喚起と、販売している業者も、「絶対に効くから!」みたいに売り込むな!というのも、おっしゃってました。

わかっていない医師が、ホントに金儲けで、猫も杓子も、とやって、結果、大勢の被害者がでている実体について、かなり怒っていらっしゃいました。

(大学病院とか、超有名な病院だと、あまり一般の悪化の実態は、ご存知ないようで。。あまり、そういう患者さんがいらっしゃらないようですね。)

お気持ち、お察しします。

私も、そういう患者さんを診ると、とても、そのやったクリニックのことを、腹立たしく思います。

よく考えもしないで、つい治療をやってしまった患者さんも、ちょっとお気軽に考えすぎではありますが、そういうふうに、クリニック側が宣伝もしているし、また説明も全然しないから、そういうものなのか、と、やってしまうんでしょうけど。。

まあ、患者さんは、十分に、その代償(自分のしかも顔で)を払っておられるし、十分に後悔と反省をされているわけで、もうおかしなクリニックで治療をされようとは思われないとは思いますが。。。

一番悪いのは、そういうおかしなクリニックなんですけどね。

学会レベルで、そういうのを、取り締まるようにするのは、法的には無理なんですが、被害に遭われた患者さんの実態を集計するような組織を作って、もっと世間に、危険性を知らしめていってほしいものです。

 

はっきり言いますが、肝斑にレーザートーニングをしているクリニックの中で、ホントにちゃんとやっているところって、かなり少数派ですよ。そんなに、バンバン、ないですよ。

(金儲け主義のところか、ちゃんとやってそうなところか、HPをみたら、とりあえず、わかると思うんですけどね。

最近、わかりづらいところも増えましたが、それでも、HPを見たら、なんで、そこに行くかな?と、疑問に思うようなクリニックには、少なくとも行かないでしょ。

「素人だから、わからない」と言い訳したところで、困るのは、自分ですよ。

まあ、診察・カウンセに行っても、やらずに一旦帰ってきたら、いいと思いますけどね。

話を聴いて、信用できる、この先生になら万が一にも悪化させられても構わない、くらいに思えるなら、あるいは、その金額ならあきらめもつく、と思わえるなら、されてみたらいいと思いますけど。

ただ、安いからあきらめがつくか、というと、つきませんよ。

鏡を見るたびに、思い出して、後悔するだけです。

化粧品でかぶれても、かなりブルーになるのに、そんな何万円も払って、悪化したら、悲しいだけでは済まないと思います。)

だって、トーニングする前に、スキンケアも徹底させないとダメですから、そういう説明までしてないクリニックがなんて多いことか!

日焼け止めの話なんて、ホント全然で、医師から言わずに、ナースがちょっと最後に言うとか、紙に書いたものを渡して、読んでおいてください、なんて、まだいい方で、何にも言わないクリニックもとても多いです。

肝斑の場合、紫外線カット(日焼け止めを正しく塗る)は、必須であることは、当たり前です。

 

そして、一切の摩擦や刺激を避ける、ということも指導しないといけません。

 

今回、「刺激」ということに対して、「トレチノイン」は勧めない、というドクターがいらっしゃいました。

私もそう思います。

うちでは、トレチノインは扱っておりません。

あの赤くなるのが、私は、とても嫌いで。。。

(トレチノインが大好き、というドクターも、もちろんいます。それが悪いわけではなく、そのドクターは、その方なりの考えがあって、やっておられるわけで、その辺のところ(副作用も含めて、メリット・デメリット)をちゃんと説明もしてくれないドクターが出したトレチノインは、使ってはいけませんよ。)

他院で、トレチノインを使っていた・今も使っている、という方には、うちで肝斑治療をされる場合は、一切止めてもらっています。

 

そして、衝撃的なのは、今回、新しく発表になったのが、「ハイドロキノンの長期使用者は、トーニングで悪化するので、やらない」というものです。

ハイドロキノンは、細胞毒性(簡単に言うとかぶれるわけです)がありまして、濃度が低かったり、人によっては、一見全然かぶれたりなどのトラブルはありません。

ところが、やっぱりダメな方がいらして、かぶれて、赤くなって、そのあと、色素沈着になるんですよね。

色素沈着の出方が違うそうで、これに、トーニングをすると、かえって、悪化したそうです。

長期、他院なども含めてハイドロキノンを使っていた患者さんには、やらない、ということを、おっしゃっている先生がいらっしゃいました。

 

私も、他院でもらっておられるハイドロキノンも、うちで治療するなら一切止めてもらってます。

濃度もわからないことが圧倒的に多く、濃度のわからない、得体のしれないものを、どう使ってもらっていいのか、私に、そんないい加減なことは言えません。

うちでは、肝斑の方には、ハイドロキノンも出さないし、勧めていないので、全然OKでした。

そういうトラブルは、ないですね。

(ちなみに、うちでは、サンスターがクリニック専売品として出している、「エクイタンス」という商品です。一般の方が買えるものとは、中身が違いますから、これは、クリニックに来て、診察を受けていただかないと、買えません。)

 

今回のシンポジウムを聞いていて、うちみたいに、ライムライトを始めとしたフォトを使っての肝斑治療というのは、またまた少数派になってしまいました。

フォトで、肝斑を治療していく、というのは結構難しく、誰でもできるわけではないと思います。

結構、いいんですけどね。

 

ただ、私も、肝斑がどんどん良くなってきた時に、肝斑とADM(遅発性太田母斑様色素斑)が合併している患者さんに、この状態で、トーニングしたら効くだろうな、と思うことはあります。

(実際に、効くかどうかが別として。)

トーニングもいろいろな照射方法が、学会で発表されるたびに、このやり方ならいいかも、というのが、ちょっと出てきて、自分でアレンジしたくなってきたところです。

やっぱり、このトーニングの機械も、1台あったら、治療の幅が、肝斑だけでなく、広がるんですよね~。

次に、機械を買うなら、トーニングの機械がほしいな、と実は密かに企んでおります。

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学会で得た知識