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  • 院長
    柴 亜伊子
  • 京都四条 あいこ皮フ科クリニック

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金の糸施術の危険性

今日は、ホントは、新しい目の下の凹み用のヒアルロン酸を自分に入れた話を書こうと思っていたんですが、急遽変更です。

 ちょっとだけ書いておきますね。詳しくは、また書きます。

 

昨日、新しいのを試してみたんですが、自分にするのには、とてもやりづらく、結果、位置が少しずれた、というより、入れすぎました。

量がわかりにくかったのと、ちょっと多めでいいやと思ったのが、敗因です。

昨日は、もっと凸凹してましたが、今日はかなりなじんで、凸凹はなくなりましたが(この辺は、さすが!です)、入れすぎた分、まだ膨れています。

きっと明日は、もっとさらになじむと予想していますが、今日だと、目の下、ふくらんで腫れてましたね。ハハハ~。

今日の患者さん方の中には気づいた方がいらっしゃるかも。。

明日も、まだ膨れているでしょう。。明日の患者さん方も気づかれるかな?

まあ、いいや。気にしない!気にしない!

 

さて、「金の糸」です。

私のブログでも、たまに、「金の糸」は勧めない、という話は何度か出てきたと思います。

昔、5年くらい前だったっけ?一度金の糸全盛期みたいな時期があり、広告でもかなり見ましたし、やっている患者さんも結構見ましたし、やっているクリニックの話もよく聞きました。

でも、3年以上前の、私が開業する前ですら、もう金の糸は、まともなクリニックでやっているところは、ほとんどなく、広告もあまり見なくなり、話題に上ることもほとんどありませんでした。

学会でも、「初めての美容皮膚科」みたいな講演で、これから美容医療を始めるドクターのための講演で、こういうことには手を出さないように、と、必ず話題の上るのが、「金の糸」です。

(私の言っている学会というのは、日本抗加齢医学会だったり、日本美容皮膚科学会だったり、日本形成外科学会だったり、もちろん、全部、ちゃんと厚生労働省が専門医制度などをちゃんと認めている学会で、日本全国の大学病院のドクターが参加している、ある意味、公的な団体です。)

日本美容医療協会という団体がありますが、内閣府から公益社団法人の認定を受けている団体で、形成外科医で構成されている日本美容外科学会が主体となっている協会です。厚労省から、設立の許可がされています。

(協会については、詳細は、こちら→http://www.jaam.or.jp/jaam/index.html

その協会でも、金の糸は、もちろん勧められていません。2010年のことです。

 http://www.jaam.or.jp/topics/topics12/index.html

学会が一番勧めていない理由のひとつが、EBM(学問的証拠)がないことです。

証拠がないのに、勝手に、「これ、効くんですよ!15年持ちます!20年持ちます!」って言って、商売したら、詐欺ですよね。

厚労省どころか、もちろん、アメリカのFDAも認可なんかしていません。

たいていの美容医療は、日本の厚労省が認可している施術・薬剤といのは、少ないんですが(審査に時間がかかりすぎて、審査が通る頃には、もう治療としては遅れていたりすることになるから、あまり厚労省の認可をもらおうとは、なかなかならないのが、美容医療の現状のようです。)、アメリカの厚労省のあたるFDAの認可はある施術・薬剤を行うのが、ある意味、一般的かも。

ヨーロッパのCE(厚労省にあたります)だけの認可で、FDA承認なし、となると、学会が共済している医師賠償責任保険は、施術内容に対し、認められません。例外はあるかもしれませんが、まあ、ほぼないでしょう。

FDAも認めていないような怪しい治療はやるな!というのが、共通した意見でしょう。まして、ちゃんとしたEBMがないんですから。

FDAの承認がなくても、日本国内でも、ちゃんとしたEBMがあれば、問題はないんですが、そういう特異なものって、あんまりないかも。。

金の糸が全盛の時代は、まだ出始めたところで、これからEBMが出てくるのかな?と期待もされていたんでしょうが、結局、ちゃんとしたEBMは出ないまま、トラブルも多発し、というか、トラブルしかないんじゃない?とどんどん下火になり、ホントにまともなクリニックはやっていないと思いますよ。

なんで、今頃、金の糸のことなんか書いているのかというと、今日患者さんと処置中におしゃべりしていた時に、金の糸を、その方の、ちょっとした知り合いの方が、検討中、という話を聞いて、「今頃?!なんで??!!」とお聞きしたら、1~2か月前に、TV番組で、KABA.ちゃんが、顔に金の糸を入れた、とかやっていた、とおっしゃってました。

 

そんなこと、TVで、放送したんですね!

一体、どこのTV局ですか?!学会が勧めていない治療を、そんな電波にのせて、TVなんtね、影響力莫大なのに、視聴者が何も知らずに、マネしたら、どう責任取るつもりなんですかね?

ちゃんとした学会は、どこも治療を認めていないし、患者さんにもドクターにも勧めていない、って、ちゃんと調べて放送しているんですかね?

知らなかった、で済まされないと思いますよ。

放送の倫理規定は、どうなっているんでしょうか?! 視聴率取れたら、それでいいんですかね。

 

KABA.ちゃんが勝手にする分は、KABA.ちゃんの勝手ですが、(KABA.ちゃんも、詳しいことは知らずに、手術受けているんじゃないですかね?)やるクリニックもやるクリニックですね。しかもTVで!!

なので、ブログで注意喚起せねば!と、今日書くことにしました。

これ以上、被害者を出さないために。

 

そんなの、昔から学会で何度も注意喚起されているんだから、ホントに今時、まともなところは、やっていないと思いますよ。

 

高いお金を払って、「良くなる」証拠もない手術やって、嬉しいですか?

 

美容医療の中には、まだちゃんとしたEBMがないけど、これから出てくる、とか、大したEBMはないけど、危険でもなく、なんとなく良くなることが多いから、やっている、という治療があるのも事実です。

 

じゃあ、「金の糸」は、EBMが出ていないだけで、それさえ、わかっていたら、やっていいんじゃない?という人がいたとしましょう。

これが、ダメなんですよね~。

 

まず、金の糸は、皮膚の浅いところに、大量に、しかもギザギザとか格子状に入れ込んでいくことが多いんですが、これ、一旦、皮膚内に埋入させると、一生取り出せません。

ギザギザに入ってたりしますから、引っ張ったら、ス~っと抜ける、とかいうものでは全くありません。

取るのであれば、顔中、切り刻んで、取りださないと、無理です。

 

また、金の糸を入れて起こる反応は、金の糸を勧めている医者は、適当になんかもっともらしく言いますが、これは、ちゃんとした証拠がありません。

ただ、異物反応は必ず起こります。個人差はありますが。

なので、赤く腫れあがる可能性があります。

また、金は、24金であっても、金属アレルギーを起こすことがありますから、「金だから安全」なんて、ないんです。

体内に入れる、ってことは、ピアスや指輪とは違うんですよ。

だって、体内に入れてしまうんですよ! 金箔食べて、ウンチになって出てくるのとは、訳が違う!

「金の糸」を取り扱っている業者が怪しかったら、ホントに24金かどうかも怪しいところで、どんな不純物が入っているのか、わかったものではありません。

そもそも、まともな業者は取り扱っていませんから。

異物反応も金属アレルギーも、取り除かない限り、一生続きます。

またレントゲンに必ず写ります。

(講演で、レントゲン写真を見たことがありますが、もうムチャクチャでした。あんなの、ホントに取り出せませんよ。)

空港の金属探知機は、ひっかかると、私は聞きましたが。。。(現場を見たわけではありません)

顔で、ピーピーなるから、すっごい恥ずかしいらしい。。。

 

そして、MRI検査は、一生受けられません。

MRIを受けられないことで、もし将来、なにか病気になった時、MRI検査でわかるはずの情報が得られません。

(診断や治療に支障をきたす可能性があります。)

異物反応の結果もあってか、露出の可能性がとても高いです。よく出てきます。

そして、あまり知られていないかもしれませんが、一度、顔に金の糸を入れてしまうと、まともなクリニックでは、光・レーザー・RFなど、顔の機器を用いた治療は、ホントになにもやってくれませんよ。

ただでさえ、金の糸自体、術後もずっとトラブルが多くて、いつトラブルが出てくるかもわからないのに、そこになんかして、レーザーのせいにされたら、困りますから、普通は、触りません。関わらないわけです。

また、皮膚の浅いところに入っていますから、たいていの施術は、金の糸まで、届きます。

そこで、火傷したり、金の糸が溶けたり(!)、変色したり(真っ青になるんですよ、レーザーや光を当てると)します。

とんでもないでしょ?!

なので、学会でも、全盛の時代の時ですら、金の糸を入れた患者さんに、光・レーザー・RFなどの施術をやらないように、ずっと注意されてました。

一生、光・レーザー・RFが、できないんですよ。

何に効くとも、証拠もない治療(というのかな。。)をやったせいで!

 

で、どうして、こういうことが知られていないのかというと、そこのやるクリニックが、患者さんに、こういうデメリットや合併症・副作用などを言わないからです。

いいことだけ言ったら、患者さん、そりゃ、やりたくなっちゃいますよね。

だから、ダメなんですよ、こういうクリニックって。

 

金の糸をもうすでに入れてしまった方。

全盛の時代に入れた方は、まだ学会も規制というか、光・レーザー・RFなどの併用がダメ!という程度で、止めていませんでしたから、どうしようもなかったかもしれませんが、もう指摘されていた時代でも、そういうデメリットの説明を受けましたか?

説明をそこまでされていたら、やらなかったんじゃないんですか?

EBMがあるかないか、とかそういう次元の問題ではないんです。

一生、自分の顔の美容どころか、健康に関わる大変なことですよ。

(注射・ケミカルピーリング以外の治療は、普通断られます。うちは、スキンケア以外、全て、お断りしています。)

いつ、どんな反応が出るか、わかりません。

そんな治療を、TV局がどんな形で放送したのか知りませんが、こういうこと全部、ちゃんと番組内で、言われたんでしょうか。

そのやったクリニックも。

言っていたら、放送もしないし、(知っててやったら、悪質ですよね)、KABA.ちゃんもやらないのでは?

 

5年前とかにされたのなら、まだそういうことがわかっていなかったかもしれませんから、クリニックが説明していなくても仕方ないかもしれませんが、最近(というか、ここ3年以内、3年以上前ならいいわけもないと思いますが。。。)やった、という方。

やったクリニックで、以上のことが説明もされていなくて、手術されてしまったのであれば、責任とってもらうべきでしょう。

話が全然違うわけで。

いいことだけ言って(証拠もないのに)、悪いことは言わない、というのは、「説明義務違反」でしょう。

金の糸だけは、取りだせない以上、かなり悪質かと。。。

 

おかしなクリニックは、学会でいくら言おうが、聞いてませんからね、金儲けのために、なんでもやります。

金の糸に関わらず、患者さん側が、賢くならないと、ホントに、自分が実験台です。

後悔しない人生のために、いいことだけの美容医療なんて、ありませんから。

美容威容に、過信は禁物です。

 

 

 

 

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医療