お待たせしました!
顔筋体操やフェイシャルヨガの本命です。
なかなかブログを書く時間がなくてスミマセン。なんか時間がなくて、うまく時間を作れない上に、もう冬眠するのか?!というくらい眠い日があります。
朝、起きたら、繭を作っていたりして。。。
(これは、冬眠ではなく、完全変態でしたね。
「変態」って、変質者のことじゃないですよ。蛹を経て、幼虫から成虫に変わることです。)
さて、顔筋体操の前フリを前にしましたね。覚えていらっしゃいますか?
本題です。
ちょっと前の学会だったかセミナーだったか、企業主催のものではなく、ちゃんとした学会主催のセミナーだったと思います。
こういうセミナーや講演会は、講演されるのはドクターだけではなく、企業で研究をされていらっしゃる方や全くの異業種の方(とは言っても、健康や美容・老化予防などに何かしら関係していらっしゃる職種)の講演もあったりと、全然違う世界のお話しがあることもあり、目からウロコで、ホホー!とタメになることもしばしば。
そのセミナーは、珍しく、顔筋体操というか、そういう講演内容でした。
美容医療をやっているドクターであれば、顔の筋肉を動かせば動かすほど、シワができ、しかもシワが深くなることはわかっているので、へ~?と思って、どんな内容かな、と待っておりました。
講師をされるのは、歯科衛生士の方で、その世界では、どうも有名な方です。
26歳くらいだったような。。。30歳にはまだなっていない若い女性でした。
でも、カリスマ歯科衛生士と、マスコミからは呼ばれそうな、経歴の持ち主だったと思います。
ハリウッドセレブだったか、いわゆるセレブのスゴイ方を顧客に持っていらっしゃるようです。
この若さで、スゴイですね~。ご自分のサロンというか教室というか、そういうのもオープンしておられるようです。
ははー!
さて、講演の内容ですが、歯科口腔関係の方は、よく噛め!とやはりおっしゃいます。
前にも言いましたように、歯やアゴの健康のためには、その他もろもろ合わせて、「よく噛む」ことは、そりゃ、いいことがたくさんあります。
でも、エラは大きく成長していきます。
長所もあれば、欠点もある、というか、なんでも二面性があるわけです。
よく噛む話も多少されたかもしれません。この辺はあまり覚えていません。
まあ、当たり前の話ですから。
それと、口腔内の健康の話だったかと。
口腔内を健康に保つためには、唾液の量というのが、実はとても大切で、年齢とともに、唾液は減ってきます。
唾液が減ることで、口腔内の洗浄がうまくいかず、口腔内にいらん細菌が増えたり、そのせいの口臭が出ることもあります。
唾液が少ないので、うまく消化もいきません。飲み込むのも、ちょっとつらくなったりと、年を重ねると、どなたでも、遅かれ早かれ、いろいろ出てくるのです。
「唾液を増やす顔筋体操」を伝授します!となり、さあ、みなさんもご一緒に!と声をかけられます。
さすが、有名な方ですから、(講演会も慣れていらっしゃるようで)、お話しがとてもお上手で、話も持って行き方、乗せ方がとてもうまいです。
こういう話で、人を引き込む、というのが、「カリスマ性」というものなのだな、と私は思うんですが。
唾液を増やす方法というのは、舌で、歯茎の上(唇と歯茎の間)をなぞる顔筋体操です。
芸人のシルクさんが、口の中をぐるぐる回しておられた、アレです。
前フリの話、覚えていらっしゃいます?
患者さんのお母様が、この体操をしていたって話。
唾液を出すためなら、それは、正解です!
(試しにやってみてください。その場所には、唾液腺がたくさんあるので、舌で刺激すると、唾液が確かに、ダ=っと出てきます。
おお==!!スゴイっ!!)
後日談ですが、先日来られた患者さんが、俳優の渡辺博之さんが、このグルグル体操をTVで、口の周りのシワが取れる、とか言って、放送されていたそうです。
シルクさん以外にも、多くのタレントさんが、TVで言っていた模様ですから、唾液の話でお母様がされていたのか、シワが取れると思ってされていたのか(シワは取れないでしょう。。)、それは、わかりません。
でも、唾液を出すために、食事前とか、口が渇いて困っている時など、刺激してあげるのは、健康のためにもとてもいいと思います。
(だからって、TV見ながら、何時間も、とかは、やりすぎだと思いますよ。
唾液の減る病気でもない限り、やりすぎはいけません。
なんでも、ほどほどに。。)
さて、その歯科衛生士さんに、一緒にやりましょう!と声をかけられ、私も含め、和まりのドクター方は、ぐるぐる回しておられました。
私は、目が悪く、普段はコンタクトレンズなんですが、過矯正はしていなくて、レーザーが当てやすいように、手元重視している程度にしか矯正していません。
学会会場やスライドによっては、とても見にくいことがあり、可能な限り、前のほうの席に座って参加していることが多いです。
ヘタすると、前から2~3列目に座っていることも多く、前から1~3列目くらいの、会場の左右の席だと、座長席や演者席・次演者席だったりして、周りに、結構学会の重鎮や有名な先生方がたくさん座っておられることがあります。学会にもよりますが。
このセミナーの時も、私は前のほうにいまして、私から見える席には、エライ先生方が座っていらっしゃいました。
一緒にやりましょう!となった時も、私から見える範囲では、先生方もされていらっしゃいました。
このあたりくらいまでは、おかしな話ではなかったんですが。。。
講演の後半くらいからか、半ばというか、ここからがどうも本番だったようで。。。
いよいよ、顔筋体操の始まりです。
患者さんの症例写真が出て、その方の勧めた顔筋体操で、目が大きくなった中学生の話とか、いろいろ。。
ほっぺを膨らますんだったか、口をすぼめるんだったか、なんか忘れましたが(やるつもりがないので)、法令線をなくすだか、浅くするだか、そのために、そのお勧めする顔筋体操をやろう!という話の流れでして。。。
「さあ!ご一緒に!」
と言われた時、私はもちろんやりませんし、私から見える範囲では、どなたもされませんでした。
(まあ、当たり前かな、と。)
後ろを振り返って見ていないので、一体どれだけのドクターが、その顔筋体操をされたのかは、わかりません。
ただ、その衛生士さんが、とてもとまどっていらっしゃって、(おそらく、全然誰もやっていないから。。。)、いつもの講演会であれば、ここは一番の見せ場なんでしょうね~。
一番会場が盛り上がるところで、和気あいあいと笑い声も出てくるところが、多分全然している人がいないようで。。。。
(まあ、当たり前かな、と。)
「みなさん、お疲れですかね。。。」みたいなコメントをされていらっしゃいました。
(おそらく、口の周りのグルグル体操は、みんなしてたんだと思います。
会場内は、和気あいあいで、「どうですか~?スゴイでしょう~!」みたいに、話が進んでいましたから。)
ホントだったら、この見せ場で、ワッ!と盛り上がって講演は終わるでしょうけど、しらけたわけではありませんが、シーンというか、盛り下がったというか、不完全燃焼な感じで講演が終わったように感じました。
200~300人くらいいるドクター相手(しかも美容専門の)に、よくこの人、講演、引き受けたな、とそのことに、私は感銘を受けましたね~。
ちなみに、顔も体と同じで、年と共に、顔の筋肉もたるんでいくし、ブルドッグみたいに、下に下がっていきます。
そりゃ、顔の筋肉も、ある程度鍛えられていて、しっかりと支持機能が保たれていれば、弛む・下に下がる、というのは、ある程度防げるのかもしれません。
ですが、顔と顔以外の筋肉の最大の差は、顔の筋肉は皮膚と一枚でくっついているんです。体はひっついていません。筋肉の複雑な絡み合いも、体にはありませんしね。
腕を動かしても、関節以外は、シワが出ないでしょ?
でも、眉毛を動かす、目をギュッとつぶる、口をすぼめるなど、筋肉を使えば、顔はシワだらけです。
顔の構造は、かまぼこ板と同じです。
板だけ動かす、かまぼこだけ動かす、って、できないんです。
筋肉が動くと、皮膚が絶対一緒に動きます。
筋肉は、伸び縮みをしますから、皮膚は、そのたびに、折りたたまれ、溝を作るわけです。シワの完成ですね。
同じ動きばかりしていると、溝が深くなり、シワは完全に固定してしまって、もう戻せません。体と全然話が違うんです。
筋肉だけ動かす、というのは、顔である以上、不可能なんです。
顔筋体操で、ほっぺの筋肉を鍛えれば、多少、法令線が下に下がるのが、マシになるのかもしれません。でも、マシになるほど、筋トレしたら、おそらく、法令線に、折りたたみジワは、かなりくっきり出ますよ。
表情の豊かな方、不自然に口角だけ上げている方もそうですが、口周りの筋肉を使うから、口周りにシワが多いです。仕方ないです。
法令線を浅くするのは、注入剤で比較的簡単に浅く見せることはできますが、表面の細かい、折りたたみジワは、結構消せませんよ。ある程度浅くはできるのはできますが。。。
ヒアルロン酸の柔らかいヤツや、水光注射(種類や手技にもよるでしょうけど)など、細かく打てば、多少マシにはなることもありますが、そういうのは、表面の浅いところに入れるの場合は、吸収も早いし、もちろん内出血・腫れのリスクもあるし、その割に、消せるわけでもなく、効果に患者さんが満足されるかどうかは、意見がわかれるところ。
法令線を浅くするほどの満足感は得にくいかも、トータルで考えたら。
シワ増やしてまで、マシになるかどうかもわからないタルミのために、顔筋体操をする意味が、私にはわかりませんね~。
こういうセミナーの場合、学会発表ではありませんから、講演をしてくださった方に何か質問をする(誰かが)というのは、マナーになります。
普通の講演であれば、どなたかが興味があるわけで、質問する人数を制限するくらいのことも多いです。
決まって、質問される先生もいらっしゃいます。
会場から質問がなければ、座長の先生が質問されたり、会場のどなたかに話を振ったり、と座長の先生の腕の見せ所です。
「質問をする」というのが、興味がある証拠、と言えば、そうなるわけですが、会場は、ものすごい数のドクターがいて、その前で、あまりに当たり前すぎる、今更そんなことも知らんの?的な質問だったら恥ずかしいですし、話もちゃんと聴いていないと質問も見当違いになったりしますし、(話が難しすぎて質問が出ないこともありますが)、考え方が違うからと言って、面と向かって難癖つけるというのもどうでしょう、という感じですし(学会発表は違いますよ。対極にあるドクターがいろいろ意見も言われて、活発に議論されます。)、反対意見の場合は、やんわりとご自分の意見を述べる、というのが大人なマナーですかね。
こういう講演会では、よほど有名なドクターでない限り、質問の前に、自分の所属と氏名・お礼を一通り言うのが常識と言えば常識です。
この質問をする、というのは、結構勇気というか、絶対聴きたい!と自分を奮い立たせないとなかなかできない(質問したくても)、ということもあります。(何百人の前で、自分が意見をするわけですから。演者でもないのに。)
さて、この講演が終わり、座長の先生が、どなたかご質問を、となりましたが、どなたも質問されません。。。
盛り下がったまま、というか、う~ん。。。ちょっと質問しにくいというか、次元が違いすぎるというか。。。なんというか。。。難しいですね。。
ドクターで、顔筋体操をしてタルミの改善!なんて、こういう場でもし言ったら、それでも医者か!と、あきれられて無視されるか、袋叩き(反論でね)か、どちらかだと思いますが、美容専門のドクターでない方に、ましてわざわざ講演をしに来てくださった方に、噛みつく人はさすがにいないでしょう。。おとなげないというか。。。土俵が違うんだし、ドクター何百人 VS 相手はお一人ですから、それもね。。。あんまりね。。。
すると、学会で知らない人はいない、というくらい有名な先生が、質問をされました。
お礼も述べられ、実におだやかに、スマートに、
「そういう体操をすると、シワが増えると言われていますが、その辺はどうですか?」
とものすごく丁寧に質問されました。
→「はい、それは私もわかっています。」
(そうか、わかっているのか。じゃあ、なんで?人にさせるわけ?)
「患者さんには、小さいシワと、大きなタルミと、どっちがイヤですか?とお話しして、選んでいただいています。」
自信をもって、はっきり元気に言われました。確信を持っておられますね~。
。。。。。。
ふ~む。。。。
そんなことを言われたら、誰だって、素人さんは、大きなタルミがイヤ、って言うに決まってるじゃないですかね。
実に、うまい言い方です。
勉強になりますね~。
こりゃ、素人さんは、やっちゃうな~。
前にも書きましたが、倍賞美津子さんのシワ。
あれを見て、「小さいシワ」と言える方、いますか?
私は小さいとは思いませんね~。
シワの出やすい皮膚や骨格の方って、いらっしゃいます。
白人とかそうです。
日本人でも、白人のような皮膚や骨格で、シワの目立つ・出やすい方って、いらっしゃいます。
表情が豊かなだけで、シワが増えていない場合もあるかもしれません。
もちろん、紫外線や活性酸素など、様々な老化の要素も加わってくるので、「シワ=顔動かしすぎ」というわけではありません。
ただ、表情ジワは、やはり動かしている回数に、かなり関わってくるでしょう。増強されるというか。。
その衛生士さんは、まだ20代と若く、顧客だという写真を出しておられたセレブ(だったか)の方も若く、まだまだみなさん、シワに悩む年齢ではありません。これからですね。
自分がとても信じていることを人に話してわかってもらおうとする場合、確信もあって、気持ちもこもりると、言葉に説得力があります。
いわゆる「カリスマ性」があると言われる方は、話の内容も話し方も上手で、言葉にとても力があるのを感じます。
そういう方が、自信を持って勧めるわけですから、鬼に金棒ですね。
そりゃ、素人さん、やるでしょ。
なんでもそうですが、プラセボ効果って、最初、2割くらいの方がよくなることが多いようです。
(昔、日本皮膚科学会で、アトピービジネスが大問題になった時に、アトピービジネスのプラセボ効果について、発表があり、最初、2割の患者さんが症状の改善を言われました。
例えば、たたの水道水を渡して、「神の水」とかなんとか言って、絶対アトピーがこれで治ります、とか完全に信じ込ませ、患者さんも信じた場合ですね。
あとの、7割は、不変と悪化です。
最初の2割も、効くわけありませんから、その後、不変・悪化に変わっていました。
信じることって、恐ろしいんですよ、ホントに。
なので、何の治療をするにしても、もうやるなら、「効く!」と思ってやるほうが、よりよく効くと思います。
どんなにいい治療でも、絶対効かない!とか、イヤだなイヤだな、と思いながら治療をしていると、多分、効きは悪くなると思います。
病は気から、っていうのは、正しいわけです。)
TVや雑誌やいろんな広告で、「劇的に効いた!」みたいな宣伝文句があり、何人かは、確かに効いたのかもしれません。
(いつまで効果が続いたのかは別として)
そういう意味では、「効いた!」というのは、ウソにはならないのかもしれません。
でも、医療は、それでは困るんです。
いくら個人差がある、と言っても、たまたま、この人には効いた、というのは、医療ではありえません。
病院行って、「たまたま効くかもしれない」薬や治療をされたら、困っちゃいますよね。
効く治療して~!ってね。
そんなのは、ただの、おまじないです。たまたま、その人自身の力で、良くなったんだと思います。たまたまね。
命のかかわる病気の話は、ちょっと置いておいて、
私たち美容医療をしている医者が求めるのは、ある程度なにかしらの効果をお約束できる治療や薬です。
その約束の裏には、ちゃんと科学的な実証があるものです。(実証の信憑性など細かい問題はいろいろありますが)
でないと、患者さんに、約束できませんから。「たまたま」では、医療は困るんです。
個人差ありますが、ちょっとでも少なくなるように、少しでも早く良く効くために、いろいろと検証したり、検証されているものを取り入れているわけです。
科学がキライな方は、クリニックには来ないで、頑張って、おまじないを続けてください。
個人の自由ですから~。
おまじないは、心の支えにはなりますが、大きな期待はされないほうが。。。所詮、おまじないですから。
(美容医療でも、あまりに大きな期待は禁物だというのに)
チチンプイプイ~♪