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  • 院長
    柴 亜伊子
  • 京都四条 あいこ皮フ科クリニック

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「ノビエール」っていう注入剤、知ってます?

すみません、私、勉強不足で知りませんでした。

っていうか、ちゃんとした商品以外は、そうそう普通のルートでは耳に入ってこないのでは?と思いましたが。。。

だって、学会でも表だって、議題に上がらないし、メーカーのほうもセミナーとか、あんまり開かないし。。。

知っている方は、どうやって知って、仕入れるんでしょうね。

怪しいメーカーからは、頻繁に、怪しい医薬品(?)らしきものが、ものすごく安い値段で(正規ルートよりも)、勝手にFAXで流してきます。

着信拒否をしたいのですが、やり方がわからなくて、いらん情報が垂れ流し式に、勝手に送られてきます。

パッと見て、そういうものだとわかった瞬間に、即捨てていますが、そういう中に混ざっているんでしょうか。。?

どうして、知ったのかというと、今日、学会の分科会が主催されている共済会からメールで注意喚起が送られてきたんですが、そこに、この「ノビエール」のことが書いてありました。

平成24年・25年と、このノビエールの注入剤によるトラブルが連続しておこり(日本の話ですよ)、アメリカでも数多く訴訟になっているそうで、こちらの共済会も、クリニック側が使ってなにかあっても、共済会は責任も味方もしません、という注意喚起でした。

この「ノビエール」、一体何?と思って検索をかけても、ハイドロキシアパタイト含有製剤(ちゃんとした商品であれば、レディエッセ®ですが)っぽく書いてあるサイトが多く、FDA承認だから大丈夫という触れ込みで、しかもレディエッセ®よりも安くて、優れているような、かなり一方的な話が載っているサイトだらけでした。

(こういうことを載せているのは、ノビエールを売りたいクリニックと、そのクリニックがスポンサーである、広告サイトか、流行っているから(流行っていたのか?!)なんでも載せちゃえ!的なサイトか、そんな感じを受けましたが。。)

英語で検索はかけていないので、真偽はわかりませんが、共済会の話によると、そういう持ち上げサイトには載っていない話だらけで、ちゃんとしているモノであれば、たまたまということもありますから、そこまでの注意喚起って、出ないんですけどね。。

よほどのことかな、と。。

共済会によりますと、このノビエール、ハイドロキシアパタイト製剤とは、違うようですよ。

FDA承認と言っても、レディエッセ®とは使い方が違うようですし(顔の美容には使われていないようです)、成分は、ポリメチルメタクリエイト

が主成分の混合物だそうです。

これは、吸収されることなく、永久に体内にたまり、後日肉下種を作るのを誘発させると多数の報告があり、顔などの美容医療に使って訴訟となった報告が多数見られるそうで。。共済会も、問題視したようですね。

本来であれば、FDA承認薬剤であったり、治療であったり、またFDA承認でなくても、学会(というか業界として)で当たり前のように使われている薬剤や治療であれば、いたしかたない医療事故はどうしてもゼロにできませんから、そういうなにか起こった場合、共済会に入会していれば(保険料のようなものを毎月お支払しないといけません)、共済会でたすけてくれるシステムです。

(美容クリニック・自費診療をされているクリニックは、まだ入っておられないのであれば、必ず入りましょうね。おかしなことばかりしていたら、入会を断られたりして。。)

共済会が見捨てる薬剤や治療ということは、そんなものは使うな!ということだと思います。

(使ってなにかあった場合、自分だけで責任をとらないといけないわけです。誰も味方になってくれないということです。

これは、美容医療をしている開業医からしたら、学会を敵に回す行為というのは、かなりツライと思います。勇気もいるでしょうけど。。

もちろん共済会に入って入れば、何をしてもいいというわけでもないし、共済会が認めているものであれば、なにをどうしてもいいというわけでもありません。最低基準の話です。)

情報が全然ないので、なんともいえませんが、共済会情報から判断すると、この「ノビエール」、レディエッセ®とは似ても似つかぬもので、アレルギー反応が出る可能性ももちろんありますし、あのTVでやっていた扇風機オバサンでしたっけ?あそこまでひどくなくても、いわゆる肉芽種を呼んでくる可能性があるわけです。

顔の肉芽腫は、消えればいいですが、消えない場合、ホントに最悪です。。。自然に治ることはありませんし、治療したとしてm治療しきれるわけでもないです。治療をするのに、えげつないキズアトが余計につく場合もあるでしょうし。。まあ、最悪です。。

共済会の感じからしたら、私は、「これって、アクアミドみたいなもの?」と思いましたが。。。

(アクアミドも、もちろん共済会は認めていません。ある程度当たり前にやれていた時代、(10年位前?)は、確かに全盛でしたから、その当時入れて、何かあった分は共済会でカバーもあり得るかもしれませんが(やっていたクリニックも多かったでしょうし、今ほど、(って、かなり前ですけど)問題視されていなかったから)

まあ、今の時代、アクアミドをまだ使っている(患者さんに勧める)クリニックで、まともなところはないんじゃないでしょうか。

体の中に入れる場合、完全に吸収しない限り、取り出すことはできません。

取り出すなら、周りも含めて、ごそっと大きく切り取るしかないでしょう。(ものすごい傷跡でしょうけど。。)

患者さんの中には、簡単にしか考えていない方も多いようで。。(というか、何も考えていない)そんな都合のいい話があるわけないです。

私は、大学にいた時、シリコンの液体を鼻に注入されて、全身にアレルギー反応が出た患者さんを受け持ったことがあります。もちろん、鼻にも反応はひどく出てました。鼻の周りは、切り取れるだけ切り取られました。

(いわゆる、ヒトアジュバント病というヤツですが。。英語で学会発表も論文も書きましたよ。懐かしいですね。もうすっかり、論忘れてましたが。。。。。14,5年ほど前の話ですが。。

もうあまり教科書にも載らなくなりましたね。。昔の話だから。昔は、こういう病気、というか、美容医療のせいの副作用の病気が多かったです。ひどかったようですから。。)

吸収しないモノ(シリコンでも、コンタクトレンズでも)を固体の塊でいれる分には、あまり問題ってないんですが、液体はいけません。

いろんなところに入り込むし、下手したら、血管の中に入って、全身回っちゃうんです。。

たまたま、今FDAに承認されていないだけで、もうすぐ承認が取れる薬剤もあるでしょうし、承認がなくても(メーカーが申請しなかったら、取れないでしょうし。お金もかかるようです。)、学会の偉いドクター方も大勢当たり前のようにつかっていらっしゃる薬剤もあるでしょう。

新しいモノも、どんどん出てくるでしょうけど、顔の中に入れてしまう注入剤に関しては、そんなに最先端のモノを入れなくても、スタンダードなもので様子を見て、安全性などがある程度わかってからでいいんじゃないでしょうか。

違いと言えば、「持ちの良さ」が多少変わるくらいで、(値段もでしょうけど)、ムチャクチャ持つ、となったら、それはそれでおかしくないですか?なんで?とならないと。

ホントに大丈夫なことが証明されていて、しかも尋常じゃないくらい持つ!(ひとつの目安は、レディエッセ®を超える、でしょうか)というのがあったら、医学は進歩したんだな~、と思いますが、そんな魔法みたいなもの。。魔法が覚めたら、どうするつもり?魔法じゃなくて、呪いかもしれないのに?

欲深いと、悪徳クリニックの餌食にされるだけですよ~。

デメリットのない注入剤はありません。(そんなの、世界中のみんながするよ!)

クリニックのHPじゃなくても、いかにも第3者機関ぽい、一見公平そうな美容医療を紹介するサイトって、今、とても多いかと思いますが、ただで運営できるわけないじゃないですか。ボランティアでもないし、サイトの維持にはお金も時間もかかるわけです。

なので、スポンサー(クリニックや企業など)がいるわけでしょう~。

そういうのを見抜けないなら、仕方ないです。

社会勉強代と思って、痛い目に遭っても、誰も止められませんから、自分で気づくなり、きをつけないとね。

まあ、そういうサイトで、楽しく簡単!便利!安い!みたいに書いてあるから、信じちゃ、そりゃ、イカンでしょ~。

相手は巧妙だし、プロですから、自分で気づくしかありません。

主流じゃない注入剤は、様子を見てからにしましょう、とりあえず。他のして、吸収する間に考えても、遅くはないはずです。