うちに来られる患者さんの中で、いわゆる「オーガニック化粧品」を使っておられる方、結構な割合でいらっしゃいます。
その理由は、「肌に優しいと思ったから」というものです。
でも、ホントに肌に優しいんですか?
。。。なんでそう思うんでしょう。。?
前にもオーガニック化粧品のことって、何度か書いていますが、もうイヤになるくらい詐欺まがいの化粧品が多くて、もうどっからツッコんでいいんだかわからないくらい、アチャ~っというHPで、でも、これで騙されちゃうわけね、とあきれるやら、相手の販売戦略にホホー!と思ったり(はっきり言って、どこも似たり寄ったりで、みんなどこかのマネで、イメージ戦略です。中身は何もないことも多いです。)、大半のモノがあまり近寄りたくないです。変な新興宗教みたいで。。どれも似たりよったり。。
オーガニック化粧品と言っても、ピンキリであります。
いわゆる老舗ブランドいうヤツは、私もモノによったら、人生で買ったこともありますし、パンフレットを読んだこともあります。モノによったら、使ってもいいのかも、と思うものもあります。
比較的主要都市には店舗があって、オーガニック好きなら大体の方が知っているような、昔からあるブランド。
日本発祥ではなくて、ヨーロッパ発祥のブランドが大半かと思います。
で、うちに来られる患者さんの中で、こういう老舗を使っておられる方というのは、あまり、というかめったにいません。
「オーガニック」という看板を前面に出して、急成長しているベンチャー企業が出した化粧品を使っている方が大半です。。。
これまた、なんで。。。?
「オーガニック化粧品」という響き、つい買いたくなる気持ちわかります。
だって、そういうふうに、新しく発売した企業が、いかにも「肌に優しく、地球にも優しく、しかも素晴らしい!肌本来が持っている機能を引き出します、なんたらかんたら。。」
まあ、ホントだとしたら、そりゃ素晴らしいでしょう。
でもね、地球に優しくても、人間に優しいとは限りませんし、肌に優しいというのも、またこれ、全然関係ないことです。
食べられるモノと皮膚に使っていいモノは、全然違うのです。
漆なんて、皮膚かぶれるでしょ。桃やパイナップルとか果物の汁が口の周りの皮膚につくと、痒くなるでしょ。赤くなって、皮膚炎を起こすこともあります。
食べ物の汁というのは、皮膚をかぶれさせることが多いです。
だって、気持ち悪いでしょ?肌についていたら。なので、みなさん、すぐにふきますよね。体の防御反応ですよ。つけっぱなしにしていたら、ダメなことを体はわかっているのです。
里芋なんて、皮向く途中で、すっごい皮痒くなるでしょ。
いわゆる「アク」が、皮膚にとってはダメだったりします。
「アク」は食べる時も、苦味とかあまりおいしくない時もありますが、そこには栄養がたっぷり入っていることもあり、それはそれぞれの食べ物によって違います。
良い時も悪い時もあるし、目的によって違います。
科学的に作ったものはダメで、天然に存在するものなら安全、なんて、なりませんよ。
人工的に作ったヒアルロン酸なんて、アレルギーを起こす可能性なんて、ムチャクチャ低いです。人間の皮膚にも存在している成分ですしね。なんかの葉っぱや花のエキス塗るよりも、ずっと良かったりします。
老舗というか、オーガニック化粧品でよくあるのが、小麦とか何かの外皮を使ったスクラブ剤です。
いつの時代ですか、って感じですが、そんなもので肌を洗ったら、皮膚は傷だらけです。今すぐ捨ててもらっています。
スクラブがなくても、天然のピーリング剤(ピーリング作用のあるもの)がたっぷり入っていることもあるし、それを塗って、紫外線に当たると、かぶれてシミになるものもあります。
柑橘系オイルは、紫外線にはあたらないようにとよく言われています。
ローズオイルだって、かぶれる人はかぶれますよ。
天然だから大丈夫というものは存在しないし、誰にでも合うものはありません。合う合わないは、成分が優しいとかダメとかとは別に、誰にでもあるんです。
アロマオイルも、嗅ぐのは良くても、肌に塗るのは、かぶれやすかったり、なんでも混ぜればいいというものではありません。
オーガニック化粧品の多くが、ハーブだったり、葉っぱや花だったり、なんかイメージがよくしてあるというか、「自然」=「安全」という考えそのものを、まず止めないと。
安全でないものもたくさんあるんです。
そもそも、オーガニック化粧品を使っている人は、野菜でもなんでも、無農薬・化学調味料無添加で暮らしているんですかね?
暮らしている、という方は、そりゃそうですよね、そりゃ、化粧品もオーガニックですよね、と思います。
ただ、こういう方は、老舗のちゃんとしたオーガニック化粧品を使っておられますし、そういうお店で売っているモノしか使われません。あるいは、手作りか。
(純石けんだけで、何も塗らない、という方もいるでしょう。石けんも使わないかも。)
オーガニック化粧品の説明で書いてあるのが、化粧品の原料も無農薬のほうがいい、という一文が多いです。
残留農薬が非常に気になる方、化粧品なんかよりも、普段口にしている野菜のほうがよほど農薬摂取の量は多いですよ。多分ケタが違うくらい。
化粧品なんて、原料から、その成分だけを取り出すわけですから(普通は)、原料そのものの原液を皮膚に塗るわけではありません。原液のことから考えると、かなり薄まっているはずです。
食べるモノは、添加物まみれなのに、なんで、化粧品だけこだわりますかね。
だから、そういう、おかしなメーカーのを買っちゃうんですよ。イメージだけを重要視するから。
また、植物を育てたことのある人はおわかりでしょうが、無農薬で育てるのって、品種によったら、とても難しいですよね。虫はつくし、葉っぱは食べられるし、なんか病気になるし。。。世話も大変です。
「オーガニック化粧品」の原料である植物が、一体どこまでの「オーガニック」にしているのかしりませんが、みなさんのイメージ通りの畑で、果たして育てているんでしょうか。。?
野菜でも、有機野菜や減農薬で育てるのも大変で、どんどん使っていい畑もどうしても減ってきます。
世話も大変で、人件費ばかりものすごくかかりますから、有機野菜・無農薬野菜・減農薬野菜など、とても高いです。季節によったら、手に入りません。
畑の確保と維持が、ムチャクチャ大変だと思いますよ。
老舗のオーガニック化粧品は、昔から、ずっと守っておられる畑はお持ちかもしれません。
それだけ、安定して、長年供給してきているわけですから、それだけのノウハウはお持ちでしょう。
でないと、それだけ長年世界中の多くの方に支持されていく、というのには、何か理由があるはずで、それを疑い出したら、もう何も使えない、というのもありますね。
おかしい企業というのは、自然淘汰されていくことも多いです。
商売がヘタで潰れちゃった、という場合もあるでしょうけど、長年(10年20年どころではないでしょう)続いているので、消費者の信頼はある程度得ているんだと思います。
メーカーにもよりますが、また、商品にもよりますが、患者さんが使っていて、肌にトラブルがなければ、私から止めることはありません。
でも、ここ数年とかで立ち上げた会社で、そんな簡単に、しかも大量に、「オーガニック」な材料が用意されていらっしゃるんでしょうか。
急成長している会社って、経営者の手腕がスゴイんだろうな、とは思いますが、やり方がウマいといいますか、そういう意味では経営者の鏡なんでしょうね、でも、化粧品に限って言えば、急成長しているから、たくさん売れているから、肌に優しいわけではありません。
「茶のしずく」の石けんも、カネボウの美白剤も大変なことになりましたよね?
起業してから時間が立てば経つほど、使っている人が多くなればなるほど、かぶれたり、合わない人も、人数は多くなります。
なんでもそうです。
合計の人数が増えるわけですから。
多くの方が使えば使うほど、何かあったら気づきやすいです。
まだ、老舗でないところは、年数が少ないので、被害者が少ないのかもしれないし、これから出てくるのかもしれません。
出ないのかもしれないし、出てくるのかもしれません。
新しく企業した化粧品会社が絶対ダメというわけではありませんが、今までの多くの老舗のメーカーに勝てる・あるいは同等に戦えるだけの、何かがあるのか、と言われたら、まだ未知数だと私は思います。
使いたいなら、使ったらいいですが、どうして、そこまで、最近注目されたのを、信じ切るのか、それは危ないですよ。
「オーガニック化粧品」は、コンセプト自体は、素晴らしいもので、中には、いい商品もあることもあるので、使いたいなら使えばいいんですが、それなら、老舗ブランドから入門したらいいと思うんですけどね。
どうして、こういうのは買わないんでしょうね。。