アドベンチャーワールドの続きの前に、ちょっと「冷え症」のお話し。
「冷え症」ってなんでしょうね。
女性には、「冷え症」の方、すっごい多いです。
でも、細かく話を聞いてみると、「冷え症」ではない方も多く、例えば、冬で寒いのが冷え症と思っている方も、たまにいて、「それ、誰でも寒いですから。。」と。
「寒い」=「冷え症」ではないんですよね。
具体的な定義というのはないと思います。
どっからが治療対象なのか、そもそも病気なのか、という話にまで戻るわけですが、例えば、「冷え症」で普通の総合病院に行った時、一体どこの科に行くように言われるでしょう。
私もわかりません。病院によって違うのかも。
漢方専門外来があれば、とりあえず、そこに行くんでしょうか?どうでしょう?
「冷え症」の原因があって、それが検査などで見つかるとか。
例えば、血管の病気ですね。
脚に行く血管が詰まっているとか、膠原病とか体の中から来ている病気があって、それに関連して血管に炎症が起こっているとか。
血管外科があれば、そこに受診?膠原病内科?それとも、皮膚科?整形外科?
総合診療科?
これも、各病院によって、それぞれの科の専門分野というか、診れるドクターがいるのかどうか、自分のわかる範囲は異常はなかったけど、それ以外の範囲については、他科に紹介するのかどうか、というのも、病院・ドクターによって、実は全然違うのです。。。
(これは、ホントにHPを観ただけでは、わかりませんね。。。医者である私から見ても。。)
まあ、仮にどこかに受診したとしましょう。
何科であったとしても、その診てくれたドクターがとりあえずの検査は一通りして、何も異常がなかった場合。
何も異常がないというのは、大変喜ばしい話ですが、そうなってくると、手術も薬もいらなかったりするわけで、「何も異常はありません。様子を診てください」と帰されてしまうことが多いかなと。。
患者さんの中には、「冷え症」を病気と思っていない方も実は大勢いらっしゃって、体質というか、仕方ないもの、と思っていらっしゃる方もいるようです。
それと同じように、医者側も、病気とは思っていなくて、我慢するもの、仕方ないもの、治療はありません的なモノ、と処理されてしまうことも多いです。
こういう時に、漢方薬や塗り薬などを使うことが私は多いですが、ひとつの症状に対して、どういう薬をいくのか、というのは、医師一人一人みんな違います。
漢方をあまり使わない医者もいるし、この辺は好みがわかれます。
東洋医学はさておき、西洋医学では、検査で何も異常が出ていない場合に、処方して効く薬というのがあまりないのが現状です。
これなら飲んでみる価値があるかなと思っていても、保険が通っていないため、処方できないとか、西洋医学と日本の保険診療の限界というか、一般病院は、自費治療ではなくほぼ全て保険診療ですから、保険で使えるモノ(ウソ病名などを書くのではなく)というのは、数も限られているし、それが患者さんの症状を改善させてくれればいいんですが、効かなかった場合に、ホントに出す薬がなかったりします。
そうなってくると、(あやしい市販の変なモノを買うんじゃないですよ)、日常生活の指導とか、見直しくらいしかなくなってくるんですが、一般病院で、なかなかそんなことを確認したり、指導して話を聴いている時間はないでしょう。。実際、聞いてもらえないことも多いと思います。
(話をいくら聞いても、診察料というのは、保険診療では同じですから、長く聞いていたら、コストも上がらないし(再診料というのは、安っいですから。)、外来は終わらないし、待ち時間が長いとクレームは来るしで、一般の病院経営からしたら、それを求められると、ちょっと勘弁してください、となることが多いと思います。)
患者さんの処置をしている時に、体調のこともいろいろお伺いすることが多いですが、その時に、「冷え性」について、私から聞くことも多いし、相談されることも多いです。
よくよく話を聞いて、問診と触診・視診などで、いわゆる「冷え症」だった場合ですね、
程度によって、日常生活の上での注意事項(そりゃ、冷えますよ~、ということをされている方も多いのです)、飲み薬や塗り薬などを、どこまで使うのか、使ってみたいのか、使ったほうがいいのか、などで、治療をする場合は、提案をしています。
保険でできる範囲のこともあれば、保険適応外の薬まで使う場合(全て自費になります)もあり、ホントに程度の差によります。
それで、良くなったら、良かったですね。
でも!
中には、症状の程度が、ひどい方がいて、重症の「冷え症」というか。
患者さんの脚で、完全に紫色とか、ものすごく冷たいとか、立っているだけで脚がしびれてくるとか、すぐにだるくなって、立っていられない、とかとか。
症状を聞いてるだけで、ちょっと同じ「冷え症」とは思えないこともないですか?
この中でも、色だけとか、冷たいだけ、というのであれば、皮膚(皮膚科)だけの問題でいいかと思いますが、「しびれる」とか「だるくて立っていられない」とくると、検査しなきゃ!と私は思います。
こういう症状=「病気」ではないですが、こういう中に、「病気」が隠れていることがあります。
こういう症状を、「レイノー」「レイノー症状」と呼びます。
その「病気」のせいで、脚や冷え症だけでなく、全身に不調が起こっていたり、と全部繋がってたんや!ということもあるので、そこまで病気じゃないだろうな、と思っていても、「異常ではないことを確認する」というのも大事だと思います。
検査というのは、異常を見つけるためだけにするのではなく、「今は大丈夫」ということを確認して安心するためにもあると思うんですよね。
トゥルースカルプやAC BODYをされる方は(脚などの脱毛もそうですが)、脚を診る機会が増えますから、何か見た目で異常があれば、私からツッコみが入るので、症状などの自覚症状も確認させてもらいやすいです。
トゥルースカルプの前は、カルテ用の写真を撮るだけでなく、サイズを測ったりするんですが、その間も立っているのがツライとか、しびれるとか、脚がだるいとなると、(こういう方の脚は、紫色だったり、暗い赤紫色とか、綺麗は健康的な肌色ではありませんから、すぐに気づきます)、やはり何かおかしい。。。
とりあえず、漢方薬と塗り薬を処方したら、良くなって、患者さんも真夏は、暑いから、と飲むのをお休みされるくらいになってました。
漢方などがよく効いているので、そこまでの異常がないんだろうな、と思いますが、ここまでの症状であれば、機会があれば、一度ちゃんと検査してもらいましょう、ととある大学病院(注・京都ではありません)の皮膚科に紹介状を書きました。
血液検査もいるし、下肢の血管について検査もしてほしかったからです。
どの科に行くのか、地元でもないし、どこがいいのか、土地勘も私もなくて、病院によって、何科がいいのかわからなかったので、血管外科もある大学病院に決まったわけです。
(この大学病院は皮膚科でいいのか、かなり迷いましたが、漢方も効いているし、大きな病気は多分ないんだろうなと予測の元、私が大学で皮膚科をしていた時は、こういう患者さんが来られたら、膠原病のチェック(といっても、まずは血液検査ですが)と脚の血管の状態について、何らかの検査をオーダーする、それで異常があれば、専門科に紹介する、という感じで、そう習ったと思いますし、実際やってました。
何も異常がなければ、膠原病疑いでも、内臓に問題がなければ、皮膚科でフォローしていたし、塗り薬・飲み薬で様子を診ていたと記憶しています)
で、その方が、その大学の皮膚科に紹介状持参の上、受診すると、ストッキングを脱ぐこともなく、ストッキングの上から、触られただけで、すぐに膠原病内科を紹介されたそうです。なんの説明もされていないとのことです。
膠原病内科では、血液検査をされて、後日受診して、異常はなく、(膠原病内科から、異常もないのに、血管の検査のオーダーをかけることは、あまりないと思います。。)、それで終了だったそうで。。。
紹介状の返事もなく、詳細は不明です。患者さんは、「私が、「血管の検査いらないんですか?」って聞かなかったから、検査してもらえなかったのかも。。言えばよかったですね。」とシュンとされていたので、(紹介状に、原因の精査をお願いしますと経過とともに書いたんですが。。)、患者さんの責任ではなく、診る医者側の問題だから、と説明しました。
「血管外科に行った方が良かったですか?」と聞かれましたが、血管外科も、心臓などの大きな血管専門で、下肢の血管、しかもおそらく重症ではないような、「冷え症」で済んでしまうかもしれないようなモノは診てくれないことも多く、下肢の血管を専門で(冷え症も含めて)されているところって、少ないというか、一体どこにあるんだろう、とわかりません。
HPに出していないだけで、普通に診てくれている病院もあるし、それが血管外科なのか、整形なのか、皮膚科なのか、内科なのか、ホントにわからないんですね。
ちなみに、こちらの大学病院の皮膚科、あまりの診察だったので(ストッキングすら、脱がさないなんて。。皮膚色も皮膚の硬さも冷たさも、何もわからないでしょう。。)、こういうことはされていないのかな、ともう一度HPで確認すると、専門の内容のところに、ちゃんと書いてあったんですよね。。。
紹介状の書き方が悪かったんでしょうか。。内容がわかりづらかったんでしょうか。。
とりあえず、漢方等が効いているし、飲んでいるとかなり改善しますから、ここなら検査をしてくれる!とはっきりわかるまで、受診は止めておきましょう、となりました。。
また別の患者さんで、レイノー症状がひどく、ホントに真紫色で、ものすごく皮膚温が冷たくて、そのせいで、おしり~太ももにセルライトがすごくついてしまって、患者さんは、サイズダウン目的でトゥルスカを希望されて受診されました。
「冷え症」の自覚は持っておられたんですが、治療対象とまでは思っておられなくて、我慢するしかないと思っていたそうです。
幸い、この方も漢方がとてもよく効いたので、それ自体は良かったんですが、レイノーがハンパないので、機会があれば、血液検査も含めて、血管の検査をしておいたほうがいいですね、とい話をしてました。
で、たまたま私が、そういう「冷え症」も含めて、下肢の血管障害系専門のクリニックを見つけて(そこのドクターとの面識はありません)、HPやパンフレットを見て(わざわざ「冷え症」と書いてあったので)、そこのドクターがいいかどうかはわからないけど、こういうクリニックがあったから、検査とかしてもらえるかも、という話をしてました。
その話をして、次回来られたら、紹介状を書いたほうがいいのかな、と思っていたら、その間に受診してきてくださったんですが。。。
病気扱いもしてもらえなかったそうで。。。「そんなの異常じゃないから、検査もいらない」と言われたそうです。
患者さんが一生懸命言ってくださって、そのドクターはしぶしぶ検査をしてくれたそうで(血液検査はなしです)、幸い異常はなかったそうです。
(これは、一安心でした。血管の異常を一番心配していたので)
異常はないと言いつつ、こちらが出していた漢方(症状は落ち着いていたんですが。。患者さんも漢方で良くなったと言われたそうなんですが)を全て止められ、新しい薬(血管拡張剤でした。。適応はもちろんありません。)を処方され、この薬がまた患者さんには全然合わなくて、頭痛と吐き気だったか、2回くらい飲んで中止され、漢方に戻されたそうです。。。
異常はないけど、せっかく来たんだから、と薬を出してくれたのか、その辺はわかりません。
下肢静脈瘤のレーザーをメインにされているようで、静脈瘤でないなら、「冷え症」の症状があっても、関係ないようでした。それなら、「冷え症、ご相談ください」と書かなきゃいいのに、と思いますが。。
それで相談しても、「異常じゃないから、検査もいらない」と言われたら、一体どこに紹介すればいいのか。。
下肢静脈瘤を専門でしているドクターでも、そういう相談にちゃんと乗ってくれる先生もいるでしょうし、のらない先生もいると思います。
でも、どこに、そういう先生がいるのか、1軒1軒患者さんに行ってもらって、探すわけにもいきません。。。
うちで、血液検査はできますが、下肢の血管が検査できないんですね。
血管エコーを買って、一から勉強しようか、とちょっと考えましたが、そんなちょっとやそっとで、勉強がプロ並みに終わるわけもないでしょうし、検査がちゃんとできないと、正しい診断もできないわけで。。
下肢の血管に問題がないか、診てほしいだけなんだけどな。。(と、血液検査と)
ぶっちゃけ、検査してほしいだけなんだけど。。
で、検査を、他の病院に、検査だけ依頼することにしました。
(これは、前に医師会の先生に相談した時にも言われたことでした。どこに紹介したらいいですかね~、どこかご存知ですか?と聞いてのです。)
レイノーじゃない方が、そこまで検査する必要はありませんが
(他に異常があれば、検査したほうがいい場合もあります。ケースバイケースなので、こればっかりは、診察しないとわかりません)、
これは、ただの、「冷え症」ではない、と判断した場合、検査だけ他院に行っていただくつもりです。(あくまで、ご希望の方ですが、勧めた場合は、しておいたほうがいい場合ですから、行ってくださいね)
こういう、患者さん側も医者側も、病気なのか病気じゃないのか、線引きがあいまいな症状の時が、患者さんからしたら、一番大変かもしれません。。一体、どこなら診てくれるのか。。
漢方なら全て解決というわけでもなく、西洋医学と東洋医学のいいとこどりを症状に合わせて使えると一番いいですね。
保険の薬だけでは限界もあるので、そのへんもどこまで使うのか、お金の問題もあります。。
また、はっきりした原因がない場合、漢方にしろ、他の薬にしろ、合っているのか、合っていないのか、一緒に経過を診て行かないといけないので、患者さん側にも根気がいります。
症状が落ち着いて、合う薬が見つかるまで、定期的に通っていただく必要もあるでしょうし、なにより、今までの経過を詳細に教えていただく必要もあります。
症状の説明等も、主観で、決めつけるのではなく、客観的にみて行かないと、いつまでたっても、隠れた原因や対処方法がわからなくなります。
経過の長い症状で、結構大事なことって、「客観性」だったりすることがあります。
これが難しいことが女性には多いようで、ここはひと踏ん張りですね。患者さん自身に頑張ってもらわらないと!
「冷え症」でお悩みの方は、処置中にとりあえずご相談ください。