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  • 院長
    柴 亜伊子
  • 京都四条 あいこ皮フ科クリニック

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情報をどこまで信じるのか?シリーズの続きにもなるんでしょうけど。

栄養療法(オーソモレキュラー)を始めて、改めてサプリメントのことを勉強していろいろ知りましたが、化粧品同様、市販のサプリ(どなたでも自由に(医師の診察・カウンセなく)買える)で、私が勧めるものはほとんどありません。

商品によったら、もったいないから、止めさせるほどではないけど、無くなったら、もういりませんよ、というモノならあります。

市販のサプリって、ごくたまに行くドラッグストアで、今、こんなのが売り出されてるのか~、と見かけることはあっても、ネットでサプリの情報(一般のね)なんて、検索もしませんし、広告で見かけてもクリックしませんから、私は遭遇することがほとんどないんですが、時々患者さんが飲んでいて、名前を聞いて(一応調べますから)、初めて、こんなのが売っているのか?!と仰天することもしばしば。。。

先日、かなりの重症の冷え症の患者さんがいらっしゃるんですが、下半身が紫色で冷たく、冷え症というより、レイノー症状で、検査した結果は動脈などの血管には異常がなかったそうで(他院での検査なので、確認したわけではありませんが)、自律神経の問題もありますが、漢方薬を処方しました。

漢方薬がよく効いて、重症の冷え症から、ちょっとひどい目の冷え症くらいにマシになりました。

患者さんは、今までのことを考えれば、とても満足していらっしゃいましたが、まだまだ、いわゆる「普通」のところまで行っていないので、本当はもっとまだ極楽があるんですよ、とお知らせしたくて、いろいろ考えて同じ漢方を増量しました(この方は保険診療です)。漢方は、症状により、適宜増減が許されています。

倍量にしたら、かなり良くなりましたが、まだそれでも、「普通」まではいっておらず、でも患者さんもかなり楽になったようで、しばらくは頑張って飲んでおられましたが、漢方倍量って、結構飲むのも大変です。

なにか他に(保険の範囲内で)できることはないかと、漢方をいろいろ調べたりして、次にこれを足してみようか、といくつか候補を見つけてきて、取り寄せたりしていた矢先、ちょっとだけ暖かい日が増えてきたら、患者さんも漢方の量を減らしたりされていて(その分、また皮膚色は悪くなってましたが)、まあ、自覚症状がひどくなっていないので、仕方ないかと思いますが、患者さんも倍飲むのって大変ですからね、だから他の方法も考えないと、としていたら、「これからは、漢方に頼るんじゃなくて、もっと自然にやっていこうと思って、サプリを飲んでます!」と、なんか生姜のサプリだそうで。。。

。。。腰がくだけそうになりました。。

私も冷え症の方には、生姜を使った料理を勧めますし、生姜ブームがここ何年かきてましたから、生姜料理本もたくさん出ていたし、そういうのはいいと思いますよ。自然ですよね。

でも、サプリ。。。生姜の。。

。。。「それ、どんなのですか?」

なんでも冷え症の方が教えてくださったそうで、その方曰く、「とてもいい!」そうで、(でも、その方もそれを飲んでいても、靴下も2枚履きで、何がどう良かったのか、よくわかりません。。。冷え性は結局そのままのようで。。)、ご親切に、ちょっと分けてくださったそうで、「これ飲むと、胃に入ったら、カ~っと熱くなるんです!これ、買って飲んでもいいですよね!!」と。。。

。。。「それ、持続力はあるんですか?」

「飲んだ時は、カ~っと熱くなります。」

。。。。「それ、おかしくないですか。飲んですぐに、胃のあたりがカ~っ!となるなんて、絶対におかしなもの入っているんじゃないですか?本当に効くんだったら、持続力があるでしょうし、その勧めた方が変わっていないというところが、効いていない証拠では?中に何が入っているんですか?」

「見たけど、わかりませんでした。持続力は、よくわかりません。」

持続力がある、というなら、市販のサプリであっても、へえ~?!(効くわけないから)と意外に思って、調べた後、飲んでいいですよ、とするかもしれません。

(漢方っぽいものが入っている場合とかがあるので。そりゃ、効くわな、という場合です)

でも、いきなり、カ~っ!って、胃の粘膜、焼けているのでは?

要は、なにか粘膜を刺激する成分が入っていて、ごまかしているだけ、ということが圧倒的に多いです。

簡単にいうと、唐辛子みたいな。

そこまで胃の粘膜を刺激するものが、果たして、患者さん(というか、みなさんの)のいうところの「自然」なんでしょうか。

おかしくないですか?

生姜を料理で食べる分には、さすがに限界があります。

だからこそ、よほど極端な料理を食べない限り、口から入る食べ物は、まあ、「自然」です。

でも、生姜のサプリということは、まあ大体乾燥させて粉末にしているものを大量に摂るってことですよね?科学的に成分だけを抜いてきたもの(薬みたいに)ではないんですよね?

何十個の生姜の粉末だか知りませんが、何十個を大量に一度に胃の中に流し込むのは、果たして「自然」ですか?

それって、胃や腸の粘膜は、ビックリしないんですかね?

例えば、日本の漢方ですが、何百年っていう歴史があって、これは中国の漢方とは全く別物で(最初に伝わったのは、中国漢方でしょうけど、それからアレンジされてきたのです)、日本人が日本人のために調合してきて、この組み合わせが最高!と作り上げてきたものです。

冷え症に、生姜の入った漢方がありますが、たくさんの種類が入ってこそ、生姜単独よりも、効果があって、どれか1種類でも欠けたら、効果はかなり落ちてしまうんです。

それくらい、日本の漢方の調合・組み合わせ方は、完璧なんです。

しかも、病状によったら、そんなものが保険診療で処方してもらえるなんて、こんな素晴らしい国はないですよ。

世界に誇る、日本の漢方です。

私の勉強不足で、患者さんにドンピシャ!で合う漢方を処方してあげられないのは私の責任であって、そんじょそこらの生姜のサプリが、日本の漢方に勝てるわけがないっ!!と鼻息を荒くして、訴えちゃいますっ!!

例えば、「一味唐辛子」ですが、「七味唐辛子」のほうが体を温める作用があるはずです。「一味」だと、ただ唐辛子だけですから、発汗作用は「七味」よりもあるかもしれませんが、タイ料理とかと同じで、唐辛子の発汗作用で、バ~っと汗をかいて、その後、汗は蒸発しますから、その時に気化熱で体温を奪います。

だから、その後、体が冷えるんです。

→タイとか暑い国では、唐辛子料理が多いのです。

体を温めるのは、いろんな種類が入った七味のほうが胃腸の粘膜への刺激も少なく、いいことづくめです。汗をかいたら、冷えてしまうんです。

確か、韓国の唐辛子は、日本の唐辛子と種類が違って、なんか角がないというか、同じ唐辛子でも、マイルドですよね。

韓国唐辛子の細挽き・粗挽きのものを持っていますが、からあげをする時に混ぜたりしますが、ホントの全然辛くないです。それよりは、日本の「八幡屋礒五郎」の七味のほうがよほど辛い。

話を戻します。

その患者さんは、まだ購入はしていなかったので、買うのは止めてくださいました。

今、別の漢方を足して、様子を診ているところですが、ちょっと温かくなってきたので、薬のおかげか、気候のせいかはわかりませんが、次の冬に備えて、今から探しておかないとね。クーラーがかかるようになると、どちらにしろ、冷え症はまたひどくなりますし。

。。。で、患者さんが帰られた後、その問題のサプリ、調べました。

というか、HPを見ただけですが。

なんか、生姜が特別な生姜らしいです。

いろんな生姜で今、ありますよね。

私も生姜が大好きなので、これ、生で売っていたらいいのに。料理に使ったら、おいしそうなのに。

(というか、そんなに、生姜パウダーが欲しかったら、S&Bのスパイスでいいのでは。。)

生姜何個分が入っているのか、HPではよくわかりませんでした。辛み成分?をたくさん入れている誇張ばかりで。。。

しかも!!なんか変わった胡椒がたんと入っているっ!!

そら、胃は、カ~っ!となるわなっ!!

下痢しないのかしらん。。。胃腸の弱い人は、肛門、痛くならないのかしらん。。。

私、消化器内科ではありませんが、口の中も、食道も胃も腸も、粘膜って、そういう刺激はしないほうがいいと思いますよ。

「辛み」の刺激もほどほどにしておかないと。

ホントに「自然」であれば、ポカポカすると思うんですが、「カ~っ!」って。。。

すきっ腹に、アルコール度数のきついお酒を煽ったみたいな?酒やけと同じ?

(ちなみに、喉頭や食道に、高濃度のアルコールに頻回にさらされる機会の多い方は、癌に気を付けられたほうがいいです。高濃度のお酒は、なるべく薄めて、粘膜を刺激なさらないように。。家族のためにも。お願いします。)

HPで確認した事実は、後日患者さんにお伝えしておきました。

生姜のサプリが流行っているみたいで、ソックリさんも山ほど売っているようなので、ブログでみなさんにもお知らせせねば!と思っていて、なかなか書く時間がなかったんですが、今日、他の患者さんで、似たような生姜のサプリを飲まれていました。。。うう。。遅かったか。。。

(長年通っていらっしゃる方なんですが、そんなものを飲んでいらっしゃるとは、全く知りませんでした。。知っていれば、もっと早く止められていたのに。。)

その方は、飲んでもカ~っとならなかったらしいので、商品が違うのか、内容が違うのか、刺激の感じ方の個人差かは、わかりませんが、直接飲むのは止めて、残っている分、料理に使ってみれば?とお伝えしました。

で、漢方を試してもらうことになりました。

(この方も、ストレスで末梢の血管が締っていて、ものすごく手足の指が冷たくなっていて、可哀そうに。。)

ちなみに、生姜のサプリで、「痩せる」という宣伝文句かなんかイメージ戦略があるんですか?

当たり前ですが、痩せません。

生姜で痩せたら、医療なんていりません。生姜農家はそりゃ、ぼろ儲けで、えげつない値段で取引されますよ、市中では買えなくなります。

体を温めて、代謝を上げることは確かに大事ですが、生姜だけで済む話ではないし、代謝を上げる=痩せる ではありません。念のため。。。

ネットの世界で、生姜のサプリで痩せるかどうか検証する、みたいなのをチラっと見たので、あ~あ~、と思ったので、信じる人がいたらいけませんから、書いておきます。

もういい加減、そういう情報に誘導されるのは止めましょう。

話を戻します。

患者さんの話を聞いていると、医者としての力のなさを実感します。

医療への不信感というか、医療=薬=不自然、天然素材のサプリ=自然、となるんですかね。。。

一体、なにが自然なんだか。

イメージ戦略って、アピールする企業からしたら、大成功なんでしょうけど、経営者として、ははーっ!と尊敬はしますが、マネはしたくないな。。。誇大広告ではね。。

「だって、イメージだから、信じるほうが悪いでしょ!ウソはいってないし!!」という態度はしたくないですね。サービスや商品を売る同業者としては。

市販のサプリは、もうすぐえげつない世界に突入かもしれません。。

また詳しく書きますが、いろいろ解禁になりまして。。。どうなるのか。。

真実を知っているかどうか、惑わされないように、「知識の格差」がモノを言う時代になってきました。

かなりの格差社会にもうなっていると思います。。。。こればっかりは、自分で考えるクセがついていないと、お金も体ももちません。。

また書きますが、ホントに、あやしいサプリを飲むお金があったら、その分は、食費に回してください。

もう1品足すお金とか、ちょっと良いモノ(添加物が少ないとか)に変える差額のお金とか。口から直接入れるものに、お金を使ってほしいな~。