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    柴 亜伊子
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ニキビの薬(べピオゲル®)

ニキビ治療薬で、べピオゲル®発売が開始されましたね~。

今まで、BPO(過酸化ベンゾイル)の薬が厚労省承認薬がなかったから、そういう意味では素晴らしいことですが、ニキビについては保険適応がありますので、ニキビ患者さんにとっては、ありがたい話でしょうけど、国全体の医療費からすると、全体の枠は決まっているわけで、その財源はどっから出ているのか。。。医療費の供給源が湧いて出ているわけではないので、その分、また何かが減らされるなり、切られたりした、ということでしょう。。。一体、何の医療費が削られたんでしょうね。。

美容医療をやっていく上で、本当は、厚労省が承認してくれた薬であったり、医療機器であったり、治療を、世界と同じような速さやレベルで、日本国内に広まったら、もっと日本の美容医療のレベルも上がって、正しい情報もある程度一般に浸透できるようになって、怪しいクリニックは減っていくことと思いますが、現状、厚労省の認可が難しく、時間がかかり過ぎているのが現状です。

国内で、ある程度広く浸透するには、やはり、厚労省認可だけではなく、「保険適用」という、ハードルが必要なんですかね。

美容皮膚科医としては、嬉しい反面、難病や命に関わる方の医療費を削減してまで、そんなの通していいのかな、と思ってしまいます。。。認可だけではダメだったんですね。

まあ、余談です。

さて、このBPO配合の塗り薬は、アメリカでは以前からドラッグストアで普通に売っていて、アメリカでは誰でも買えるそうです。

あまりに刺激が強すぎて、日本ではなかなか認可がおりなかったようなことを訊いています。

以前のオバジニューダームシリーズの時から、ドクターオバジの化粧品の中には、このBPOの入ったクリームが売られていました。

実は、このオバジのBPOは優れもので、BPOの結晶が均一で、しかも毛穴よりも結晶が小さいので、ちゃんと毛穴の中まで入っていって、毛穴の中も殺菌してくれるのです。

アメリカで売っている他のBPOは、結晶が不均一で、しかも毛穴よりも大きい!

ということは、毛穴の中には入らない、入っていけない、ということになります。

そこがオバジのスゴイところらしいです。

うちでも、この薬は、個人輸入して取り扱っていますが、めったに使うことはありません。

使い方を間違えなければ、とてもいい薬で、即効性もあっていいんですが(絶対全部に即効性があるわけではありません)、やはり刺激が強いのと、アメリカでは、顔全体に塗るものなので、薬の量が多く、そのため、値段も高いので、どうしても、という患者さん以外には紹介もしませんし、めったに使っていません。ここまで使うことがあまりなかったというか。

で、この承認されたBPOですが、発売元のマルホに結晶の大きさを聞いたところ、企業秘密だそうな。。結晶の均一性なども含めて。

ま、仕方ないですね。

こちらは、顔全体というか、広範囲に塗るのが使用方法になっていますから、濃度から言っても、オバジよりは弱めかな、と。

(でないと、承認や保険適応は無理だったのかもしれませんね。そこまで強い薬が、どれほどの人に(日本人の場合)必要なのか、ということもあるのかもしれませんが。

うちでは、ニキビはほとんど自費です。100%とは言いませんが、混合診療をしてはいけないので、自費になります。

うちでは、ダラシンTゲルもディフェリンも、一応置いていましたが、ほとんど使いません。

年々、ニキビに限らず、抗生物質(化膿止め)を使うことが減っている気がします。

どうしても使わないといけない時は使いますが、セットでとりあえず出すとか、バンバン抗生剤を使うということはしません。

今は、スキンケア(高い化粧品はいりませんよ)と

(スキンケアだけでマシになる方も多いです。おかしな化粧品や若いのにアンチエイジング用とか濃いものを使って、毛穴が詰まったり、炎症を起こしたりして起こっている方も多いです。)

レーザーと医薬部外品の塗り薬(薬とは言わないですが)と漢方薬と。

今なら栄養療法と。これだけ揃えば、完璧ですっ!!(かね?)

全部される方もいますし、一部だけという方もいますし、みなさんそれぞれです。

まあ、いらんことはせんことですね。おかしな化粧品を使わない!まず、これです。

ディフェリンの時もそうでしたが、何の説明もなく、「これ、塗っておいてください」とだけ言われて、塗って、エライ目にあった患者さんが、結構来られました。

どんな薬でも治療でも、「効く」ということは、「副作用」なり欠点があります。

だからこそ、患者さんのまず適応と、使用方法の説明が大事です。

こういうことが起こったら、こうしてくださいね、という説明も必要です。

私はあまり使いませんが、ディフェリンはディフェリンでいい薬なのに、使い方(処方する側の患者さんへの)がまずくて、結果、「きつい薬(イヤな意味での)」「使いたくない薬」となってしまいました。

説明するのがメンドクサイ、というなら、処方するな、と言いたいです。

(ステロイドしかり。)

実際、説明しようと思っているドクターも多いですが、現場ではなかなか時間が足りなくて説明不十分、ということも起こってしまっているのが事実でもあります。

(皮膚科は保険点数が全体に低めなので、薄利多売と言いますか、大勢の患者さんを診ないと、儲からないのです。説明している時間はないのかも?大病院の場合は、仕事が終わらない、ということがあります。どうしようもない悪循環ですね。)

今回のBPO、承認薬でオバジよりも弱めと言っても、今までのちょっとした薬とは違います。

合わない方は合わないし、刺激感を感じる方は結構感じるかも。。

最初はディフェリンの時同様、患者さんも現場も混乱するかも。。BPOに慣れているドクターはいいでしょうけど。

まあ、患者さんの選択肢が増えたことはいいことなので、自分に合った治療を選んでください。

ただし、何をされてもいいんですが、ちゃんと説明を受けてくださいね。

効く治療であれば、都合のいいことばっかり、なんて治療はありません。

他力本願はなんでもダメですよ。保険の薬に全てを求めるのも止めておきましょうね。なんでも限界がありますから、だからこそ、複合治療が美容医療では勧められているわけです。

カテゴリ:

化粧品, 医療