「よくある食事の間違いシリーズ」の途中ですが、ちょっと脱線。
みなさんは、病院やクリニックでもらったり、買ったりしたものって、市販で売っていなかったら、医療用だと思いますよね。
さて、「医療用」って、なんでしょう?
医療者側からすると、「医療用」というのは、医薬品までいかなくとも、医師の処方が必要だったり、許可が必要だったり、ちょっと特殊なモノ。
保険が通っているモノが多いので、市販では売っていないことが多いです。
保険が通っていないモノでも、目的が、「医療」なので、市販では売れないモノが多いです。
あとは、「クリニック専売品」という管轄で、医薬品でもないし、医師の処方が必要なわけでもないんですが、医師が患者さんに使うモノで、市販のモノとは区別されているモノです。
市販で売って、なにか危ないというわけではないモノが多いので、違法というわけではないんでしょうけど、企業と医師・クリニックとのしょうか。
この医薬品でもない、医療機器でもない、というのは、素晴らしいモノから、あやしいモノまでピンキリで、あやしいモノを使われる患者さんからしたら、もちろんたまったものではないんですが、それを選んだのは、医師なわけで、わかっていて使っているのか、ようは使いようと言いますか、あるいは、わからずに企業のいうことをそのまま真に受けて、何も確かめずに使っているか。。。
やっていることは同じでも、中身は全然違う。。。
ここまでくると、患者さんが、それを見破るというか気付くのは、ちょっと無理でしょうし、医師でも専門外となると、全然わからないことが多いと思います。
さて、まどろっこしい前置きはこれくらいに。
先日、とあるセミナーで、とあるフィルムテープの存在を知りました。
患者さんの傷口など、傷が治るまで覆っておく、バンドエイドのもっと進化したモノ、早くキズを治すために工夫されたモノ、値段が高い分、使いやすかったり、防水が効いたり、そのくせ蒸れにくかったり、などなど、商品によって様々です。
部厚めで、浸出液をよく吸ってくれるものもあるし、とても薄くて、目立ちにくくさせてくれるものもあります。
種類によっては、ドレッシンぐ剤と言ったりします。
目的に応じて、使い分けしたり、医師の好みが出たりもします。
単純に、ガーゼなどを止めるためのテープも、医療用となるといろいろです。
薬局でも、似たようなモノが売っていたりしますよね。
似てるモノあるし、医療用のほうがちょっと優れているけど、市販のでも結構いいですよ、というモノもあります。
さて、そのとあるフィルムドレッシング、無色透明で、とても薄く、医療関係者だと、テガダームみたいと思っていただいたら、わかりやすいです。
防水・蒸気は出すそうで、厚さまでテガダームと比べてどうかまで確認はしていませんが、見た目は同じような感じです。
上からパウダリーファンデーションが塗れる、というのが企業の売りで、そういうテープって、他の商品でもあるのはあるんですが、なんと、これ、紫外線カットができるらしく、すごい紫外線カット効果を前面にプッシュされているパンフになっています。
これが本当だと、すごいです!便利です!
今まで私の記憶によると、こういう商品は見たことがないです。
美容皮膚科でテープを貼ると言えば、シミやアザの時のQスイッチレーザーや、ホクロやイボの時の炭酸ガスレーザーが、あるあるパターンですが、私は、このテープを貼る、というのがあまり好きではないので、なんとかテープを貼らずに、なんとかできないかな~、他に方法がないかな~、と模索するわけですが。。
炭酸ガスはもうどうしようもないですけど、アザやシミは、患者さんにどうしたいのか、何が困るのか、どこまでなら許せるのか、聞いて、治療方法を勧めます。
でも、同じテープを貼らなきゃいけないなら、なんとか患者さんの負担を軽くしたいんですよね~。苦痛を少なくできないかな~、というのがポイントなわけです。
このテープを使えば、苦痛が減るんじゃない?しかも紫外線カットがかなりしっかりできるというのは皮膚科医からしたら、とても安心、となりますわな。
ぜひ、使ってみたい!
と思いましたが、さて、ここで、
どうして、紫外線カット、できるの? 無色透明のフィルムで?
これを読まれている医師のみなさん、どう思われます?
どうやって、紫外線をカットしているのかは、パンフにもどこにも一切書いていません。
これがわからないと、もちろん患者さんに使えません。
患者さんも私も、紫外線カット~♡ と思って使っていて、実は、日焼けしてました!てへっ!あれ?!おかしいな?!とかなると、目も当てられませんからね。
そこで、そこの企業に確認いたしました。
まず、
これは、未滅菌なので、傷には使えないそうです。使う場合は、医師個人の責任において使うしかありません。傷になにか薬を塗ったとしても、です。メーカーは勧めていない商品です。
もちろん医療機器承認ではありません。パンフには、承認番号の記載なし。
(ほとんどの医療用テープは、おそらくほとんどが医療機器承認を取っています。)
さて、肝心の紫外線カット効果。
何で、カットしているかというと、
このテープの粘着剤の中に、紫外線吸収剤を入れているそうです。
最初、これ、聞いた時に、なんじゃ、そりゃ?と思いました。
もちろん、パンフには記載もないです。
どんな種類の紫外線吸収剤を使っているのか(皮膚に付くわけですから)、聞くと、「わかりません」と言われました。
営業には知らされていないそうです。
患者さんの皮膚に付けるもので、しかも紫外線吸収剤の薬品名すら、営業に教えないわけです。
紫外線吸収剤が完全にアウトな、絶対にかぶれる!という患者さんには、この商品は使えないわけで、その確認すら、できないんですよね~。
だって、紫外線吸収剤を使っています、とどこにも記載がないので、医師が気付いて自分で確認しない限り、確認して、医師が患者さんに説明しない限り、患者yさんは知らずに、紫外線吸収剤を塗られるわけですね。
で、紫外線吸収剤ということは、紫外線があたった瞬間から吸収が始まるので、日焼け止めクリームでも、汗をかいていなくても、ふき取っていなくても、塗った瞬間からどんどん効果は落ちていくわけです。
なので、塗り直しが必要なんですね。
このフィルム、紫外線吸収剤でカットしている、ということは、もつ時間というのがあるわけで、じゃあ、そのたんびに貼り換えないといけないわけで、
「それ、どれくらい、紫外線をカットしているんですか?」
「2週間です」
っ!!!
私は、「何時間くらい」という時間単位で聞いたつもりが、ケタが全然違いました。
なんで、たかが紫外線吸収剤が2週間ももつねん?!
一体、何を使っているねんっ?!
(薬品名はわからないそうです。)
紫外線吸収剤は、さっきも書きましたように、「光劣化」というのが起こります。
で、どんどん効果がなくなるわけで、みなさんが塗っているつもりが、日焼けしている!という時は、この「光劣化」の激しい商品(まあ、粗悪品ということです)か、塗る量が足りないか、その両方か、本来ならとっくに塗り直しをしていないといけない時間を無視して塗っていないか、などなどです。
ちなみに、資生堂の日焼け止めは、この「光劣化」に対して、劣化しにくいように工夫されていて、特許を取っています。
その成分を入れているので(全商品かは知りませんよ)、資生堂の日焼け止めは、他社に比べたら、持つのです。
(もつ、ということは、正しく塗れば、塗り直しの回数も減らせるし、同じ焼けるにしても、焼け方がかなりマシ、となります。)
少なくとも、私の使っている資生堂のヤツは、全て、それです。
それが、2週間も持つとは!
一般の化粧品に使う、紫外線吸収剤とは、種類が違うんでしょうか?
一体、何が違うんでしょう?
テープを2週間貼りっぱなしにするかどうかは別としても、下手すると、何日も貼りっぱなしですから、そんなもの、ずっと皮膚についていていいんでしょうか。
いいなら、どうしていいの?大丈夫というのデーターはあるんでしょうか?
また、用途からして、紫外線のあたるところに、患者さんに貼らせることが多くなるはずですが、ばんばん日に当たりますから、そのうち、かぶれる可能性は高くなってきます。
だって、紫外線吸収剤だから。
塗っている時間が長くなればなるほど、かぶれる可能性は、日焼け止めクリームでもあるわけで、吸収剤を使わずにカットできれば、それに越したことはないですが、そうも言っていられないので、その辺が難しいところですが、吸収剤が嫌いな方・使いたくないという方も、もちろんいらっしゃいます。
で、しかも、それを、密閉するわけです!
(皮膚科の塗り薬の治療方法に、上からテープや布を貼って、より効果を強くする方法というのがあります。
パックみたいな感じですね。)
紫外線吸収剤を密閉。。。。
。。。安全性が確立しているならいいのかもしれませんが、私にはかなりの抵抗がありますね。。今の時点では。。
安全性のデーターがちゃんと揃っていて、その上であれば、ケースバイケースでありなのかもしれませんが。。。それでも、患者さんに、「大丈夫ですよ!」と自信を持っては、よう言えません。
おかしかったら、すぐに剥がしてくださいね!とは言うでしょうけど。
ただでさえ、テープやフィルム剤というのは、かぶれるというのに、そこに追加ですからね~。
いや~、2週間もつ、というのも合点がいかない。。
科学的根拠を教えてくれるように言うと、
「紫外線がカットできているデーターがあればいいですか?」
根拠も示されていないのに、そんな結果だけ出されて、信じる医者はいねーよっ!!
と、もうちょっと敬語で言いましたが。。。
意味がわかっておられるんだか。
結果だけって、もうこれは科学でも医学でもないですよね。
メーカー側のデータでは、かぶれた人は今のところはいないらしいですが、一体何人されたのかもわかりません。
そう多くはない、と言われていましたが。
でも、理屈からいって、そのうち出てきます。
だって、紫外線吸収剤だから。
こういうのが普通に医師が患者さんに使うわけですか。。
確認された上でなら、考え方の相違ですから、患者さんも納得の上であれば、ありでしょうけど。。