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  • 院長
    柴 亜伊子
  • 京都四条 あいこ皮フ科クリニック

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テレビ番組で、最近医者ばっかり集めての番組、多いですよね。

全部見てるわけではないですし、テレビって、視聴率も取らないといけないし、盛り上げないといけないし、多少の誇張は仕方ないのかもしれませんが。。。

 

でも、皮膚癌(メラノーマ)の話を放送するんだったら、皮膚科医専門医に聞きにいけばいいのにね。

さすがに癌は、命に関わる病気ですから、ちょっと皮膚科を勉強しました、というくらいで、放送するんだな、と思いましたね~。

だから、この番組は、信用できないんですよね~。

癌のことをテレビで話してくれる皮膚科専門医って、探せばいらっしゃると思うんですけど。。

探す手間も省いているってことですかね。。経費削減でしょうか。時間がないから?

 

うちにも、「ホクロがガンかどうか診てほしい」という初診の電話がかかることがありますが、最初から、「ガンかどうかの診断」希望の方は、個人開業医ではなくて、大きな病院の皮膚科に行くように勧めています。

普通にホクロの診察や処置ご希望の方や、うちの患者さんが、心配で、と言われた時は、もちろん診ますし、悪性を少しでも疑う場合は、手術も含めて大きな病院に紹介したりしています。

まあ、たいていただのホクロかイボか、良性のモノですし、確率から言っても、良性が大半ですが、ごく稀に、ガン、あるいはガン疑いの時があります。

そういうのは、絶対に、触りませんね。

中途半端に、ガンを触るってことは、絶対にしてはいけないことなので。

種類にもよりますが、その後、拡大切除もしていただかないといけませんし、ガンに切り込んだ以上、なるべく早く切除したほうがいいし、次の手術をやりづらくしたり、治療の邪魔になってしまうので、絶対に触りませんね。

うちでは、ホクロは、切除ではなく、炭酸ガスレーザーで焼いてしまいますから、顕微鏡で見る検査にも出せませんから、なんでもやっていいわけではありません。

 

皮膚科・形成外科で、皮膚癌をちゃんと診るトレーニングを受けた医師であっても、「え?!これ、ガンだった?!」と顕微鏡の検査でビックリすることもあるくらいで、今はダーマスコピーで、ある程度の事前診断が以前よりはできるようになりましたが、昔は、迷ったら、万が一のことも考えて、手術で取る、あるいは、一部切り取って検査する、というのが一般的でした。

でも、誰でも、切りたくないですよね、良性であれば。

ダーマスコピーの診断にしても、奥が深すぎて、そんな典型例ばかりではありませんから、万能ではないし、私も、それで、確定診断を下せ、と言われても、自信はありません。

 

皮膚癌のトレーニングを全く受けていないドクターが(特に美容外科)、よくホクロ(らいしいモノ)やイボ(らしいモノ)を、触るな~、と思いますね。

皮膚癌、特に、メラノーマの怖さを知らないから、何もわかっていなくても、触るヤツがいるんですよね~。

 

昔、外科や整形外科で、ホクロだと思って、手術されて、でも、何度手術しても、また出てくるし、そのたびに、どんどん大きくなって、さすがにおかしいとやっと思われて、皮膚科に紹介。。と大変なことになってしまっていることも。。

 

地域によったら、皮膚科がないところがあるので、外科や整形外科のドクターが、小さい時に、手術してしまうのは、ある意味仕方ないところはあります。

皮膚科、しかも手術できる施設のあるところが、患者さんの家から、かなり遠い場合に、全部そこの病院に行くようにするわけにもいかないこともあるんでしょう。

見た目だけで判断しろ、と言われても、顕微鏡で(切除したものを)診ないと、わかりません。

(ただ、再発した時点で、え?おかしくないか?と、そこで、紹介は必要だったと思いますが。。)

 

顕微鏡で(病理診断と言います)診れば、じゃあ、絶対にガンかどうかわかるかと言うと、これも、わからないことがあります。

ホクロの細胞でも、活発なモノがあって、ガンとはっきり言えるものではないが、正常でもないし、じゃあ、今拡大切除か?!と言われれば、それはあまりにもひどい。。

(メラノーマの場合、普通の皮膚癌よりも大き目に取ることが多いので、できた場所によったら、患者さん側からしたら、大変な手術になることがあります。

術後の患者さんの日常生活がかなり制限してしまう場合もあるので、なんでも取ればいいやん、とはならないわけです。

 

追加切除するのか、追加切除しないのであれば、今後絶対に慎重に経過観察をしていかないといけないこともあり、おかしな兆候があったら、すぐに手術するつもりでいておく、ということも。

 

病理組織で、え~?!となることもあり、大学病院などであれば、大学内でも決着がつかない場合は、第一人者のドクター何人か(日本中のね)に診ていただいて、それでも意見が分かれたことがありました。

患者さんの今後の人生がかかっていますから、そんな簡単に終わらないこともあるわけです。

それくらい、ガンの診断は大変なことがあります。

皮膚癌に限らないと思いますが。

 

テレビで、「こんなのが皮膚癌」みたいに簡単に言うのは勝手ですが、それ以外の皮膚癌もあるし、番組によったら、こういう場合もあるし、違う場合もある、と前置きとか注意書きをフィリップにちゃんと書いてあったりしていますが、なんか、えらい簡単に言い切ってましたね。

一体、誰が、医療監修しているのか、と。

ホントに、番組によって、全然違いますね。

 

一般の方からしたら、見分けがつかないと思います。

なので、テレビや雑誌で言っていることって、極論だったり、ほんの一部だったり、誇張だったり、あるいは全くのウソだったりすることもあるわけですから、まず、信じない!

ただの、バラエティですから、誰もなんの責任も取ってくれないし、貴女の話をしているわけでもありません。

自分には関係ない、と思って、テレビや雑誌は楽しみ、と。客観性といいますか、一方的に鵜呑みにしない、と。

 

医師が紹介する「顔ヨガ」もやっていましたね。

私の患者さんは、絶対にやらないでくださいね。

シワもたるももひどくなりますから。

常々やらないでください、と言っていることは、テレビでやっていようが止めてください。

どうしても気になる場合は、メールなりで聞くなり、確認してからにしましょう。

おかしなことをすると、戻すのに、倍以上のお金と時間がかかります。

まだ、戻ることならいいですが、戻らない場合もあるので、ご注意ください。