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    柴 亜伊子
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「ケトン体が人類を救う」

今日は、本の紹介です。

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光文社新書から出版されている、宗田哲男先生ご執筆の「ケトン体が人類を救う 糖質制限でなぜ健康になるのか」です。

こちらの本は、江部先生のブログで紹介されていたので(江部先生のブログは毎日

拝見しております。ちなみに、江部先生の医療者向けセミナーも参加しております)、知っていたんですが、なかなか読む時間がなくて、先日やった読み終わりました。

溝口先生もご推薦の本で、早く読まなきゃ!とずっと焦っておりましたが、こちらは読みだすと、もう、無茶苦茶おもしろくて、アッ!というまに読んでしまうというか、続きが早く読みたくなる本です。

「おもしろい」というのは言い方が難しいんですが、興味深いと言いますか、す~っごく勉強になるだけでなく、実が、糖尿病学会と糖質制限の因縁と言いますか、反対勢力の内部事情と言いますか、う~ん、すごいです、この本。感動しましたね、私は。

 

私は、糖尿病専門医どころか内科医ですらないんですが、自分が糖質制限する5年半ほどまで、糖代謝や脂質代謝、もちろんたんぱく質代謝のことなんか全然わかっておらず(大学で習っているというのにです)、糖質制限をしたら、痩せるのはわかっていましたが、炭水化物の呪いにどっぷり漬かっていた私は、実践する気が起こらず、でもさすがに6年くらい前のゴールデンウィークの時に、体重が史上最高を更新し、さすがにいかん!と糖質制限をして、江部先生の本を読んだのがきっかけです。

江部先生の本を読み倒し、セミナーにも参加して、糖代謝を勉強して、ああ、そういうことだったのか、と糖尿病に関する謎だらけだったことがかなり解決されました。

そして、まだまだ糖尿病専門医(糖尿病を診ている専門医ではない医師含む)の中で、糖質制限反対派が大勢いて、頭から反対!と勉強もせずに言っている医者たちがいることを知りました。

ダイエットレベルであれば、命に今直結するわけではありませんが、糖尿病は進行して全身の血管が侵され、血管がやられるので、あらゆる臓器がやられる可能性のある病気です。

なめていたら、とんでもないことになることを改めて知りました。

糖尿病で足が腐っている患者さんは大学病院にいた時にたくさん診ましたが、食事制限ができない結果の中のひどい場合、くらいの認識で、実際、糖尿病のどんな治療がされているのか、それが果たして正しかったのに、そうなったのか、までは思いもしませんでした。

薬も飲んでいたのにね~、薬もさぼって、食事も好きなもの食べていたのかな、という認識です。

 

ところが、糖質制限をちゃんと勉強すると、そんな患者さんばかりでなく、学会の言う通りにしているというのに、どんどん悪化する方もいらっしゃることを知って行きます。ぞっとしました。

 

一番最初に糖質制限を勉強すると、医師として糖尿病は避けて通れないわけですが、糖尿病学会が糖質制限反対の意向を示しているのがよく理解できませんでした。(今でもですが)

糖尿病というのは、糖がうまく処理できないというか、その方にとっては、糖は毒なわけですよね。だったら、減らせばいいんじゃない?食べなきゃいいんじゃない?毒なんだから、と単純に思いました。

ところが、それは、学会推奨の食事内容ではアカンらしいです。

ごはんをたくさん食べるそうな。糖尿病にいいらしいです(私は、全くそうは思いません。)

なんじゃそりゃ?!となるんですが、その辺のことも、こちらの本には詳しく書いてあります。

糖尿病の方、疑いのある方、ご家族の方には、もちろん一般書ですから、ぜひ読んでいただきたいですし、なにより、妊娠性糖尿病で悩んでいらっしゃる女性、これから妊娠を考えている・今妊娠している女性全員に読んで欲しい本です。

これからのみなさんの人生が、ほんとに180度変わるかもしれません。輝かしい、素敵な未来が待っています。

 

そして、一番に読んでいただきたいのが、はやり医療関係者、特に、糖尿病の患者さんを診ているドクターです。

こちらの本には、ケトーシスとケトアシドーシスの違いが、とてもわかりやすく書いてあります。

 

私も研修医の時に、背中に皮膚移植した患者さん(肥満の方でした)の術後管理で、ずっとうつぶせで、栄養は点滴で補うんですが、何日目か忘れましたが、尿でケトン体が検出されました。

そりゃもう大騒ぎでした。結局、上の先生がそんなに慌てることはないと点滴のメニューを変えて(糖を増やしただけだったと思いますが)、無事?退院されましたが。。。

 

この本を読んだら、糖尿病専門医や代謝専門のくせに、「糖質制限すると、ケトアシドーシスになったら困るから」とバカみたいなことはもう言わなくなると思います。

血ガス測ってから言えっ!!ってか。

 

ケトーシス=ケトアシドーシスではありません。

勉強していくと、必ず、医学部教育と国家試験勉強で、ケトアシドーシス=昏睡、と習った怖さとの現実との違和感に、あれ?と自然となります。

習ったことがそのまま正しければ、ちょっと食事ができていないと(糖質が摂れていないと)、ケトアシドーシスと隣り合わせ、ということになり、そんな危ない体だったら、人間は、石器時代や氷河期など生き残ってこれなかったでしょうね。。

もちろん、そのあとの時代でもそうです。今みたいに、食べ物が豊富では全然ない時代のほうが長かったわけですから。

でないと、みんなケトアシドーシスで死んでいます。昔なんて、ケトアシドーシスを診断する検査も対処できる薬もないんですから。

 

宗田先生の本の話に戻しますね。

詳細はぜひ実際に読んでいただいて、宗田先生の言葉で感動していただきたいのですが、世界初の発見をされ、発表されています。論文も投稿中だったか、もう載る準備ができているんだったか、すごい先生です。

学会と一口で言っても、いろんな学会があって、それぞれのキャラが全然違うと思うんですが、内科系は人数も莫大だから、権威ってすごいんですかね。あまりそういうところにいないので、その辺がよくわからないんですが。。。長いものにまかれるっていうのは、恐ろしいな。。と思います。

いや~、想像以上にえげつなかったですね。。。

 

厚労省の方々も、欧米の先進国などと比べて、今の日本人の栄養状態が悪いこと、どうしたらもっと良くなるのか、優秀な官僚の方々はわかっていらっしゃる方は大勢いるのでは?と思っています。

でも、いろいろな政治的な思惑や学会とのしがらみなどで(だって、なにより糖尿病学会が糖質制限を認めていないんですから)、なかなか難しいんでしょうね。お役所もいろいろ複雑だしね。。

いいことってなかなか広がらないんですよね。。

欧米各国が糖質制限を認めて、国を挙げて実践している先進国が増えているというのに、ただでさえ、日本人は欧米人よりも動物性蛋白質の摂取量が極端に少ないのに、女性や子供は悲惨ですよね。

一体、厚労省はどうするつもりでしょう。

このままでは、ほんとに炭水化物に日本は滅ぼされてしまいます。

国をあげて、なんとかしないといけないのに。

 

ちなみに、私の周りの内科系ドクターは、みなさん糖質制限に理解があって、糖尿病の患者さんがやってみたいと言ったら、喜んで協力されると思います。

勤務医ドクターの場合は、病院全体の方針や管理栄養士(病院内基準もありますし)との連携もあるでしょうから、大体的に糖質制限を一人で勝手にばんばん勧めるのはちょっと難しいと思いますが、診察時に個別に対応する分には、協力的だと思います。

開業医の先生の場合は、すぐに対応できますから、大きな病院よりも順応や対応はずっと早いし、個別指導も積極的だと思います。

ちょっと聞いたところによると、糖尿病を診ているドクターの半分くらいが糖質制限推奨派で、ただ、どこまでの糖質制限をさせるのかが意見の分かれるところで、どこまでさせていいのかが、ガイドラインも何もありませんから、徹底させるのは難しいようです。特に、医者自身がある程度糖質制限できていないと(勉強した上で)、不安でしょうしね。

私自身、糖尿病の1~3歩くらい手前にいたので、ほんとに糖質制限できてよかったです。人生が変わりました。まだまだ変えていきます。

1年前に栄養療法も知って、この1年間勉強もして、糖代謝だけでなく、脂質・たんぱく質代謝・ビタミン・ミネラル・腸内環境・その他もろもろ勉強してきて、ほんとに良かったです。自分にとっても、私が診る患者さんにとっても。まさに激変でした。体調、良くなりすぎ(笑)。

もっと大勢の方に、本当の正しい糖質制限を知ってほしいです。

テレビや雑誌で載っている糖質制限は、スポンサーのことがあるのか、学会の手前なのか、厚労省の手前なのか、反対勢力のせいなのか、わかりませんが、間違った糖質制限の知識満載です。

わざと間違ったやり方でさせておいて、体調が悪くなったら、「ほらっ!糖質制限、危ないでしょ。止めておきましょうね。」と言いたいのかな、と悪質な罠のように感じるくらい、ひどい記事もあります。

最悪な場合は、その記事が、代謝内分泌専門医(しかも有名で権威のある大学病院の)の意見だったりして。。。本気で言っているのかな。。言わされているのかな、でも、これ、本気じゃやなかったら、かなり恥ずかしいけどな。。。

 

まあ、とりあえず、この本、読んでください。

 

 

 

カテゴリ:

医療, 栄養・食事