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  • 院長
    柴 亜伊子
  • 京都四条 あいこ皮フ科クリニック

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美容医療の中でも、もともと強い治療というのは、個人的にあまり好きではなく、基本は、日常生活に困らない治療というのをメインに入れています。

炭酸ガスレーザーは仕方ないなと思うし、Qスイッチレーザーも仕方ないと思いますが、Qスイッチレーザーは、効果は悪くても他に選択肢もあるのはあるので、適応のある患者さんには長所と短所を説明の上、選んでもらっています。

 

例え、テープを貼らない治療であっても、例えば、IPLのフォト系(うちではライムライト、アキュチップなど)でさえも、設定を強くして行った場合、栄養の足りない方は、副作用も強く出ると思っています。

もちろん、患者さんがスキンケアをどれだけちゃんとやっているのかもかなり重要ですが、副作用などの出やすさというのは、肌質・個人差・体質などとひとくくりにされてきている感がありますが、栄養がちゃんと足りていれば、結構安全にいけますよ?ということも出てきました。

肌にちゃんと栄養が回っているというのは、とても大切です。何をしようがしまいが。

 

昔、学会のセッションで、フラクショナルレーザーの効果などについての議論だったんですが、その時に、葛西先生が、フラクショナルレーザーを始め、多くの美容医療(光・レーザー・RFなど)は、イリュージョンで、何年か経つともとに戻るから意味がない、ような発言をされました。

これはこれで当時もまたえらい問題提起になったわけですが、やはりいろいろな機器を売りたい業者がいて、学会でご高名な先生方が、素晴らしい発表をされることも多く、結果が素晴らしいからにはそれなりのプレトリートメントや患者さんをちゃんと選んでいる(診断・適応がしっかりしている)・皮膚の状況に合わせた詳細な設定・積み重ねたデータなどなど、そのドクターなりの創意工夫があって、業者のくれる設定で、何も考えずに、てきと~にやったから何でも効くわけではありません。

でも、そういうことは考えずに、業者に乗せられ、また誇大広告で患者さんをおびき寄せ、いい加減な治療で結局困るのが患者さんになるわけで、そういうことを危惧されてのご発言だったと思います。

実際、数年(4,5年だったか)たって、フラクショナルレーザーで、ニキビ跡の凹みが戻ってしまった症例を発表されていました。

治療が済んで良くなって、何年かたったら、全くの元通りではなかったですが、確かに、治療終了時よりも、戻っていました。

浮腫ってるだけ、ということを強調されていました。

 

フラクショナルレーザーでは、もちろんそれなりのダメージも加えるわけで、そのおかげでコラーゲンが増えているんでしょうし、実際、コラーゲンの増生した結果の写真(顕微鏡などで)を出しているドクターもわりといらっしゃって、でも、確かに、葛西先生ほどの長期のアフターの写真を出していたドクターは当時少なくて、長期フォローで、どの時点で変わるんだろう、増えたコラーゲンは、一体どこに消えたんだろう、とずっと思っていました。

 

栄養療法を勉強してわかりましたが、ほんとに女性は動物性たんぱく質を全然摂っていません。

患者さんみなさんにそういうと、大勢の方が「摂っています!」と反論されますが、そんな一口二口の肉や、魚一切れ食べたからって、全然足りていません。

全身の細胞で必要とされている蛋白質が全然足りていないわけで、異化亢進と言って、体は仕方ないから、たんぱく質の貯蔵庫である筋肉を食べます。筋肉からたんぱく質を調達してくるのです。

だから、多くの女性は、痩せていて、スタイルも一見いいし、流行の服もおしゃれに着こなしていらっしゃいますが、筋肉がとても細く、脂肪ものっていませんから、服を脱ぐと、若々しい腕脚には見えません。

 

酵素なんて、外から摂っても意味がないし、酵素はたんぱく質でできていますから、ちゃんと口からたんぱく質を摂って、自分の力で酵素を作らせないといけません。

内臓の臓器も全身の血管も全てコラーゲンでできていますし、もちろん皮膚のコラーゲンもそうです。

で、そのコラーゲンは、たんぱく質がないと作れません。

 

豆を食べているから、と言われる方も多いですが、1日に何キロの大豆を食べているのか知りませんが(何キロというレベルではないでしょう)、大豆食べたって、吸収率は肉魚卵にはかないません。もちろん栄養価も。

大豆は大豆で食べたらいいですが、大豆だけ食べても、動物性のものを食べないと意味がないのです。

 

筋トレもそうですが、食も細い方が、頑張ってジムに通ったところで、しんどいだけで全然筋肉なんかつかないでしょ。

中には、筋肉が次第についてくる方もいらっしゃいますが、口からちゃんと動物性たんぱく質を摂っていないのに、筋肉がついた、ということは、他から(体のどこかから)無理やり奪ってきたんです。

女性は男性よりも筋肉がつきにくいと言われていますが、ホルモンの問題もあるでしょうが、まず口から材料になるたんぱく質を摂っていないからです。

筋トレで、無理に筋肉の細胞を壊すから、修復するわけで、その時に、前よりも筋肉の繊維が太くなるから、筋肉がさらにつくわけですが、たんぱく質を摂っていないのに、筋肉がついたということは、体がこの修復を優先してしないといけないと判断したからで、その修復分のたんぱく質をどこから持ってきたのかが問題です。

どこかが、犠牲になっているのです。

 

なので、私は、栄養が足りない方に、筋トレやマラソン・ジョギング・激しいスポーツなどは一切勧めていません。もっと栄養がついてからでないと、どこかが犠牲になるから、余計に体調は悪くなります。

スポーツなどをすると、交感神経が活発になって、終わった直後などはすっきりと、そしてハイになり、気持ちよく感じることもありますから、一見楽しかったし、なんかやっぱりスポーツは体にいいんだな、と思ってしまいますが、栄養が足りないと、そのあと、疲れがどっときませんか。余計にしんどくなりませんか。

スポーツをすると、特に息が切れるほどにしたら、活性酸素は増えますし、普段よりも運動量も増やしたわけですから、栄養をさらに使っています。ただでさえ足りない栄養をもっと使ってしまったわけです。そりゃ、しんどくなるわけです。

口から摂っていないんですから、体中で栄養の奪い合いです。

 

皮膚も同じです。

いくらコラーゲンを増やすレーザーなどをやったところで、増やすコラーゲンの材料が来ていませんから、思ったほどの効果はえられないのではないでしょうか。

破壊力がそれほどないものであれば、適度な刺激が繊維芽細胞を刺激して、コラーゲンをちょっと増やして、いい方向に向かわせてくれると思いますし、体のたんぱく質の奪い合いに巻き込まれるほどにまではいかないかもしれません。

 

でも、結構な強い治療をすると、それだけの破壊力がありますから、こうなると修復をしないわけにいかないから、コラーゲンの増生は無理やりにでも始まります。

でも、そこの修復が済めば、増やしたコラーゲンはまた分解されて、体の他の必要なところに回されてしまいます。

体の仕組みというのはよくできています。

 

そういう仕組みがあるから、フラクショナルレーザーなどで増やしたコラーゲンは、しばらくして、どこか別の大事な場所に運ばれてしまったのでは?と思っています。

 

コラーゲンのサプリを飲むのではなく、ちゃんと口からまず食事で栄養を、動物性たんぱく質を摂りましょう。

内臓の大事なところから回って行きますから、皮膚にまで届くのは、まだまだ先です。

皮膚や髪の毛などは、命に直結しませんから、栄養がある程度余っていないと、体も回してくれません。

 

言うまでもありませんが、たんぱく質だけ摂っても、コラーゲン合成のスイッチは入りません。他の栄養素ももちろん必要です。

 

栄養が足りている方が、強い治療をするのは、結構いい結果が出ると思います。

でも、栄養が足りていれば、老化のスピードはかなり遅くできますから、そんなに強い治療はあまり必要ないのかもしれませんね。