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  • 院長
    柴 亜伊子
  • 京都四条 あいこ皮フ科クリニック

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アトピー性皮膚炎の治療②

アトピーで栄養療法をされている方が久しぶりに受診されました。

この方の場合は、保険での塗り薬とかほとんど使っていません。

ちょっとだけ荒れた時があり(これは、洗剤による接触性皮膚炎でした)、この時に少しステロイドを使ったくらいで、あとはほとんどワセリンくらいです。

ステロイドをたまに出しましたが、すごく弱めのもので、それもほとんど使っていないと思います。

 

この方は栄養解析もされて、サプリも最初は結構頑張って飲まれました。食事も、今までとは正直ま反対の食事で、なかなか体が急に変えるのはやっぱり無理で、今までの栄養不足もたたってか、胃腸の動きも悪く、患者さんからしたら、食事を変える・洗剤を変える(もちろんスキンケアも)、などなどいろいろ大変だったと思います。

慣れてしまえばどうってことないですが、今までの長く生きてきた人生で使ってきたもの・食べてきたものを、本当に変えていくわけで、最初の一歩や、その後乗り越えるまで続けていく、というのは、本当に大変だったと思います。

 

アトピー性皮膚炎・慢性湿疹・皮膚のあらゆる慢性の炎症性疾患、どれも皮膚に栄養が足りなくて、新しい綺麗な皮膚に変えることができません。

病気のきっかけは、いろいろあったんでしょうし、栄養やサプリでどうこうできるわけでないこともたくさんあります。

でも、傷んだ皮膚を、新しく変えられるかどうかは、その後のスキンケアや栄養の役割というのはとても大きいと思います。

 

アトピー・慢性湿疹様皮膚炎などは、もうず~っと長年同じ場所ばかりに炎症が起こってくると、皮膚は苔癬化と言って、ゴワゴワに硬く、厚くなってきます。

イメージとしたら、カリフラワーみたいなゴワゴワした感じといいますか、象のような硬い、ざらざらだったり、ゴワゴワだったり、そこに色素沈着と赤みが合わさって、赤黒くなっています。そこら中にひび割れとかさぶたが付いていたりします。

治る前に、また掻いたり、炎症が起こったりと、何度も同じ場所がダメージをたくさん繰り返し受けることで、皮膚はぶ厚くして戦うしかないのかもしれません。

 

10年くらい前の話ですが、大学病院や一般病院の皮膚科で、アトピーや慢性湿疹の患者さん方のゴワゴワの皮膚って、元通りのなるとは思ったことは一度もありませんでした。

特に、何十年も経過しだすと、それは無理だろうと先輩のドクターも言っていたし、数年とかでも難しい。。。自然治癒はなかなか。。という感じで、皮膚炎の炎症は落ちつかせることはできるんですが。。。

だって、元に戻った皮膚を一度もなかったから。それはおそらく誰も診ていないと思います。

保険診療で処方できる薬には、そんなのはありませんから。

 

ところが、栄養療法を始めて、ちゃんと栄養がある程度足りてきて、皮膚にまで回ってくると、

なんと!ゴワゴワがなくなるんですよね!元の皮膚に戻るんです!あのゴワゴワだった皮膚が!!

患者さんもびっくりですが、なにより私がびっくりです!!かなり二人で興奮しました。

それは他の方もそうです。

攻撃を止めてあげて、皮膚が生まれ変わる栄養を入れてあげると、ちゃんと体は治そう・入れ替えようと準備はしてくれているんです。ただ、材料がないだけです。

 

今回ご紹介した患者さんは、今はそんなにサプリは飲まれていません。少量だけです。

食事はあいかわらず頑張っていらっしゃいます。

維持もできているし、全身の皮膚が生まれ変わったわけではないですが、目立っていたところは、ほぼ9割近く普通の皮膚です。色素沈着はまだ残っていますが(かなり深いところまで色素が落ちてしまっています)、顔なんて、アトピー歴長いとは思えないくらい、ツルツルピカピカです。

 

患者さんとも改めて実感していましたが、皮膚も含めた体中の細胞は、ほんとに今まで食べてきたものでできていて、食べてきたもので細胞は動いています。食べたもので、細胞の組成を変えていくのです。

これが「分子整合栄養医学(オーソモレキュラー)」です。

 

昔、保険でアトピーなどの慢性皮膚病を診ていた時、あまり楽しくはありませんでした。

私は最初、形成外科を3年ほどやって、それから皮膚科に転科しています。

レーザーは形成外科の時からやっていたので、それは同じなんですが、形成外科と皮膚科の根本的な違いは、やはり外科系と内科系の違いで、すごく極端な話、形成外科だと、できものだと、手術して取ったら終わり、ビフォーアフターはとてもわかりやすいです。

(実際は、そんな簡単なものではありません。極端例を言っています)

びどい火傷であっても、まず最初の目的は、火傷を治すことで、火傷跡を落ち着かせていくのは、次の段階のことで、とりあえずなくなった皮膚を何かで覆う、ということが先決です。

火傷跡の治療と言っても、保険でできることは限られていて、キズ跡すべてが消せるわけでもなんでもなく、それはそれでとても時間がかかるし、時間をかけても、まだこの辺か。。と患者さんともどもため息が出ることもありますが、それでも火傷した直後よりは断然綺麗なわけです。

火傷する前の皮膚に比べたら、そりゃキズ跡だらけでしょうけど、一番ひどくて、下手をすると命に関わっていたわけですから、受診した時から、ずっとプラスの方向を患者さんと一緒に向いているイメージといいますか、どちらかというと明るい感じです(他の科や病気に比べて、ですよ)。全身の大火傷や皮膚癌手術など以外は、直接命に関わる疾患が少ないです。(重度の感染症とかあるのはありますよ)

先天異常も、何度かに分けて手術をしていって、神様が本来しようとしていた形に近づけていくわけで、神様にはなかなか勝てませんが、回を追うごとに、目標に近づ言えていけるといいますか、やはり受診してからはプラスのほうを向いています。

 

でも、皮膚科の病気というのは、急性のはいいんですが、慢性疾患というのは、根治させる薬はなく、薬でひどくならないようにコントロールしていくものです。

薬の副作用と戦いながら。

 

ほんとうに全身アトピーの独り暮らし、仕事も忙してく、なかなか病院にもいけない、という方も結構いらっしゃって、ひどくなってから来られるから、使うステロイドも強めになってしまうし、範囲も広がってしまうから、薬もたくさんになるという悪循環。。。こまめに受診できたところで、背中や塗りにくいところはなかなか塗れません(でも、掻くのは、柱や椅子やテーブルの角に擦り付けても掻くわけです。

掻かないようにって言ったところで聞く人はいませんわな。。

忙しくて睡眠時間もないのに、全身毎日軟膏を塗ったほうがいい、なんて、わかっていてもなかなかできませんよね。

こうなってくると、症状のコントロールも難しく、薬がなくなるまでになるべく早く受診して!としか仕方ない。。

 

中には、真面目に全身いろんなケアを頑張って、受診も毎月ちゃんと来られる方もいます。

ただ、それだけ頑張ったらコントロールはできますが、ステロイドの副作用が出ないように、少しでも少なくて済むように、の戦いみたいなもので、すっごく調子がいいと、保湿剤のみとなる方も多いですが、ゴワゴワの皮膚が戻るわけではありません。。。

保険で、傷んだ皮膚を根本的に治す(元に戻す)薬はないのです。

なので、皮膚科の保険診療の外来って、あまり楽しくなかったです。

「完治させたい」

医者であれば、誰もが思うことだと思います。

慢性疾患を、ガンガンプラスに!って、そうそうないことだと思います。

 

でも、栄養療法を始めたら、ちょっとだけでも結構いいんですよね。

なんだ、たったこれだけでいいのか、とあっという間によくなることもあります。

皮膚は、外から見えるので、わかりやすいのはわかりやすいですよね。皮膚を診ただたけで、どういった栄養素が足りないのか、大体わかります。

「完治」とまでは言えませんが(言えるものもあると思います)、ここまで綺麗になるんだ!

食事と少しのサプリで行けたらいいんですが、ちょっと必要な時は、保険の薬にも助けてもらえると、すっごい効果が良くなります。経過もいい!

保険診療が楽しくなりました。

変われる希望と言いますか、人間の体ってすごい!本当に変わる(病気の前に戻る)んですね~!!

悪循環を断ち切るのにも、栄養療法はとてもいいです。

皮膚に関わらず、なにか持病や症状があって、煮詰まっている方・打破したい方は、一度栄養療法をされてみてはどうでしょう?

食事を変えるだけでも良くなる場合もありますよ。

皮膚は再生能力が強いので、どんどん生まれ変わるし、簡単に診ることができるのでわかりやすいですが、他の臓器もなにか違いは感じてもらえると思います。

細胞の組成を変えましょう!

細胞がうまく働いてもらえるように栄養素を摂ってあげましょう!

 

カテゴリ:

医療, 栄養・食事