プロフィール

  • 院長
    柴 亜伊子
  • 京都四条 あいこ皮フ科クリニック

カレンダー

2016年11月
« 10月   12月 »
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

最近投稿した写真

ホーム > 医療, 栄養・食事 > フェリチンの値



フェリチンの値

鉄が足りているのかどうかの判定に、血液検査で「フェリチン」というのを測ります。

この「フェリチン」の値は、確かに大事ですが、血液検査というのは、実は結構偽物の値というのも混じっていて、結果をそれだけの数値で信じると、えらい目にあったりします。

 

鉄の過不足を診る時は、他のいろいろな数値も診ないといけません。

 

この値と値と値(何個も診ることがあります)がこうなっているから、このフェリチンの数字は、絶対に違いますよ、本当のフェリチン値は、今の状態ではわかりませんよ、ということです。

 

女性であれば、栄養療法をしている方を除いて、鉄は全員足りていないのですが、最近は男性も足りていない方が増えてきてますかね、

(栄養療法を始めたからと言って、すぐに足りるわけではありません。理想の値に行くのには、結構な時間ともちろんお金がかかります。)

たまに、数値で、「○○だったらいいんですよね?私はこれで足りてますよね?」という方がいますが、他の値からして、全然足りてませんよ、まだまだ偽物の値ですよ、ということがほとんどです。

まあ、鉄を飲んでいる量からして、どんなに食事を頑張っても、今までの何十年間分の鉄不足が、1か月そこそこ、仮に全部の食事を肉にしたからといって、血液検査の数字に反映はされないでしょう。。

そもそも、今までそこまで動物性たんぱく質を食べてこなかった方は、いきなり肉食!と言っても、まず消化吸収が単独ではそううまくいきません。

それこそ医学の力を借りて、消化吸収を助けてもらったほうが無難です。

自分の体がなにより楽です。

のんびり増やしていくだけでは、血液検査には反映されません。

 

鉄を飲んでいる量からして、他の項目を診る前から、「いや、おかしいだろ」とすぐにわかります。

 

数字も大事ですが、自覚症状の改善も大事です。

ただ、プラセボみたいなもので、偽物の数字に騙されて、もう足りた!と思って、無茶をする方もたまにいて(仕事をどんどん入れるとか、始めるとか)全然足りていないのに、そんなにいきなり無茶をすると、体がついていかず、いきなり一気にどんっ!ときます。

来なかったらいいんですが。。。

プラセボはプラセボなので、すぐにばれてしまいます。体は正直です。

 

フェリチンの値も大事ですが、他の項目のたくさんが同じくらい大事なので、鉄の過不足を正しく判断するのに、保険の採血では無理です。保険が通らない項目まで診て、判断していますから。

保険の採血で、「足りてはいない」ことくらいはわかりますが、どれくらいか?という細かいところまでがわかりません。

数字にこだわる必要もないと言えばないのかもしれませんが、ここを突破したら、もう一段階体が楽になるから!というのがありますから、どこまでサプリを飲むのか、足すのか、という指標にはなります。

 

特に、非ヘム鉄(市販で買えるサプリのほとんどと病院で保険でもらう鉄材)を飲んでいた・飲んでいる方は、偽物のフェリチンの値が出やすく、ビックリするくらい一気に上がることがあり、手放しでは喜べません。。

ややこしくなるだけですから、私は、ヘム鉄のサプリを処方します。

 

いいヘム鉄のサプリというのは、なかなかみなさんが市販の中から探すのは難しいと思います。

いろいろな確認事項があって、ここには書ききれないくらいです。

多くの会社が、皆さんが騙されるように、たくさんのからくりとトリックが仕込まれていて、全部覚えて見抜くのは、その辺の裏事情などわかっていないと、無理かと思います。

いいサプリというのは、チェック体制もかなりのものですし、完成品として、ちゃんと測定もされていたり、吸収率が少しでも上がるような工夫もされていて、鉄だけ摂っても、全然吸収しません。ミネラルを効率よく吸収させるには、これもさまざまな工夫が必要です。

そうなると、自然と、サプリの値段は高くなります。

(中には、安物をわざと高めにしているものもあるかもしれません。いや、きっとあるでしょう。)

安いサプリで、そんな吸収率もいいものはないと思ったほうがいいです。

高いのは高いだけのことはあります。

 

同じ飲むなら、偽物のフェリチン値ばかりを上げて、全然症状が改善しない安物を飲むよりも(添加物で肝臓にも負担になるし)、

たとえ1粒でも、ちゃんとしたものを飲むほうが、確実に良くなりますから、私は、市販のものは勧めていません。

 

以前に、市販の(アメリカの)鉄剤(非ヘム鉄)を半年飲んでいた方がいて、これだけフェリチンが上がった、という方がデータをもってきてくださいましたが、半年かけて、たったこれだけ?と思いました。

しかもフェリチンの値だけですから、偽物かどうかもわからない値で。。。

いくら安物と言っても、半年分買われた料金を計算したら、ちゃんとしたサプリを1か月きっちり飲むほうが、これ、同じデータになったと思いますよ、金額も安くて済んでいますよ、というひどいことがありました。

サプリのメーカーを変えればまた違うのかもしれませんが、まあ、似たりよったりだと思います。

 

あと、ミネラルを摂る時には、単独で大量に入れると(例えば、鉄ばっかりとかカルシウムばっかりとか)、お互いに競合しますから、他のミネラルが全然入らなくなってしまいます。

かりに、その大量に摂った分がたくさん入ったとしても、他のミネラルがそのせいで不足した、なんてことになったら、目も当てられません。。

多ければいいというものではなく、そういことまでちゃんと計算されているサプリでないと、たくさん摂るのはかえって、体調不良の原因になります。

 

私が市販のサプリを勧めない理由のうちのひとつがこれらのことです。

いろいろわかった上で、使うのであれば、そこそこいけることもあるのかもしれませんが、使いづらいし、ちょうどいいところにはなかなか持っていけないし、時間もお金もかかりすぎる。。。まして、素人の方が、ネットの情報を聞きかじって、てきと~に買ったサプリで、というのは、まあ無理でしょう。

それだったら、そのお金を、確実に良くなる、食費に回してください、と言っています。

食べ物であれば、過剰に摂ったところで、いらなければ、体のほうで外に出してくれますから、安心です。食べ物で過剰に吸収されることはありません。必要な分しか吸収しません。

十分食費に回しているから、という方は、同じレバーを買うのも、良いやつに買えるとか、食材や調味料を少しでも添加物のない・少ない、国産のものに変えるとか、そういう工夫をするだけで、お金は結構かかっていきます。そちらに回してくださいね。

それでも、まだお金が余るという方は、ぜひ栄養解析を受けたり、質のいいクリニック用のサプリを買うほうにお金を回してみてはどうでしょう?

効率よく体調改善する方法です。

カテゴリ:

医療, 栄養・食事