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    柴 亜伊子
  • 京都四条 あいこ皮フ科クリニック

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食べるものは皮膚に塗らない!

オーガニック化粧品や自然派化粧品など、植物や野菜、果物などのエキスを混ぜた化粧品がイメージ戦略で人気ですね。

何度もブログで書いていますが、こんな恐ろしいことはありません。

 

ちょっと前にテレビで特集されていましたが、どこかの化粧品会社の工場見学で、実際に化粧品を一緒に作ろうというのがあり、キッチンみたいなところに連れていかれて、説明するスタッフもシェフの恰好だったかな? ミキサーと、野菜・果物が置いてあって、ミキサーで野菜や果物をドロドロにして、それを化粧品の素地に混ぜてました!!

こんな化粧品、ずっと使っていたら、そのうち食物アレルギーになりますよ。

「可愛い~!」「オシャレ~!」(何がオシャレなのかさっぱりわからん。。)

「肌に良さそう~」「肌に優しそ~!!」

 

。。。どこが?!

 

口から食べて、腸で反応して食物アレルギーになることもありますが、皮膚から入ってきてアレルギーになっているという「経皮感作」という仕組みによるところが大きいのではないか、というのがわかってきました。

直接かぶれるとかとは全然別の話で、旧「茶のしずく」石鹸で小麦アレルギーになったのと同じで、食物アレルギーになると、場合により、一生それが食べられなくなります。

皮膚に塗ってかぶれただけであれば、それ塗らなければいいわけですが、食物アレルギーとなると、しかもその栄養素が自分の好きな食べ物だったら?体にとって大事な栄養素だったら?食べられなくなったら困りませんか?食べられるけど、じんましんとか出るから覚悟して食べなければいけない、とかなると嫌だと思いませんか?

 

あの石けんの場合は、爆発的にヒットして、使っていた方と実際の食物アレルギーになった方が多かったためとアレルギー反応が重篤な方が多かったから発覚しただけであって、使っている人数があそこまで多くなかったり、症状が軽かったりすると、見過ごされたり、実際見過ごされている方が大勢すでにいるのかもしれません。

そういう意味では、最初に気づいたドクターはスゴイ!と思います。気づいただけではなく、原因まで突き止めたわけですから。う~ん、ほんとにスゴイ!

 

大昔から使っている食べ物にも使うエキスが入っている商品というのはあります。

大昔から使われている成分であれば、歴史があるということは、それだけ安全性が結果的に証明されていると考えるわけですが(問題になってこなかったから、長く使えているというわけです)、やはりここ10年くらい、女性の皮膚のバリア機能がどんどん落ちているような気が私はするんですが、おかしなことばかりやってバリア機能を落としてしまっている皮膚に、本来だったらそれほど問題にならなかった、そういったエキスが、皮膚から入り込みやすくなって、免疫細胞も過敏になっていて、というかさせてしまって、簡単にアレルギーになってしまうリスクを上げているわけです。

どんどん危なくなっていることを大変心配しています。

ウワサで聞きましたが、とうとうオリーブオイルでアレルギーが出たらしいですね。

オリーブオイルで出るとは思ってもいませんでしたが、それだけバリア機能がおかしくなっていて、さらに免疫も過敏になっていたのかも。。あるいは、「オリーブオイル」配合と言っても、その作っている過程で、どうやって作っているのかなんて、化粧品会社によって違いますから、裏の全成分表示を見たところで、同じものではないわけです。不純物の混入や、油の抽出や精製の過程など、さまざまです。完成品を一体どこまでの化粧品会社が調べているというんでしょう。特に、口にするものを化粧品にする場合は、どの辺のところは徹底されませんと、なんでもエキスを混ぜりゃあいいってもんではありません。いつの時代の話なんだか。。

 

最近気になることがあって、資生堂に問い合わせをしました。

詳細はここには書きませんが、一部の患者さん方にその回答を待っていただいていたので、返事をすることができるようになりました。

資生堂からの回答は、至極納得のいくもので、私の想定以上のことをされていました。

感服しました。

そこまで調べておられたとは!

100%安心とまでは言いませんが、私はほぼ安心して取り扱うことができます。実際、それを使うかどうかは患者さんに説明の上、決めていただきますが。

 

口にするものが化粧品に入っている件で問い合わせて、すぐに回答が来たのは、大島椿と資生堂だけです。

(あくまで私調べです。私が取り扱っていない化粧品・取り扱う気もない化粧品については問い合わせしていませんので、知りません。)

すぐに回答が来るということは、もうすでにとっくに調べていて、その結果を教えてくださるだけですから、すぐに回答が来るわけです。

大島椿は第3者機関に委託、資生堂は自分のところの研究所で。資生堂の研究設備は大学顔負けですから、ものすごいところまで調べていらっしゃいました。

ここまで調べていたら、口にする成分を化粧品に混ぜてもいいと思いますよ。しかも、その成分が混ぜる価値のあるものであれば。

 

聞いてから調べていたら、恐ろしく時間がかかるし、調べないところもあります。

うやむやにしているところもあります。

まあ、そういうのは取り扱いしなかったり、患者さんが欲しいと言ったら、そのリスクの可能性がゼロではない説明をした上で、買ってもらいます(それで買う方はいませんが)。

 

この化粧品業界の世界的なボタニカルブームがさっさと終わるか、最先端の科学で調べた上で混ぜるのか、どちらかにしてほしいものです。

調べるのが大変だと思う会社は、最初から、口にするものを化粧品にいれなければいいだけの話で、ブームに乗っかって、新しく混ぜてきだすから、ややこしいことになるわけです。

化学薬品を毛嫌いする方が多いから、ボタニカルブームになるんでしょうけど、皮膚に塗るのと食べるのとでは全然違うことをわかっていないと、結局何かあって困るのは自分ですからね~。なにかあって、お金をもらっても、アレルギーはなくならないですよ。一生背負うのは自分ですよ。

化粧品会社側の一方的な情報だけを鵜呑みにしないように、なんでもすぐに飛びつかないようにしてくださいね。

栄養療法もしていて、正しいスキンケアができてれいば、皮膚のバリア機能はかなり強固なものになりますから、昔からあるような化粧品であれば、ものにもよりますが、気にせず使うことができます。新しい化粧品であっても、多少のものはへっちゃらになると思います。

それは本来の皮膚の役割りです。

おかしな化粧品はダメですは、もともとそれほど化粧品を選ばなくてもいい皮膚が、いい皮膚だということです。

 

 

 

 

カテゴリ:

スキンケア, 化粧品, 医療