栄養の話が続いているので、閑話休題。
先日お伝えした、アラガン社の新しい、厚労省認可を取ったヒアルロン酸組織注入剤
ボリューマ®XC
「XC」というのは、麻酔剤が入っているという意味です。
早速、自分の顔に、自分で打ってみました。
自分で自分に注射する(しかも顔)というのは、無茶苦茶やりにくくて、まず手が逆手になるのと、鏡も逆ですから、そりゃ~もう大変です。
おまけに、一応自分にするのも逆血(血管の中に万が一入っていないか、確認しているわけです)の確認もするんですが、確認している間に(片手でやるから、ものすごく不安定)、針先がずれます。ずれたら、もう1回刺せばいいわけですが、ずれてもう1回刺すということは、逆血ももう1回見ないとダメ、というわけで、そのうち嫌になって、最初に逆血(の有無)見たら、もう入れちゃうこともあります。患者さんには絶対にしないことを自分にはやります。でないと、いつまでたっても終わらないから。。
さて、思った以上に、注射器押し出しやすかったです。
新品の場合、めいっぱいシリンジの中に入っていますから、片手で、皮膚を固定して(これ、すっごい大事なので、自分の顔と言えど、この手は離せません!)、片手で逆血の確認→注入、となりますが、シリンジを押すのがやりづらいと、またここでも針先がずれます。
片手というのは、ほんと大変です。
(患者さんの場合は、片方の手で、皮膚も固定しながら、逆血注入の介助もできるので、全然やりやすさが違います)
思った以上にやりやすくてよかったです。
入れた直後は、今までのウルトラプラス®よりも硬めで、しっかり入っているのがよくわかりました。
ずれにくいし、ボリューム力は確かにありますね。
入れた直後は、手がずれたのと、ちょっと入れすぎたかな?と思ったので、少し盛り上がって、ぼこぼこしていましたが、翌朝にはかなりなじんで自然になってました。
一部、やっぱり入れすぎだ!と思っていたところは、まだ膨らんでますが(これはちょっと時間がかかるから、修整必要)、それでも前日よりはかなり自然です。
ふ~ん、使いやすいかも。
一応、治験(認可されるまでのデータ)では、24か月、ボリューム減少の改善を実現し、満足度が7割を超えていたそうです。参考までに。
厚労省が認可していない、カルシウムハイドロキシアパタイト注入剤のレディエッセ®は、頬にはどんどん使わなくなって、ヒアルロン酸にほぼ全員移行していて、アゴと鼻だけやっていましたが、アゴも打ち方を変えたので、ヒアルロン酸に変えて、打ち方のやり方が広がったので、アゴはヒアルロン酸のほうがいい(結果の形がね)という方が多く、アゴもヒアルロン酸に変えていました。
でも、鼻だけはレディエッセ®にしていたんですが、鼻が実は一番レディエッセ®を使いかうないところ(万が一、溶かせないから)。
私が普段入れる量くらいは、なんの問題がないような量ですが(それでも慎重にはやらないといけません)、鼻に注入剤を入れる患者さんの中には、もう自分で止められなくなっちゃって、「もっと入れてほしい」「もうちょっと入れてほしい」とどんどんエスカレートしていく方がたまにいます。
「もっと」入れることはあまりないですが(皮膚がよほど余っていない限り)、「もうちょっと」というのは、仕方なくやることもあり、そのたったちょっとがすべてのバランスを崩すことがあるので、本当はやらないほうがいいのに、と私自身思うし、そのまま患者さんに言うことも多いですが(入れる前の確認です。しばらく減りませんからね)、そういうことを言う方は、ほとんど「入れてください」派です。
バランスが崩れて、いかにもやりました感が出たり、美人が台無しになったり、さっきのほうが綺麗だったのに、ということも多く、見た目の好みの問題と言えばそりゃそうなので、納得しない方は押し問答になるだけで、説明の上、それでもやりたいなら、安全を確認の上やることになります。
でも、一度だけ、結構怖い目に遭ったので、できればそういう追加ってもうやりたくない。。
レディエッセ®は、コラーゲンの増生を誘導しますから、注入剤がなくなっても、増生したコラーゲンが残ります。これは、ヒアルロン酸では見られない重要ポイントです。
(ヒアルロン酸も全くないわけではないですが、レディエッセ®の誘導性には勝てません)
なので、鼻でも他でもそうですが、コラーゲンが増えることで、皮下組織のボリュームが増えて、そのおかげでボリュームが増えたりします。お得です。
皮下など入れているところは、コラーゲンのネットが張りめぐされていると思っていただくとわかりやすいです。
何回も同じ場所にされる方だと、結構なネットができあがっています。
なので、見た目、時間が経っても、私からしたら、そんな変わっていません。触ったら触るし、コラーゲンらしきもの増えてるのがわかります。(個人差あります)
ごくわずかにそりゃ減りますが、こういう方は、その微量をなんとか戻したい、維持したい、という美意識の強い方々です。
ヒアルロン酸もレディエッセ®もそうですが、持つ方は持つんですよね~。
先日、レディエッセ®を3年前にされた方(頬と法令線です)が来院されて、レディエッセ®ご希望で、ちょうどラストの1本でした。
「いつから気になったんですか?」とお聴きすると、半年くらい前からだそうです。
それまで全然気にならなかったそうです。
(ちなみに、3年前も、使ったのは1本1.5ccで、何度かに分けて入れています)
この方は、レーザー等に通う時間の取れない方で、手っ取り早い注入系をされていらっしゃるんですが、初診と次回来院時に指導したスキンケアを、そのまま素直にちゃんと実践されていて、ほんとにこの3年間、あまりいらんことはしていらっしゃいませんでした。
レディエッセ®が予想以上に結構もったというのもありますが(こういう方はわりといます)、スキンケアを頑張られたのも貢献かなりしているのでは?と思いました。
次回は、多分レディエッセ®ないですよ~という話をして帰って行かれましたが、他のレディエッセ®大ファンという患者さん方々から、レディエッセ®をなくさないでほしい、と言われています。。
私のためだけに(個人)輸入して!とおっしゃった方もいて、その方のためだけにというのは無理ですが(1本だけ買うことはしませんから。まあ、できないし。かといって、1回の輸入で仕入れた分全部を使われるわけではないから)、人数が集まったら、レディエッセ®再輸入もありえるかもしれません。う~ん。。。
とりあえず、当分しなくていいから、様子を見るように言っています。次回する時は、ヒアルと比べてみては?と提案しておりますが。
どんどん承認された注入剤が出てくるので、まあ、承認にこだわる必要はないと言えばないのですが、私は、「承認」というお守りが好きなので
(承認を国内で取るということは、日本人のデータがあることなので。白人と日本人で、同じ美容医療をしても大違いです。アメリカ人なんか、日本人の3倍肉食っているんですよ。いろいろ体の作り(皮膚も含めて)も文化も考え方も違いますから、日本人のデータがある、というのは、結構大事です。白人には出ないような副作用合併症が出たりします。)
う~ん、、先のことはわかりません。
ただ、思った以上に、使いやすかったです。ボリューマ®XC。
あとは、経過ですね~。
アラガンが出しているデータも大事ですが、聞くのと、自分でやって(自分にも患者さんにも)経過を診るのとでは大違い!ということが、医療では多い(特に美容医療の場合)。