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  • 院長
    柴 亜伊子
  • 京都四条 あいこ皮フ科クリニック

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不妊治療の実際②

昨日の続きです。

 

さて、甲状腺機能に問題のあった患者さんを、もう少し精査してもらうために、とある大学病院(注:京都ではない)に紹介しました。内分泌専門です。

紹介状には、

・妊娠希望で当院で栄養療法をしていたら、甲状腺機能低下が見つかり、このままでは妊娠できないから当院で処方を開始したが、他にもあれこれ引っかかったので、もう少し精査をしてほしいが、今後のフォローをこのまま当院でしていていいのか、そちらにお任せするほうがいいのかもご教授いただけますと幸いです、うんたらかんたら

みたいな内容で、「△△を○○以下でフォローしていきたいのですが、」とまで書きました(専門のドクターであれば、知っているはずですが、念には念のため。。。)

 

で、「うちで診ます」と言われました。

患者さん宅からしたら、うちよりもそちらのほうが圧倒的に近いので、今後の妊娠のこともあるし、良かったですね、と引き続き、うちでは美容医療を時々されていました。お忙しいから、毎月ではなかったかと思います。

 

うちに来られた時に、病院でした血液検査の結果をまとめて持ってきてくださって、一緒に診るんですが、なんか、結果、おかしい。。

。。。亢進になってないか。。? この数値、ほんとにいいの?やりすぎじゃないの。。?

 

患者さんに、「この値は。。」と切り出したら、(医療関係者の方なので)患者さんも、何度もあちらの先生に、「この値でいいんですか?」と聞かれたそうです。

そのたびに、「いいんです」と言われたそうです。。

 

そこまで聞いて、そのうえで専門家がそこまで言うだから、いいんでしょうね。。。と(言うしかないわけですが)。

甲状腺は、薬を減らしたり油断すると、すぐに悪化というか戻るというか、そういうことも多いから、わざと亢進気味にしているのかな。。?と思うしかない。。

患者さんに問診しましたが、機能亢進の症状も出てなかったので、あちらにお任せしているわけで、しかも専門家ですから、私がどうこう言うことではない。。

 

。。また、しばらくして、患者さんが来られたら、やはり毎晩動悸がするようになって、どんどんひどくなったから、もう自分で薬減らしました、そしたら動悸しなくなった、と言われたので、「予約を早めてもらって、あちらの先生にすぐに言ってください!」

受診されて、無事薬を減らされたそうです。。。

その後に診せてもらった検査結果のコピーに先生の字で書き込んであったのですが、「亢進」って。。

(おまえがしとるんやろ~っ!!と心の中で思いっきり突っ込みましたが、しかも何度も患者さんが聞いているのに!!低下しているよりはずっといいから、まあ抑えすぎておきたかったのかなと、このときはいいほうに取っておきました。)

 

この方は、食事がだいぶ頑張っておられましたが、サプリはそれほど飲んでいらっしゃらなくて、ちょこっとだけです。

私も含めた女性全員栄養は全然足りないのですが、妊娠するのにこの栄養素がいるからと一粒でいいから飲んで!と無理くり買わせたサプリも、脂溶性だからとあまり飲んでいらっしゃらなかったりして、「いや、ここのは天然のものでできているから、過剰症にはならないし、まだまだどちらにしろ足りないから」と説得を繰り返して、どこまで飲まれていたのかはわかりませんが、そうこうしているうちに妊娠されました。

 

レーザーで予約を取っておられたんですが、電話がかかってきて、「妊娠したかもしれないから診察に朝行ってきます(うちの予約前に)、でも妊娠してそう!妊娠してたら、レーザーできませんよね?」と嬉しいのと残念なのとが混じった感じでお話しされていて、もし妊娠していたら、レーザーは無理だから、その代わり、栄養解析をして栄養状態を確認しておきましょう!となりました。

 

めでたく妊娠されていて、その日は栄養解析(血液検査)をされました。

 

妊娠されたことはとても喜ばしいことですが、私はそのお知らせをお聞きしたときに、「早いな。。」と不安になりました。

その少し前にしていた血液検査で、まだそこまで栄養状態が良くなっていなかったから(最初よりは良くなっていたんですが)、これで妊娠して大丈夫かな。とかなり不安になりました。

でも、ほとんどの妊娠出産をされた女性が栄養不足なわけで、この方だけではありませんから、皆条件は一緒で、この方だけが特別栄養足りないわけではないんですが。。思っていたよりも早く妊娠されたので、でもアラフォーだから早く妊娠したほうがいいし、とジレンマですよね。

 

妊娠ほんとに初期の血液検査の結果を診てびっくりしました。

のきなみ、栄養欠損がドーンっ!とひどくなっていて、赤ちゃんがもう栄養を必死で奪いにいっているのか、母体が赤ちゃんに回すようにしているのかわかりませんが、とにかく母体の栄養がどんどん減っています。

妊娠ってすごい。。。

 

赤ちゃんができておなかの中で10か月育てるって、母体にしたら、すごい衝撃が走るわけで、ものすごい大変なことです。ほんとに頭が下がります。

だからこそ、女性にはたくさん栄養を摂ってほしいです。いつでも元気でいられるように。

 

妊娠初期は、おすすめのサプリのちょっと変わりますし、なにより初期の栄養状態というのはとても大事ですから、赤ちゃんにしたら一生に1回のことですから、ほんとに重要です。

栄養を上げていくのに、サプリでの効率化と必要性を説明しましたが、それほど患者さんは必要とされていないようで、購入されたのは少しでした。

 

それからしばらく来院されなくて、まあレーザーもできないし、私が甲状腺診ているわけではないし、妊娠初期にあまり出歩くのも大変だろうし、妊娠したからお忙しいんだろうと思って過ごしていました。

 

で、またしばらくしたら栄養療法で診察の予約を取られて来院されました。

 

そしたら!!

絨毛膜下血腫で(胎盤の下に血がたまること。その血が吸収されなかったら、最悪胎盤剥離して妊娠続行不可能となります)、入院していたと言われて、ビックリ!!!

「今は落ち着きました(赤ちゃんは無事)」

。。。ふう~。。。

 

絨毛膜下血腫の原因が栄養不足によるものかどうかはわかりませんが、栄養が足りていないときに妊娠すると、昨日の話の続きでもありますが、神様が母体が危ない、赤ちゃんがこのままでは危ないと判断したら、妊娠を止めにかかることがあるのかと思います。

妊婦さんにどれくらいの確率で起こるものなのかはわかりませんが、確かに患者さんの栄養状態も良くなかったし、不安が一瞬頭をよぎりました。。

 

そのとき、大学病院での検査結果も持参してくださったんですが、甲状腺の値を診て、頭真っ白になりました。。

 

なんや、これっ??!!

流産するやんっ??!!

 

甲状腺機能、低下のまま放ったらかしです!!なんのための大学病院やねんっ!!この一番大事な時に??!!

機能亢進までさせといて、なんや、これはっ?!!ここ一番で、低下ほったらかしか??!!

(何か月も低下のままでした。。その間に何度も検査されているのに。。もちろん妊娠はご存知で、出産もそこの大学病院の産科で産むことになりました。

不妊治療していたところは、妊娠したら、あとは放ったらかしで

(そこが何をしてくれたわけではないです。結局、患者さんは人工授精でもなく、自然妊娠ですから。。妊娠して患者さん説得してせっかりサプリいつもより飲んでいたのを、全部止めさせたのは、そこの管理栄養士です。しかも妊娠初期に、妊婦に鉄はいらないとまで言い放ったそうで。。いついつ過ぎたら、もううちでは診ませんからね!と何度も念を押されたそうです。。なんや、それは。。

ついでに言うと、妊娠したと内分泌の先生に言ったところ、うちで出していた亜鉛のサプリを、「亜鉛は蓄積するから」と止められたそうです。。

はあ~?! 妊娠初期に亜鉛もいるやろ?!どうやって細胞増やすねんっ!!この方、どんだけ亜鉛の値低いと思とんねん?!診てから言え~っ!!と後から知ったときに心の中で叫びました。。

あとから、患者さんが、亜鉛やら鉄やら全部止められたんです。。飲んでいいんでしょうか?と聞きに来られ、もちろんです!!妊娠中、妊婦さんみんな飲んでいます、というか飲まなきゃいけないから!!と説明しました。。ああ。。飲んでいない間の赤ちゃんの成長が悔やまれます。。

産婦人科や栄養士から、栄養療法のサプリを止められることは多々あるそうです。。婦人科から言われると、患者さんもそっちに流れちゃうわな。。)

 

話を戻します。

 

甲状腺機能低下と絨毛膜下血腫がどこまで関係しているのかわかりませんが、とにかくこの値では不育症(流産)になるからっ!!(データがちゃんとあります)

予約早めて、むこうの先生に言わないと!!薬上げないと!!

(患者さんから言うって、かなりおかしな話ですが。。)

もう、私は焦りまくりで、でも患者さんはたぶんあまり意味が分かっていないのもあるのかもしれませんし、すごく脅すわけにもいかないし。。でも、急がなきゃ!!

患者さんに、「この値は、○○以下にせめてしないと流れやすくなるんですよ」とはお伝えして、「わかりました、予約早めて言いに行きます」と帰っていかれました。

→続く

カテゴリ:

医療, 栄養・食事