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    柴 亜伊子
  • 京都四条 あいこ皮フ科クリニック

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フェリチンだけ注目しない!

本の話ばっかり続いておりますので、久しぶりにフェリチンのことを。

 

フェリチンが注目されたのはいいですが、フェリチンだけが注目されて、またあ~あ~と思います。。。

 

フェリチン=貯蔵鉄です。

どこの臓器の役に立っていなくても、どっかに鉄がへばりついているだけでも、フェリチンは上がります。

いろんな細胞がつぶれて、中の成分が漏れてきても、フェリチンは上がります。

体のどっかに炎症性の病気(ガンもそうです)があると、バンバン上がります。

炎症があるから、弱い細胞膜の細胞がこれまたつぶれて、フェリチンが上がります。

炎症がある時に、鉄をうまく使ってもらうというのは、結構大変なんだなと思います。

 

私は、栄養療法を自分にも始めて、2年ちょっとの3年目に突入です。

私のフェリチンは、最初、10でした。

私は月経過多が若い時からあって、生理の前~生理時は、顔は真っ青というか、真っ白というか、すべての血の気がない状態で、一般の方が見えて、「大丈夫ですか?」と心配されるくらい、白くなったこともあります。

赤血球やヘモグロビン、いわい末梢血液・血液像で引っかかったことはこれまで一度もなく、もちろん貧血で引っかかったこともなく、女性にしては肉やレバーはまだ食べているほうでした。

 

栄養療法をされている方々は、フェリチン10がどれだけひどいかわかりますよね。

この「10」という値ですら、偽物かもしれません。真実はわかりません。

 

最初溝口先生の解析レポート通りに、サプリをほとんどすべて飲みました。

ヘム鉄は、1日に6粒飲みました。(それ以外の栄養素も摂っています)

1週間もしないうちに、朝の起きやすさは全然違い、皮膚の冬場のひび割れ(小さいものですが)がみるみる塞がり、体調の違いを感じました。

 

1か月後に、採血(栄養解析)をまたやりました。

それで、フェリチンが30台くらいになったと記憶しています。

体が楽にはなりましたが、それだけ調子が良くなったのに、たった1回の生理で(生理前になると)、朝がなんかしんどい、目の下のクマが目立つ。。

ああ、鉄取られたな。。(生理2週間前くらい)と実感できるようになりました。

 

一度良くなると、ずっと維持したくなりますし、これでこんなに体調がいいなら、このさらに上はどんな世界が待っているんだろう。。。と鉄を増やしました。

日によったら、1日8~10粒くらい飲んでいました。特に生理前はターボして。

 

そしたら、生理前の不調や変化がほぼほぼわからなくなり、フェリチンが栄養療法を始めて、3か月ほどして、50を少し超えました。

体調は全く違います。

フェリチン、これだったら、来月100超えるんじゃない?と呑気に、期待しておりました。

 

ところが1度生理が来ると、一気に、40台半ばくらいに下がったんです。

(ちょうど生理直後だったか、とにかく、先月とその月の間には、1回生理がありました。)

まだダメか。。

まだ上の世界をのぞいてみたい私は、ヘム鉄増量して飲む生活を続けました。

生理が来て、少し落ちて、また飲んで上げて、落ちて、とそうしているうちに、50前後を維持できるようになり、やや上昇傾向?みたいに思っているうちに、

血液検査で、フェリチン70が出ました。

 

。。。偽物だ。。。

 

本物か?!と一瞬疑いましたが、他のデーターから言って、70のわけがない。

この時、炎症反応がデータから読み取れました。

泣く泣く、鉄を減らして、炎症を抑えてくれるように、サプリを少し変えました。

 

そしたら!やっぱり朝起きにくいかも。。?なんとなく今までみたいにガンガン飲んでいた時のほうが体調はトータルでよかった気がする。。

でも、鉄上げるわけにいかないしな~。

 

(ちなみに、炎症反応がある時に、活発かどうかにもよるとは思いますが、そこに鉄をバンバン入れたら、活性酸素を増やすだけか、(腸内の)悪玉菌のエサを巻くだけか、どちらにしろ、いいことなんてありません。

お金をかけて、体調が悪くなるとわかっているのに、飲みませんし、患者さんにも飲ませません。

 

そうこうしているうちに、フェリチン90まできました。

。。。あり得ません。。。炎症反応は以前として出ていました。

鉄剤は飲みたいので、他の栄養素もわりときっちり飲んで、炎症反応を抑えるように内容を変えました。

 

そしたら、40台後半~50台前半くらいを行ったり来たりしていました。

 

本物のフェリチンで、偽物の混じりけもなく、それで40や50台なんて、かなりお金と時間をかけないと無理ですよ。

 

特に、皆さんがよく飲まれている非ヘム鉄は、なにか役に立ったんでしょうか?

プラセボでもなく?

 

何度もかきますが、フェリチンが大事なんじゃないし、目標はフェリチン高値じゃないですよ。

中身が伴っていないのに、フェリチン上がったって、意味がないというか、むしろほんとの値がわからなくなったので、邪魔というか、役立たずになることも。その値は、無視してなかったことにして、他で評価します。

 

最終目標は、体内のいろんな反応にも十分な鉄がいきわたっていて、なにより本物の不良品ではない赤血球がたくさんあること。

見せかけの不良品の赤血球が、400万あろうが、450万あろうが、不良品ですから、役立たずです。

末梢血液・血液像は大事ですが、これもチェックしないといけない項目のひとつにすぎません。

造血には、タンパク質もビタミンBも必要で、なにより鉄だけ摂っても、トランスフェリンがないと運んでもくれないわけで、

よくある検査で、

末梢血液・血液像

フェリチン

血清鉄

UIBC

CRP

みたいに言われていますが、なるほど、保険診療でやるならこれが限界でしょう。

栄養解析では、これだけでは鉄の過不足は診断できませんから、もっと検査します。もちろん自費です。保険は通りません。

 

保険診療でやる場合、経過を診ていくしかないですが、たとえ、これらの値が良くなってきても、それだけで、ほんとに良くなっているのかはわかりません。

推測の推測です。

しかも、鉄をたくさん飲ませてもいいのかダメなのか(必要であったとしても)は、この検査だけからはわかりません。(参考にはしますが)

 

ちなみに、保険診療で、月経もない男性に、バンバン「鉄欠乏性貧血」と病名つけて、フェリチン測っていたら、そのうち保険切られますよ。特殊な病気をお持ちでない限り。

 

もういい加減、安物の非ヘム鉄を飲むのは、ほんとに止めていただきたい。

今までに血液検査をされたことがあれば、栄養療法される方が持参してもらっていますが、その安物のせいで、せっかくの血液検査が、あちゃちゃになります。ワヤヤです。

飲まれていた患者さん方の時間とお金がもったいない。半年飲もうが1年飲もうが、データ、むしろ悪くなっていますが。。。すべての項目で。。というのもよくあるパターンです。。

 

「フェリチンが全然上がらない」と来られる方もいて、その理由は2つ

①飲んでいる鉄剤そのものが質が悪い。上がるわけがない。

②他の検査項目を全く考慮していない。フェリチンしかみていないから、そういうことを言いだす。

世界はフェリチンに支配されているのか?!

 

逆パターンもあり。

「フェリチンこんなに上がったのに、症状が一向に良くならない。他の数値も良くなっているように思うのに。。」

③飲んでいる鉄剤そのものの質が悪い。むやみに上げているだけで、何も利用されていない。鉄とフェリチンしかみていない。

 

「フェリチン、○○でした。」

→だから?なに?って感じです。その1個の数値だけで、一体なにを診断しろと。。。?

 

フェエリチンは確かに必要ですが、目的はフェリチン上昇ではないです。

ちゃんと、データを深読みをしてくれる医療機関で、同じやるならやりましょう。

はっきり言いますが、ネットの情報と市販されている本の情報だけで、すべて済むものではないです。

知識の一部として、そういうのは利用されたらいいですが、専門でやっているところとは知識に雲泥の差があります。もちろん、経験も。

教科書通りにはいかないのが人間の体です。

だからこそ、データの深読みが必要なわけで、根本的なことが間違っているのに、次々とこっちじゃないか、あっちじゃないか、とわかってやるのと、わかっていないのにされるのとでは、お金も時間も全然違いますよ。

 

時間のない方には、本当にちゃんとデータを読んでくれる医療機関で、栄養解析を受けていただきたいものです。

時間はお金で買えません。

ヘム鉄(医療機関専売品で、GMP工場で製造・高品質・高濃度・高純度・高吸収など)は、そらそれだけしていますから、個人輸入などの安物と比べたら高いのは当たり前です。

その安物で半年かかってもできないことが、1か月で済んだらどうですか?どっちが高いですか?

実際は、時間だけの問題でもなく、トータルで見たら、お金もちゃんとしたもののほうが安くなります。

安いものに飛びついて、ろくなことはありません。安いからって、喜んでいるのはつかの間です。

プラセボが効いているのは、せいぜい2~3か月です。

その間に、見直してほしいです。一度ちゃんとしたところで診てもらって、それから考えれば?と思ってほしいです。

 

 

 

カテゴリ:

医療, 栄養・食事