患者さん何人かから聞かれたので載せておきます。
先日の、「見た目のアンチエジング研究会」で毎年近大の山田先生が、見た目のアンチエイジングに関係する論文などのアップデートを一気に講演してくださいます。
講演時間に限りがありますから、載せてくださったスライド全部を講義されるわけではないですが、その講義スライドの中から興味深いのを見つけました。
おなかとかの皮下脂肪をはさんで凍らせて脂肪を減らす、っていう機械ご存知ですか?
美容医療の医療機器として、すごい特許技術でもってして完成した医療機器なんですが、テレビでもそこそこ取り上げられたりして、一時フリーペーパー誌のエステの広告で、なんちゃってのパッチもんのそっくりさんの機械が登場~!!
ほんとにこういうエステはろくでもないですね。
もちろん、医療用はすごい特許技術でつくられているわけで、エステは国家資格をもたない普通の一般人がエステティシャンしているわけですから、医療機器が扱えるわけではないですし、エステの機械はほんとに危ない。
4℃に凍らせて、皮下脂肪だけ凍って、皮膚は凍らない、というところが特許技術なわけで、簡単にマネできるものではないです。
なので、トラブルが予想通り、ものすごく多かったようで、さっさと厚労省と警察は取り締まらないのかとずっと思っておりましたが、すっかり忘れていました。
(最近、フリーペーパー誌をあまり見る機会がなく、見ても、そういう広告あんまり見なくなったから)
それを受けて、医療用の機械を、厚労省が認可した経緯があると聞きました。
その辺はわかりませんが、美容医療の機器が厚労省の認可を取っていくのは、とてもいいことですね。
今まで全然そういう話が遅れていたから。
今、こういう部分痩身のための美容医療って、手術による脂肪吸引は置いといて、手術以外で、となると、この凍らすやつか、熱を加えるやつか(熱の程度は機械それぞれ違いますが)、どちらかです。
熱を加えるものは、最大のリスクは火傷です。
うちの部分痩身機のは、熱を加えるタイプです。
熱で脂肪細胞に自殺してもらう。。
(冷やす場合は、凍らせて自殺してもらう。)
今ではありませんが、最初使い始めた時、結構設定温度を強くしてました。
患者さんが我慢できる範囲内ですが、今よりもだいぶ設定温度が高かったです。
そのほうが断然効きが良かったから。
そしたら、やっている最中はまだなんともなくても、後から火傷が出た方が何人かいらっしゃいました。
今は照射方法や設定などを変えたので、設定を変えてからの火傷はないですが、全員の患者さんに、火傷などのリスクの話はしないといけません。
副作用のリスクはゼロにはならないから。
で、一方、凍らす機械のほうは、一時的な知覚鈍麻などはあっても、火傷はしませんから(凍らすから当たり前ですが)、副作用があまりないような、それほど気にしなくてもいいようなことがいろいろ言われてました。
(副作用ではないですが、凍らせた部分はでっかいアイスノンを体に埋め込んでいるようなものなので、戻ってくるのに結構時間がかかります。欧米人よりは代謝の悪い日本人女性は、血行悪いので、もっとかかるかと。。。やったことのある患者さんが来られて、経過を教えてもらいましたが、冷え症の方、特に冷えると体調(胃腸など)が悪くなる方は、かなり気を付けてください。戻るまでその冷たいままでしょうから。)
で、話を戻します。
研究会のスライドです。
この凍らせる機械をもっているアメリカの形成外科のドクターが自分のところの患者さんで調べたもので、なんでも術後に、脂肪の塊ができる「奇異生脂肪過形成」というものができてたそうで。
この「奇異生脂肪過形成」。
脂肪が蓄積して塊になるそうで、痛みなどはなくても見た目の塊とわかるそうです。
メーカーの発表では、これができるのは、4000回に1回くらいの頻度で極めて低いとのことですが、このクリニックでの調べると、発生率0.72%、約138人に1人くらいの計算になったそうな。
この「奇異生脂肪過形成」、脂肪吸引で取り除くしかないようで、しかも塊がやわらかくなってからしないといけないそうです。、でないと再発する恐れがありとか。
患者さんによっては、複数回の脂肪吸引手術がいる可能性があるため、やる前に患者さんに知らせておくべき、との論文でした。
0.72%を、多いと取るか少ないと取るか、でもありますが、これできたらちょっとやっかいですね。
手術しなくてもできる部分痩身の機械なのに。
いろんな副作用合併症があるんだなと思いました。
脂肪を4℃に凍らせるわけですから、まあ、いろいろ出てもおかしくはないですよね。
何にでも、「効果がある」というのは、リスクを伴うものです。
うちもラジオ波で脂肪細胞を自殺してもらって部分痩身を図る、トゥルースカルプという医療機器ですが、オーソモレキュラー療法をはじめて、こういう患者さんが効く効かない、やってもいい、危ない、といのが、かなりわかってきました。
40歳以上の方は、検診などの採血結果を確認してから、もしくはうちで採血するか(自費)。
大丈夫だったら、リスク承知の上でやりましょう、となります。
40歳未満でも、内臓脂肪にも効くので、内臓脂肪が無茶苦茶多い方にも、先に食事などの改善が要りますから、勧めます。
採血していくと、こういう方は効く、効かないというのが結構わかります。
その旨、患者さんに伝えて、どうするか考える、という形です。
話を、冷却医療に戻します。
体を冷やすと、体は体温を維持しようとして、脂肪を燃やして、熱に変えます。
なので、部分痩身した部分以外も、全体に痩せる可能性はあると思います。
冷たいのに耐えられるなら。。。
女性で、冷えると途端に体調すっごい崩す方、おられるでしょう。
そういう方は、いくら承認機でも注意が必要です。
何をするにしても、よく話を聴いて、特に、副作用合併症のことなど。
効く治療にリスクはつきもの。
わかってやる分には、その方の自由ですから、されればいいですが。。。
リスクをあまり言わないクリニックも多いようなので、その辺はちゃんと説明してくれるドクターのところで受けましょうね。
こういうリスクって、あんまり表に出てこないから、出しておきます。
リスクの高いものど慎重に。ゆっくり気が済むまでカウンセだけで、別のクリニックに行ってみる、セカンドオピニオンを受けてみる、というのもありです。