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    柴 亜伊子
  • 京都四条 あいこ皮フ科クリニック

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肝斑にケミカルピーリング?

先日のFacebookにも書きましたが、肝斑にケミカルピーリングは勧めません。

ケミカルピーリングの種類に関わらず、です。

 

将来的に、使用する薬剤によったら、いいものも出てくることはあるかもしれませんが、それはわかりません。

 

今使えるもので、ピーリング作用はないことはないけど、あまりにも弱すぎてピーリングとまでは言ったら言い過ぎかも、というレベルであれば、それほど肝斑を刺激することはないかもしれません。

 

ピーリングと呼ばれる処置で使われるものは、すべて、表面の角質を剥離します。

剥離されれば、皮膚がその分、薄くなります。

最低でも半日以上。

 

剥離されることで、新しい皮膚を作るスイッチを入れるようなものですら、そういう維持では新陳代謝を促すと理論上はなります。

また、その時の刺激で、いろいろなサイトカインという化学物質が出て、いい方向に動いていってくれる。。ともなるはずですが、いろんなサイトカインが出ますから、必ずしもいい方向にばかりいかないこともある。

 

ピーリング以前に、顔を擦り倒している、日焼け止めも全然塗っていない(足りないのもNG)、肌に炎症を起こすような、もしくは合っていない化粧品を使っている、肉魚卵をあまり食べていない、などなど、こういうベースができていないと、ピーリング云々以前の問題です。。

 

 

そこにピーリングなんかしたら、悪いサイトカインばっかり出ちゃうのではないでしょうか。

それだけ、攻撃がひどいということです。

(攻撃されるから、サイトカインが出て、体のたくさんの免疫をつかさどっている細胞に知らせるために、たくさん出すわけです)

 

 

角質が薄くなった分、紫外線を始め、あらゆる刺激に負けやすくなります。

どんどん奥まで入りやすくなりますからね~。

 

なので、むやみと、角質は減らしたらいけません。。

 

 

先日の患者さんがしていたというケミカルピーリング。最新のもので、どこのクリニックでもやっていると言われてました。

 

名前は書きませんが、検索をかけると、確かにおっしゃるようにたくさんの美容クリ二ックでやっています。

美容系の雑誌などでよく紹介されたとか。

(ちなみに、一部の雑誌では、メーカーのタイアップで、ステマしてますから、雑誌にたくさん載ったから、中身がいいわけではありません。良いものもあれば、良くないものもあるし、良くない場合や認知度が低い場合は、お金をつかって宣伝もするわけです。

そうやって仕掛けることで、うちも!うちも!と乗っかるクリニックも出てくるので、業界としては、皆で盛り立てていきたいのだと思います。

それはそういうものだと思うし、わかってて患者さんも一緒の乗るのかどうかは、その人の問題ですね。)

 

 

そして、その説明は、どこのクリニックも全て同じ。

文章までほぼ同じクリニックもあるし、そこの先生の言葉に少し変えてあるところもありましたが、内容は同じでした。

 

同じなのは、それを売っているメーカーの宣伝文句をそのまま書いているからです。

 

いくつかのクリニックの説明で見かけましたが、ヨーロッパでは、CE(日本でいう厚労省の承認みたいなもの)を取得しているから、安心安全、ヨーロッパでは多くの人がやって、安全性は確立されている、というもの。

(というメーカーからの情報かなと思いましたが。

そこまで書くからには、ヨーロッパでは、データを取っているんだと思います。

じゃあ、アメリカのFDA取得は?

ちょっと調べた分では、FDAは取得されてませんでした。

厚労省の取得は、今の日本で美容医療はなかなか難しいので、それはなくても仕方ありません。

新しいものをするなら、FDA取得のものをすることが、最低限の安全性の確保の条件かと思います。

CEのみ、FDAなし、というものは、のちのち結構な問題になっていることが多いので。。。)

 

 

ただ、なんでもそうですが、こういう時って、どういう条件で取ったデータなのか、とか詳細を見ないと、ほんとは効果や安全性についてはなにもわからないということです。

 

で、確かにヨーロッパでは、ようは欧米人には安全であったとしても、日本人に安全かというと、全く別の話。

 

日本人の肌は、欧米人と、欧米人以外でもアジアであっても、全然食べているものが違いますし、日本人肌触りすぎなので、ほんとに全然肌質が違いますよ。

 

 

どこのHPを見ても、素晴らしいピーリング剤のように書かれてますね。

これがあれば、レーザーなんかいらないんじゃないですか?

ニキビ跡なんか、わざわざ高いフラクショナルレーザーとかやらなくてもこれでいいんじゃないですか?というのが素朴な疑問。。

 

 

ほんとにこれが、そこまで効くなら、1回の料金はフラクショナルレーザーよりも高いか同等くらいの金額設定になるはずだと思います。

経済の流れからいって。

 

でないと、誰もフラクショナルレーザーやらなくなりますからね。。。

 

 

ケミカルピーリングのクリニックにとっての最大のメリットは、

①レーザー機器のように高額でないから、金銭的にも入手は比較的安くできて、薬剤さえ手に入れれば、すぐに始めることができるということ。(個人輸入だったとしても)

②医師がしなくてもいいと思っている。

この薬剤、もしほんとにやるなら、医師がやらないと、危ないと思いますが、おそらくほとんどのクリニックがナース任せかと思います。

これをされたことがある方は、医師の診察が毎回ありましたか?

施術の最中も医師が診ていますか?

施術中はナースでも、最初と最後に医師の診察はありましたか?

 

ケミカルピーリングは、ほとんどが医師がノータッチでナース主導でされていることが大半です。

 

ちゃんと毎回医師の診察の元、ピーリングしているのであれば、それはそれでいいと思いますよ。

そこの先生のお考えなのでしょうし、責任をもっているから、診察をしてされているんでしょうし。

 

多くのクリニックが、メーカー提供の、ビフォーアフターの、しかも欧米人の、写真を載せていましたね。

(これは、厚労省が今は規制をかけています。表示の仕方によったら、削除するように言われる対象のものです)

 

なんでもやってみないとわからない、ということはありますね。

自分が実験台になっても、やってみたい方はおられるでしょう。

副作用合併症もわかった上でされるのであれば、自己責任ですから、いいと思います。

 

でも、肝斑の方、肝斑の疑いや可能性のある方には、いくら自己責任と言っても勧めません。

 

肝斑は、絶対に刺激してはいけないと思っていますから。

 

このピーリング剤、全然刺激ないように一見書いていますけど、そんなわけあるかいっ!というのは

ちょっと調べただけでも思った感想です。

かなりいろんなサイトカインは出るでしょう。

だからこそ、コラーゲンが増生してくるわけです。

それで済めばいいんですが。。。やっぱり済まないのではないかしらん。。。

 

肝斑の人に関しては、いわゆる「最新治療」に飛びつかないこと。

飛びつくメリットよりも、飛びつかないほうがメリットは各段に大きいと思いますよ。

また、飛びついたデメリットも大きいはずです。

 

データがちゃんと出るまで待ちましょう。

データも出ていないのにやる場合は、自分が実験台であることをお忘れなく。

 

 

一度こじらせてしまった肝斑はとても厄介です。

えげつない時間がかかることもあり、こじらせている人というのは、とにかく、なにもせずに(刺激せずに)過ごす、ということがまず耐えられない。

だから、また触る、で、こじれる。の繰り返しです。

なので、どんどん手に負えなくなる。。。

どこかで、この負のチェーンを断ち切ってほしいんですけどね。。。

肝斑へのアプローチの仕方を変えてほしんですけどね。。。ほんと、真逆に。。

そしたら、結構短期間で良くなるんですよ。ほぼわからなくするのには時間がかかりますが、目で見えては良くなるんですけどね。。刺激しなければ。。。

 

 

 

 

 

 

 

カテゴリ:

スキンケア, 医療