先日お手紙をくださった方が、くびちる荒れで悩んでおられます。
くちびるはね=、皮膚よりも時と場合により厄介です。
毎日、しかも何回も、飲んだり食べたりするでしょう?
皮膚以上に刺激のあるところなんです。
なので、本来は、強くできてるんですけどね。
くちびるって赤いでしょう?
赤いのは、これ、血管の塊で、とても血流が豊富で、傷んでも本来すぐに再生できるようになっています。
でも、なにかの理由で悪循環にはまっていたり、再生しようとしている時に、ちょっとした刺激で、再生が邪魔されてしまっているのかと思います。
再生する力や速さよりも刺激のほうが勝っているのかなと。
皆さんがよく使うリップクリームや口紅、オーガニックや自然派化粧品の口紅やリップクリームにも、と~ってもよく入っている「ミツロウ」。
実は、これ、結構刺激になる方はなります。
ミツロウが原因で、くちびるに色素沈着を起こすこともありますし、もちろんかぶれたり、ただれたりすることもあります。
皆がなるわけでもないのですが、なる時は、なんでもなったりします。
そうなると、なにか塗るなら、もうワセリン系が無難ということになりますが、ワセリンは保護しかしないので、再生を直接促すものではないのが残念なところ。
保護してあげることで、自分の再生治癒能力で治ればいいんですが、そちらが落ちていると、保護はしたけど、治らないままとなります。
粘膜というのは、皮膚にはある角質というのがありません。
そういう意味で言えば、皮膚よりも鎧がない分、弱い。
鎧がない分、臨機応変に対応できるし、口から入ってくるものに関しては、本来強いはず。。口は、消化管ですから。
唇の外側手前は、ヌルヌルせずにサラサラしてるでしょう?
ここには、薄い角層があります。
薄いので、皮膚ほど鎧が厚くない。
皮脂膜もないため(皮脂腺がないから、サラサラしてる)、よけいに鎧とていは、弱い。
どこかで、なんか変なスイッチ入ってしまったのかと。
あまりひどい時は、保険診療では、やはりすぐにステロイドの塗り薬が処方されます。
あまりひどい時は、炎症を落ち着かせるために使用する、というのは、ありはありだと思います。
ただ、原因が解決していなければ、ステロイド塗って落ち着いても、止めたらまた再発して繰り返すので、これは皮膚もそうですが、ずっとステロイドを塗り続けるのか?という問題になってきますし、もちろん、ずっとステロイドを塗る状況というのは、ステロイドの副作用合併症も出てくるし、できるだけ止めたいところです。
一時のかぶれで、ステロイド塗って、すぐに治るなら、いいんですが。。
なんにせよ、可能な限り、刺激を取り除く、刺激を与えない、ということです。
これも皮膚と同じ。
くちびるの場合は、
①舐めない!
気になるし、乾いてきてひび割れそうになると、つい舐めてしまいます。
これを極力止める!意識して。
舐めれば舐めるほど、症状は悪化します。
よけいに乾燥させます。
舐めたくなったら、とりあえずワセリンで保護する。
何度も塗る。
実は、ワセリンでも、接触性皮膚炎の報告はあるので、万能ではないです。
でも、塗るものの中で、かぶれにくいものの1つではあります。一番メジャーかと思います。
使うのは、必ず白色ワセリンで!!
精製度合が違います。
②口紅はしばらく止めておく。どんなに安全、安心、低刺激と書いてあっても。
本当に低刺激のものもありますが、もう塗る=触ること自体が刺激になっていることもある。
何が、からだのほうが刺激と思って、攻撃しているのかわからないから。
悪循環というのは、そういうものです。
③飲み物・食べ物の刺激物を避ける。
熱いもの・冷たいもの・辛いもの・スパイスなども。
温かいものくらいはいいんですが、熱いできたての、フーフー冷ましながら飲むような温度は、ちょっとNG。
ただれた粘膜には、ものすごい刺激です。
くちびるの角層がなくなってしまうと、びらん という状態で、これは生身むき出しですから、とても弱いです。
刺激は禁物。
熱すぎるお風呂って、皮膚でもびっくりするでしょう?
冷たいものもしかり。
今の季節、常温はいいですが、氷の入った、水滴が周りについているようなもの。
粘膜のつくと、血行も悪くなりますし、冷えは良くない。
辛いもの、スパイスも、刺激物ってわかりますよね。
唐辛子は、絶対ダメ~!!!
硬いものやチクチクする?ようなもの(パッと思いつきませんが、チクチク感じるもの)、ものも避ける。
食べたいなら、くちびるに当たらないように、一気に口の奥に入れてしまって食べるか。。
そういう意味では、なんでも唇に触れさせないように、スプーンなどで口の奥に入れてあげると、かなり刺激は減ります。どんな食べ物・飲みものであっても。
まあ、全部が全部やってられませんから、その辺は臨機応変に。
でも、くちびるが荒れているなら、奥の消化管粘膜も荒れている可能性もありますね。
なるべくやわらかいもののほうが無難だったりします。
ただれているところには、あまり食べ物や飲みものなどは、つかないほうが良いのはいいです。
特に、唇でも外側の
飲み物でストローというのは、くちびるに直接当たるのは避けてくれもしますが、ストローがあたるという刺激もあり、ストローが良いのか悪いのか、人によっても状況によっても違うかと。
刺激を減らして、ワセリンなどで保護しながら、再生する材料となる、肉魚卵を柔らかく調理したものを、たっぷりと消化できる範囲で食べる。
まさに皮膚と同じ。
攻撃を止めさせて、中から補修する。
ただの荒れではなく、実は、ヘルペスだった、とか、なにか他の病気が隠れていると良くないので、長期こじらせた場合は、一度皮膚科で診てもらうほうが良いです。
ほんとにただの悪循環や「かぶれ」なのか、なにかの病気なのか、鑑別ですね。
疲れたり、ストレスが多かったり、栄養がドン!と減ると、からだのどこかになにか支障が出ます。
もちろん病気の時も。
どこに支障が出るのか、どれくらい出るのかは、わかりません。
その時々でも違うこともあります。
でも、口内炎や口唇炎、口角炎など、刺激をよく受けるところは、再生が邪魔されるので、出やすいのは出やすいです。
と思ってると、病気が隠れていることもあるので、皮膚科の診察がいるわけです。
あまりに長期の場合は、一度診てもらいましょう。
病気であってもなくても、刺激をしない・減らすという、さっきの3つは、必須項目ですので、お試しください。
徹底して治れば一番いいんですけどね。なかなかね。。