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    柴 亜伊子
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界面活性剤の皮膚残留性に関する経皮研究

また間を空けてしまいました。。。

 

書かなきゃいけないことはたくさんあるのに時艱がなんか足りません。。。

 

さて、今日、インスタでもあげました石けんの話。

(うちのインスタは、こちらです。アカウントないと、全部ば見れないかな?コメントというか解説が。

https://www.instagram.com/aikohifukaclinic/?hl=ja

 

インスタに上げたのは、基本全部Facebookに上がるようにしてあるので、Facebookはアカウントなしで読めるようにしてありますよ。

ブログよりも写真が多いし、どうぞそちらも。

 

で、こないだの皮膚科学会の一般演題で、

「界面活性剤のin vivo 皮膚残留性に関する経皮研究」というのがありました。

in vivo というのは、人での実験ということです。

 

まあ、早い話、合成界面活性剤が、実際どれくらい皮膚に残っていて(すすいでも)、どうなるのか?という実験報告の発表です。

 

肌荒れしていない、健常肌の男女に、①ラウリン酸カリウム ②ラウリル硫酸ナトリウム ③ラウレス硫酸ナトリウム

の3つで皮膚残留性をちゃんと実験されたものです。

 

発表では、データが各種出てましたが(当たり前ですが)、ここでは、結果のみお伝えします。

 

で、

②ラウリル硫酸ナトリウム ③ラウレス硫酸ナトリウム、の2つは、皮膚残留性があり、①ラウリン酸カリウムにはありませんでした。

 

今回は、直接刺激を見たものではありませんが、すすいでも残留性があるということは、それだけ皮膚に残って刺激を与え続けるわけです。

この2つに関しては、皆さんが思っているような、普段しているようなすすぎでは、全然足りない、とも言えます。

 

 

肌関係の患者さんの場合、特に肌荒れ相談や赤ら顔、シミ肝斑の相談の場合、お使いの化粧品をあらかじめ全部知らべておくんですが、ネットで情報開示しているメーカーのもので、患者さんが使っていたもので、私が調べた分に関しては、②ラウリル硫酸ナトリウムのものは、あまりなかったです。

 

あまりなかった、とは言え、これは、あくまでも、自分のところのHPで、全成分表示をちゃんとしているメーカーに限って、ということです。

 

外資系は、ほとんど、100%とまでは言いませんが、99.9%以上、情報開示していません。

オンラインで売っているにもかかわらず、です。

国産メーカーでも、表示していないところも結構あります。デパートに入っているメーカーでもざらです。

で、やはりオンラインで売っている。。。

 

ネットで誰でも買えるようにしてあるくせに、情報を出さないメーカーのつくるものは、止めておくように患者さんに言っています。

 

全成分載っているから安心ではないですが、最低限載せるのが、企業としての基本の姿勢でしょう。

ネット販売禁止で、対面販売のみ、というなら、あちらの理屈もわかりますが。。。まあ、そんなところはほとんどないです。

 

で、情報を載せていないメーカーの化粧品に、この②ラウリル硫酸ナトリウム、多いみたいなんですよね~。

(だから載せない、ということですかね。やっぱり)

 

③ラウレス硫酸ナトリウムは、インスタでも書きましたが、結構なんにでも入っています。特に安いものは、かなりメインで使われています。ほぼと言ってもいいくらい、多くのメーカーが使っています。

 

ヨーロッパでは使用禁止されていると聞いていますが、日本では、歯磨き粉から市販の胃薬にまで入っているという、恐ろしいことです。

(皮膚よりも粘膜のほうが、もっと刺激性が上がる。吸収率も)

 

②ラウリン硫酸ナトリウムよりは、皮膚刺激がマシだから、しかも安いし!というのが大きな理由かもしれませんね。

 

この発表では、

①ラウリン酸カリウムだと、洗顔後、5~10分で、皮脂にも含まれているミスチリン酸などが誘引されて、皮膚のバリア機能が回復してきているのに対し、他2つは、限りなくゼロに近かったかと思います(回復全然しなかった、ということです)。

 

一番皮膚残留性がひどかったのは、もちろん、②ラウリル硫酸ナトリウムでした。

ようは、一番刺激性があるとも言えます。

 

ラウレス硫酸ナトリウムをかばう人は、化粧品会社といろいろお金の関係があるのでしょう。

当事者のこともあるでしょう。

でないと、作れない、勧めないとなるので、仕事上、困るわけですから、それほど悪くは言わない。

 

ラウリル硫酸ナトリウムも、多くのメーカーが使っていますから、それらとなにかいら利害関係があれば、それもあまり悪くは言わないでしょう。

 

だって、買ってもらわないと困りますからね。自分のところの商品をけなす人はいないでしょう。

企業の利益優先がそのまま出ている。

 

原価も安いやっすいから、売値も安くできるのが、メリットととも言えますが。。。

それなら、それこそ、お湯だけでいいでしょう~、と思います。

 

合成界面活性剤もいろんな種類やいろんな商品があるので、1個ずつこうやって知らべて下さらないと、実は本当のことはわかりません。

 

いくら、理論上、刺激がなさそうと思って作っても、いざ生きているもの、人間の皮膚に使って実際どうか、は、使ってみないとわからないのです。

机上の空論ってやつです。

 

本当の科学者、化粧品研究に携わっておられる方は、皆さんご承知のことですけどね。

 

だから、そういう方は、現場で使っている人の声を聞きたがられます。

 

実際、どうですか?ということです。

使い心地も、ものによったら効果?みたいなものも、逆にデメリットや副作用合併症など困っていることがないか。

 

実際の結果を知ってこその、次の研究に活かせるからです。

 

合成界面活性剤が悪い!と言うのではなく、どの成分がどれくらいの刺激があるのか、どの成分ならどの商品なら、あまり刺激がないのか。

 

こういう本当のデータがないと、これも机上の空論になるので、とてもありがたいです。

数値で出ることで、改めての皮膚への刺激性も思い知らされますね。

 

 

 

また、原材料で使われていても、使われている量とか、単純に混ぜただけの話ではないので、メーカーなりの工夫で、刺激がさらに減るようになっている商品も、実際はあるでしょう。

 

だからこそ、こうやって、刺激がない、低刺激、問題なかった、というデータを診せてほしいんですよね。

 

たくさん化粧品があるんだから、わざわざ、勝手に言ってるだけでなにも根拠はないです、みたいな化粧品を使わなくてもいいでしょう、と思います。

 

 

 

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