この土日は、熊本で開催された、日本美容皮膚科学会総会に参加してました。
今までだったら、地方でされる際の初日土曜日の午前中は、参加者の移動の時間帯になるので、会長企画の特別講演会などのことが多くて、今まで、前泊して土曜日朝から学会出席としていましたが、今回熊本で、プログラムが出るまでに、ホテルや交通手段をどうするのか決めておかないといけません。
散々迷った末、土曜日朝イチで移動にしました。
前泊となると、飛行機の場合、クリニックものすごく早く閉めないといけない。
ただでさえ、土曜日丸休診として患者さんに迷惑をかけているのに。
さすがに、金曜日終わってから新幹線で熊本まで、というのは、元気ないわ。。。
(博多に前泊したらよかったのかなと今日ふと思いました)
そしたら、なぜか今年、土曜の朝イチからがっちりやります!
え~っ?!とプログラム見て、これも散々悩みましたが、当初の予定通りとしました。
美容皮膚科学会でもなんの学会でもそうなんでしょうけど、主催する大学や教授の好みと言いますか、得意分野や考え方が色濃く反映されます。
今回は、東京や横浜や大阪の私立大学ではなく、地方の国立大学です。
保険診療メインの場合は、私立・国公立はあまり関係なく、その教授の専門分野と考え方によりますが、美容や抗加齢医学会もそうですが、自費診療メインとなると、やはり自由度の利く、私立大学のほうが、なにかしら企業との関係が密な気がするのは、私だけでしょうか。。
年々、本来であれば、中立というか、むしろ患者さん側の立場にたっているはずの美容皮膚科学会が、なんかメーカー主導の学会発表中心になっている感じがして、レーザー機器などのメリットばかりを誇張しているような内容が多く、教育講演もシンポジウムも、一般演題ではなく(一般演題も)、学会主導のはずの講演まで、企業にとって都合のいい内容になってないか。。?と思うことが増えてました。
去年なんかまさにそうです。
肝斑のレーザートーニングのシンポジウムだったか教育講演は、ほんとに良いことしか言っていない。
良い面ももちろんあると思いますが、肝斑のレーザートーニングって、ほんとに気軽にやるものではないし(医者側も患者さんも)、注意事項も山ほどあるし、もちろんスキンケアの徹底です。
それだけ注意しても、肝斑が悪化する時はもちろんあります。
ぜ~んぜん、悪いことを言わない。
デメリットがわからない。
でないと、実際困るのは、メリットだけ信じてやっている医者と被害に遭う患者さんですよね。
本当に効くのであれば、それ相応のデメリットがなんでもありますから、そこを、それこそ学会で注意喚起を行いながら、メリットデメリット双方、ちゃんと言ってほしい。(昔は言ってましたよ。)
肝斑のレーザートーニングの危険性を、唯一啓蒙してくださっている、葛西先生をシンポジウムに入れない。
危険性がわからないと、これから始める医者も患者さんも、ほんとに困るのに。。
で、今年は。。?
肝斑単独のセッションはありませんでした。
シミというか、色素病変やアンチエジングなどに関する中で、必ず肝斑の話は出ますけれど。
今回は、ピコレーザー単独の教育講演がありました。
ピコレーザーが登場してから、肝斑のレーザートーニングに使っているクリニックが、バンバン宣伝して客寄せして、また被害が出ている、という話は聴いてましたから、ここの教育講演にも葛西先生が呼ばれないと、私は学会としておかしいと思うわけです。
そのセッションの間は、私は別の教育講演を聴いていたので、抄録しか読んでいませんが、去年とどう違ったのかは聴いていないのでわかりません。
で、企業主催のランチョンセミナーで、葛西先生が、「ピコレーザーの真実」を講演されるので、ここは絶対外せません。
今、日本で医者が買えるピコレーザーは3種(3社)あります。
他のセミナーなどで、この3社の比較というのは、よくされています。
それぞれのメリットデメリット、特徴などを講演してくださいます。
でないと、もし買う時、困りますよね。
今回の葛西先生のご講演でも、その3社の比較がありました。
かなり衝撃的で、今までのいろいろな印象が覆りました。
私は、シミの治療に、もとより、Qスイッチレーザーなどのダウンタイムのある治療があまり好きではなく、クリニックにも置いていますが、あまり使っていません。
ピコレーザーは、ダウンタイムが少ない、しかもQスイッチよりもシミなどの治療に優れいてる、というのが、よく言われていることです。
(ピコレーザーは、もともと、入れ墨を早くキレイに取るために開発されたものです。
入れ墨は、今までのことを思えば、抜群です!)
ただ、日本人としてのデータがやっとある程度貯まってきたのかも、というところなんでしょうか。
扱っていて、学会発表されるドクターが増えてきましたから。
今、ピコレーザーを買う予定もないし(おそろしく高い)、その必要性も私の治療ではあまり感じていないので、ピコのセッションの間は、他に聴きたいのがあれば、そちらに行きます。
とは言え、全然聴いていないわけでもないんですけどね。
今回の葛西先生の発表で、肝斑にピコレーザーでトーニングをすることの危険性ももちろんおっしゃってました。
(ろくな説明もしない、格安のクリニックでやるのは論外ですよ。機械云々の話じゃないですよ、レーザー治療というのは。
レーザー機器の品質はいいものを使うのも当たり前の話で、それ以外のビフォーやアフターのケアがとても大事です。説明もしっかりして、患者さん自身も日常で実践してもらわないと、本当は安全にできません。
その上で、まだ、レーザー機器などの設定、というハイレベルな話があります。
だから、クリニックによって、治療効果に差が出るんです。)
衝撃的事実
①シミに関しては、従来通りのQスイッチレーザーで十分じゃないか?むしr、Qスイッチのほうが優れいるのでは。
(これは、他のセッションで、別の先生もおっしゃってました。)
②ピコレーザーで、真皮内出血が出る。重大な副作用。出たら、1週間くらい消えない。
(症例写真は、内出血で真っ赤っかでした。)
これは、機種によってもかなり差が出るようです。
出る確率の少ない機種でも、これは事前に患者さんに言っておかないと、入れ墨ならともかく(もっと強い反応が出るので)、シミやアンチエジングなどの美容で、ダウンタイムが出ないから、と医者・患者さんタカをくくっていると、ビックリギョーテン!で済まないレベルでした。。。
設定や患者さんの体調や体質など、いろいろそりゃああるかもしれませんが、これは、ほんとに患者さんに言っておかないと、説明義務違反ってやつでしょう。。
私が、ピコのセミナーまでは出ていないから知らないのかもしれませんが、ほんとに学会やセミナーで、内出血の話は出ません。
(誰も話さない、だそうです。言うと、売れなくなるから。)
そういうことが事前にわかっていたら説明はもとより、設定もかなり慎重にならざるを得ませんよね。
知っていると知らないとで大違い。
全くなにも副作用が出ないレベルだと、今度は、思っている効果も出ない、ということにもなりかねないので、設定というのは、ほんとにとても重要なものです。
料理のレシピと同じです。
こういう、メーカーの言ってほしくないことを、がっつりと教えてくださるのは、ほんとに葛西先生だけになったかも、というくらいの勢いだったりします。
ちゃんと言ってくださる先生も他にもいらっしゃいますが、機種ややり方の違いなどで、あまりそういうデメリットで困ったことがないのか、その辺はわかりません。。。
フラクショナルレーザーが全盛期の時もそうでしたが、ほんとにイケイケガンガンのまるで魔法の機械みたいな学会発表が相次ぎ、思い出せば、あの時も、それにストップを唱えたのも葛西先生でした。
フラクショナルレーザーに関しては、よく言われている副作用合併症は、おそらく普通のちゃんとしたクリニックであれば言われていると思いますが、言われていないのが、フラクショナルのドット上に色素沈着が出て、しかもこれが消えない、消せない、と来てる、ということ。
これは、全盛期の時だったか、他院でのトラブルの修整をよくされて困っている先生が教えてくださったもので、ほんとにこのドット状の色素沈着は、ほんとに全く、表に出て言うドクターはいません。
(ちゃんと照射すればそうはならないのかもしれませんが、ちゃんとやっても、ある一定の割合でなってしまった患者さんはおそらくおられると思います。
むちゃくちゃ当てられたら、それは当然なると思います)
学会をあげて?、業界全体がわ~っ!!となっている時って、絶対に注意が必要です。
仕掛けている人(企業)がかなり大きく仕掛けている時であればあれほど、なおさらです。
隠されていることが、影に必ずあります。
美容医療でもなんでもそうですが、魔法はありませんから。
わ=っ!!!となっている時に、葛西先生の御講演を聴かないと、本当の問題点が教えてもらえない、というのは、いかがなものか。
美容医療の業界全体として、本来防げるはずの被害者を増やし、最後は余計に自分たちの足を引っ張ることになるのでは。。?と懸念します。。
大きなお金が動いているのか、学会がきなくさいのは現在進行形なのか。。
去年ほど、あからさまではありませんでしたが。。
学会と企業が協力して、いろいろ開発したり、データを取ったり、さらに患者さんの要望を聞いて、かなえるような機器や治療を提案していく。
こういうのは理想ですよね。
そういう面もあると思いますし(そう信じたいのですが)、そういうおかげで美容医療が発展を遂げている恩恵もあると思います。
でも、デメリットを隠す、言わない、というのは、フェアじゃない。
患者さんにも医療関係者にも。
特定の企業が儲かるところとそこに関わった特定の人に、お金が大量に流れ、情報が操作されていく。
どの業界もそうでしょうけど。。
なんか悲しくなりますね。。。
美容皮膚科学会は、そうはならないでほしい。