すみません、ブログお久しぶりですね。
なんか寝落ちばかりしてしまって、さぼってました。
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さて、患者さんから聴かれたので、載せておきます。
「先生、白玉点滴、ってどうですか? 美白にいいって。
ハリウッドセレブがやってるって。肝臓にもいいって。」
「それ、グルタチオン点滴のことでしょ」
白玉点滴、という名前は、知りませんでした。
もうそういう雑誌も読んでいないし、美容医療のほんとにちゃんとしたものは、学会に参加していれば、本当の効果のほどが検証されて学会発表になります。
学会発表を待っていたら、最先端のものは、最先端でなくなるし、気が付いたらスタンダードになっていて、乗り遅れた!ということもありますが、美容医療に関しては、私は、日本人のデータを待って、安全性を確認してからと思っています。
学会の有名な先生方が、いち早く取りいれて、データを発表してくださって、どんどんデータが集まってくるまで、基本は様子を診るスタンスです。
眉唾ものも多いし、白人(というか日本人以外)には大丈夫でも、日本人には(アジア人ではなく)副作用合併症が大きいとか、全然設定が違うとか、しょっちゅうです。
(食べているものが圧倒的に違うので、肌も総称治癒力も違う。人種やDNAだけの問題じゃない。)
まあ、部分痩身のトゥルースカルプは、自分が欲しかったのもあって、日本で最初に買っちゃいましたけど。。
(データは、ちゃんと取って、学会発表しましたよ。論文は書いてませんけど、、)
で、白玉点滴。
また、グルタチオン点滴に、ネーミングつけたのか~と思って、
(流行らせるのにネーミングって大事ですから)
患者さんが化粧直ししている間に、知らべてみますねーと言って、検索かけました。
やはりグルタチオン点滴。
グルタチオンに、他のビタミンやらどこまで混ぜるかは、クリニックによっても違います。
白くなるから、白玉?
(って、言い過ぎでは。。?と思いましたが。。)
グルタチオンは、強力な抗酸化剤の1つなので、美白目的をうたうことは、間違ってはいません。
ただ、過大な期待はしないように。
グルタチオン点滴がものすごく効いたら、そんなに肝臓に負担かかってたの?とも思います。
肝臓での解毒機能を高めますから。
まあ抗酸化剤の1つなんですけど。
約10年前、開業する時に、ビタミン点滴とかメニューの内容をどうするかで、念のため、グルタチオンは外しました。
グルタチオンがどうしても必要は患者さんはおられます。
そういう方がどうしてもしてほしいと言われれば、その方用にメニューを作りますが(ちゃんと通ってするというのであれば)、
グルタチオンを仕入れたからって、他の方にするかな、どうかな。。というところ。
それは今も変わりません。
昔、まだ大学病院に勤めていたころだったかと思いますけど、医局の関連クリニック(医局の医師たちが、出張バイトに行く関連病院)で、グルタチオン注射のアナフィラキシーショックがありました。
皮膚科や内科では昔よく(今も?)、蕁麻疹出てる患者さんに、グルタチオン点滴されてました。
急性蕁麻疹は、掻くのを止めれば、しばらくジーっと我慢していると、嵐が過ぎ去ったように、蕁麻疹はスーッと消えてなくなります。
なので、急性蕁麻疹 なわけです。
待てればいいんですが、やっぱりかゆいからその間に掻いてしまうと、掻いたところ、その周りからも、ヒスタミンと言う物質が大量に出て、全身かゆくなり、よけいに掻いて、またヒスタミンが出て、と恐ろしい悪循環にはまることもあります。
皮膚が赤くなる、腫れる、かゆくなる、だけならいいですが、のどの粘膜も腫れると呼吸ができなくなり、アレルギー反応の一番強いやつです。
ショック状態みたいになると、これは命に関わるので、アレルギーでも、口の中、のどに出てくると、一瞬で呼吸ができなくなることがあって、すぐ救急車です。ほんとにこの場合は、ヤバいです。
いつ一気に進むのかわからない。
で、皮膚科、特に普通の開業医のクリニックでは(大学病院でもですが)、通常外来で扱うのは、皮膚にだけ出ている蕁麻疹。
昔の先生は、ほんとによくグルタチオンと強ミノの注射をしてました。
上の先生が当たり前のようにするから、下の医者もマネして(というかそう習うから)同じように注射や点滴をします。
注射や点滴をすると、スーッと蕁麻疹が引いていくから、患者さんからしたら、まるで魔法のように思うわけです。
「蕁麻疹が出たら、注射や点滴をしないと消えない。」と思いこむ方も出てきます。
注射や点滴されてる最中って、腕に針が刺さっているし、腕以外もそう動けませんよね。
ジーっとせざるを得ない。掻きたくても掻けないわけです。
ジーっとしてたら、ほとんどの蕁麻疹は消えていくので(一過性の反応ですから)、点滴しなくてもまあ消えるわけです。
マジックや手品と同じで、注射や点滴のおかげと思いこんでしまう。
(薬の恩恵はあるとは思います)
大きな病院は、蕁麻疹のたびに、点滴して!、注射して!と救急や時間外に来られると困るところですが、一開業医だと、すればするほど儲かるわけで(薄利多売でも)、しかも、あそこで点滴してもらたら、すぐに治った!と評判になるわけです。
なので、バンバンやっているクリニックもあると思います。
で、そこのクリニックも、ほんとにバンバンやってました。
もう蕁麻疹に関わらず、かゆいと言った患者さん、全員か?!というくらいの勢いで注射、点滴でグルタチオンばんばんやってました。
ところが、ある日、いきなり、注射されていた患者さんが、アナフィラキシーショックを起こして意識不明のショック状態!!!血圧も一気に下がります。
救急車を呼んで、大変だったらしいです。。
そこは、点滴とかしている処置室もとても狭く、酸素ボンベもなかったかと思います。
救命救急ローテーションしている医者でも(昔は、救急科に回る義務がなかった)、あの狭くて、救命措置ができるものがなにもないところでは、怖くてたまらんと思います。
患者さんが一番困るわけではありますが、ショック状態っていつどこで誰に起こるかわかりません。
手術場であったとしても、いきなりですから、起こったら、ほんとに医者からしたら、パニックです。
(医者がパニックてる暇はないんですが、まあパニックです。冷静さを取り戻すのに、数秒~数分と、人それぞれ)
で、それ以来、そこのクリニックでは、あれだけバンバンやっていたグルタチオン点滴・注射を止めたそうな。
当たり前ですけど、そうなったら、外来は、完全にストップです。もうその日の診察は終了せざるを得ないかと。医者一人しかいなかったら。
救急車を呼んだから何もしなくていいわけでもなく、救急車が来るまで気道確保はしなきゃいけないし、血圧はどんどん下がっていくし、昇圧剤を入れている時間もないと開業医の先輩方から聴いています。
救急車呼ぶのがやっと、って。
うちのクリニックには、開業当社から、AEDも酸素ボンベも人工呼吸できる挿管チューブもあります。
私は麻酔科研修に行っているので、挿管して気道確保ができるはずです(というのは、15年以上やっていないから)。
昇圧剤などの救急措置に必要は薬も一式救急カートに入れていますが、患者さんがショック状態で息もしていなかったら、ほんとに救急車呼んで気道確保が精いっぱいかと思います。
血圧も呼吸も意識も戻るまで、一緒に救急車に乗って救急病院まで連れていってもらわないといけないでしょう。
(救急隊の方が来てくれたら、人手もあるから、人工呼吸もできるし、薬もいけますが、病院までは付き添いでしょう)
そういう万が一のことを考えると、一人の医者しかいない開業医で、しかも皮膚科で、かなり覚悟のいる薬剤なんです。
グルタチオンを注射や点滴で入れるということは。
大学病院にいた時も、1回もそんなショック状態に遭遇したことはありませんし、私の周りの医者にも先輩にもいませんでしたが、関連病院であった、となると、他人事ではない。
確率はものすごく低いと思いますが、出る時は出ますからね。
内服ではそういった副作用合併症はないですけどね。
グルタチオンの注射液には、添付文書の副作用のところに、おもいっきり、今も「アナフィラキシー」と書いてあります。
普通に美容目的の患者さんは、高濃度ビタミンC点滴やビタミンB群の点滴でいいやん、と私は思います。
患者さんが他院でやりたいというのを止めはしませんが、そういう副作用があることは知っておいたほうがいい。
どうせ、美容クリ二ックで、そこまでの説明はされないでしょうから。
でも、万が一が起こったら、一番困るのは患者さんですよね。
日本の病院だと、そのあとすぐに意識などが戻っても、念のため1泊入院してください、ってなるんじゃないかな。
薬剤のウォッシュアウトもされるでしょうし、
芸能人がどうたらこうたら、ハリウッドセレブがどうたらこうら。ステマかそうでないか、どうやって見分けされてますか?
もちろん、ステマだから、過度な期待は禁物です。
かなり差し引いて考えないとね。
そういう記事読むのって、楽しいでしょうけど、なにかするのであれば、それが医療であれば、効果があるなら、副作用合併症があると知っているのと知らないのとで大違い。
なので、うちでは、特別な場合を除き、グルタチオンは注射や点滴ではしないと思います。