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  • 院長
    柴 亜伊子
  • 京都四条 あいこ皮フ科クリニック

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時々電話で問い合わせがあるのが、

「パッチテスト、してますか?」というもの。

 

うちでは、しておりません。

 

保険診療でされているものですが、やっているところはかなり少ない。。

また、てきと~にやっているところもあったりするので、やりました!という事実だけあればいいでしょ、みたいなものもあります。。

 

 

パッチテストというのは、顔に塗る化粧品でもシャンプーでもボディソープでも、皮膚につくものでかぶれ=接触性皮膚炎を起こしていると考えられる場合に、原因を特定するのにやる検査の1つです。

 

もし、20個調べてたいなら、1個ずつ金属みたいな小さいお皿に、調べたいものをのせていって、背中や二の腕に貼ります。

ずれると困るので、テープで補強してかなりしっかりと貼ります。

48時間貼ります。

その間、濡らしてはいけません。(流れるから)

 

背中や腕に、ラップを巻いたりしてシャワーを浴びる方もおられますが、失敗する確率も高く、せっかく苦労した48時間が無駄になることも。。。

 

夏は、汗でも流れますしね。

 

また補強で貼っているテープが痒くなってくる方も多く、寝ている間に掻いて剥がれてしまった、ということも。。。

 

その中に本当の犯人がいたら、48時間、ほぼ密閉ですから、その部分は、むちゃくちゃかゆいです。

これも寝ている間、真っ先にそこを掻きますね。

 

48時間貼って、剥した時にまず判定、その24時間後にもう一度判定できたらやる(だいたい受診できないことが多いです)。

1週間後にもう一度判定。これもできたらやる。

 

 

貼っていたものを剥した時点で、油性ペンなどで全部マークしていきますが、剥したその日はシャワーもしっかり浴びたいでしょうし、かぶれたところは知らずに掻くし、日数がまた経つうちにマークも消えていって、1週間後に受診されてもどれがどれかはっきりしなくなっていることもあります。

 

疑わしいものが決まっていて、かなり強い反応が出るとわかりやすいですが、周りに溶けて混ざった、似たような反応のが何個も隣り合わせにあって、日数が経ったら、マーキングもわからなくなって、ほんとにどれが最後まで強く反応が出たのかわからなくなることもあり得ます。

 

結局、患者さんは、結構な回数受診しないといけませんし、日常生活にそこそこ支障が出ます。

 

やる数が少ない場合はまだマシですが、たくさんあると、背中使うし、夏にはあまりやりたい人はいないでしょう。。。

 

患者さん自身が、絶対に犯人を見つけてやる!!くらいの意気込みがないと、受診してはい終わり、という簡単なものではないです。

 

また、パッチテストをやるほうは、1個ずつのせていくのも大変で、それを全部記録もしないといけませんし、ずれないようにテーピング、毎回の記録も所見(結果)、マーキングも。。

ものによったら、ワセリンや純水で薄めます。薄める濃度も何種類か作ることもあります。

 

 

むちゃくちゃな手間暇がかかります。

 

人がたくさんいないとできない検査です。

例えば、大学病院とか、公的・準公的な病院でも医師やナースに余裕があるとか。接触性皮膚炎にかなり力を入れていて、そこに人員を割く覚悟があるとか。

接触性皮膚炎以外でもすることはありますが、ほぼ接触性皮膚炎の時に、医者が必要と思った時にやることになります。

 

 

その割に、保険点数はそんな高いものではなかったはずです。

 

 

なので、開業医ではとても少ない。。

まじめにきちんとやればやるほど、時間が無限かかるような検査です。

 

 

 

化粧品成分そのものの時もあるし、メーカーに問い合わせて原材料1個ずつやる時もあります。

金属アレルギーは、保険適応のキットも出てやりやすくなった、と聴いています(かなり前の話ですけど)

 

時々、開業医で、パッチテストをしてもらったけど、全然良くならない、ステロイドを塗ったら、その時は良くなるけど繰り変えす、新しく買ったものでまた同じことの繰り返し。。

ひどい人で、何度も何十種類もパッチテストをしていたりされている方も。。。

 

 

結果も含めて検査した化粧品類、全部確認しますが(これは自費での肌荒れ相談での診察です。保険ではなく。)

なんじゃあそりゃあ?!ということも多々あります。。

(開業医の場合ですが)

 

まず、ドクターがノータッチ。

「化粧品かぶれだから、パッチテストしましょう」

とここまではいいとしても、どれをテストするのか、ナースにさせるにしても指示を出さないと本来いけない。

 

基本は、顔なら顔に塗っているもの全部と、シャンプーやトリートメントなど頭に塗るものも全部です。

頭・髪の毛に使うものは、すすぎや汗などで結局顔に流れてきて、顔の皮膚についてそれがかぶれの原因、あるいは悪化要因になっていることが多々あるから。

 

洗浄剤、いわゆるクレンジング、洗顔フォーム、石けん、シャンプー、ボディソープなどの界面活性剤がたくさん入っているものは、薄めて貼るわけですが、そんなことも知らずに原液のまま貼られていることもあるようで(患者さんの話から)、そりゃあかぶれるのは当たり前でしょ。となります。

 

かぶれの犯人の冤罪です。

ほんとは、他にいたりするのに、そっちがえげつなくかぶれるから(原液だから当たり前ですが)、反応も真っ赤かの水ぶくれまでできたり、洗浄剤の原液そのまま貼ると流れるのが当たり前ですが(ほんとは濾紙などに適量浸み込ませて貼る)、そのまま貼られて周りも混ざってぐちゃぐちゃ。。。

掻きむしって(そりゃあたまらんかゆいでしょう。。。原液だから)、悲惨な状態になっていることも。。。

これで48時間か。。。普通、キレるでしょ。。と思うことも。。

 

そういう初歩的なミスだけでなく、一番ひどかったのは(これもひどい例ですが)、

まさにドクターノータッチで、ナースから、「パッチテストしたいものを持ってきてください」と言われ、患者さんが自分で気になるものだけ持ってくるというも

「今後使いたいものも持ってきてください」と同時に言われたので、使いたいものを新しく買って(!!)、それも持っていってされたようです。。

 

その中には、クレンジングやら洗浄剤関係が入っていなかったりもして、患者さんの思いこみの犯人(冤罪がらみや直接の悪化要因ではなさそう)を選んでパッチテストするものですから、真犯人はいつまでたっても見つかりません。

 

 

何度も言いますが、使っているもの、ほんとに全部やらないと意味がない。

 

なので、徹底した問診が必要なんです。

それだけでもむちゃくちゃ時間がかかります。。

(また、患者さんのほうで、「これは関係ないだろう」と勝手に黙っているものが後から後から出てきますから、いつまでたってもパッチテストは終わらない。。。

そのうち、もうやりたくない!となり(そりゃあそうだ)、真犯人は挙がらずじまい。。。

 

パッチテストは患者さんが本気で協力しないとできません。

またやる医者も、本気でパッチテストで見つけてやる!!と思っていないと、そこまで時間を取りません。

 

結局、自分で怪しいと思ってるものだけをパッチテストされていた方は、その病院でも前の病院でもずーっともらっている皮膚科の有名の保湿剤、こいつなのでは?と私は伝えました。

絶好調の時はないんですが、ず~っと使っているのが、その皮膚科の保湿剤だけだから。

 

それだけ塗っていても調子は悪い。

 

 

皆さんは、病院でもらう皮膚科の塗り薬。

 

かぶれないと思っているかもしれませんが、かぶれます。

薬ですから、副作用合併症はあります。

 

 

薬の成分そのものによるアレルギーや刺激もあれば、入っている添加物(薬にも添加物は入っています。市販よりは少なく低刺激ですが、入っています)によるアレルギーや刺激、

ワセリン基材では少ないですが、クリーム、ローション、ゲル剤などの基材自体の添加物で痒くなったり、沁みたりなど、結構あります。

 

かゆみ止めにもらった薬塗っても塗ってもかゆい、ひどくなったとステロイドのクリームを持ってこられて、診断が違う(から薬が違う)、薬の強さが合っていない、などはありますが、出された薬でかぶれたということもあり、

すっごい極端な例いうと、同じステロイド剤でも、クリーム基材からワセリン基材のものに変えただけで治った、ということもあります。

 

ワセリン基材に最初からすればいいやん、とお思いかもしれませんが、クリーム基材のほうが塗りやすかったり、伸びがいいので擦らずに塗れたり、そのあとのべたつきなど、塗るほうからしたらいろいろなメリットはあります。

 

ワセリン基材だから絶対にかぶれない、ということもなく、白色ワセリンでもかぶれることはあります。確率がとても少ない、というだけです。

ワセリンで、毛穴が詰まりやすくなってニキビが出ることもあり(つまりやすい皮膚なわけですが)、止めてもらうこともあります。

 

 

かぶれとか調子が悪いのとか、客観的に、すべての主観を取り除いてというか、えこひいきすることなく、公平に冷静に判断しないと、いくらでも冤罪が生まれます。

犯罪と同じですね、きっと。

 

 

また、パッチテストで反応が全く出なかったのに、実はこいつが真犯人、ということも多々あり、48時間貼ったくらいではわからなくて、もっと日数重ねていくと反応が出るとか、他との相乗効果で出てくるとか。

 

バーッ!とかぶれたらわかりやすいですが、弱ーい毒みたいに、ちょっとずつだとわからないけど、気が付いたらひどい目に遭ってる。。みたいなことも。。

ほんとに化粧品はこれが多いです。

 

 

で、まじめにやってもらって、真犯人が見つかったとします。

そしたら今度は、その中のどの成分なのか?ということになり、また1個ずつパッチテストをすることもあるでしょう。

 

1つの商品、これだけ止めましょう、で済めばいいですが、ある成分が原因となると、それが入っている化粧品は今後は使わないほうがいいわけです。

 

その成分まで調べないといけない。

 

となりますが、これもまた大変で。。。

成分のパッチテストとなると、メーカーに言って送ってもらうわけですが、企業秘密で送ってくれない成分もあります。

その奥ってくれない成分以外は、パッチテスト問題なかったです、みたいなこともあり、そうなると、一番あやしいのは、その送ってくれない企業秘密。。?

となっても、わかりませんよね。

 

 

ま、なんにしろ、わかった成分があるなら、今後化粧品類を買う時に、全部線分表チェックして、それが入っていないものを選ばないといけない。

 

マイナーなものであればいいですが、メジャーなものだと、ほんとに探すのは大変でしょう。。。

 

また、各メーカー独自の新しい成分もどんどん出てきて、今後の新しいものに関しては未知で、また今後そっちでかぶれる。。となるわけです。

 

多くのパッチテストを懸命にされてきた先輩ドクターと患者さんの結果で、かぶれやすい成分の代表みたいなのはある程度わかっていますが、マイナーなものになると、もう個人差の世界で。。

 

なにかでかぶれたという方の中には、他でもかぶれた、調子が悪い、と重なる方も多いです。

 

たまたまこのメーカーのこの商品だけは私ダメなんです、と済めばいいんですが。。

 

何個も何個も、という方、なにを使ってもダメ、沁みる、かゆい、赤くなる。という方は、根本的に皮膚のバリア機能が破壊されていて、皮膚の免疫力も大暴走、なにを塗っても、皮膚は気に入らないわけですから、合うものが見つかるわけがない、くらいの勢いになっている方も。。

 

こういう方がパッチテストをしても、全然引っかからなかったり、あるいは多すぎてどれもダメ!なんでもダメ!とか。。あまりやった意味なかったな。。ということも。。

 

 

また、バリア機能が顔ほど破たんしていない背中を使いますから、顔に塗った時と違う結果になることも。。

(アレルギーやほんとのかぶれは、背中でもちゃんと出るんですけどね。軽いのとか、アレルギーとかの問題ではない時は、一つの参考にしかならないことも)

 

 

私自身は、昔の化粧品かぶれと違って、今の肌荒れ、化粧品かぶれは、そりゃあかぶれるでしょ!調子悪いでしょ、というものばかり使っていることと、根本的にスキンケアというか肌の触り方が間違っているので、

パッチテストは保険診療上大事ですし、自費でもなんでも、できるならやったほうがいいと思いますが、現実問題として、コストや患者さんの協力などなど、またその結果ではいおしまい!にならないこと、1つの参考でしかないことなどを考えて、うちでは、保険でも自費でもやっていません。

 

 

保険では、使っているものを全部止めてもらって、炎症を対症療法として抑えるだけです。

 

あとはかぶれなり、自分の治癒力で治すのを待つだけ。

 

 

繰り変えす、という場合、化粧品を再開したからですが、また化粧品全部止めて、ステロイド要るなら塗って、と繰り返し、肌はボロボロになっていく。。

なので、基本は自費の診察で、化粧品からスキンケアから徹底して見直して、食事と栄養で負けない肌を作ったほうがいい、とは言います。

 

保険診療で、全部化粧品止めてください、っていっても、止めない女性、たくさんいますよ。

 

ファンデだけは塗っているとか、化粧水だけは塗っているとか、ファンデ塗るからクレンジングもやるしね。

結局、全然止めないから、同じことが繰り返すわけです。

こういう人、無茶苦茶多いです。。

 

うちの肌荒れ相談、化粧品相談は、スキンケアの肌の触り方も診ますが、使っている化粧品の中で、残せるものは残す(続けて使う)ようにしています。

(ほぼ残りませんけどね。。。それだけ、ろくでもないものばかり大量に5個も10個も塗りたくっているわけです。。そりゃあ、肌は調子が悪かろう。。)

 

止めろと言っても、代わりのものがないと、日常生活困るわけですよね。化粧(ファンデ)もいるんでしょうし。

 

その状態でも使えるものの紹介はしています。

パウダールームでテスターも使ってもらったり。サンプルプレゼントも。

 

あまりにひどいと、ほんとに今は一切ダメ!という人もたまにいます。(それくらい、ひどい)

 

ひどいことの自覚がない人も多いので(湿疹皮膚炎、アトピーの上に平気で、わけわからん添加物まみれのもの、塗りたくっていて、それが悪いとも思っていない。。慣れっておそろしいですね。。)、

素直に止めて、本当の敏感肌用に変えるのか、そこは患者さん次第です。

新しいものを買うのもお金がかかりますから(今までの半分以下で買えたりするわけですが)、強制はできません。

その方の顔のことですから、その方の人生ですし。。

 

 

使う化粧品とスキンケアだけでなく、食事と栄養は必須です。

負けない丈夫で元気な肌を作ることですが、これも興味ない方はいくら説明してもそこは上に同じく。。

 

食事むちゃくちゃでもかぶれが治ればいいんですけどね。

かぶれくらいなら治りますが、キレイな肌にはならないんですよね~。

 

まあ、その方の目標によりますから。お好みで。