プロフィール

  • 院長
    柴 亜伊子
  • 京都四条 あいこ皮フ科クリニック

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漢方薬はいつ飲むのがいいのか。

 

一般的に、空腹時と言われています。

 

食前30分前に、ぬるま湯で、が一番いいと聞いたこともありますが、食前30分前なんて、そんなタイミング、難しいですよね。

(患者さんに、ごはんの準備する前に飲んだら、ちょうどくらいじゃないですか?と言ったことはあります)

 

漢方薬は、腸内細菌のおかげで効くので、食後の食べ物で腸が渋滞している時ではなくて、空腹時に飲むほうがいい、と私も聴いたことがあります。

 

 

うちでは、漢方薬を出す時、1日2回(もしくは3回)、食間、と書いておいて、患者さんに渡す際に、

「空腹時に飲むほうがよりいいけど、飲むタイミングがなかった!忘れてた!となって、飲まないくらいなら、食後でも食直前でもいいから、とりあえず気づいた時に飲んで!飲むことに意味があるから。飲まないよりずっといいから!食直後が外せるならそれにこしたことはないけど、食後すぐでもかまわない」と説明して渡しています。

 

飲んでほしいからです。

(すべての薬にあてはまるわけではないですよ)

 

おススメは、朝起きてすぐの水飲む時や、寝る前など。

1日2回でいいやつは、とりあえずこれで達成します。

2回目を、午後のどこかのほうが、血中濃度は保たれると思いますが、飲むのが無理なら仕方ないことです。

 

私は、洗面所に漢方おいています。

 

昼間も、もう時間ないわ、という時は、ほんとに食後でも(直後もたまに)、食直前でも飲みます。今を逃すと、もうしばらく飲めない時など特に。

 

 

ところが、たまにあるのが、院外処方箋で、薬局で薬もらってもらう時に、処方箋には、「食間」としか書いていません。(電子カルテで、それくらいしか選べないから)

口では、説明しましたけど。

 

そしたら、薬局のほうで、「食後2時間半に飲むように」と言われたそうです。

 

これも、たまに聞きます。

私は言いませんけど。

食後2時間半なんて、測ってられないから。

 

 

食間、空腹時、食事30分前もそうですが、実際の現場では、それが患者さんが難しいから、食後でもなんでもいいから飲んでもらうほうがよほど大事なわけです。医者からすると。

 

 

で、この「食後2時間半」と言われた患者さん、まじめな方でして、オーソモレキュラー療法で、タンパク質なども小分け食べをしっかりされていて、1日3回の食事以外に、なにか補食をされている方です。

そうすると、食後2時間半たつと、次の補食をされるので、漢方がいつまでたっても飲めなくて。。。(そりゃそうだ)

 

 

私はそんな説明はしていませんが、最後に薬もらって、最後に説明しているのは薬局なので、最後に言われたほうが印象に残ります。

(かといって、処方箋に、「いつでも」と書くわけにもいかないし、書いたら、絶対に薬局から問い合わせの電話がかかってきます)

 

 

薬局で言われる場合、薬剤師の中にも、メーカーの添付文書を頑なに守る人もいるし、実際の現場を知っていたら、結果論でもありますが、そこまで忠実に守らなくても(実際、患者さんの大半ができないとか)、と(処方箋も食間、とアバウトに書いているわけですから)、処方箋以上の細かい指示をあまりされない(ややこしくなるから、わざとね)方もいるし、ちょっとだけメモみたいに、食後2時間半、食前30分前、とかちょこっと言う方もいます。

 

その患者さんが、どこまでがっつり言われたのかわかりませんが、ほぼ1か月分、全然減ってませんでした(患者さんが飲みたくないのではなくて)。。

 

 

院外処方線にすると、とても助かりました!とお礼を言いたい薬局もあれば、え~?!ということも。。。

患者さんが、どこの薬局行かれるのかはわかりませんけどね。薬局に寄っても在庫が違うし。その場合は、自宅の近所になるでしょうし。。

 

 

漢方薬って、とても、と~っても奥が深くて、漢方の本を読ん出いると、ほんとに飽きずに、時間を忘れていることがあります。

 

昔買ったけど、意味がよくわからなくて放置していた本を先日読みなおしたら、「おお!!これは良い本だ!」と新しく発見があったり。

 

漢方薬の本も、執筆されている先生によって、ちょっと意見が違います。

専門の科が違うだけでも、よく使う症状も違ってくるし。

とても参考になります。

 

ツムラと、ツムラ以外で、考え方はほんとに違います。なので、漢方専門でやっていると、ツムラ以外もばんばん使います。皆さんは、漢方=ツムラ、というイメージが強いでしょうけど、それがコマーシャルの印象で、うちではツムラも出しますが、ツムラ以外のほうが圧倒的に多いです。

 

ツムラばっかり使う先生の本と、ツムラ以外を使う先生とで、同じ名前の漢方でも全然意味が違います。

 

 

先日、見つけた漢方の本。

「漢方薬のストロング・エビデンス」

 

https://www.amazon.co.jp/s?k=%E6%BC%A2%E6%96%B9%E8%96%AC%E3%81%AE%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%82%B0+%E3%82%A8%E3%83%93%E3%83%87%E3%83%B3%E3%82%B9&hvadid=387095418420&hvdev=c&jp-ad-ap=0&tag=yahhyd-22&ref=pd_sl_4l3fpbkz45_e

この本、すっごく面白いし、ためになりました。

 

(漢方薬は、ちなみに中国の中医学と日本の和漢と呼ばれる「漢方」「漢方薬」は、似ているようで全然別物ですよ。漢方薬局は、どっちなのかにもよりますけど。両方しているところもあるのかもしれませんが。。。)

 

漢方って、歴史が長くて、科学が進歩する前からありますよね。

なので、漢方の効果が科学的に実証されたものがすべてではないんです。

やっと漢方の効果を検証した論文や発表が出てきて、科学が漢方に追いついてきた、という感じ。

 

エビデンス(医学的な証拠)がなくても、きっとこれから出てくるんでしょうし、なにより歴史が物語っているので、私はとても好きです。

オーソモレキュラー療法とも通じるところがあり、この考え方は、オーソモレキュラー療法と同じだ!ととても嬉しくなることもあります。

 

 

 

で、この本は、エビデンスばっかり一覧に載せてくださっています。ちょっと解説も含めて。

 

どれくらいどう効くのは、副作用はどうか、などなど、やっぱりデータで見たい時もあり、そう言う時にこの本はとても便利で、とても良かったです!!!

(こんな人には、この漢方!みたいな、いわゆるハウツー本ではないですよ。題名通り、エビデンスの紹介の本ですから。お間違いなく。)

 

エビデンスと解説もとてもためになりますが、こういう本って、間のコラムがあって、このコラムがまたとても面白い!!ためになるわ~。

 

コラムの1つに、「漢方はいつ飲むのがいいのか」というコラムがありました。

そこで紹介されていたサイトの1つです。

 

「漢方薬の食前投与に科学的根拠はないという指摘に対する製薬会社の対応」

http://p.booklog.jp/book/64017/read

これを書かれた先生もおもしろいわ~。ありがとうございます。

こういう先生って、いてくださってほんとに助かります。

こういうことに疑問に思って調べて、メーカーとやりとりまでしてくださってます。頭下がりますね~。

 

 

漢方、食後に飲め!って言ってるんじゃないですよ。食前に飲む科学的根拠がない、ということですよ。お間違いなく。

 

まあ、これら読んで、知ったからと言って、今までと漢方の飲み方で、スタンスは基本変えていません。

 

ただ、ほんとに忘れるくらいなら、食後でいいから飲んで!と言いやすくなったかな。