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    柴 亜伊子
  • 京都四条 あいこ皮フ科クリニック

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表情は買えない②

前回の話の続きです。

 

 

表情や自分の中の不満がもうにじみ出ている方の話の続きです。

前回の書いていて思い出したんですけど。。かなり前にも記事にしましたけど。。。

 

 

昔、テレビ番組で、見た目に悩んでいる方を、美容医療、特に手術を中心を変身させて、ビフォーアフターを見せる、という番組あったの、覚えています?

 

すっごい昔だから、最初ものすごい視聴率で、特番がシリーズになって、でもマンネリ化してきて、どっかの美容外科クリニックがスポンサーで、手術したらキレイになるの、当たり前やんっ!!みたいな声も上がり、手術はせずに、エステやメイクだけの変身する方も出したり。。エステもスポンサーだったと記憶してます。

 

登場した方は、そのクリニックのモニターにそのままなっていたり(モニター契約が先かとは思いますけど)、手術までしようと思った経緯のエピソードが、いや、そんなのあり得へんやっ?!みたいなエピソードも出てきたりしてました。

 

まあ、確認はできないんですが、「見た目が不細工だから、周りからいじめれた」というエピソードが多かったような。。

 

「いじめ」って当人がどう感じるかにもよりますから、中には思いこみもあることもあるとは思いますし、実際職場で陰口やいじわる、嫌がらせをされたこともあると思います。

そういうエピソードをオーバーに言っていない、誇張していません、という証拠はないわけです。

 

最初は、そこまで「ウソだろっ!!」と思うようなことはなく、普通にバラエティとして面白かったと思いますが、マンネリ化してきたり、モニターがなかなか見つからなかったり、エピソードのインパクトがもひとつないとなると、オーバーにはしてるでしょ、と思った一つが、

「道を歩いていただけで、知らない人から石を投げられた」というもの。。

 

いや、さすがにそれはないでしょ。。なにか、その人が悪いことしない限り。。。

 

今の学校や職場のいじめは、陰湿なので、石を投げれた方もおられるでしょうけど、ものすっごく昔ですよ?

っていうか、今でも、それはないでしょ。

まあ、それも確認できませんけどね。

 

 

形成外科で、それは保険適応では。。?というのもされてましたね~。

それは、大学病院でやるべきだろ、というのも。。。

 

 

話を戻します。

 

 

あれに登場する方全員、手術してようがしてまいが、ビフォーは、一般人が、プロのメイクもなく、またほとんどの方がまさに普段着で、メイクもブローもせずに写真やビデオと撮られている。

下手すると、もともとのその方の日常よりもひどい恰好させられていることもあるかもしれませんね。

 

 

ところがアフターは、

手術なりで、顔立ち全然別人になって(手術するなら、かなりがっつりされていましたから)、その方が一応望むように、二重とか鼻にシリコン入れるとか、アゴにも入れるとか、エラを削るとか、脂肪吸引するとか、豊胸もあったっけ?忘れました。。

まあ、いろいろ希望通りに変えてもらって、そこにプロがメイクして、ブローして、衣装まで用意されて、スタジオの真ん中で、スターのようにスポットライトを浴びるわけです。

 

キレイに見えないはずがないっ!!!!

アフターのインタビューの間ずっと、ニコニコしっぱなし。

そりゃあそうだ。

 

 

いつもあの番組観て思っていたのは、この後、どうなったんだろう。。。(というのも数人、あの人は今?みたいな番組もしてたと思いますが)

とずっと思ってました。

 

手術で顔立ちは買えても、メイクも髪のセットも、もちろん服装も、全部自分でしないといけないわけです。

 

仮に、今までメイクもブローもなにもしてこなかった方だと、手術後もなにもしなくても、見た目の、その方のいうところの「改善」はあるんでしょうけど、スタジオ収録の時のようにはならないわけです。

 

まるで、シンデレラの魔法が解けるみたいに。。。

 

 

顔立ちや体型を変えたことで、思いっきり、メイクやファッションを自信を持って楽しめるようになりました、という方もおられると思います。

ほとんどの美容手術を受けられた患者さんがそうなるように。

 

 

魔法が解けたシンデレラは、そのあと自力でいけてるかしらん。。。

と思ったきっかけは、

登場された方の中には、エピソードが本当か誇張かわからなくても、確かに、可哀想と同情するような方もいました。

 

でも、「私だけ見た目のせいで差別された!いじめられた!見た目で損してる!!!」と言っていた方の中には、表情はとても険しく、その文句を言っている姿も、あまり同情を誘うものではなく。。。。

周りも悪いかもしれないけど、あなたにもなにか問題があったのでは。。?という方々がおられました。

 

ず~っとそういう環境だったせいで、卑屈になってしまったのかもしれないし、もうそういう風にしか考えられなくなったのかもしれません。。

それが悪循環に、どんどん表情を険しくしていることもあるでしょう。。。

 

 

いつもあの番組観てて、プロがメイクと髪のセットをする前の、手術だけのスッピンの顔が見たい、とずっと思ってました。

 

手術だけでどこまで変わったのか知りたいわけです。

 

そこは、全然出てきませんでした。時間の関係もあるとは思いますし、ギャップを楽しむ番組ですから、演出もあると思います。

 

私が観た中で、お一人だけ、ビフォーと、手術後のアフターのスッピンが並んで出ました。

 

 

その方は、手術は、二重と鼻シリコンもだったかと思いますが、手術名聞いているだけで、ほんとにがっつり!顔が別人のように変わる手術をされています。

 

 

ところが、ビフォーアフターの写真、私には、ほとんど同じに見えました。

 

えっ?!!!

なんで。。??!!!

あんだけの手術したのに???

 

 

 

と思ってよく見ると、表情が全く同じなんです。

 

眉間にしわは寄せてる。

口角は下がったまま。

目尻はつり上がっている(もともとつり目ではないですよ)

 

ビフォーの時の不満爆発顔が、そのまんまでした。。。。

せっかく手術したのに、あれだけの手術して、かなり痛みもあってすごく大変だったと思うのに、それだけいろいろ我慢して、別人のように希望通り変わったのに、不満爆発顔。。。

 

 

もうず~っと長いこと、その不満顔できてしまったから、顔の表情筋が固まってしまって(イメージね、正確には、萎縮です)、動かないのかもしれません。。

眉間を寄せる筋肉も口角を下げる筋肉も、目じりを吊り上げる筋肉も、今までの筋トレで、強いままなのかもしれません。

 

笑ったことのない方に、いきなり笑え、と言っても、笑う筋肉が作れていないんです。。。

 

と言っても、40代、50代とかじゃないですからね。

年齢を重ねたら、それだけ、筋トレの時間と使わずに萎縮させた時間が長いから、すぐに回復はしないかもしれませんが、20代だったか、30代前半だったか覚えていませんが、いわゆる若い方です。

 

人生で、ほんとに全く笑わずに過ごしてきたのかもしれませんが(それなら、20代、30代でも、あり得るかもしれませんが)、

スタジオのアフター発表では笑ってたので、笑える筋肉はちゃんと動くわけです。

 

 

笑う筋肉は動くのに不満顔になっているというのは、頭の中が不満爆発しているからです。。。

写真撮る時に、嫌なことがあったのか、その時うまく笑えなかったのか

(私も写真に慣れていないので、笑って、といわれてもうまく笑えないこともよくあります。かまえてこわばる、というか。。)

その辺は、わかりませんが、表情が全く同じだったら、あんだけ手術しても同じ「顔」なんだな~と実感したエピソードでした。

 

 

私にとっては強烈なエピソードでした。。

 

 

美容外科の手術は、私はやりたい方はやったらいいと思います。

デメリットもちゃんと理解した上で、納得の上で。ご本人の一生をかけて、されるわけですから。

(そういったリスクをちゃんと説明してくれる、形成外科認定医の美容外科医にですよ。これは必要最低限です。何科の医者かもわからないような、形成外科医ですらないような医者の美容外科手術は受けないように。)

 

 

あと、もう1つ、私なりの条件は、手術しても後悔はしないこと。

必ず、前向きになれる人だけがやる、ということです。

 

うれしい!!!人生変わったっ!!と明るくなれる人限定だと私は思います。

 

さっきのビフォーアフターみたいに、「表情」が一緒なら、周りの感じ方は一緒です。

下手したら、手術したことも気づいてもらえないかも。。。

 

だって、その人の思っている「私だけ差別されている」という原因は、多分、見た目じゃないから。。。

 

 

美容外科の手術に、過大な期待も考えものです。

原因は他にあるのに、美容外科の手術さえすれば全部うまく解決する、と思いこみすぎてる場合。。

 

 

なので、よく美容医療の教科書に、「やってはいけない・避けるべき患者の特徴」というところに、「過大な期待を抱いている」という項目が必ずあります。

 

どこまでを過大と受け止めるのかは、医者によっても違いますが。。。

 

 

 

顔立ちの「美人」よりも、「笑顔の素敵な人」のほうが、男性も女性も、私は素敵だと思うし、憧れます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カテゴリ:

エイジング, 医療