今回の学会は、日本美容外科学会という、形成外科の専門医だけで作っている美容外科学会からの分科会の学会になります。
ややこしいんですが、日本には、美容外科学会というのが二つあり、高須クリニックの高須先生とか、いわゆるよくマスコミに登場されるような、美容外科クリニック中心で、成り立っている美容外科学会と、大学中心で作られてる、形成外科医の集団の美容外科学会と二つあります。
最初、高須先生も、形成外科学会の会員だったそうですが、あんまりあやしいことばかりするから、形成外科学会を除名され、そのあと、自分で作られたのが、いわゆる美容外科医中心の美容外科学会だ、と研修医の時に、先輩から聞かされたものでした。真偽のほどは、知りません。
高須先生の作った(と聞かされた)、美容外科学会は、形成外科でなくても、医師でさえあれば、誰でも、何科出身であろうと、専門が何であろうと、医師になって、何年目であろうと、ホントに誰でも会員になれます。とても、オープンな学会です。
反対に、形成外科医の集団の美容外科学会は、形成外科の専門医(認定医と言います)でないと、入会すらできなかったような気がしますが。。。私は、形成外科認定医の資格はありませんので、この学会には入会できません(と思います)。
もともと、形成外科学会も、ちゃんとした認定施設の大学病院で形成外科を研修するなりしないと、学会に入会するときに、学会のエライ先生方の推薦が、2人だか3人だか必要で、私は最初、形成外科に入局したので、形成外科学会の会員ですが、形成外科で研修を受けていないような医師は、普通は入ることができません。
ところが、ここ数年前より、「形成外科学会会員」という肩書きが欲しい美容外科の医師が増えて、全然形成を研修していないのに、推薦状を書いてあげて、学会員にさせてしまう、という先生がいたらしく、ちゃんと知りもしないのに、推薦しないように、と学会から通達が来てる、みたいなことを聞いたことがあります。
美容外科の商業戦略に、どうしても、「形成外科学会会員」というのが、使われるみたいで、形成外科学会は、かなり狭い門の学会で、そのため、どうしても会員数も少なくなってしまいます。
中身はどうあれ、会員の数が多いと、学会としての力も大きいのか、その辺が難しいところのようです。
数が少ないと、やはり衰退していくんでしょうか。。
まあ、今は私は、美容皮膚科医なので、外科をするわけではありませんから、美容外科学会にばかり入らなくてもいいんですが、そういう学会で、レーザーのセッションがあり、そこで発表される内容もあるので、それは聞いてみたいな、とは思いますが、皮膚科系・形成外科系・美容アンチエイジング系と3種類全部行くとなると大変なので、どうしても外科系は、後回しにしてしまいます。
まして、形成外科医のほうの美容外科学会は、会員じゃないと、えげつない参加費を取られますし、今年は福岡だったので行かなかったんですね。
今回の分科会の、美容抗加齢医学会は、会員じゃなくても参加でき、費用も良心的で、開催日も日曜日で、レーザー系の有名な先生方のご講演があるとすると、やっぱり行かなくちゃ!です。
皮膚科の学会と違うところは、みなさん形成外科医で、手術中心の話が出てきます。
あと、光・レーザー・RFをするにしても、ダウンタイム(患者さんが、腫れや赤み・かさぶた・内出血など、いろいろ我慢して、すぐに人前に出られないようなことが起こること)が出る治療の話もバンバン出てきます。
(今回、たまたまかもしれませんが)
今回は、講師の先生方のメンツというのもあったのかもしれませんが、かなりハイレベルなお話で、かなりタメになりました。
美容皮膚科学会は、美容皮膚科初心者の医師もたくさん参加していて、美容皮膚科を正しく始めるために、みたいなセッションも多いので、技術的なことに関して、あまり専門的な話だけのセッションというのがかなり減りました。(昔は、初心者用と専門家用と、2種類用意されていたんですが、開催する主催者側の意図とかによって、違うんでしょうか。。)
レーザー会社が主催する勉強会も、大体講師の方のメンツも同じ先生方で、やはりこれからレーザーを買おうとしている医師のために、みたいなところもあるので、あまり専門的なお話はされません。
それからすると、今回は、もともとの学会が、専門家の集団というせいもあって、かなり突っ込んだディスカッションをされていました。
初心者の医師であれば、あまりわからなかったと思います。時間も足りなくて、もっと聞いていたいと思いました。すっごい濃かったですね。
高須先生中心の美容外科学会は、昔勤務していたクリニックで、強制的に入会させられたことがあって、それ以来、そのまま入っています。
確かに、美容クリニック中心の学会なので、日常診療のことが話の中心なので、身近は身近なんですが。。。
昔、一度行ったことがありますが、学会発表のレベルの内容は、いっちゃあ悪いですが、かなり低いです。
科学的検証とかはもちろんなくて、ご自分の経験と勘(?)で、こうしたほうが、ああしたほうが、という感じの新しい手術法とかの提案と、こんなことしてます、スゴイでしょ!みたいな、自慢の発表、みたいなあちゃちゃの学会です。
見てる分には、楽しいのは楽しいですけどね。あ~、そういうことしてますか。。。と参考というよりは、あ~あ~、って感じのことも多いかもしれません。あやしい最新の美容医療も、バンバン教えてくれます(笑)。学会というよりは、お祭りって感じでしょうか。学会の開催にも、すっごいお金がかかってます。参加している医師の恰好の派手さとゴージャスさも、結構見ものです。懇親会は、前は、郷ひろみさんのショーがあって、岡田真澄さんが司会でした。ゲストにサッチーだったかな。。?残念ながら、懇親会に参加したことはないんですが。今度こそ、郷ひろみさんを間近で見たい!と思ってましたが、今年は震災の影響で、学会は中止になりました。
(それに比べて、皮膚科学会の堅物さと地味~なのとは、対照的です。皮膚科には、まだまだ、美容なんてっ!と目の敵にされる先生がたくさんいらっしゃいます。カタギの仕事じゃないみたいに思われてますからね。)
厚生労働省に、我々はあやしくないですよ、ちゃんと学会で、ちゃんとするように指導もしてるし、がんばってますよ、というアピールのようにも見えますが、どうなんでしょう。。
確かに、開業医の先生の自由な発想から、新しく医学的な発見が見つかることもあるので、そういう自由な医療って、進歩していくうえでは必要なんですけどね。大学とかは、倫理委員会とか予算とか何をするにしても、決定に時間がかかることが多いので、開業医のクリニックだと、すぐにゴーサインが出せるわけです。
でもまあ、冷静に見て、他の学会から、全然学術的じゃない、と叱られるのも、ごもっともなんですけどね。
その反動もあって、形成外科医の美容外科学会は、ますます議論が活発になっていることと思います。
学会そのものは、あやしい宣伝・誇大広告・あやしい営業などを慎むように目指されていますし、美容外科をあやしいモノとしないで、ちゃんとしたひとつの医療なんです、としていこうとされているわけです。
あまりにも、日本の美容外科の今までの印象が悪いせいもありますし、実際死亡事故やトラブルもたくさんありましたからね。
今、この2つある学会を、1つに統一しようと話合いがされているそうでこの統合論は、かなり以前からあったと聞いていますが、今まで物別れにおわってるはずです。
当たり前ですよね、目指しているモノが違いすぎますから。
(言っちゃあ悪いですけど、もうひとつの美容外科学会のほうは、患者さんのことをお金の対象としか考えていないようなクリニックがたくさん参加していて、トラブルも死亡事故もたくさんあるわけです。形成外科医どころか、まともに医師としての研修もしていない医師の集団が所属しているようなクリニックと同じ扱いをされては、形成外科の先生方は、それは困ると思います。)
統合の決着は、つかないと、私は考えています。どちらかが名前を変えるしかないですかね。別団体ですからね。
で、今回初めて、こちらの学会に参加してみて、やっぱりレーザーのセッションには形成外科の美容外科いも行かないといけないかな、と思いました。かなり高度なお話だったので。
専門家の集団というのは、非常に見ていて気持ちがいいですね。考え方が違ったとしても。
今回の講師の先生方は、学会でも有名な方々で、知識・経験・理論・信念、全て持ち合わせて診療にあたっておられる先生方ばかりです。
時は、真逆の意見もお互い言われてましたが、それぞれの信念で、それが患者さんにとって、一番いい、と思って、治療にあたっておられるわけです。
医者が100人いたら、みんな考え方は100通りあって、違いますから、みなさんも、ご自分に合うドクターを探してくださいね。
ご自分の考え方に合うドクター、もしくは、そのドクターの考え方に共感できる場合に、治療をされるというのが、一番だと思います。
それぞれの考え方の違いなので、どの先生が正しいとk間違っているとかではないんですよね。
(知識・経験・理論・信念を持ち合わせている医師の場合に限った話です。持ち合わせていない医師については、根本的に、治療を勧めません)
同じ機器を使っていらっしゃっても、設定の方法で、全く真逆の考え方で設定されており、目指す効果ももちろん違うわけです。
機械が同じなら、同じことをしてくれるわけでは、ホントないんですよね。
治療も、100人いたら、100通りなんですよね。
考え方に共感できたら、次は、治療の目指すところに共感できるか、です。
広告で知っていたから、とか有名だからとか、雑誌に載っていたからで、選ぶのではなく、自分の目で、ちゃんと確かめてから、治療を受けましょう。