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    柴 亜伊子
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「クリーン・ビューティー」が危ない

ロイター通信のヘルス部門、皮膚科学に分野で載っていた記事です。

ドクター向けサイトから、翻訳されたもので知りました。

著作権があるので、コピペしてはいけないようですので、内容を簡単に。

原文はこちら

https://www.physiciansweekly.com/clean-beauty-products-not/

「「クリーン」な美容品が安全であるとは限らない、と皮膚科医が警告」という記事です。

 

 

「クリーン」な美容品って?

と一瞬、へ?と思われたかもしれませんが、私のブログや本を読んでくださっている方は、察しがつかれましたよね?

 

そうです、いわゆるオーガニック化粧品、自然派化粧品のことです。

もちろん、なんちゃって、も含みます。

 

「クリーン」という言葉で、欧米ではいっているのか?と知らべてみると、VOGUEから、こんな記事を見つけました。

https://www.vogue.co.jp/beauty/worldbeauty/2019-03-28/clean-beauty-everything-you-need-to-know/cnihub 

日本語ですよ。

「加速する「クリーン・ビューティー」ムーブメント完全ガイド」ですってよ。

 

 

ここ10年くらい前からでしょうか。世界中でボタニカルブームというか、この「クリーン・ビューティー」ですよね。

日本ではまだあまり言葉は浸透していませんが。

 

日本では、こういうの、食べ物・飲み物にはあんまりいかないんだよな~。

 

知ってる方、やっている方は昔からちゃんとおられますが、ブームに乗っかっているだけの女性(が多い)は、オーガニックカフェで、オサレに、サラダやスムージーは飲むけど、普段は三食コンビニで菓子パン食べて終わり、駄菓子は必ずバッグに入れてる。とか平気でしますからね~。

 

 

なんで、化粧品に向くかな~。

 

それは、日本に限らず、先進国全般のようで、それは、そう仕掛ける企業がたくさんあって、しかもそういう広告宣伝に莫大なお金が使われているから。

それだけ企業が儲かるから、それだけ投資されるわけです。

ブームに企業は一気に乗ってしまいたいから、企業戦略としては当たり前です。

 

あと、市販のサプリ市場ですね。

 

食費にお金はかけないけど、安物のサプリは飲む、みたいな。

 

化粧品にしろサプリにしろ、そこに消費者が乗るのかどうかは、自己責任ですね。

 

 

今回のJAMAの記事では、経皮感作による食物アレルギーの話は出てきませんが(皮膚に食べ物などがつくことで、食物アレルギーを引き起こす)、最初の論文が出たのが、2003年、その後も続々と世界中で発表があり、日本でもNHK特集が組まれたのが、いつだったかな。5年以上前?くらい?

日本でもかなり浸透して、「口にするものは、皮膚に塗ってはいけない」というのは、いまや世界中の皮膚科医の常識です。

 

それでも天然成分などを化粧品などに使う際には、ちゃんと徹底した検査がされていればいいわけですが、そこまでコストをかけて化粧品を作っている会社なんて、世界中でも数はとても少ないです。

医薬品でもないわけですから。

 

まして日本で、となると、私の知っている限りで数社くらい。

あとは、その数社が出したデータをもとに、同じ素材を使っているとか(ほぼ安全が証明されているので)で、皆さんが知っている大手でもそうです。自社ではそこまで知らべていません。

大手でないと(名の知れた大手であっても)、経皮感作という概念すら知らないけど化粧品を作っているところもあります。

経皮感作の可能性わかっていても、検査していないところもあります。

 

無知も困るし、わざとも困りますよね。

 

 

世界中の皮膚科医の多くが経験あると思いますが、天然成分、自然の成分抽出物での接触性皮膚炎、かぶれがどれだけ多いか!ということ。

 

日本の、皮膚科学会、皮膚免疫アレルギー学会でも、ちゃんと統計を取ってくださっている先生方がおられて、毎回、化粧品の安全について講演ちゃんとありますが、参加人数はそれほど多くはありません。

化粧品会社関係の方のほうが、医者よりも多いかも?と一瞬思うくらい、医者が少ない。

 

かたら、学会会場の企業展示の無料で配っている化粧品に(安全性が確立されていなくても)、女医が群がっていたりします。。。

特に、美容系の学会。。

 

このJAMAの論文で、Whole Food(という団体でしょうか)が、2018年使用してはいけない成分リストに、ワセリンを加えているとか!!

クレイジーですね~。

ワセリンなんて、一番、とまでは言いきりませんが、アレルギー誘発がとても少なく、コストも安いため、世界中で皮膚科医推奨の誰にでも出しやすい外用剤です。

(どう使うのかは、皮膚科医の考え方によって違います)

 

ワセリンは、石油からつくられています。

 

こういう団体は、必ず石油系化粧品は使うな!と言いますが、十羽ひとからげにしてはいけない、という典型例が、ワセリンです。

 

そりゃあね、化粧品の添加物なんて、少ないにこしたことないですよ。

でも入っているおかげでの、「恩恵」というのがあります。

冷蔵庫に入れなくてもいい

塗りやすい

メイク用品なら綺麗に見せてくれる

使いやすい、

価格がお手頃、

などなど。

 

この記事の中に出てくる団体が、パラベンフリーを呼び掛けていますが(日本でもパラベンフリーの化粧品増えましたね)、American  Contact Dermatitis Societyは、2019年の「nonallergen of the year 」に指定しているそうです。

パラベン自体は、濃度にもよりますが、アレルギー反応が極めてすくない物質の一つで、確率で言えば、使用者の0.5~1.4%と記事で述べています。

(濃度を上げたら、かぶれやすくなるのは当たり前)

 

日本では、パラベンを止めた企業は、メチルパラベンを使っていることが多いですが、パラベンよりもっと低刺激にした保存料です。

 

 

「パラベンフリー」をうたっている団体がパラベンの代わりによく使うのが、「メチルイソチアゾリノン」で、これは最も高い確率でアレルギー反応が認められ続けている、とのことです。

 

 

自分のところの使っている成分で、パッチテストくらいしろ、っていう話ですよね。

 

顔やからだに使う化粧品でも、天然精油を使っているものもとても多く、これも結構かぶれます。

希釈されていないオイルが子どもについて、重篤な被害が出たとか。(この記事の中の皮膚科医談)

 

 

まあ、ほとんど、というか全部と言っていいかと思いますが、オーガニック化粧品・自然派化粧品を作っているメーカーは、今の医学に基づいての安全テストはされていません。

していたら、売りに出せません。刺激ありまくりですから。

パラベンどころの比じゃないくらい、出ますよ、接触性皮膚炎が。もっと重篤なものも。

 

テストしていたら、そういうので、商売しようとは思わないですよ。だって、使えるのを見つけたり、問題なく使えるレベルになるまで、処理したりするほうが大変ですから。

 

 

世界中で皮膚科医が言っても、企業の宣伝のほうが勝ちますからね=。

目が触れる機会なんて、圧倒的です。

自分で選ぶしかありません。

情報に振り回されずに。

VOGUEに載っているからって、いいわけでもなんでもないですよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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スキンケア, ヘアケア, 化粧品, 医療