プロフィール

  • 院長
    柴 亜伊子
  • 京都四条 あいこ皮フ科クリニック

カレンダー

2017年7月
« 6月   8月 »
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

最近投稿した写真

ホーム > 2017年07月06日



7月2日の「抗酸化・抗糖化」のセミナーでの発表で、資生堂さんより、抗酸化の資料をお借りしました。

お借りしたお礼というわけではありませんが、セミナーを聴かれていない方には、お伝えができないので、もっと知ってほしいと思って、今回書きます。

 

以前に、資生堂の研究者の方と話していた時に、たまたま知った研究成果でしたが、その成果を知って、すごいな~!と感動しました。

(資生堂の場合、こういうことがちょこちょこあります。)

こういうスゴイ研究を、あまり外に大声で言わないところも、資生堂らしいというか、下品でないというか、商売ベタというか、もっと表に全面的に出したらいいのに、と歯がゆく思うこともあります。

資生堂の肩を持っているわけではないですし、資生堂からお金をもらっているわけでもないですが、いつも資生堂の研究員の方々のお話を聴いたりすると、その研究のレベルのすごさにびっくりすることが多いです。

いつもいろんなことを教えていただいて、大変勉強になっています。

 

今回、その研究を知った時に、ぜひ今回のセミナーで紹介したいからと許可をいただき、資料をお借りしました。

 

抗酸化作用の強い「イチョウ葉」と「オリーブ葉」です。

これは、2010年にニュースリリースにも載っていて、学会発表も2010年に確かされていたはず。紫外線による真皮の黄ぐすみの抗酸化の論文は、2011年だったか。

(全然知りませんでした)

http://www.shiseidogroup.jp/newsimg/archive/00000000001186/1186_b6e17_jp.pdf

オリーブ葉のニュースリリースが見つからなくなってました。

。。なぜ。。?

論文は、アブストラクトは無料でPubMed で見られますが、全文はお金を払ってダウンロードしてください。

よくぞここまで!という綺麗な結果でした。

実験とか臨床の場ではよくあることですが、データはなんとかできても、一目瞭然の写真での成果と言いますか、現場で生で直接見たら全然違う!ということも、写真に撮るとわかりにくい。。。ということはよくあることです。

なにより大事なのが、同じ条件化で撮影しなければいけない、ということもあり、ほんとに苦労されたと思います。

(実際、かなり苦労されたようでした)

 

このどちらの成分も、市販のは知りませんが、資生堂のドクターズコスメのほうには配合されています。

そこまで意識して使ってはいませんし、そこまで細かいことは患者さんにも説明はしていませんが(そういう話になった時はしています)、そんな成分まで配合されているのかと思うと、ちょっと使っていてワクワクしちゃいますね。

「抗糖化」に関しては、一番手っ取り早いのは、糖質の過剰摂取をしないことですから、それさえできれば一番確実です。

糖化をさせない。糖化させるような材料を入れないことが一番です。

でも、「抗酸化」になってくると、活性酸素はどこにでもありますからね。

特に、皮膚の場合は、紫外線は避けて通れませんが、かといって、全身覆いかぶさる、誰かもわからないような恰好をしたり、毎日暗い部屋で昼間過ごすわけにいきませんから、「抗酸化」との戦いになります。

栄養も大事ですが、皮膚になかなか回ってこないことも多いので、皮膚に直接塗る、という選択が一番近道になります。

 

資生堂の化粧品には、よくある、オーガニック化粧品やいわゆる自然派化粧品のような、植物や食べ物のエキス(口にするもの)が入っている商品というのがあまりありません。

入ってる場合には、詳細は書きませんが、かなり安全テストをされて、確認された上で、配合されています。

私は皮膚科医なので、こういうエキスが入ってきた時に、一番心配するのは経皮感作です。

皮膚に塗ることで、アレルギーを作ってしまって、その後、口から入ってきたら、一生アレルギー反応で苦しむことになる。。もう一生、その成分を口にすることはできない。。

最悪こうなります。

(代表的なのが、小麦成分が入っていた「茶のしずく」石けん事件です。)

私は心配になって(イチョウ葉もオリーブ葉も、サプリで飲むから)、問い合わせをしましたら、そこまで調べてるんですか?!と驚愕するくらい、検査されておられました。

人間のことですから、絶対ないとまでは言いきれませんが、そこまで検査してもし出たら、それは人間側の問題が大きいです。

そもそもアレルギー自体、人間側の問題なので。。

(皆がなるわけじゃないでしょう?)

 

でも、最近の、なんちゃってオーガニック(なんちゃって、じゃなくて、本家(?)であっても)や流行りの自然派化粧品なんて、調べてないでしょ?って感じです。というか、経皮感作すら知らないでしょ?と思います。

また、そこまで調べるのに、結構な費用と研究設備が必要ですから、ある程度の規模の会社じゃないと調べることはできません。

自社でできないとなると、第三者機関に外注するしかありませんが、これも結構な費用がかかるし、もしそれで経皮感作するかも、となったら、その商品自体販売中止です。

一体、どこの企業が、お金をかけてまで、商品自体売れなくなるかもしれないのに(しかもそこまでに莫大な経費をかけているのに)、やりますか?って感じです。

 

私調べですが、私から企業に問い合わせして、ちゃんと答えてくれて、しかも安心して使えると納得したのは(口にする成分を混ぜている商品を作っている企業)は、資生堂と大島椿だけでした。

もちろん、化粧品会社全部に聞いたわけではないので、聞いていないところでもちゃんとされているところはあると思います。

 

「天然だから安心」「食べられるものだから安心」というのは、はっきり言って、イメージだけの、どっかの化粧品会社が作り上げた幻想で、素人は騙せても、はあ~?という感じです。

もうそういうことを言っている企業は、一切信用していません。

そういう企業だから。無知も甚だしい。

昔はそれで通ったかもしれませんが、「茶のしずく」事件で、化粧品業界は震撼したはずです。

(カネボウの白斑の時もそうでしたが)

それでも無視というか無知って。。。そんな化粧品メーカーダメでしょ。そういうエキスを使うなら。

ケミカルなほうが皮膚には優しかったりするのです。

 

たかが化粧品、されど化粧品です。

 

わかっている企業が作るのと、素人が作るのとで、一見似ていても、大違いです。

たとえ、裏の成分表に同じ成分が書いてあっても(そんなことはないと思いますが、誰も調べませんから、勝手にマネして中身全然違うのに、成分表だけパチってくるとかね。)、

製造工程で全くの別物になりますから、裏の成分表だけでは全然読み取ることができません。

企業の信用問題ですけどね。ばれたら、終わりです。

 

ついでにですが、やっと資生堂の市販のに、レチノールが登場したので、ついでに載せておきます。

http://www.shiseidogroup.jp/news/detail.html?n=00000000002135&?rt_bt=menu-rd-bana_001

まだ売ってなかったのか?と思いました。

(クリニック専売には、とっくに入っているし、市販のと、クリニック用とでは、濃度などが全然違います)

他社でもレチノールは一般用でも販売されていると思いますが、他社との違いは、安全性(医薬部外品は、認可が厳しい。もちろん自社基準も)と効果かな。

レチノールは、とても酸化しやすいので、容器などもとても重要です。

現時点で、「シワに効く」となると、私の中では、レチノールがダントツです。(市販・クリニック用含む)

ただし、効けば効くほど、副作用も大きくなるので、勝手にまた個人輸入するだの、クリニック用を診察も説明もなしで使うだのして、どうにかなっても自業自得です。

濃ければいいというものではありません。

あと、患者さん診ていると、栄養状態の悪い方は、濃いレチノールを使った場合の副作用が普通では起こらないようなことが出ています。

代謝悪すぎ。。。代謝上げても、ついていけてないというか。。

こんな副作用まで出てくるんだなあと感心するくらい。

消えるのにも結構時間がかかります。。

効くものというのは、薬でもなんでもそうですが、うまく使わないと、デメリットだけが強調されて、メリットが消えてしまいます。

だからこそ、診察が必要なわけですが。

 

私の勝手な想像ですが、市販のレチノール(資生堂の場合)は、安全基準をかなり厳しくしてあるはずですから、気になる方が使ってみるのはありかと思います。

ただ、もしなにかあったら、必ず即中止して、お客様センターに電話しましょう。皮膚科も受診してくださいね(レチノールがわかっている医者じゃないとちょっと難しいかも)。

安全にお使いください。

(お手入れが間違っている方、もうかなりバリア機能が破たんしている方も多いので、そういう方は、なにを使っても、なんでも起こり得ます。それは化粧品のせいではなく、ただの氷山の一角で、あなたの栄養状態とスキンケアが悪いのです。)