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  • 院長
    柴 亜伊子
  • 京都四条 あいこ皮フ科クリニック

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ホーム > 2011年03月09日



先日まつ毛が抜けていく、という患者さんが来られました。

若い方です。

診ると、まつ毛の半分くらいが抜けてスカスカです。

今までの経過や普段しているアイメイク・クレンジングの仕方・他の体毛(頭や眉毛や他の部分)はどうか、などなどをお聞きして、皮膚の状態を診て、かゆみなどの自覚症状の有無なども含めて、その結果、原因はアイメイク以外、私には考えられませんでした。

アイメイクは、アイライン・シャドウ・マスカラと結構濃くされるそうです。

クレンジングは、ドラッグストアの目元専用リムーバーを使っておられたそうです。

ラティースは、以前にかぶれたことがあるそうです。間違った使い方(塗りすぎとか、塗ってるところがおかしいとか)をして、かぶれた方なら、正しい塗り方に変えてもらうだけで、かぶれなくなることがありますが、この方は、一応正しく使っておられたようで、その場合、医師としては、勧められません。

 仮に、かぶれなかったとしても、一番原因としてのアイメイクをやめない限り、まつ毛を育てるほうが時間がかかりますから、なかなか難しいと思います。

「そんなことない!」とメイクを続けながら、ラティースもする、という方もいらっしゃるでしょうが、その人の自由ですから、止めても聞かないなら、もうしょうがないですが、無理して、まつ毛がちゃんと伸びてくれたらいいですが、育たなかったら、その間にもどんどん抜けていくので、毛根までやらてしまったら、下手すると取り返しがつきません。自分の体で実験する、という方は、誰も止められませんが、どうしようもなくなってから、何とかしてくれ、となっても、人間の体は、そんなにうまくできていないこともあります。

さて、そこまでまつ毛を抜けさせるほどのアイメイクって、想像つきますか?私はつきません。

確かに、この方、お話を聞く分には、今若い子たちがしている目の周り真っ黒のグリングリンメイクなのかな~、と思いましたが、そういうメイクの子みんながどんどん抜けるわけではありません。

エクステのやりすぎ(接着剤のせいか、刺激自体が悪いのかはわかりませんが)や、ビューラーの使いすぎ・やりすぎで、まつ毛が抜けるのが増えることは多いです。

まつ毛を引っ張ることは、大変良くないです。まつ毛って、頭の毛よりも簡単に抜けますよね~。

エクステでどんどん抜けて、つけるまつ毛が無くなってきたから、つけまつ毛に変えた、という方も結構いらっしゃいます。合う方・合わない方、人それぞれです。

ちなみに、この方は、エクステもマスカラもビューラーもされていないそうです。それでも抜けていくと。

この方のまつ毛の根本の際には、何か薄いベージュ色の塊みたいなのがらたくさん付着していて、肉眼でも見て取れました。ダーマスコピーで50倍アップでみても、ビッシリとついています。

一瞬シラミかと思いました!大人でシラミって・・・?!!

もしシラミなら、大人の場合、どんな環境で生活しているのか疑いたくなります。普通の大人にまつ毛にシラミはつかないでしょう。頭には、たまに付きますけどね、子供から逆にうつされて。まつ毛についたら、かなりビックリです。大学にいた若い時なら、学会の地方会くらいなら、学会発表してるかもしれません。

ちなみに、子供なら、頭にシラミがたかっているのに気付かなかった場合、まつ毛にまで付くことがマレにあります。いきなり、まつ毛のみ、というのは、かなりマレと思います。頭は、夏のプールやスイミングでうつってくることがあります。

昔は、お母さんが気付いて早めに連れてきて、早く治す、ということが当たり前でしたが、最近は、育児放棄やお母さんが働いているので、なかなか気づいてあげれず、かなりひどくなって連れてこられることが増えました。(髪を梳かしてあげてたら、普通気づきます)

まあ、シラミがついても、卵を目の詰まったクシでマメに梳いて落として、薬局でスミスリンシャンプーというのを買って、頭をしばらく洗ってもらったら、シラミはいなくなります。痒くて、掻いて湿疹にまでなったら、薬を塗てもらいます。

シラミの卵自体がそんなに悪いわけではありませんが、そのうち卵が孵ります。それに気付かれない状況に子供が置かれている、ということのほうが問題では?と思います。

シラミの卵が髪についても、痒くもなんともありませんが、ほっておくとどんどん幼虫→成虫に孵るんですね~。なんせ卵ですから。

本人はかなり痒いです。それで、やっと気づいて連れてこられます。

昔、かなり育児放棄の家庭で、かなりの長髪の女の子姉妹3人全員、シラミというのを診たことがあります。最初にうつった子は、かなりの長い間、放っておかれました。

受診されたのが、夏だったので、子供の頭で痒い・どんどん他の子も同じことを言い出した、となると、ああ~シラミだな、と思って、診察を始めるんですが、最初にうつった子の髪の毛をサッと分けて診た瞬間、一斉に、ササ~っと動くモノがたくさんいて、全部シラミの成虫でした。。。もう、「ヒィ~!!」という感じです。髪の毛の中、虫だらけです。育ちすぎです。。。こんな大きなシラミなんて。。。ここまでひどい(たくさんの大きな)シラミを診たのは、これが最初で最後でした。またその子が診察中に、ピョンピョン跳ねて暴れるので、シラミの成虫が降ってきたら、どうしようかと焦ってしまいました。その後(まだ外来中だったので)、看護婦さんとシーツを変えたり、拭いたり、一応殺虫剤を撒いたり、と大変です。

話が飛びましたね。まつ毛のシラミでしたね。結果、この子のまつ毛にこびりついていたのは、シラミではなかったです。(シラミは顕微鏡で確認します。ちなみに、頭シラミと毛じらみ(いわゆる性病です)とは、シラミの種類が違います)

この子のまつ毛についていたのは、メイクの残りかすや垢というか皮膚の角質などの、まあゴミみたいなモノです。

こんなこびりついたメイクカスって、そんなに見ないですね~。顕微鏡で調べるには、ピンセットである程度つまんで取れないと、この部分は検査できません。肉眼でついてるのが見えて、ピンセットで無理なくとれましたから、かなりのカスの量です。

何故、こんなにカスが残っているのか?

①メイクが濃すぎる ②使っているリムーバーーがよくない ③リムーバーーの使い方が悪い ④①~③が複数合わさっている という4種類が考えられます。

 濃いアイメイクをするなら、リムーバーは、もう少しお金をかけないと、あと、手間暇と。ちょっといいヤツを使うだけで、落とす時間は格段に短くて済みます。

負担をかけるなら、どこかで、別の負担は軽くしてあげないと、肌でもまつ毛でも、機嫌を損ねて、拗ねてしまいます。拗ねてるくらいならいいですが、仕返しされて、家出されても困るので、ホドホドに。

その患者さんは、アイメイクをやめましたかね~(止めることに、かなりの抵抗があるようでした)。

私の意見が受け入れられないなら、別の医師に相談してみるしかないです。セカンドオピニオンというか、医師によっても考え方は違いますから、考えが合わなければ、命に係わる病気ではないので、ゆっくりと自分に合う医師を探せばいいと思いますが、要は、良くなればいいわけなので。

でも、スグにでも始められることは始めないと!まつ毛は抜ける一方なので。。

育てるのって、ただでさせ、時間かかりますからね~。皆さんもご注意くださいね。