ちょっと前の「女性セブン」の記事、「歴史上の美女が食べていた こだわりの美容食・健康食」、ご覧になりましたか?
最初、漢方の取材とお聴きしていたので、こういう記事だったのか~と後から納得しました。
私が担当したのは、則天后の「益母草」。
これで洗顔していたそうな。
歴史上の美女と言っても、権力を持った女性だと、そういう風に書かせていたということもありますし、実際は本当に美女だったのか、美肌だったのか、魔女のように若く見えたのかはわかりませんよね。
でも、権力があるからこそ、その時代、高価なものもたくさん食べていたり、毎日湯水にように使っていたのは、十分あり得ますよね。
で、この益母草ですが、日本の漢方、例えば、ツムラやクラシエでは、ほとんど、というか、取り扱っていません。
中国では、女性のための漢方という感じで、もうとてもスタンダードで、妊娠の時以外は結構よく使われるもののようです。
(子宮を収縮させるため、妊娠中に使うと、流産の危険があります。漢方だから、副作用ないと思っていると、大変な目に遭います。)
日本でも、中国系の漢方(中医学と言います。日本の漢方医学とは別物です)を中心としている製薬会社や中医学専門?の漢方薬局などは取り扱っています。
どうして、業界最大手のツムラやクラシエが取り扱っていないのでしょうか?
(オースギもコタローにもなかったです)
日本って島国だから、海外からの情報って、遣唐使とか今の中国や韓国からいろいろな文化が伝わってきましよね。
仏教にしても、発症はインドで、日本に入ってきて、広まる頃には、仏教は、日本独自のスタイルに変わりましたよね。
その民族の考え方、風土や気候などによって、さまざまに変化していくものです。
中医学も、最初に日本に伝わったのは、5世紀と言われています。
5世紀というと、大化の改新よりも前、古墳時代です。
(奈良時代の前が、飛鳥時代で、その前が古墳時代。日本史、見直しました)
そこから広まっていくわけですが、これも日本独自の進化というか、日本の風土や気候、日本人の考え方や体質によって、変化していきます。
中国の広大な土地では、それぞれの土地によっても風土は全然違うと思いますが、なにより食べているものが、中国と日本で全然違うわけです。
体質というか、からだが全然違うのは当たり前です。
インドから伝わった仏教。
中国も通ってきているはずなのに、インドでも中国でも、動物性タンパク質は食べますよね。
中国料理なんて、食べないものはない、というくらい、なんでも美味しく料理しちゃいますよね。
それに引き換え、日本に広まった仏教は、日本の、自然と一緒に共存するという考え方なのか、よくわかりませんが、「殺生ダメ」というところから、獣肉禁止みたいになっていきます。
特に、上流階級は。
武士みたいな職業の人や農民、一般の人たちは、それでは、作業もできませんから、猪や鹿、うさぎなど、いろいろ食べていたようです。
わかりやすい例で言えば、「拉麺」なんて、もともと中華料理なのに、日本独自の進化を遂げて、全く別物ですよね。
それくらい、アレンジ利かせるというか、日本に入ってきて、そのあと、独自の変化を遂げます。
中医学も。
今の漢方が確立したのが、江戸時代と言われていて、中国で扱われているのと全然違う、日本だけのものを使ったり、中国ではメジャーなものは使わなかったりと、長い年月かけて、より日本の風土・気候、日本人に合うようになっていたそうです。
一番有名なのが、華岡青洲先生でしょうか。
(漢方の先生も、華岡先生だけではないので、流派というか、考え方がいくつか分かれます。
ツムラとクラシエで、名前は全く同じでも、中身全然違う!という漢方がたくさんあります。ツムラだけ、と言ってもいいくらい、ツムラ独自の処方です)
その江戸時代に確立した漢方医学(漢方という言葉自体、日本独自だそうです)が、今にもずっと生きている。
ツムラ、クラシエ、オースギ、コタローなどメジャーな製薬会社。主に、保険適応のある漢方を作っている製薬会社です。
他に、それよりも規模は小さいけど、漢方を作っている製薬会社はたくさんあると思います。
よく患者さんで、中医学と思われるほうの漢方薬局で、バカ高い漢方?を飲んでおられる方もいて、で、改善しないから、オーソモレキュラー療法などの相談に来られるわけですが。。。
漢方大好きで、保険の漢方では飽き足らずに、専門のところで生薬を煎じてもらっている、というクラスの方はいいんですが、全くの漢方初心者は、ドラッグストアでも、ツムラやクラシエも一般用で売っていますから、そういう簡単なところから始めるほうがいいかと思いますし、あるいは、保険診療で漢方処方してもらって、ためせばいいと思います。
漢方って、ドンピシャ!で自分に合えばいいですが、合わない時もあります。
可もなく不可もなく。。ということもあります。
悪くないけど。。。
他のを試してみましょうか。ともなります。
生薬を煎じてもらったりする場合、量が多いでしょ。
平気で、いきなり、3か月分とかの処方だし。(少しだけ作るというのが、あまり見たことないですね。。。出来合いなら別ですけど)
いきなり3か月もらって、(しかも高い!)、もし合わなかったから、どうするん?って思います。
漢方嫌い、飲みたくない、という患者さんの多くは、大体、この「合っていない」漢方を飲まされ続けたことがあって、もうあんなまずくて吐きそうなものは飲みたくない、といわれてしまうことも多々あります。
(ちなみに、合っていない漢方は、飲まないほうがいいです。からだの「証」ってやつが違うことが多く、逆に不調にしてしまうこともあります。。合わなかったら、使い道がない。。
家族が飲めるわけでもないでしょうし。。。誰でも飲んでいいようなもの、万人受けする漢方であればいいんですけど。。。あまり万人受けってないです。
症状とその方の「証」で、診察の上、選んでいるわけですから。
自分に合っていたら、美味しい!まではいかなくても、そこそこ飲めるし、飲みやすかったり、全然OK!とわりとなります。
また、飲んでいると、1~2週間で、なにかしら良いことあるし。
続けよう、と思えるようなものです。
なので、たまに、オブラートで包んで飲んでる方がいて、味見もしたことない、となると。。。
う^ん。。。。といつも思います。
(オブラートなしで、飲んだことない、といわれたら、一度そのまま飲むように勧めています。)
あと、たくさんの種類の漢方、まとめて飲んでるとかね。
(漢方1種類につき、完璧な世界観ができあがっていて、崩しようがない、完璧な配合比率になっているわけです。
まとめて、何種類も飲むと、その配合比率が崩れます。漢方の世界が混ざるところか、1個の世界も出てこなくなる。。と私は思います。。
なので、2種類以上処方する時は、30分以上空けてもらっています。
3種類目は、出しても頓服かな。
30分以上あけて、3種類以上飲むのって、まあそんな大変でできませんから。)
保険診療であれば、数日分だけ試すこともできるのはできます。
(その場合、数日後にまた受診するのか、となりますが)
うちでは、初めて飲む漢方は、1~2週間分までだす。
合っているとわかれば、次からは、1か月分とか出しますけど。
昔と食べているものも環境も違いますから、皮膚に直接塗るのは(則天后みたいに)、止めておいたほうがいいです。
もしそれでアレルギーを起こしたら、もうその漢方、飲めなくなってしまうかもしれないからです。
口にするものは、皮膚に塗らない!!
まずは、保険診療で、少しだけ初めてはみては?
ちなみに、中医学と日本の漢方、韓国の「韓方」は全然違いますよ。