昨日のヒアルロン酸の続きです。
今当院で取り扱っているエセリスは、スイスのANTHEIS社製のもので、FDAの承認は取れていないとはい言え、こちらもトップブランドですので、ご安心ください。
私が開業する前から、もう5年以上は経っているような気がしますが、最初、少数のクリニックで使われていて、あまり情報も出ておらず、(使っているクリニックが、学会で有名なドクターでなければ、学会発表をされるわけでもないですし、企業主催セミナーも、企業側がちゃんとしていないと、なかなかされていないような時代だったのか、(最近はかなり増えましたが)、そういう公けでの公表がないと、本当の情報って、伝わってこなかったりもします。
「これ、いいよ!」とどこかのドクターが言っても、好みが強かったり、企業が一役噛んでいたり、裏でお金が動いていたり、副作用などはあまり言われなかったり、などなど、偏った情報だけではわからないんですよね、ホントのところは。
薬でも化粧品でも医療機器でもそうですが、こういう美容医療関係のモノって、最初、日本に入ってくる時は、どれも前評判がすごくて(すごくなるよう、大きな声で、誰かが言っているのです)、誇大広告並みの勢いですが、いざ、使われ出すと、なんや、これ?ということも、実際しばしば。。。
本当の評価を下すには、できればもう少し広まってから、判断をくだしたほうがいいと言えばいいんですが、出遅れることもあるでしょうし、そのあたりは、いつ導入するかがクリニック側としては難しいところです。
特に、注入剤の場合は、吸収するものにしても、時間がかかるものだと、副作用などが後からわかった場合、えらいことになりますから、副作用も軽微なものであれば、安全性を確認でれきば、選択肢の一つかな、と思います。
(何を持って、安全というのか、これまた難しいところですが。。)
そういう意味では、エセリスも目の周り、目の下では以前から使われていて、特に、先の丸いカニューレ(鈍針)がお手頃になってからというもの、かなり取扱いのクリニックが増えました。うちもそのうちのひとつです。
多くのクリニックが、もう何年も使っていますから、とりあえずの心配はいらないと思いますよ。
困るのは、昔流行った、非吸収性のヒアルもどきです。
もどきと言っても、似て非なるもの。。
10年前くらいでしたっけ?すごく流行ったの。スーパーヒアルロン酸だとか、吸収しないヒアルロン酸だとか、いろんな名前で、ガンガン宣伝されてたはずです。
CE(ヨーロッパの厚労省みたいなもの)の承認は取っているものもあり、私が美容医療を始めた9年くらい前には、下火とは言え、まだされていて、でもアレルギーの問題はもう知られていて、あまり入れないように、という風潮はありました。
以前勤めていたクリニックでも在庫があったので(アクアミドです)、取扱いはされていて、以前に入れた患者さん(トラブルはその時点で起こっていないので)が、減ったからまた入れてほしい、と言って来られて、説得してやめさせるのは結構大変でした。
(ヒアルロン酸はすぐに吸収するから、と散々営業をかけられて、アクアミドをされていらっしゃったようなので、ヒアルロン酸は入れたくない、と希望されるのです。アレルギーの確率は、200分の1です。少ないと思われるかもしれませんが、このアレルギーが出たら、悲惨で、赤くなって、ちょっと腫れるだけ、薬でしばらくしたら治まるけど、また繰り返す、という程度くらいならいいんですが、ホントに、TVでやっていた扇風機オバサンまでいかなくても、赤くなってただれるとか、周りも赤くなって膨れ上がるとか、症状の程度はさまざまで、すぐに出ることもあれば、2~3年してから出ることもあり、それが恐ろしいところです。)
異物同志は混ぜないほうがいいので、他のドクターが入れたものは、どの深さに入っているのかもわかりませんし、アクアミドは、また悪いことに、結構広がりますからタチが悪い。
もうほとんどない、とう方には、ヒアルロン酸を入れてましたが、まだ残っているのが触っただけでわかる方は、お断りしていました。
先日、光・レーザー治療をしたい、とご希望の初診の方が来られたんですが、これまた顔に、まるわかりの注入剤が入っていて、予約時には、ご本人は何もしていないと言われていたのです。
ちゃんとしたものが入っている場合はいいのですが、おかしなものだと今後何が起こるのかわかりませんし、光・レーザーのせいにされてはたまりませんから、もしレーザーをされるなら、そのことも先に説明して承諾を得ないと絶対にしません。
また、わざと隠して黙っておられる方もいれば、ホントに昔過ぎて忘れていました、という方もいらっしゃいます。
隠されるのもタチが悪いですが、忘れてた、というのも(ウソかホントかは別として)、これを忘れるかっと?!と疑いたくなるような見た目だったりすると、そこまで理解の悪い方、あるいは、美的感覚のおかしな方に処置をする、というのも考え物なので、治療をお断りすることがあります。
目指しているところが違ったりしますから。こういう時に、おまかせで、と言われても、「いや、好みが違いすぎるでしょ。」と断らなければいけません。
その方の丸わかりは、鼻で、受付が一目見ただけで絶対何か入っている!!と断言するくらい、変な様相で、(でも、自己申告は問診票でも電話でもなく、受付からも来られてから、再三確認しましたが、全否定されました。)、そこまで断言するって、どれくらいの注入なん?!と半ば興味半分、恐いモノ見たさ半分。。。
で、診察室に入ってこられて、これは、ひどい!(丸わかりという意味でも、美的感覚としても。) 何とかしようと思わないのかな。。。?
レーザーがどうこう説明の前に、「鼻に何を入れているんですか?」という質問からです。
まだ全否定されるので、触診させていただきました。
手触りは、「非吸収性」のモノです。ものすごい量が入っていて、あとから2~3年前と言われていましたが(ウソかもしれませんが)、レディエッセもヒアルロン酸も多くの種類があるというのに、なんで2~3年前に、こんなもの入れられないといけないねん。。。と悲しくなりますね。
(理解していれたのなら、まだ自己責任かもしれませんが、患者さんって、そこまで申告に考えていませんからね。最悪のことが起こった時に、本当に理解しておられるわけではないでしょう。)
私が、「非吸収性」と思っているだけで、ひょっとしたら違うものかもしれませんが、「記憶ない」、と言われる以上、そこにはレーザーはあてません。
元の鼻の形は原型をとどめていないので、忘れるはずはないと思うんですが、2~3年で自分の顔になったしまったら、忘れちゃうんでしょうか。。見慣れたタンスのように。。
鼻に、これだけ大量に「非吸収性」と思われる注入剤が入っているのを、久しぶりに見ましたが、入っているところの境目がはっきりしていて、ものすごく不自然。。。量が多いからとか、そういう問題以前の問題で。。。ヒアルロン酸ではありえない見た目です。
そこのクリニック(ドクター)の手技の問題なのか、注入剤の質の問題なのか、両方なのか、ここまで来るとわかりませんでした。
とにかく、変なことはわかっているんですよね。でも、それだけ。
「非吸収性」のものは、ホントにどうしようもなくて、無傷で取り出すのは絶対に無理だし、どえらいことになっても全部取り出すのも無理と思ったほうがいいです。(ほっぺたなら、片ほほ全部切っても、残るかもしれません。鼻なら鼻全部取れば、なくなるのかもしれません。残るのかもしれません。わかりません。)
入れりゃーいいってもんでもないんですよね。
ヒアルロン酸でも、ちょっと前から、何年ももつ、みたいなヤツが出てきていて、もちろん、FDAの承認はまだ取れていないはずです。
FDAが全てではありませんが、どうしてもそれを入れたいなら、承認が下りてからでいいんじゃないですか?
そこまで急いで、それを入れないといけないんですかね。
FDAの承認が取れても、後から副作用報告がバンバン出て、取り消しされるもの、あるいは、承認内容が変更になるものもあります。
持ったら持ったで、そりゃ嬉しいです。
入れた場所、種類、量など絶妙に絡んで、ものすごくもつ、ということが結果あった、ということはあります。
これは、あくまで、たまたま。
最初から、何年も持つ、って、どうして?って思わなきゃ。
その理由が納得できたものでも、もし入れたら、その間取り出せませんから、何かあったら、3年も4年も、そのままですよ。
顔の好みも変わるし、お肌も変化します。顔の脂肪も減ってくることもあるし、逆に太ることもあります。
シリコンを入れるなら話は別ですが、そんな長期ビジョンをもって、注射しなくてもいいと思うんですけどね~。
(シリコンのいいところは、吸収もされないので経済的ではありますが、イヤになったら、抜くしかないので、また手術です。手術後、すぐになんとかできないことも多く、もちろん一度入れたから一生もつわけではありません。
ネットで、ゲイノウジンの鼻が話題になっていましたね。折れた。。?)
プチ整形らしく、「ちょっとだけ、変えてみる」、というのが、一番のおススメです。
慣れてきたら、上級者を目指すのもありでしょうけど。
ほどほどに。
特殊なものは、副作用も確認を。